Clinical snapshot

アクイプタ錠30mg

アトゲパント水和物

添付文書改訂 2026年02月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

片頭痛発作の発症抑制

用法・用量

通常、成人にはアトゲパントとして60mgを1日1回経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤は片頭痛の治療に関する十分な知識及び経験を有する医師のもとで使用すること。

  2. 8.2本剤は発現した頭痛発作を緩解する薬剤ではないので、本剤投与中に頭痛発作が発現した場合には必要に応じて頭痛発作治療薬を頓用させること。投与前にこのことを患者に十分に説明しておくこと。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重度の腎機能障害患者(クレアチニンクリアランスが15~29mL/min)及び末期腎不全患者(クレアチニンクリアランスが15mL/min未満)

本剤の曝露量が増加し、副作用が増強されるおそれがある。重度の腎機能障害患者及び末期腎不全患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝機能障害患者 (Child-Pugh分類C)

投与しないことが望ましい。本剤の曝露量が増加し、副作用が増強されるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットの胚・胎児発生毒性試験において、ヒトに本剤60mgを1日1回投与したときの曝露量(AUC)の10.9倍以上の用量で母体毒性に伴う胎児体重の減少及び骨格異常の発現頻度増加が認められた1)。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。授乳中の健康成人女性12例にアトゲパント60mgを単回経口投与したとき、乳汁中/血漿中濃度比は約0.08であり、乳児相対摂取量は体重で標準化した授乳婦薬物摂取量の約0.19%であった2)。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

  • 本剤は主にCYP3Aにより代謝される。また、P-糖たんぱく質(P-gp)、乳癌耐性蛋白(BCRP)、有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)1B1/1B3の基質である。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
強いCYP3A阻害剤
• イトラコナゾール
クラリスロマイシン
本剤の副作用が増強されるおそれがある。 これらの薬剤の強いCYP3A阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
OATP阻害剤
シクロスポリン
本剤の副作用が増強されるおそれがある。 これらの薬剤のOATP阻害作用により本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT/AST増加 頻度不明
そう痒症 1%未満
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
傾眠 頻度不明
悪心 頻度不明
疲労 1%未満
食欲減退 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は片頭痛の病態生理と関連する神経ペプチドである。アトゲパントはCGRPの受容体への結合を阻害し、CGRP受容体のシグナル伝達を阻害する23),24)。

18.2 CGRP受容体に対する結合親和性

アトゲパントは、ヒトCGRP受容体に親和性を示し、そのKi値は15–26pmol/Lであった(in vitro)25)。

18.3 アカゲザルにおけるCGRP受容体拮抗作用

アトゲパントをアカゲザルに静脈内投与したとき、アトゲパントは、カプサイシンにより惹起される内因性CGRPを介した皮膚血流量増加を用量依存的に阻害した(in vivo)26)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

日本人健康成人24例にアトゲパント10mg、30mg又は60mgを空腹時に単回経口投与したときの血漿中アトゲパント濃度推移の平均値を図1に、アトゲパントの薬物動態パラメータを表1にそれぞれ示す。アトゲパントは投与後速やかに吸収され、曝露量は10-60mgの用量範囲で用量に伴い増加した。日本人及び外国人健康成人の薬物動態パラメータは概ね類似していた3)。

図1. 日本人健康成人における血漿中アトゲパント濃度-時間推移(平均値)

10mg
N=8
30mg
N=8
60mg
N=8
Cmax
(ng/mL)
109.38±12.51 355.02±171.47 665.58±182.73
AUC0-inf
(ng・h/mL)
328.07±53.29 1354.24±518.88 2480.34±866.37
Tmax
(h)a
1.00(1.00–1.50) 1.00(1.00–3.00) 1.50(1.00–3.00)
t1/2
(h)
2.97±0.33 4.49±3.42 4.43±1.84

平均値±標準偏差 a:中央値(最小値-最大値)

  1. 16.1.2反復投与

日本人健康成人24例にアトゲパント10mg、30mg又は60mgを1日1回反復経口投与したとき、8日目のアトゲパントの薬物動態パラメータを表2に示す。アトゲパントは投与後速やかに吸収され、曝露量は10-60mgの用量範囲で用量に伴い増加した。アトゲパントを1日1回投与したとき、アトゲパントの蓄積は認められなかった。日本人及び外国人健康成人の薬物動態パラメータは概ね類似していた3)。

10mg
N=8
30mg
N=8
60mg
N=8
Cmax
(ng/mL)
76.31(23.07) 348.99(76.17) 744.30(207.7)
AUC0-24h
(ng・h/mL)
290.72(59.73) 1467.02(261.86) 2855.69(881.31)
Tmax
(h)a
1.25(1.00-2.00) 1.00(1.00-3.00) 1.00(1.00-2.00)
t1/2
(h)
3.04(0.54) 3.82(1.15) 5.77(3.09)

平均値±標準偏差 a:中央値(最小値-最大値)

16.2 吸収

健康成人被験者20例に高脂肪食摂取後にアトゲパントを投与したとき、アトゲパントのCmax及びAUCはそれぞれ約22%及び18%低下し、Tmaxは変化しなかった4)(外国人データ)。

16.3 分布

アトゲパントのヒト血漿中非タンパク結合率は約4.7%であり、0.1-10μMの濃度範囲で濃度依存性は認められなかった5)(in vitro)。アトゲパントを経口投与したときの見かけの分布容積は約292Lであった6)。

16.4 代謝

アトゲパントは主にCYP3Aによって代謝される7)(in vitro)。循環血中での主要な成分はアトゲパント及びグルクロン酸抱合体(M23)であった8)。

16.5 排泄

健康男性成人被験者6例に14C-アトゲパント50mgを単回経口投与したとき、投与量の約42%及び5%は未変化体としてそれぞれ糞中及び尿中から回収された8)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

腎排泄を介したアトゲパントの排泄はわずかである。生理学的薬物速度論モデル解析及び母集団薬物動態解析の結果、軽度及び中等度の腎機能障害患者(CLcr 30-89mL/min)でのアトゲパントの薬物動態は、正常な患者(CLcr >90mL/min)と比べ顕著な差がなかった9),10)。重度の腎機能障害患者又は末期腎不全患者におけるアトゲパントの薬物動態に関する試験は実施していない。生理学的薬物速度論モデルを用いて、重度の腎機能障害患者においてOATP阻害によりアトゲパントの肝取り込みが52%低下したワーストケースを想定してシミュレートしたアトゲパントの曝露量の増加は約2.3倍であった。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

軽度(Child-Pugh分類A、8例)、中等度(Child-Pugh分類B、8例)及び重度(Child-Pugh分類C、8例)の肝機能障害患者にアトゲパント60mgを単回経口投与したとき、アトゲパント(結合型及び非結合型)の曝露量は正常肝機能患者(8例)と比べそれぞれ約1.24倍、1.15倍及び1.38倍、非結合型アトゲパントの曝露量はそれぞれ約1.8倍、1.9倍及び3.7倍であった11)。

16.7 薬物相互作用

アトゲパントは主にCYP3Aにより代謝される。アトゲパントはOATP1B1、OATP1B3、P-gp及びBCRPの基質である。アトゲパントはOATP1B1、OATP1B3及びMATE1の弱い阻害作用がある。

  1. 16.7.1CYP3A阻害剤

健康成人被験者40例に強力なCYP3A阻害剤であるイトラコナゾールを反復投与時(1日1回200mg)にアトゲパント60mgを単回経口投与したとき、アトゲパントのCmax及びAUCはそれぞれ約2.15倍及び5.5倍であった6)(外国人データ)。 生理学的薬物速度論モデル解析によるシミュレーション結果から、中程度及び弱いCYP3A阻害剤はアトゲパントのAUCをそれぞれ約1.7倍及び1.1倍であることが予測された9)。

  1. 16.7.2CYP3A誘導剤

健康成人被験者32例に強力なCYP3A誘導剤であるリファンピシンを反復投与時(1日1回600mg)にアトゲパント60mgを単回経口投与したとき、アトゲパントのAUC及びCmaxはそれぞれ約0.4倍及び0.7倍であった12)(外国人データ)。 健康成人被験者25例に弱いCYP3A誘導剤であるトピラマートを反復投与時(1日1-2回25-100mg)にアトゲパント60mgを反復経口投与したとき、アトゲパントのAUC及びCmaxはそれぞれ約0.75倍及び0.76倍であった13)(外国人データ)。

  1. 16.7.3OATP阻害剤

健康成人被験者32例にOATP阻害剤であるリファンピシンを単回投与時(600mg)にアトゲパント60mgを単回経口投与したとき、アトゲパントのAUC及びCmaxはそれぞれ約2.85倍及び2.23倍であった12)(外国人データ)。

  1. 16.7.4経口避妊薬

健康成人被験者26例に経口避妊薬(エチニルエストラジオール0.03mg及びレボノルゲストレル0.15mg)を単回投与時にアトゲパント60mgを反復経口投与したとき、エチニルエストラジオールのAUC及びCmaxはそれぞれ約1.00倍及び0.90倍、レボノルゲストレルのAUC及びCmaxはそれぞれ約1.19倍及び1.09倍であった14)(外国人データ)。

  1. 16.7.5スマトリプタン

健康成人被験者27例にスマトリプタンを単回投与時(100mg)にアトゲパント60mgを単回経口投与したとき、スマトリプタンのAUC及びCmaxはそれぞれ約1.02倍及び0.95倍、アトゲパントのAUC及びCmaxはそれぞれ約0.95倍及び0.79倍であった15)(外国人データ)。

  1. 16.7.6P-gp阻害剤

健康成人被験者24例にP-gp阻害剤であるグルコン酸キニジンを反復投与時(1日2回648mg)にアトゲパント60mgを単回投与したとき、アトゲパントのAUC及びCmaxはそれぞれ約1.26倍及び1.04倍であった16)(外国人データ)。

  1. 16.7.7その他の薬剤

アトゲパントとアセトアミノフェン又はナプロキセンを併用投与した結果、アトゲパント及び併用薬の薬物動態への明らかな影響は認められなかった17)。 アトゲパントとファモチジン又はエソメプラゾールを併用投与した結果、アトゲパントの薬物動態への明らかな影響は認められなかった18),19)。