急性循環不全における心収縮力増強、末梢血管抵抗軽減、インスリン分泌促進、血漿遊離脂肪酸及び無機リン低減ならびに利尿
効能・効果
用法・用量
用時、添付の溶解液に溶解し、ブクラデシンナトリウムとして1分間あたり0.005~0.2mg/kgを静脈内に投与する。 必要に応じて日局ブドウ糖注射液、ブドウ糖・乳酸ナトリウム・無機塩類剤で希釈する。 なお、投与量は患者の病態に応じ適宜増減する。
使用上の注意
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8.1投与前に体液、呼吸等全身管理に必要な処置を行うこと。
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8.2投与中は血圧、脈拍数、心電図、尿量、全身状態、また可能な限り肺動脈楔入圧、心拍出量、血液ガス等の観察を行うこと。
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8.3用量の増加に伴い、循環器系副作用(血圧低下、心拍数増加等)の発現頻度が高まる傾向がみられるので、投与開始にあたっては少量から始めること。
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8.4本剤は末梢血管収縮作用を示さないので過度の血圧低下を伴う場合は、末梢血管収縮薬を投与するなど、他の適切な処置を考慮すること。
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8.5本剤は血糖上昇作用を有するため、投与中は血糖値に注意し、著しい上昇が認められた場合は、インスリン製剤の投与、本剤の減量・中止等適切な処置を行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1急性心筋梗塞及び心筋症の患者
全身状態が悪化するおそれがある。
- 9.1.2不整脈のある患者
不整脈が悪化するおそれがある。
- 9.1.3糖尿病の患者
9.7 小児等
少量より開始するなど慎重に投与すること。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
相互作用
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALT上昇 | 頻度不明 |
| AST上昇 | 頻度不明 |
| BUN上昇 | 頻度不明 |
| 倦怠感 | 1%未満 |
| 動悸 | 頻度不明 |
| 動脈血酸素分圧(PaO2)低下 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 1%未満 |
| 四肢冷感 | 頻度不明 |
| 尿糖 | 頻度不明 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 注射部発赤 | 頻度不明 |
| 熱感 | 1%未満 |
| 発汗 | 頻度不明 |
| 胸痛 | 頻度不明 |
| 胸部不快感 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 頻度不明 |
| 血中クレアチニン上昇 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 1%未満 |
| 頻脈 | 頻度不明 |
| 食欲不振 | 頻度不明 |
| 高血糖 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ブクラデシンナトリウムの作用の基本は細胞膜を通過してそれ自身がサイクリックAMPに変化し、細胞内のサイクリックAMPを直接増加させることにある。心臓に対しては、収縮力を増強して心拍出量を増加する。さらに末梢血管を拡張して血管抵抗を軽減し、心臓の負荷を減少させるとともに末梢循環を改善する。一方、代謝面では肝グリコーゲンを動員するとともに、カテコールアミンで抑制されている膵ラ氏島からのインスリン分泌を促進する。増加したインスリンは、カテコールアミンにより亢進している脂肪分解を抑制して遊離脂肪酸を低減させる一方、糖の組織内取り込みを促進する。この結果、急性循環不全において、エネルギー代謝は促進され、組織では高エネルギーリン酸化物質の減少が抑制される。
18.2 細胞膜通過性
サイクリックAMPと異なりブクラデシンナトリウムは細胞膜を通過し、直接細胞内で作用する(イヌ)。
18.3 ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害作用
サイクリックAMPの分解酵素であるPDEの活性を阻害するが、ブクラデシンナトリウム自身はPDEによる分解を受けない(イヌ)。
18.4 心機能賦活作用
ブクラデシンナトリウムは細胞内でPDEを阻害する一方、脱アシル化酵素によりサイクリックAMPに分解され、蛋白リン酸化酵素を活性化し7)、Ca++移動を増加して(イヌ)、心筋の収縮・弛緩を活発にする(イヌ、モルモット、ラット)8)。またこの心機能賦活作用はβ-遮断薬によって阻害されない(イヌ)8),9)。
18.5 末梢循環改善作用
末梢血管を拡張し、血管抵抗を軽減する(イヌ)9),10)。
18.6 利尿作用
腎血流量を増加し、尿排泄量を増加する(イヌ)11)。
18.7 エネルギー代謝改善作用
急性循環不全時に増加するカテコールアミンのインスリン分泌抑制を解除し、さらに分泌を亢進する(ラット)12)。これにより組織の糖の取り込みを促進し、エネルギー代謝を改善する(ラット、ウサギ)12),13)。
18.8 生存率増加作用
エンドトキシンショック(マウス)、ドラムショック(ラット)の生存率を増加する12),14)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
健康成人(5例)にブクラデシンナトリウムを300mg静注した場合、未変化体のt1/2は5.5分であった。 また、開心術後患者(5例)にブクラデシンナトリウムを点滴静注した場合、未変化体の血漿中濃度は経時的に増加し、投与速度に比例した。点滴開始60分では0.1mg/kg/minで平均4.7μg/mL、0.2mg/kg/minでは平均10.83μg/mLに達し、点滴終了後は速やかに減少した。なお、血漿中には代謝物は認められなかった。
点滴静注した時のブクラデシンナトリウムの血漿中濃度推移
16.3 分布
ラットに14C-ブクラデシンナトリウムを投与した場合、多くの組織に移行するが、肝、腎で高く、筋肉、睾丸、脂肪、脳では低く、消失は血液と同様緩やかである。母体血液から胎児への移行は軽度である。
16.4 代謝
14C-ブクラデシンナトリウム投与ラットにおける尿、胆汁、血液及び組織中代謝物の検討結果より、ブクラデシンナトリウムは組織に取り込まれ脱アシル化酵素によりN6-モノブチリルサイクリックAMP、2́-O-モノブチリルサイクリックAMP及びサイクリックAMPに代謝される。そして内因性のサイクリックAMPと同様の代謝を受けると考えられている。
16.5 排泄
健康成人(5例)及び開心術後患者(5例)にブクラデシンナトリウムを点滴静注した場合、尿中未変化体排泄率は次のとおりであった。
| 投与量 | 尿中未変化体排泄率 | ||
|---|---|---|---|
| 2時間後 | 24時間後 | ||
| 健康成人 | 6mg/kg | 13.6% | 16.6% |
| 開心術後患者 | 6~12mg/kg | 14.6% | 15.1% |