Clinical snapshot

アシクロビル点滴静注液250mgバッグ100mL「アイロム」

アシクロビル

添付文書改訂 2023年03月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分あるいはバラシクロビル塩酸塩に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 単純ヘルペスウイルス及び水痘・帯状疱疹ウイルスに起因する下記感染症

免疫機能の低下した患者(悪性腫瘍・自己免疫疾患など)に発症した単純疱疹・水痘・帯状疱疹 脳炎・髄膜炎

  • 新生児単純ヘルペスウイルス感染症

用法・用量

  • 〈単純ヘルペスウイルス及び水痘・帯状疱疹ウイルスに起因する下記感染症:免疫機能の低下した患者(悪性腫瘍・自己免疫疾患など)に発症した単純疱疹・水痘・帯状疱疹、脳炎・髄膜炎〉

  • [成人]

通常、成人にはアシクロビルとして1回体重1kg当たり5mgを1日3回、8時間毎に1時間以上かけて、7日間点滴静注する。 なお、脳炎・髄膜炎においては、必要に応じて投与期間の延長もしくは増量ができる。ただし、上限は1回体重1kg当たり10mgまでとする。

  • [小児]

通常、小児にはアシクロビルとして1回体重1kg当たり5mgを1日3回、8時間毎に1時間以上かけて、7日間点滴静注する。 なお、必要に応じて増量できるが、上限は1回体重1kg当たり20mgまでとする。 さらに、脳炎・髄膜炎においては、投与期間の延長もできる。

  • 〈新生児単純ヘルペスウイルス感染症〉

通常、新生児にはアシクロビルとして1回体重1kg当たり10mgを1日3回、8時間毎に1時間以上かけて、10日間点滴静注する。 なお、必要に応じて投与期間の延長もしくは増量ができる。ただし、上限は1回体重1kg当たり20mgまでとする。

使用上の注意

意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。なお、腎機能障害患者では、特に意識障害等があらわれやすいので、患者の状態によっては従事させないよう注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1脱水症状をおこしやすいと考えられる患者(腎障害のある患者又は腎機能が低下している患者、高齢者等)

適切な水分補給を行うこと。

  1. 9.1.2心臓、循環器系機能障害のある患者

循環血液量を増すことから心臓に負担をかけ、症状が悪化するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1腎障害のある患者、腎機能が低下している患者

投与間隔及び投与量を調節し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤の曝露量が増加した場合には、精神神経症状や腎機能障害が発現する危険性が高い。また、水分、塩化ナトリウムの過剰投与に陥りやすく症状が悪化するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1肝障害のある患者

肝障害が増悪するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)の妊娠10日目に、母動物に腎障害のあらわれる大量(200mg/kg/day以上)を皮下投与した実験では、胎児に頭部及び尾の異常が認められたと報告されている1) 。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。アシクロビルは、ヒト母乳中への移行が報告されている。

9.8 高齢者

投与間隔及び投与量を調節し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがある。本剤の曝露量が増加した場合には、精神神経症状や腎機能障害が発現する危険性が高い。

相互作用

  • アシクロビルは、OAT1、MATE1及びMATE2-Kの基質である。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
プロベネシド 本剤の排泄が抑制され、本剤の平均血漿中半減期が18%延長し、平均血漿中濃度曲線下面積が40%増加するとの報告がある2) 。特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること。 プロベネシドは尿細管分泌に関わるOAT1及びMATE1を阻害するため、本剤の腎排泄が抑制されると考えられる。
シメチジン アシクロビルの排泄が抑制され、アシクロビルの平均血漿中濃度曲線下面積が27%増加するとの報告がある(バラシクロビル塩酸塩でのデータ)3) 。特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること。 シメチジンは尿細管分泌に関わるOAT1、MATE1及びMATE2-Kを阻害するため、アシクロビルの腎排泄が抑制されると考えられる。
ミコフェノール酸 モフェチル 本剤及びミコフェノール酸 モフェチル代謝物の排泄が抑制され、両方の平均血漿中濃度曲線下面積が増加するとの報告がある4) 。特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること。 本剤とミコフェノール酸 モフェチル代謝物が尿細管分泌で競合すると考えられる。
テオフィリン 本剤との併用によりテオフィリンの中毒症状があらわれることがある5) 。 機序は不明であるが、本剤がテオフィリンの代謝を阻害するためテオフィリンの血中濃度が上昇することが考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
AG比低下 頻度不明
ALT等の上昇) 頻度不明
BUN上昇 頻度不明
うつ状態 頻度不明
しびれ感 1%未満
そう状態 1%未満
ほてり 1%未満
めまい 1%未満
リンパ球増多 1%未満
リンパ球減少 頻度不明
れん縮 1%未満
下痢 1%未満
不安 1%未満
不整脈 頻度不明
不眠 頻度不明
不随意運動 頻度不明
乏尿 頻度不明
低ナトリウム血症 頻度不明
便秘 頻度不明
健忘 頻度不明
傾眠 1%未満
光線過敏症 頻度不明
全身倦怠感 頻度不明
出血 頻度不明
動悸 1%未満
口渇 頻度不明
味覚障害 頻度不明
呼吸困難 1%未満
咽頭炎 頻度不明
喘鳴 頻度不明
嘔吐 頻度不明
嘔気 頻度不明
固定薬疹 頻度不明
多弁 1%未満
失神 頻度不明
好塩基球増多 頻度不明
好酸球増多 1%未満
尿円柱 1%未満
尿糖 1%未満
尿閉 頻度不明
徘徊 頻度不明
心窩部痛 頻度不明
悪寒 1%未満
情動失禁 1%未満
意識障害 1%未満
感情鈍麻 頻度不明
振戦 1%未満
排尿困難 頻度不明
歩行異常 頻度不明
水疱 頻度不明
注射部壊死 1%未満
注射部炎症 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
独語 頻度不明
異常感覚 頻度不明
疼痛 頻度不明
瘙痒 1%未満
発汗 頻度不明
発熱 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球増多 頻度不明
眠気 1%未満
眼振等 頻度不明
筋力低下 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
紅斑 頻度不明
紫斑 1%未満
結晶尿 頻度不明
結膜炎 頻度不明
肝機能検査値異常(AST 頻度不明
肝腫大 頻度不明
肺炎 頻度不明
胃不快感 頻度不明
胃炎 頻度不明
胃痛 頻度不明
胸水 頻度不明
胸痛 頻度不明
脱力感 頻度不明
脱毛 頻度不明
腹痛 頻度不明
膿尿 頻度不明
興奮 頻度不明
舌炎 頻度不明
蒼白 1%未満
蕁麻疹 頻度不明
蛋白尿 1%未満
血圧上昇 1%未満
血圧低下 頻度不明
血小板増多 頻度不明
血小板減少 1%未満
血尿 1%未満
血清アルブミン低下 頻度不明
血清カリウム値上昇 頻度不明
血清クレアチニン値上昇 頻度不明
血清コレステロール値上昇 1%未満
血清トリグリセライド値上昇 1%未満
血清蛋白低下 1%未満
見当識障害 1%未満
視力異常 頻度不明
言語障害 頻度不明
貧血 頻度不明
軟便 1%未満
運動失調 頻度不明
関節痛 頻度不明
集中力障害 頻度不明
離人症 頻度不明
難聴 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻脈 1%未満
顆粒球減少 1%未満
食欲不振 1%未満
鼓腸放屁 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

アシクロビルは単純ヘルペスウイルスあるいは水痘・帯状疱疹ウイルスが感染した細胞内に入ると、ウイルス性チミジンキナーゼにより一リン酸化された後、細胞性キナーゼによりリン酸化され、アシクロビル三リン酸(ACV-TP)となる。ACV-TPは正常基質であるdGTPと競合してウイルスDNAポリメラーゼによりウイルスDNAの3’末端に取り込まれると、ウイルスDNA鎖の伸長を停止させ、ウイルスDNAの複製を阻害する19),20),21),22),23),24) 。 アシクロビルリン酸化の第一段階である一リン酸化は感染細胞内に存在するウイルス性チミジンキナーゼによるため、ウイルス非感染細胞に対する障害性は低いものと考えられる。

18.2 抗ウイルス作用

  1. 18.2.1単純ヘルペスウイルスに対する作用

アシクロビルは、単純ヘルペスウイルス1型及び2型のin vitroにおける増殖を抑制し、IC50はそれぞれ0.01~1.25μg/mL及び0.01~3.20μg/mLであった25),26) 。

  1. 18.2.2水痘・帯状疱疹ウイルスに対する作用

アシクロビルは、水痘・帯状疱疹ウイルスのin vitroにおける増殖を抑制し、IC50は0.17~7.76μg/mLであった19),27),28) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人への5又は10mg/kg 1時間点滴静注時の平均血漿中半減期は、約2.5時間、全身クリアランスは、336.6±26.9mL/min、定常状態の分布容積は、47.0±3.7Lであった7) 。

16.3 分布

  1. 16.3.1血漿蛋白結合率

In vitroでのアシクロビルの血漿蛋白結合率は22~33%であった8) 。

  1. 16.3.2水疱液中アシクロビル濃度

水痘・帯状疱疹ウイルス感染症の患者への投与では、水疱液中のアシクロビル濃度は血漿中濃度と同程度であった9) (外国人データ)。

  1. 16.3.3髄液中アシクロビル濃度

ヘルペス群ウイルス感染症の患者への投与では、髄液中のアシクロビル濃度は血漿中濃度の約1/2であった10) (外国人データ)。

  1. 16.3.4乳汁中アシクロビル濃度

ヒトにアシクロビル200mgを1日5回経口投与した時の乳汁中アシクロビル濃度は血漿中濃度の0.6~4.1倍であり、最高約1.31μg/mL(200mg投与3時間後)であった11) (外国人データ)。

16.5 排泄

健康成人へ5又は10mg/kgを1時間点滴静注した時、48時間以内にそれぞれ68.6%又は76.0%が未変化体として尿中排泄された7) 。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

腎機能障害のある患者では点滴静注時、アシクロビルの生体内半減期の延長及び全身クリアランスの低下が認められた10) (外国人データ)。 これらの結果から、患者の腎機能に対応する本剤の投与間隔及び減量の標準的な目安を算出した 。 重症腎機能障害患者への2.5mg/kg 1時間点滴静注時の平均血漿中半減期は、約19.5時間であった。また、6時間の血液透析により血漿中濃度は約60%減少した12) (外国人データ)。

  1. 16.6.2小児等

小児と成人の薬物動態の比較は下表に示したとおりである。小児患者へ、250又は500mg/m2(約5又は10mg/kgに相当)1時間点滴静注時の最高血漿中濃度は10.3又は20.7μg/mLであり、薬物動態は成人とほぼ同等であった10) (外国人データ)。新生児患者では、血漿中半減期は成人や小児患者の約1.5倍であり、やや長かったが、最高血漿中濃度は、5又は10mg/kgを1時間点滴静注時に、6.8又は13.8μg/mLであり、成人や小児患者とほぼ同等であった13) (外国人データ)。

症例数 投与量
(mg/kg/回)
半減期
(hr)
全身クリアランス
(mL/min/1.73m2)
Vdss
(L/1.73m2)
新生児
(0~3ヵ月)
11 5,10 4.05±1.22 105±42 28.8±9.3
小児 1~2歳 4 5,10 1.86±0.42 325±76 31.6±4.2
2~7歳 5 2.16±1.08 366±101 42.0±13.0
7~12歳 6 2.81±1.10 353±142 51.2±18.3
12~17歳 3 3.58±0.59 263±95 53.6±14.6
成人
(平均58歳)
14 2.5~15 2.63±0.52 292±82 46.6±8.5

平均値±標準偏差 Vdss:定常状態の分布容積

16.7 薬物相互作用

In vitroにおいて、アシクロビルは、OAT1、OAT2、MATE1及びMATE2-Kの基質であった14),15),16),17) 。