Clinical snapshot

アトワゴリバース静注シリンジ6mL

ネオスチグミンメチル硫酸塩/アトロピン硫酸塩水和物

添付文書改訂 2025年11月01日

【警告】

非脱分極性筋弛緩剤の作用の拮抗に本剤を静脈内注射するにあたっては、緊急時に十分対応できる医療施設において、本剤の作用及び使用法について熟知した医師のみが使用すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1消化管又は尿路の器質的閉塞のある患者[蠕動運動を亢進させ、また排尿筋を収縮させる作用を有する。]

  2. 2.2本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  3. 2.3迷走神経緊張症の患者[迷走神経興奮作用を有する。]

  4. 2.4脱分極性筋弛緩剤(スキサメトニウム塩化物水和物)を投与中の患者

  5. 2.5閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]

  6. 2.6前立腺肥大による排尿障害のある患者[抗コリン作用による膀胱平滑筋の弛緩、膀胱括約筋の緊張により、排尿困難を悪化させるおそれがある。]

  7. 2.7麻痺性イレウスの患者[抗コリン作用により消化管運動を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。]

効能・効果

非脱分極性筋弛緩剤の作用の拮抗

用法・用量

通常、成人には1回1.5~6mL(ネオスチグミンメチル硫酸塩として0.5~2.0mg、アトロピン硫酸塩水和物として0.25~1.0mg)を緩徐に静脈内注射する。

なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1ときに筋無力症状の重篤な悪化、呼吸困難、嚥下障害(クリーゼ)をみることがあるので、このような場合には、臨床症状でクリーゼを鑑別し、困難な場合には、エドロホニウム塩化物2mgを静脈内注射し、クリーゼを鑑別し、次の処置を行うこと。

  2. 8.1.1コリン作動性クリーゼ

腹痛、下痢、発汗、唾液分泌過多、縮瞳、線維束攣縮等の症状が認められた場合又はエドロホニウム塩化物を投与したとき症状が増悪ないし不変の場合は、直ちに投与を中止し、アトロピン硫酸塩水和物0.5~1mgを静脈内注射する。更に、必要に応じて人工呼吸又は気管切開等を行い気道を確保する。

  1. 8.1.2筋無力性クリーゼ

呼吸困難、唾液排出困難、チアノーゼ、全身の脱力等の症状が認められた場合又はエドロホニウム塩化物を投与したとき症状の改善が認められた場合は、ネオスチグミンメチル硫酸塩の投与量を増加する。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1開放隅角緑内障の患者

抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。

  1. 9.1.2気管支喘息の患者

気管支平滑筋を収縮させることがある。

  1. 9.1.3甲状腺機能亢進症の患者

甲状腺機能亢進症を悪化させるおそれがある。また、抗コリン作用により、頻脈、体温上昇等の交感神経興奮様症状が増強するおそれがある。

  1. 9.1.4冠動脈閉塞のある患者

冠動脈を収縮させることがある。

  1. 9.1.5徐脈のある患者

徐脈を更に増強させるおそれがある。

  1. 9.1.6うっ血性心不全のある患者

抗コリン作用により、心拍数が増加し、心臓に過負荷をかけることがあるため、症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.7重篤な心疾患のある患者

心筋梗塞に併発する徐脈、房室伝導障害には、アトロピンはときに過度の迷走神経遮断効果として心室頻脈、細動を起こすことがある。

  1. 9.1.8消化性潰瘍の患者

胃酸分泌を促進させることがある。

  1. 9.1.9潰瘍性大腸炎の患者

中毒性巨大結腸があらわれることがある。

  1. 9.1.10てんかんの患者

骨格筋の緊張が高まり、痙攣症状を増強させるおそれがある。

  1. 9.1.11パーキンソン症候群の患者

不随意運動を増強させるおそれがある。

  1. 9.1.12前立腺肥大のある患者(排尿障害のある患者を除く)

抗コリン作用による膀胱平滑筋の弛緩、膀胱括約筋の緊張により、排尿困難を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.13高温環境にある患者

抗コリン作用により発汗抑制が起こり、体温調節が困難になるおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重篤な腎機能低下のある患者

本剤の排泄が遅延し、作用が増強・持続するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。胎児に頻脈等を起こすことがある。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。新生児に頻脈等を起こすことがある。また、乳汁分泌が抑制されることがある。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

減量するなど慎重に投与すること。

  1. 9.8.1一般に生理機能が低下していることが多い。

  2. 9.8.2抗コリン作用による緑内障、記銘障害、口渇、排尿困難、便秘等があらわれやすい。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 脱分極性筋弛緩剤
• スキサメトニウム塩化物水和物• スキサメトニウム、レラキシン
脱分極性筋弛緩剤の作用を増強する。 本剤はコリンエステラーゼを阻害し、脱分極性筋弛緩剤の分解を抑制する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• コリン作動薬 • アセチルコリン、アクラトニウムナパジシル酸塩等 相互に作用が増強される。 本剤はコリンエステラーゼを阻害し、アセチルコリン、アクラトニウムナパジシル酸塩の分解を抑制する。
• 副交感神経抑制剤• アトロピン硫酸塩水和物、スコポラミン臭化水素酸塩水和物、ブトロピウム臭化物等 副交感神経抑制剤はコリン作動性クリーゼの初期症状を不顕性化し、本剤の過剰投与を招くおそれがあるので、副交感神経抑制剤の常用は避けること。 副交感神経抑制剤は本剤の作用に拮抗する。
• 抗コリン作用を有する薬剤• 三環系抗うつ剤、フェノチアジン系薬剤、イソニアジド、抗ヒスタミン剤 抗コリン作用(口渇、便秘、麻痺性イレウス、 尿閉等)が増強することがある。
併用する場合には、定期的に臨床症状を観察し、用量に注意する。
相加的に作用(抗コリン作用)を増強させる。
• MAO阻害剤 抗コリン作用が増強することがある。
異常が認められた場合には、本剤を減量するなど適切な処置を行う。
MAO阻害剤は抗コリン作用を増強させる。
• ジギタリス製剤• ジゴキシン等 ジギタリス中毒(嘔気、 嘔吐、めまい、徐脈、不整脈等)があらわれることがある。
定期的にジギタリス中毒の有無、心電図検査を行い、必要に応じてジギタリス製剤の血中濃度を測定し、異常が認められた場合には、ジギタリス製剤の減量若しくは投与を中止する。
ジギタリス製剤の血中濃度を上昇させる。
• プラリドキシムヨウ化メチル(PAM) 混注により本剤の薬効発現が遅延することがある。
併用する場合には、混注を避け定期的に臨床症状を観察し、用量に注意する。
プラリドキシムヨウ化メチルの局所血管収縮作用が本剤の組織移行を遅らせる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
めまい 頻度不明
下痢 頻度不明
便秘 頻度不明
口渇 頻度不明
呼吸障害 頻度不明
唾液の分泌過多 頻度不明
嘔吐 頻度不明
嚥下障害 頻度不明
大量投与による不安・興奮・虚脱・脱力・筋攣縮・骨格筋の線維束攣縮等 頻度不明
徐脈 頻度不明
心悸亢進 頻度不明
悪心 頻度不明
排尿障害 頻度不明
散瞳 頻度不明
気管支痙攣 頻度不明
気道分泌の亢進 頻度不明
発汗 頻度不明
発疹 頻度不明
紅斑 頻度不明
緑内障 頻度不明
縮瞳 頻度不明
腹痛 頻度不明
血圧降下 頻度不明
視調節障害 頻度不明
記銘障害 頻度不明
過敏症状 頻度不明
頭痛 頻度不明
頭重感 頻度不明
頻脈 頻度不明
顔面潮紅 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  1. 18.1.1ネオスチグミンメチル硫酸塩

コリンエステラーゼと結合し、酵素活性を一時的に不活性化し、アセチルコリンの分解を抑制することで、間接的にアセチルコリンの作用を増強する。更に、自らもアセチルコリン様の作用を有するコリン作動薬(副交感神経興奮薬)である。非脱分極性(競合性)神経筋接合部遮断薬の骨格筋における遮断作用と拮抗する19),20)。

  1. 18.1.2アトロピン硫酸塩水和物

アセチルコリン、ムスカリン様薬物に対し競合的拮抗作用をあらわす(抗コリン作用)。この作用は、平滑筋、心筋及び外分泌腺のムスカリン受容体に対し特に選択性が高く、消化管、胆管、膀胱、尿管等の攣縮を緩解するとともに、唾液、気管支粘膜、胃液、膵液等の分泌を抑制する。心臓に対し、低用量では通常徐脈があらわれるが、高用量では心拍数を増加させる21),22),23)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1ネオスチグミンメチル硫酸塩
  • 半減期は0.015~0.14時間(分布相)及び0.38~2時間(消失相)である(ヒトでの試験成績:0.65~1.12時間(消失相))6),7),8)。

  • クリアランス及び分布容積は、それぞれ11mL/min/kg及び0.53~1.56L/kg8)。

  • 腎疾患において半減期は延長する6)。

  1. 16.1.2アトロピン硫酸塩水和物
  • 血中から速やかに消失し(半減期は2~5時間)、全身に分布する9),10),11),12)。

  • クリアランス及び分布容積は、それぞれ6.4~8mL/min/kg及び1~6L/kg(ヒトでの試験成績:クリアランス6.4mL/min/kg、分布容積 1L/kg)12),13)。

16.3 分布

  1. 16.3.1ネオスチグミンメチル硫酸塩
  • ヒト血清アルブミンへの結合率は15~25%6)。

  • 中枢神経系への移行は少ない6)。

  • 胎盤を通過する6),8)。

  • 乳汁への移行はとても少ない量である6),8)。

  1. 16.3.2アトロピン硫酸塩水和物
  • 血漿蛋白結合率は約50%9),12)。

  • 血液-脳関門を通過する9),12)。

  • 血液-胎盤関門を通過する(ヒトでの試験成績を含む)9),10),12)。

  • 痕跡程度の量が乳汁中、その他種々分泌液中に検出される(ヒトでの試験成績を含む)9),10),11),12)。

16.4 代謝

  1. 16.4.1ネオスチグミンメチル硫酸塩
  • 生体内ではコリンエステラーゼや非特異的エステラーゼより加水分解を受け、肝臓においても代謝される6),7),8),14),15)。
  1. 16.4.2アトロピン硫酸塩水和物
  • 尿中に投与量の約半分が未変化体、1/3以上が未知代謝物、2%以下がトロパ酸として排泄される(ヒトでの試験成績)9),10),12),13)。

16.5 排泄

  1. 16.5.1ネオスチグミンメチル硫酸塩
  • 主排泄経路は尿中であり、投与放射活性の約80%が24時間以内に尿中に排泄され、投与量の約50%が未変化体、15%が3-hydroxyphenyltrimethylammoniumである(ヒトでの試験成績)6),8)。
  1. 16.5.2アトロピン硫酸塩水和物
  • 主排泄経路は尿中であり、投与後4時間以内に投与量の半分が、24時間以内に約90%が尿中に排泄される。呼気中には排泄されず、糞中への排泄は0.5%以下である(ヒトでの試験成績)9),10),12),13)。