アリムタ®注射用 100mg・500mg
基本情報
販売名: アリムタ®注射用 100mg・500mg
一般名: ペメトレキセドナトリウム水和物 (Pemetrexed Sodium Hydrate)
製造販売元: 日本イーライリリー株式会社
薬効分類: 代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤(葉酸代謝拮抗剤)
規制区分: 劇薬・処方箋医薬品(注意−医師等の処方箋により使用すること)
クリニカルエビデンス
主要臨床試験: - 海外第III相試験(悪性胸膜中皮腫)
- 対象: 化学療法未治療の悪性胸膜中皮腫患者 - 主要評価項目: 全生存期間(OS) - 結果: 本剤+シスプラチン併用群はシスプラチン単独群と比較して有意なOSの延長を示した(中央値12.1ヶ月 vs 9.3ヶ月、p=0.020)
- 海外第III相試験(非小細胞肺癌)
- 対象: 扁平上皮癌を除く非小細胞肺癌(NSCLC)患者 - 主要評価項目: 無増悪生存期間(PFS) - 結果: 本剤+シスプラチン併用群は標準治療群と比較し、PFSが有意に延長(5.3ヶ月 vs 4.7ヶ月、p<0.05)
効能・用法
適応症: - 悪性胸膜中皮腫(シスプラチンとの併用) - 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(扁平上皮癌を除く) - 扁平上皮癌を除く非小細胞肺癌の術前補助療法
用法・用量: - 通常、成人にはペメトレキセドとして500mg/m²を3週間ごとに1回、10分間かけて点滴静注 - 悪性胸膜中皮腫にはシスプラチン(75mg/m²)を併用 - 術前補助療法では最大4コースまで投与可能 - 葉酸およびビタミンB12を併用し、副作用を軽減することが推奨
特記事項: - 腎機能(CrCl < 45mL/min)の低下患者には使用不可 - 治療開始前にビタミンB12(筋注)および葉酸(経口)を投与
副作用とその管理
重大な副作用と発生頻度: - 骨髄抑制(好中球減少:40%、貧血:30%) - 間質性肺炎(0.5%) - 腎不全(1.1%) - 重度の下痢(2.3%) - アナフィラキシー(頻度不明)
その他の副作用: - 悪心(60.5%) - 倦怠感(43.5%) - 食欲不振(25.5%)
相互作用情報
併用禁忌: - 該当なし
併用注意: - NSAIDs(イブプロフェン等) → 腎排泄遅延による血中濃度上昇リスク - シスプラチン → 腎障害増強の可能性あり - ワルファリン → 出血傾向の増強
緊急時対応
副作用管理フロー: - 骨髄抑制: 好中球減少<500/μLの際はG-CSF投与を考慮 - 腎不全: 透析の可能性を考慮し、投与中止 - 間質性肺炎: ステロイド投与を考慮
FAQ(よくある質問)
Q1. ペメトレキセドはどのような機序で作用するか? A1. 葉酸代謝経路を阻害し、核酸合成を抑制することで腫瘍細胞の増殖を抑える。
Q2. 腎機能低下時に投与は可能か? A2. CrCl < 45mL/minの患者には投与不可。慎重な腎機能モニタリングが必要。
Q3. 本剤投与前に必要な準備は? A3. 投与開始7日前から葉酸(1日0.5mg経口)とビタミンB12(9週間ごとに1回筋注)を実施。
Q4. 保存方法は? A4. 室温保存。光を避ける。