Clinical snapshot

アシクロビルDS80%「NK」

アシクロビル

添付文書改訂 2026年02月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分あるいはバラシクロビル塩酸塩に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • [成人]

  • 単純疱疹

  • 造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制

  • 帯状疱疹

  • [小児]

  • 単純疱疹

  • 造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制

  • 帯状疱疹

  • 水痘

  • 性器ヘルペスの再発抑制

用法・用量

  • [成人] 〈単純疱疹〉

通常、成人には1回アシクロビルとして200mgを1日5回経口投与する。

  • 〈造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制〉

通常、成人には1回アシクロビルとして200mgを1日5回造血幹細胞移植施行7日前より施行後35日まで経口投与する。

  • 〈帯状疱疹〉

通常、成人には1回アシクロビルとして800mgを1日5回経口投与する。

なお、年齢、症状により適宜増減する。

  • [小児] 〈単純疱疹〉

通常、小児には体重1kg当たり1回アシクロビルとして20mgを1日4回経口投与する。ただし、1回最高用量は200mgとする。

  • 〈造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制〉

通常、小児には体重1kg当たり1回アシクロビルとして20mgを1日4回造血幹細胞移植施行7日前より施行後35日まで経口投与する。ただし、1回最高用量は200mgとする。

  • 〈帯状疱疹〉

通常、小児には体重1kg当たり1回アシクロビルとして20mgを1日4回経口投与する。ただし、1回最高用量は800mgとする。

  • 〈水痘〉

通常、小児には体重1kg当たり1回アシクロビルとして20mgを1日4回経口投与する。ただし、1回最高用量は800mgとする。

  • 〈性器ヘルペスの再発抑制〉

通常、小児には体重1kg当たり1回アシクロビルとして20mgを1日4回経口投与する。ただし、1回最高用量は200mgとする。

なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。なお、腎機能障害患者では、特に意識障害等があらわれやすいので、患者の状態によっては従事させないよう注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1脱水症状をおこしやすいと考えられる患者(腎障害のある患者又は腎機能が低下している患者、高齢者等)

適切な水分補給を行うこと。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1腎障害のある患者、腎機能が低下している患者

投与間隔を調節し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤の曝露量が増加した場合には、精神神経症状や腎機能障害が発現する危険性が高い。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1肝障害のある患者

肝障害が増悪するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)の妊娠10日目に、母動物に腎障害のあらわれる大量(200mg/kg/day以上)を皮下投与した実験では、胎児に頭部及び尾の異常が認められたと報告されている1)。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。アシクロビルは、ヒト母乳中への移行が報告されている。

9.7 小児等

低出生体重児及び新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

投与間隔を調節し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがある。本剤の曝露量が増加した場合には、精神神経症状や腎機能障害が発現する危険性が高い。

相互作用

  • アシクロビルは、OAT1、MATE1及びMATE2-Kの基質である。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
プロベネシド 本剤の排泄が抑制され、本剤の平均血漿中半減期が18%延長し、平均血漿中濃度曲線下面積が40%増加するとの報告がある2)。特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること。 プロベネシドは尿細管分泌に関わるOAT1及びMATE1を阻害するため、本剤の腎排泄が抑制されると考えられる。
シメチジン アシクロビルの排泄が抑制され、アシクロビルの平均血漿中濃度曲線下面積が27%増加するとの報告がある(バラシクロビル塩酸塩でのデータ)3)。特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること。 シメチジンは尿細管分泌に関わるOAT1、MATE1及びMATE2-Kを阻害するため、アシクロビルの腎排泄が抑制されると考えられる。
ミコフェノール酸 モフェチル 本剤及びミコフェノール酸 モフェチル代謝物の排泄が抑制され、両方の平均血漿中濃度曲線下面積が増加するとの報告がある4)。特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること。 本剤とミコフェノール酸 モフェチル代謝物が尿細管分泌で競合すると考えられる。
テオフィリン 本剤との併用によりテオフィリンの中毒症状があらわれることがある5)。 機序は不明であるが、本剤がテオフィリンの代謝を阻害するためテオフィリンの血中濃度が上昇することが考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
AG比低下 1%未満
ALT等の上昇) 頻度不明
BUN上昇 頻度不明
うつ状態 頻度不明
しびれ感 頻度不明
そう状態 頻度不明
ほてり 頻度不明
めまい 1%未満
リンパ球増多 1%未満
リンパ球減少 1%未満
れん縮 頻度不明
下痢 頻度不明
不安 頻度不明
不整脈 頻度不明
不眠 頻度不明
不随意運動 頻度不明
乏尿 頻度不明
低ナトリウム血症 頻度不明
便秘 頻度不明
健忘 頻度不明
傾眠 1%未満
光線過敏症 頻度不明
全身倦怠感 1%未満
出血 頻度不明
動悸 1%未満
口渇 頻度不明
味覚障害 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咽頭炎 1%未満
喘鳴 頻度不明
嘔吐 頻度不明
嘔気 頻度不明
固定薬疹 頻度不明
多弁 頻度不明
失神 頻度不明
好塩基球増多 1%未満
好酸球増多 頻度不明
尿円柱 1%未満
尿糖 頻度不明
尿閉 頻度不明
徘徊 頻度不明
心窩部痛 頻度不明
悪寒 1%未満
情動失禁 頻度不明
意識障害 頻度不明
感情鈍麻 1%未満
振戦 1%未満
排尿困難 1%未満
歩行異常 頻度不明
水疱 1%未満
浮腫 頻度不明
消化不良 1%未満
独語 頻度不明
異常感覚 頻度不明
疼痛 頻度不明
瘙痒 1%未満
発汗 頻度不明
発熱 1%未満
発熱 1%未満
発疹 1%未満
白血球増多 頻度不明
眠気 1%未満
眼振等 頻度不明
筋力低下 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
紅斑 1%未満
紫斑 頻度不明
結晶尿 頻度不明
結膜炎 頻度不明
肝機能検査値異常(AST 頻度不明
肝腫大 頻度不明
肺炎 頻度不明
胃不快感 頻度不明
胃炎 頻度不明
胃痛 頻度不明
胸水 頻度不明
胸痛 頻度不明
脱力感 頻度不明
脱毛 頻度不明
腹痛 頻度不明
膿尿 1%未満
興奮 頻度不明
舌炎 1%未満
蒼白 頻度不明
蕁麻疹 1%未満
蛋白尿 1%未満
血圧上昇 頻度不明
血圧低下 頻度不明
血小板増多 1%未満
血小板減少 1%未満
血尿 1%未満
血清アルブミン低下 1%未満
血清カリウム値上昇 1%未満
血清クレアチニン値上昇 1%未満
血清コレステロール値上昇 1%未満
血清トリグリセライド値上昇 頻度不明
血清蛋白低下 頻度不明
見当識障害 頻度不明
視力異常 頻度不明
言語障害 頻度不明
貧血 頻度不明
軟便 頻度不明
運動失調 頻度不明
関節痛 頻度不明
集中力障害 頻度不明
離人症 頻度不明
難聴 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻脈 頻度不明
顆粒球減少 1%未満
食欲不振 1%未満
鼓腸放屁 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

アシクロビルは単純ヘルペスウイルスあるいは水痘・帯状疱疹ウイルスが感染した細胞内に入ると、ウイルス性チミジンキナーゼにより一リン酸化された後、細胞性キナーゼによりリン酸化され、アシクロビル三リン酸(ACV-TP)となる。ACV-TPは正常基質であるdGTPと競合してウイルスDNAポリメラーゼによりウイルスDNAの3’末端に取り込まれると、ウイルスDNA鎖の伸長を停止させ、ウイルスDNAの複製を阻害する25),26),27),28),29),30)。 アシクロビルリン酸化の第一段階である一リン酸化は感染細胞内に存在するウイルス性チミジンキナーゼによるため、ウイルス非感染細胞に対する障害性は低いものと考えられる29),30)。

18.2 抗ウイルス作用

  1. 18.2.1単純ヘルペスウイルスに対する作用

アシクロビルは、単純ヘルペスウイルス1型及び2型のin vitroにおける増殖を抑制し、IC50はそれぞれ0.01~1.25μg/mL及び0.01~3.20μg/mLであった31),32)。また、モルモットの膣内に単純ヘルペスウイルス2型を接種して性器ヘルペス感染症を発生させ、接種後1ないし2日目から5日間、アシクロビルを経口投与(125mg/kg×2/day)した実験で、病巣スコアは対照群に比し有意に低下した33)。

  1. 18.2.2水痘・帯状疱疹ウイルスに対する作用

アシクロビルは、水痘・帯状疱疹ウイルスのin vitroにおける増殖を抑制し、IC50は0.17~7.76μg/mLであった25),34),35)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人にアシクロビル200mg及び800mgを単回経口投与した場合、投与約1.3時間後にそれぞれ最高血漿中濃度0.63μg/mL及び0.94μg/mLに達し、血漿中濃度半減期は約2.5時間であった6)。

  1. 16.1.2反復投与

健康成人にアシクロビル200mgを4時間毎に1日5回、3日間反復経口投与した場合、平均ピーク濃度は0.77~0.85μg/mL、平均トラフ濃度は0.41~0.45μg/mLであった。また、800mgを同様の投与方法で反復経口投与した場合、平均ピーク濃度は2.02~2.31μg/mL、平均トラフ濃度は1.18~1.36μg/mLであった6)。

  1. 16.1.3生物学的同等性試験

アシクロビルDS80%「NK」とゾビラックス顆粒40%それぞれアシクロビルとして200mgを、健康成人男子に絶食単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中アシクロビル濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された7)。

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0-12
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
アシクロビルDS80%「NK」 2502.3±816.5 496.8±177.7 1.7±0.7 3.22±0.68
ゾビラックス顆粒40% 2321.7±828.2 451.0±146.2 1.8±0.8 3.23±0.46

(Mean±S.D., n=37)

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.3 分布

  1. 16.3.1血漿蛋白結合率

In vitroでのアシクロビルの血漿蛋白結合率は22~33%であった8),9)。

  1. 16.3.2水疱中アシクロビル濃度

アシクロビル200mgの1日4時間毎反復経口投与時、水疱中アシクロビル濃度は血漿中濃度と同程度であった9)(外国人データ)。

  1. 16.3.3膣分泌物中アシクロビル濃度

性器ヘルペス患者へのアシクロビル200mgの1日5回10日間経口投与時、膣分泌物中への移行(投与終了0.5~1時間後:約0.43μg/g)が認められた10)(外国人データ)。

  1. 16.3.4乳汁中アシクロビル濃度

ヒトにアシクロビル200mgを1日5回経口投与した時の乳汁中アシクロビル濃度は血漿中濃度の0.6~4.1倍であり、最高約1.31μg/mL(200mg投与3時間後)であった11)(外国人データ)。

16.5 排泄

健康成人にアシクロビル200mg及び800mgを単回経口投与した場合、48時間以内にそれぞれ投与量の25.0%及び12.0%が未変化体として尿中に排泄された6),12)。健康成人にアシクロビル400mgを単回経口投与した場合、主な尿中代謝体9-カルボキシメトキシメチルグアニンの未変化体に対する割合は、約7.5%であった12)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

腎機能障害のある患者では点滴静注時、アシクロビルの生体内半減期の延長及び全身クリアランスの低下が認められた9)(外国人データ)。これらの結果から、患者の腎機能に対応する本剤の減量の目安を算出した。 重症腎機能障害患者へのアシクロビル2.5mg/kg 1時間点滴静注時、6時間の血液透析により血漿中濃度は約60%減少した13)(外国人データ)。

  1. 16.6.2小児等

小児患者にアシクロビル200mgを単回経口投与した場合、6歳以上では体内薬物動態は成人とほぼ同等であった14)。新生児及び月齢の低い乳児では、腎機能が未熟なため、血漿中濃度の上昇、消失半減期の若干の延長が認められた15)(外国人データ)。小児骨髄移植患者においても他の患者と同等の吸収が認められたが、クレアチニンクリアランス値が40~60mL/min/1.48m2の一部の患者では2.25μg/mL以上の血清中濃度を示した16)。

16.7 薬物相互作用

In vitroにおいて、アシクロビルは、OAT1、OAT2、MATE1及びMATE2-Kの基質であった17),18),19),20)。