インスリン療法が適応となる糖尿病
アウィクリ注 フレックスタッチ 総量300単位
インスリン イコデク(遺伝子組換え)
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1低血糖症状を呈している患者
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2.2本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人では、1週間に1回皮下注射する。初期は通常1回30~140単位とし、患者の状態に応じて適宜増減する。他のインスリン製剤を併用することがあるが、他のインスリン製剤の投与量を含めた維持量は、通常1週間あたり30~560単位である。但し、必要により上記用量を超えて使用することがある。
使用上の注意
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8.1低血糖に関する注意について、その対処法も含め患者及びその家族に十分徹底させること。
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8.2低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。
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8.3本剤はインスリン イコデク700単位/mL製剤専用のペン型注入器を使用しているため、単位数を再計算せず、指示された単位数をそのまま設定して投与するよう、患者に十分指導すること。
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8.4*他のインスリン製剤やGLP-1受容体作動薬等から本剤に変更する場合や、これらの薬剤と本剤を併用する場合において、本剤を連日投与する、又は指示された単位数より多く設定して投与する等の投薬過誤が生じ、その結果、重大な低血糖を起こすおそれがある。本剤の投与方法に過誤が生じないよう、本剤が週1回投与する薬剤であること及び本剤の単位数の設定方法について、患者に十分指導すること。
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8.5急激な血糖コントロールに伴い、糖尿病網膜症の顕在化又は増悪、眼の屈折異常、治療後神経障害(主として有痛性)があらわれることがあるので注意すること。
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8.6本剤の自己注射にあたっては以下の点に留意すること。
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投与法について十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。
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全ての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。
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添付されている取扱説明書を必ず読むよう指導すること。
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8.7本剤と他のインスリン製剤を取り違えないよう、毎回注射する前に本剤のラベル等を確認するよう患者に十分指導すること。
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8.8同一箇所への繰り返し投与により、注射箇所に皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーがあらわれることがあるので、定期的に注射箇所を観察するとともに、以下の点を患者に指導すること。
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本剤の注射箇所は、少なくとも前回の注射箇所から2~3cm離すこと。
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注射箇所の腫瘤や硬結が認められた場合には、当該箇所への投与を避けること。
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8.9皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーがあらわれた箇所に本剤を投与した場合、本剤の吸収が妨げられ十分な血糖コントロールが得られなくなることがある。血糖コントロールの不良が認められた場合には、注射箇所の腫瘤や硬結の有無を確認し、注射箇所の変更とともに投与量の調整を行うなどの適切な処置を行うこと。血糖コントロールの不良に伴い、過度に増量されたインスリン製剤が正常な箇所に投与されたことにより、低血糖に至った例が報告されている。
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8.10本剤は連日投与のBasalインスリン製剤と比較して半減期が長いため、本剤から連日投与のBasalインスリン製剤へ切り替える際には、以下の点を考慮すること。
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本剤の最終投与後の朝食前自己血糖測定値等の血糖値を参照し、連日投与のBasalインスリン製剤の投与開始時期を検討すること。
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切り替え時の1日あたりの投与量は、本剤の週1回投与量の7分の1量を目安とすること。
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切り替え時及びその後一定期間は血糖モニタリングを慎重に行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1手術、外傷、感染症等の患者
インスリン需要の変動が激しい。
- 9.1.2低血糖を起こすおそれがある以下の患者又は状態
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脳下垂体機能不全又は副腎機能不全
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下痢、嘔吐等の胃腸障害
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飢餓状態、不規則な食事摂取
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激しい筋肉運動
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過度のアルコール摂取者
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1重度の腎機能障害のある患者
低血糖を起こすおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1重度の肝機能障害のある患者
低血糖を起こすおそれがある。
9.5 妊婦
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤を妊婦に投与した臨床試験成績は得られていない。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁中への移行は不明である。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。生理機能が低下していることが多く、低血糖が発現しやすい。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| • 糖尿病用薬• ビグアナイド薬 • スルホニルウレア薬 • 速効型インスリン分泌促進薬 • α-グルコシダーゼ阻害薬 • チアゾリジン薬 • DPP-4阻害薬 • GLP-1受容体作動薬 • SGLT2阻害薬 等 |
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 | 血糖降下作用が増強される。 |
| • モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤 | 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 | インスリン分泌促進、糖新生抑制作用による血糖降下作用を有する。 |
| • 三環系抗うつ剤• ノルトリプチリン塩酸塩 等 | 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 | 機序は不明であるが、インスリン感受性を増強するなどの報告がある。 |
| • サリチル酸誘導体• アスピリン • エテンザミド |
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 | 糖に対するβ細胞の感受性の亢進やインスリン利用率の増加等による血糖降下作用を有する。また、末梢で弱いインスリン様作用を有する。 |
| • 抗腫瘍剤• シクロホスファミド水和物 | 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 | インスリンが結合する抗体の生成を抑制し、その結合部位からインスリンを遊離させる可能性がある。 |
| • β-遮断剤• プロプラノロール塩酸塩 • アテノロール • ピンドロール |
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 | アドレナリンによる低血糖からの回復反応を抑制する。また、低血糖に対する交感神経系の症状(振戦、動悸等)をマスクし、低血糖を遷延させる可能性がある。 |
| • クマリン系薬剤• ワルファリンカリウム | 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 | 機序不明 |
| • クロラムフェニコール | 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 | 機序不明 |
| • ベザフィブラート | 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 | インスリン感受性増強等の作用により、本剤の作用を増強する。 |
| • サルファ剤 | 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 | 膵臓でのインスリン分泌を増加させることにより、低血糖を起こすと考えられている。腎機能低下、空腹状態の遷延、栄養不良、過量投与が危険因子となる。 |
| • シベンゾリンコハク酸塩 • ジソピラミド • ピルメノール塩酸塩水和物 |
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 | インスリン分泌作用を認めたとの報告がある。 |
| • チアジド系利尿剤• トリクロルメチアジド | 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。 併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 |
カリウム喪失が関与すると考えられている。カリウム欠乏時には、血糖上昇反応に対するβ細胞のインスリン分泌能が低下する可能性がある。 |
| • 副腎皮質ステロイド• プレドニゾロン • トリアムシノロン |
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。 併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 |
糖新生亢進、筋肉組織・脂肪組織からのアミノ酸や脂肪酸の遊離促進、末梢組織でのインスリン感受性低下等による血糖上昇作用を有する。 |
| • ACTH• テトラコサクチド酢酸塩 | 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。 併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 |
副腎皮質刺激作用により糖質コルチコイドの分泌が増加する。糖質コルチコイドは、糖新生亢進、筋肉組織・脂肪組織からのアミノ酸や脂肪酸の遊離促進、末梢組織でのインスリン感受性低下等による血糖上昇作用を有する。 |
| • アドレナリン | 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。 併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 |
糖新生亢進、末梢での糖利用抑制、インスリン分泌抑制による血糖上昇作用を有する。 |
| • グルカゴン | 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。 併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 |
糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進による血糖上昇作用を有する。 |
| • 甲状腺ホルモン• レボチロキシンナトリウム水和物 | 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。 併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 |
糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進による血糖上昇作用を有する。 |
| • 成長ホルモン• ソマトロピン | 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。 併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 |
抗インスリン様作用による血糖上昇作用を有する。 |
| • 卵胞ホルモン• エチニルエストラジオール • 結合型エストロゲン |
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。 併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 |
末梢組織でインスリンの作用に拮抗する。 |
| • 経口避妊薬 | 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。 併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 |
末梢組織でインスリンの作用に拮抗する。 |
| • ニコチン酸 | 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。 併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 |
末梢組織でのインスリン感受性を低下させるため耐糖能障害を起こす。 |
| • 濃グリセリン | 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。 併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 |
代謝されて糖になるため、血糖値が上昇する。 |
| • イソニアジド | 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。 併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 |
炭水化物代謝を阻害することによる血糖上昇作用を有する。 |
| • ダナゾール | 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。 併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 |
インスリン抵抗性を増強するおそれがある。 |
| • フェニトイン | 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。 併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 |
インスリン分泌抑制作用を有する。 |
| • 蛋白同化ステロイド• メテノロン | 血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。 併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 |
機序不明 |
| • ソマトスタチンアナログ製剤• オクトレオチド酢酸塩 • ランレオチド酢酸塩 |
血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。 併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 |
インスリン、グルカゴン及び成長ホルモン等互いに拮抗的に調節作用をもつホルモン間のバランスが変化することがある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| リポジストロフィー(皮下脂肪の萎縮・肥厚等) | 頻度不明 |
| 下痢 | 1%未満 |
| 体重増加 | 1〜5%未満 |
| 倦怠感 | 1%未満 |
| 冷汗 | 1%未満 |
| 口唇腫脹 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 1%未満 |
| 多汗症 | 1%未満 |
| 悪心 | 1%未満 |
| 抗インスリン抗体産生に伴う血糖コントロール不良 | 頻度不明 |
| 振戦 | 1%未満 |
| 注射部位内出血 | 1%未満 |
| 注射部位反応(注射部位紅斑 | 1%未満 |
| 注射部位腫脹 | 1%未満 |
| 注射部位蕁麻疹等) | 1%未満 |
| 注射部位過敏反応 | 1%未満 |
| 浮動性めまい | 1%未満 |
| 浮腫 | 頻度不明 |
| 消化不良 | 1%未満 |
| 無力症 | 1%未満 |
| 異常感 | 1%未満 |
| 空腹 | 1%未満 |
| 筋痙縮 | 1%未満 |
| 糖尿病網膜症 | 1〜5%未満 |
| 過敏症(蕁麻疹 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 1%未満 |
| 顔面腫脹等) | 頻度不明 |
| 黄斑浮腫 | 1%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
本剤の主な薬理作用は、グルコース代謝の調節である。本剤は、他のインスリン製剤と同様にインスリンレセプターに結合し、骨格筋及び脂肪細胞における糖の取り込みを促進し、また肝臓におけるグルコース産生を阻害することによって血糖値を降下させる。さらに、脂肪細胞における脂肪分解及び蛋白質分解を阻害し、蛋白質合成を促進する。 本剤の半減期延長作用は、主に本剤がアルブミンと可逆的に結合することによる。本剤は投与後に血漿中に移行した後、血中のアルブミンに結合することで活性を示さない状態となり、その後、緩徐にアルブミンと解離し、インスリンレセプターと結合することで、血糖降下作用が持続する17) 。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.11型糖尿病
日本人1型糖尿病患者24例に本剤を被験者ごとに設定した用量で8週間週1回皮下投与したときの薬物動態パラメータ及び血清中濃度推移を以下に示す。
| パラメータ | 1週目投与後 (24例) |
8週目投与後 (24例) |
|---|---|---|
| 1回投与量(単位/kg) | 1.71[1.2, 3.1] | 1.69[1.2, 3.1] |
| 投与量で補正したCmax (nmol/L/(単位/kg)) |
52.2(19.0) | 91.2(14.7) |
| 投与量で補正したAUC0-168 (nmol・h/L/(単位/kg)) |
6108.5(12.8) | 10849.0(10.6) |
| tmax(h) | 12.0[12.0, 36.0] | 16.0[12.0, 18.0] |
| t1/2(h) | − | 164(11.4) |
幾何平均値(変動係数%)、投与量は平均値[範囲]、tmaxは中央値[範囲]
血中濃度は、初回投与時に用量の増量を行わなかった場合では、初回投与後2~3週で臨床的な定常状態に達した。母集団薬物動態モデルを用いたシミュレーションにより、初回投与時に1.5倍に増量した用量を投与した場合には、1週間早く定常状態に達し得ると推定された2) 。
- 16.1.22型糖尿病
2型糖尿病患者46例に本剤を被験者ごとに設定した用量で8週間週1回皮下投与したときの薬物動態パラメータを以下に示す。
| パラメータ | 1週目投与後 (46例) |
8週目投与後 (42例) |
|---|---|---|
| 1回投与量(単位/kg) | 2.56[1.21, 5.27] | 2.91[1.53, 5.64] |
| 投与量で補正したCmax (nmol/L/(単位/kg)) |
50.8(22.5) | 105.8(21.0)a) |
| 投与量で補正したAUC0-168 (nmol・h/L/(単位/kg)) |
6064.5(15.8) | 12748.4(20.0)a) |
| tmax(h) | 21.2[11.6, 59.9] | 15.1[12.0, 42.0]a) |
| t1/2(h) | − | 155(15.3) |
幾何平均値(変動係数%)、投与量は平均値[範囲]、tmaxは中央値[範囲] a)41例
血中濃度は、初回投与時に用量の増量を行わなかった場合では、初回投与後3~4週で臨床的な定常状態に達した。母集団薬物動態モデルを用いたシミュレーションにより、初回投与時に1.5倍に増量した用量を投与した場合には、2~3週で臨床的な定常状態に達し得ると推定された3) (外国人データ)。 2型糖尿病患者50例に本剤2.0~4.0単位/kgを週1回又はインスリン デグルデク0.4単位/kgを1日1回反復皮下投与したとき、投与5週後又は投与35日後におけるt1/2(幾何平均値)はそれぞれ170~238時間、27時間であった4) (外国人データ)。
16.2 吸収
2型糖尿病患者25例に本剤5.6単位/kgを大腿部、腹部、上腕部に単回皮下投与し、薬物動態特性及び投与後36~60時間のグルコースクランプ下における血糖降下作用を検討した。大腿部への投与に対する腹部又は上腕部への投与での最高血中濃度(Cmax)及び総曝露量(AUC0-inf,SD)の幾何平均値の比とその95%信頼区間は、腹部投与時では1.17[1.07, 1.29]及び1.02[0.96, 1.09]、上腕部投与時では1.24[1.14, 1.35]及び1.04[0.98, 1.10]であった。また、本剤の血糖降下作用は、大腿部、腹部又は上腕部に投与した場合のいずれの場合でも同程度であった5) (外国人データ)。
16.3 分布
本剤のヒト血漿タンパク及びヒト血清アルブミンに対するin vitroでの結合率は、いずれも99%超であった6) 。 in vitroでのタンパク結合試験から、本剤と脂肪酸又はその他のタンパク結合型薬物と臨床上問題となる相互作用は認められなかった7) 。
16.4 代謝
本剤の代謝はヒトインスリンと同様であり、認められたすべての代謝物は不活性であった8) 。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者における薬物動態
腎機能障害の程度の異なる被験者(実測糸球体濾過量:mGFR(mL/min)による分類)に本剤1.5単位/kgを単回皮下投与し、腎機能が正常な被験者(mGFR 90以上)と薬物動態特性を比較検討した結果を以下に示す9) (外国人データ)。
| 腎機能 | AUC0-840,SD 比の推定値 [95%信頼区間] |
Cmax,SD 比の推定値 [95%信頼区間] |
|---|---|---|
| 軽度/正常 (軽度:mGFR 60以上90未満) |
1.12 [0.96; 1.31] |
1.05 [0.85; 1.30] |
| 中等度/正常 (中等度:mGFR 30以上60未満) |
1.21 [1.04; 1.41] |
1.05 [0.85; 1.30] |
| 重度/正常 (重度:mGFR 30未満) |
1.16 [0.99; 1.36] |
0.91 [0.74; 1.13] |
| 末期/正常 (末期:血液透析を必要とする被験者) |
1.13 [0.95; 1.33] |
1.02 [0.81; 1.29] |
被験者数:正常12例、軽度12例、中等度12例、重度12例、末期10例
- 16.6.2肝機能障害患者における薬物動態
肝機能障害の程度の異なる被験者(Child-Pugh scoresに基づく分類)に本剤1.5単位/kgを単回皮下投与し、肝機能が正常な被験者と薬物動態特性を比較検討した結果を以下に示す10) (外国人データ)。
| 肝機能 | AUC0-inf,SD 比の推定値 [95%信頼区間] |
Cmax,SD 比の推定値 [95%信頼区間] |
|---|---|---|
| 軽度/正常 (軽度:Child-Pugh分類A) |
1.13 [1.00; 1.28] |
1.13 [0.90; 1.42] |
| 中等度/正常 (中等度:Child-Pugh分類B) |
1.15 [1.02; 1.29] |
1.05 [0.83; 1.31] |
| 重度/正常 (重度:Child-Pugh分類C) |
0.97 [0.86; 1.09] |
0.97 [0.77; 1.21] |
被験者数:正常6例、軽度6例、中等度6例、重度6例
- 16.6.3高齢者における薬物動態
1型糖尿病患者及び2型糖尿病患者1244例(日本人127例)を対象とした母集団薬物動態解析の結果、18歳以上65歳未満の被験者に対する65歳以上75歳未満及び75歳以上の被験者の、定常状態での本剤の投与量補正した平均血清中濃度の比の推定値及びその90%信頼区間は、1.05[1.02; 1.07]及び1.11[1.07; 1.14]であった。
16.8 その他
- 16.8.11型糖尿病患者における薬力学的作用
日本人1型糖尿病患者24例に本剤を被験者ごとに設定した用量で8週間週1回皮下投与し、投与後24~48時間及び150~168時間のグルコースクランプ下における血糖降下作用を検討した。母集団薬物動態/薬力学モデルを用いて予測した、定常状態におけるグルコース注入速度の推移は以下の図のとおりであり、血糖降下作用は臨床用量で1週間持続した2) 。
- 16.8.22型糖尿病患者における薬力学的作用
2型糖尿病患者46例に本剤を被験者ごとに設定した用量で8週間週1回皮下投与し、投与後0~36時間、40~64時間及び144~168時間のグルコースクランプ下における血糖降下作用を検討した。母集団薬物動態/薬力学モデルを用いて予測した、定常状態におけるグルコース注入速度の推移は以下の図のとおりであり、血糖降下作用は臨床用量で1週間持続した3) (外国人データ)。