Clinical snapshot

HMG注用150単位「あすか」

ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン

添付文書改訂 2022年08月01日

【警告】

*本剤を用いた不妊治療により、脳梗塞、肺塞栓を含む血栓塞栓症等を伴う重篤な卵巣過剰刺激症候群があらわれることがある。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1エストロゲン依存性悪性腫瘍(例えば、乳癌、子宮内膜癌)及びその疑いのある患者[腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある。]

  2. 2.2卵巣腫瘍のある患者及び多嚢胞性卵巣症候群を原因としない卵巣腫大のある患者[卵胞刺激ホルモン作用により、これらの症状が増悪することがある。]

  3. 2.3妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  4. 2.4*活動性の血栓塞栓性疾患の患者[症状が悪化するおそれがある。]

  5. 2.5*本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 間脳性(視床下部性)無月経・下垂体性無月経の排卵誘発

  • *生殖補助医療における調節卵巣刺激

用法・用量

  • *〈間脳性(視床下部性)無月経・下垂体性無月経の排卵誘発〉

1日卵胞刺激ホルモンとして75~150単位を連続筋肉内投与し、頸管粘液量が約300mm3以上、羊歯状形成(結晶化)が第3度の所見を指標として(4日~20日間、通常5日~10日間)、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンに切り換える。 本剤の用法・用量は症例によって異なるので、使用に際しては厳密な経過観察が必要である。

  • 〈生殖補助医療における調節卵巣刺激〉

通常、卵胞刺激ホルモンとして150又は225単位を1日1回皮下又は筋肉内投与する。患者の反応に応じて1日450単位を超えない範囲で適宜用量を調節し、卵胞が十分に発育するまで継続する。

使用上の注意

  • *〈効能共通〉
  1. 8.1本剤は、不妊治療に十分な知識と経験のある医師のもとで使用すること。本剤投与により予想されるリスク及び注意すべき症状について、あらかじめ患者に説明を行うこと。

  2. 8.2本剤を用いた不妊治療により、卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあるので、以下のモニタリングを実施すること。

  • 一般不妊治療においては、本剤投与中及び排卵誘発に使用する薬剤(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)等)投与前の超音波検査による卵巣反応

  • 生殖補助医療においては、本剤投与中及び卵胞の最終成熟に使用する薬剤(hCG等)投与前の超音波検査及び血清エストラジオール濃度の測定による卵巣反応

  • 患者の自覚症状(下腹部痛、下腹部緊迫感、悪心、腰痛等)

  • 急激な体重増加

  • 超音波検査等による卵巣腫大 なお、卵巣過剰刺激症候群のリスク因子として、多嚢胞性卵巣症候群、若年、やせ、血清抗ミュラー管ホルモン高値、卵巣過剰刺激症候群の既往、血清エストラジオール高値、発育卵胞数の高値等が知られているので、卵巣過剰刺激症候群のリスク因子を有する患者への対応は慎重に行うこと。 卵巣過剰刺激症候群の徴候が認められた場合には、本剤の投与中断などを行うとともに、少なくとも4日間は性交を控えるように患者に指導すること。また、卵胞の最終成熟又は排卵誘発の延期や中止等の要否を含め実施中の不妊治療の継続の可否を慎重に判断すること。卵巣過剰刺激症候群は、本剤投与中だけではなく、本剤投与後に発現し、軽症又は中等症であっても急速に進行して重症化することがあるため、本剤の最終投与後も少なくとも2週間の経過観察を行い、卵巣過剰刺激症候群の重症度に応じた適切な処置を行うこと。なお、卵巣過剰刺激症候群は、妊娠によって重症化し、長期化することがあることにも留意すること。

  1. 8.3患者に対しては、あらかじめ以下の点を説明すること。
  • 卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあるので、自覚症状(下腹部痛、下腹部緊迫感、悪心、腰痛等)や急激な体重増加が認められた場合には直ちに医師等に相談すること。

  • 一般不妊治療においては、卵巣過剰刺激の結果として多胎妊娠の可能性があること。 全国36病院における本療法による多胎妊娠についての調査で双胎以上の多胎妊娠は、妊娠総数454例中93例(20.5%)で、そのうち、双胎59例(13.0%)、3胎20例(4.4%)、4胎8例(1.8%)、5胎5例(1.1%)、6胎1例(0.2%)であったとの報告がある1)。

  • *〈生殖補助医療における調節卵巣刺激〉

  1. 8.4在宅自己注射(皮下注射)を行う場合は、患者に投与法及び安全な廃棄方法の指導を行うこと。

  2. 8.4.1自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、溶解時や投与する際の操作方法を指導すること。適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な場合には、直ちに自己投与を中止させるなど適切な処置を行うこと。

  3. 8.4.2使用済みの注射針あるいは注射器を再使用しないように患者に注意を促すこと。

  4. 8.4.3全ての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。同時に、使用済みの針及び注射器を廃棄する容器を提供することが望ましい。

  5. 8.4.4在宅自己注射を行う前に、本剤の取扱説明書を必ず読むよう指導すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1児を望まない第2度無月経患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。妊娠する可能性がある。

  1. 9.1.2多嚢胞性卵巣のある患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。卵巣過剰刺激症候群を起こしやすい。

  1. 9.1.3未治療の子宮内膜増殖症のある患者

子宮内膜増殖症は細胞異型を伴う場合がある。

  1. 9.1.4子宮筋腫のある患者

子宮筋腫の発育を促進するおそれがある。

  1. 9.1.5子宮内膜症のある患者

症状が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.6乳癌の既往歴のある患者

乳癌が再発するおそれがある。

  1. 9.1.7乳癌家族素因が強い患者、乳房結節のある患者、乳腺症の患者又は乳房レントゲン像に異常がみられた患者

症状が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.8*本人及び家族の既往歴等の一般に血栓塞栓症発現リスクが高いと認められる患者

本剤の投与の可否については、本剤が血栓塞栓症の発現リスクを増加させることを考慮して判断すること。なお、妊娠自体によっても血栓塞栓症のリスクは高くなることに留意すること。

9.4 生殖能を有する者

  • 〈間脳性(視床下部性)無月経・下垂体性無月経の排卵誘発〉

妊娠初期の投与を避けるため、投与前少なくとも1カ月間は基礎体温を記録させること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。妊娠中の投与は不要である。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
*排卵誘発及び卵胞の最終成熟に使用する薬剤
ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン製剤等
*卵巣過剰刺激症候群があらわれることがある。 卵巣への過剰刺激に伴う過剰なエストロゲン分泌により、血管透過性が亢進される。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
しびれ感 頻度不明
ほてり等 頻度不明
尿量増加 頻度不明
悪心 頻度不明
浮腫 頻度不明
疼痛 頻度不明
発疹 頻度不明
発赤 頻度不明
硬結 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻尿 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ヒト下垂体性性腺刺激ホルモンは、卵胞刺激ホルモン(FSH)活性を有し、卵巣に作用して原始細胞から発育卵胞を形成する。次いで黄体形成ホルモン(LH)との協力により卵胞を成熟させ、卵胞ホルモンを分泌させて排卵を誘発する11)。

18.2 卵巣に対する作用

下垂体摘除未熟雌ラットの卵巣及び子宮重量を増加させ、卵胞の発育と黄体形成を促進する12)。

18.3 排卵誘発作用

ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)との組合せ投与により、排卵を誘発する13)。