Clinical snapshot

献血ベニロン−I静注用2500mg

乾燥スルホ化人免疫グロブリン

添付文書改訂 2026年04月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者

効能・効果

  • 低又は無ガンマグロブリン血症

  • 重症感染症における抗生物質との併用

  • 免疫性血小板減少症(他剤が無効で著明な出血傾向があり、外科的処置又は出産等一時的止血管理を必要とする場合)

  • 川崎病の急性期(重症であり、冠動脈障害の発生の危険がある場合)

  • ギラン・バレー症候群(急性増悪期で歩行困難な重症例)

  • 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症における神経障害の改善(ステロイド剤が効果不十分な場合に限る)

  • 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の筋力低下の改善

  • 視神経炎の急性期(ステロイド剤が効果不十分な場合)

用法・用量

  • *〈効能共通〉

本剤は、添付の日局注射用水(500mg製剤では10mL、2,500mg製剤では50mL、5,000mg製剤では100mL)に溶解して、以下のとおり効能又は効果に応じて投与する。直接静注する場合は、極めて緩徐に行う。

  • 〈低又は無ガンマグロブリン血症〉

通常、1回にスルホ化人免疫グロブリンG 200~600mg(4~12mL)/kg体重を3~4週間隔で点滴静注又は直接静注する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。

  • 〈重症感染症における抗生物質との併用〉

通常、成人に対しては、1回にスルホ化人免疫グロブリンG 2,500~5,000mg(50~100mL)を、小児に対しては、1回にスルホ化人免疫グロブリンG 50~150mg(1~3mL)/kg体重を点滴静注又は直接静注する。なお、年齢及び症状に応じて適宜増減する。

  • 〈免疫性血小板減少症〉

通常、1日にスルホ化人免疫グロブリンG 200~400mg(4~8mL)/kg体重を点滴静注又は直接静注する。なお、5日間投与しても症状の改善が認められない場合は以降の投与を中止すること。年齢及び症状に応じて適宜増減する。

  • 〈川崎病の急性期〉

通常、1日にスルホ化人免疫グロブリンG 200mg(4mL)/kg体重を5日間点滴静注又は直接静注、若しくは2,000mg(40mL)/kg体重を1回点滴静注する。なお、年齢及び症状に応じて5日間投与の場合は適宜増減、1回投与の場合は適宜減量する。

  • 〈ギラン・バレー症候群〉

通常、1日にスルホ化人免疫グロブリンG 400mg(8mL)/kg体重を5日間点滴静注又は直接静注する。

  • 〈好酸球性多発血管炎性肉芽腫症における神経障害の改善〉

通常、1日にスルホ化人免疫グロブリンG 400mg(8mL)/kg体重を5日間点滴静注する。

  • 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の筋力低下の改善〉

通常、1日にスルホ化人免疫グロブリンG 400mg(8mL)/kg体重を5日間連日点滴静注する。なお、年齢及び症状に応じて適宜減量する。

  • 〈視神経炎の急性期(ステロイド剤が効果不十分な場合)〉

通常、1日にスルホ化人免疫グロブリンG 400mg(8mL)/kg体重を5日間点滴静注する。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際しては感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているものの、ヒトの血液を原材料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを、患者に対して説明し、その理解を得るよう努めること。

  2. 8.2*本剤の原材料となる献血者の血液については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体、抗HIV-2抗体及び抗HTLV-1抗体陰性で、かつALT値でスクリーニングを実施している。さらに、HBV、HCV及びHIVについては個別の試験血漿で、HAV及びヒトパルボウイルスB19についてはプールした試験血漿で核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。その後の本剤の製造工程であるカプリル酸分画、スルホ化処理及びウイルス除去膜処理は、HIVをはじめとする各種ウイルスの除去・不活化効果を有することが確認されているが、投与に際しては、次の点に十分注意すること。

  3. 8.2.1血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。

  4. 8.2.2現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。

  5. 8.3本剤は抗A及び抗B血液型抗体を有する。したがって、血液型がO型以外の患者に大量投与したとき、溶血性貧血を起こすことがある。

  6. 8.4急性腎障害があらわれることがあるので、投与に先立って患者が脱水状態にないことを確認すること。

  • 〈ギラン・バレー症候群〉
  1. 8.5筋力低下の改善が認められた後、再燃することがあるので、その場合には本剤の再投与を含め、適切な処置を考慮すること。
  • 〈視神経炎の急性期〉
  1. 8.6視神経炎の病態・診断及び本剤に関する十分な知識を有し、本剤の副作用への対処が可能な医師との連携のもとで投与すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。

  1. 9.1.2IgA欠損症の患者

抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれがある。

  1. 9.1.3脳・心臓血管障害又はその既往歴のある患者

適宜減量し、できるだけゆっくりと投与することが望ましい。大量投与による血液粘度の上昇等により脳梗塞又は心筋梗塞等の血栓塞栓症を起こすおそれがある。

  1. 9.1.4血栓塞栓症の危険性の高い患者

適宜減量し、できるだけゆっくりと投与することが望ましい。大量投与による血液粘度の上昇等により血栓塞栓症を起こすおそれがある。

  1. 9.1.5溶血性・失血性貧血の患者

ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。

  1. 9.1.6免疫不全患者・免疫抑制状態の患者

ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、持続性の貧血を起こすことがある。

  1. 9.1.7心機能の低下している患者

適宜減量し、できるだけゆっくりと投与することが望ましい。大量投与により、心不全を発症又は悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.8急性腎障害の危険性の高い患者

適宜減量し、できるだけゆっくりと投与することが望ましい。

9.2 腎機能障害患者

腎機能を悪化させるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない。感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性がある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

  1. 9.7.1投与速度に注意するとともに、経過を十分に観察すること。ショック等重篤な副作用を起こすことがある。

  2. 9.7.2低出生体重児、新生児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。また、一般に脳・心臓血管障害又はその既往歴のある患者がみられ、血栓塞栓症を起こすおそれがある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 非経口用生ワクチン
• 麻疹ワクチン
• おたふくかぜワクチン
• 風疹ワクチン
• これら混合ワクチン
• 水痘ワクチン等
• 本剤の投与を受けた者は、生ワクチンの効果が得られないおそれがあるので、生ワクチンの接種は本剤投与後3か月以上延期すること。また、生ワクチン接種後14日以内に本剤を投与した場合は、投与後3か月以上経過した後に生ワクチンを再接種することが望ましい。
• なお、免疫性血小板減少症、川崎病、ギラン・バレー症候群、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、多巣性運動ニューロパチー(MMN)を含む慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)、視神経炎の急性期に対する大量療法(200mg/kg以上)後に生ワクチンを接種する場合は、原則として生ワクチンの接種を6か月以上(麻疹感染の危険性が低い場合の麻疹ワクチン接種は11か月以上)延期すること2),3)。
• 本剤の主成分は免疫抗体であるため、中和反応により生ワクチンの効果が減弱されるおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
AST・ALT等の上昇 頻度不明
CK上昇 頻度不明
そう痒感 頻度不明
体温低下 頻度不明
倦怠感 頻度不明
喘息様症状 頻度不明
嘔吐 頻度不明
好中球減少 頻度不明
好酸球増多 頻度不明
局所性浮腫等 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 頻度不明
戦慄 頻度不明
水疱 頻度不明
汗疱 頻度不明
溶血性貧血 頻度不明
熱感 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
発赤 頻度不明
白血球減少 頻度不明
胸痛 頻度不明
腫脹 頻度不明
腹痛 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血圧上昇 頻度不明
血圧低下 頻度不明
貧血 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤の作用機序の詳細は明らかではない。

18.2 抗体活性

10,000人以上の健康成人血漿から精製濃縮された高純度の免疫グロブリンGを原料としているため、種々の細菌、毒素、ウイルス等に対する抗体を有している17)。

18.3 オプソニン効果

大腸菌を用いて検討した結果、スルホ化人免疫グロブリンGは生体本来の免疫グロブリンGと同様、食細胞の貪食能、殺菌能の増強効果等のオプソニン効果が認められている18),19)。

18.4 溶菌活性

スルホ化人免疫グロブリンGは正常な補体の活性化にもとづく溶菌活性能を有している20),21)。

18.5 血小板減少抑制効果

抗血小板抗血清を投与したラットの実験的血小板減少症において、スルホ化人免疫グロブリンGを投与することにより、血小板減少抑制作用が認められている22)。

18.6 冠動脈障害抑制効果

離乳期ウサギに馬血清をくり返し投与することによって作成した冠動脈障害モデルに対して冠動脈障害抑制効果が認められている23)。

18.7 末梢神経障害抑制効果

ウシ末梢神経抗原の免疫により惹起されたラットアレルギー性神経炎モデルにおいて、ラット免疫グロブリン又はスルホ化人免疫グロブリンGを投与することにより末梢神経障害の抑制作用が認められている24),25)。

18.8 視神経炎抑制効果

マウス実験的自己免疫性脳脊髄炎及び実験的自己免疫性視神経炎モデルにおいて、スルホ化人免疫グロブリンGを投与することにより、視神経における抗炎症作用及び脱髄抑制作用が認められている26)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1低又は無ガンマグロブリン血症患者7例にスルホ化人免疫グロブリンG 100mg/kg体重を静脈内へ単回投与した場合の平均血中濃度(投与前149mg/dL)は、投与24時間後では313mg/dL、2週間後では206mg/dLであった4)。

  2. 16.1.2スルホ化人免疫グロブリンGを、健康成人6例に対して300~400mg及び低又は無ガンマグロブリン血症の患者6例に対して100mg/kg体重でいずれも静脈内へ単回投与した試験成績から、スルホ化人免疫グロブリンGの血中半減期は約25日であることが確認されている4),5)。