Clinical snapshot

動注用アイエーコール50mg

シスプラチン製剤

添付文書改訂 2021年04月01日

【警告】

本剤は、緊急時に十分に措置できる医療施設において、癌化学療法及び肝動注化学療法に十分な経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1重篤な腎障害のある患者[腎障害を増悪させることがある。また、腎からの排泄が遅れ、重篤な副作用が発現することがある。]

  2. 2.2本剤又は他の白金を含む薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者

  3. 2.3妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

肝細胞癌

用法・用量

シスプラチン100mgあたり70mLの生理食塩液を加えて溶解し、65mg/m2(体表面積)を肝動脈内に挿入されたカテーテルから、1日1回肝動脈内に20~40分間で投与し、4~6週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。 なお、投与量は症状等により適宜減量する。 本剤の投与時には腎毒性を軽減するために下記の処置を行うこと。

  • 本剤投与前、1,000~2,000mLの適当な輸液を4時間以上かけて投与する。

  • 本剤投与時から投与終了後、1,500~3,000mLの適当な輸液を6時間以上かけて投与する。

  • 本剤投与中は、尿量確保に注意し、必要に応じてマンニトール及びフロセミド等の利尿剤を投与すること。

使用上の注意

  1. 8.1悪心・嘔吐、食欲不振等の消化器症状がほとんど全例に起こるので、患者の状態を十分に観察し、適切な処置を行うこと。

  2. 8.2腎障害、骨髄抑制、肝機能障害等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(腎機能検査、血液検査、肝機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。なお、フロセミドによる強制利尿を行う場合は腎障害、聴器障害が増強されることがあるので、輸液等による水分補給を十分行うこと。

  3. 8.3感染症、出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。

  4. 8.4発熱が高頻度に起こるので、患者の状態を十分に観察し、適切な処置を行うこと。

  5. 8.5本剤を複数回投与した後にショック、アナフィラキシーが発現する場合もあるので、毎回観察を十分に行うこと。

  6. 8.6投与量の増加に伴い聴器障害の発現頻度が高くなり、特に1日投与量では80mg/m2以上で、総投与量では300mg/m2を超えるとその傾向は顕著となることが知られているので十分な観察を行い投与すること。

  7. 8.7高血糖、糖尿病の悪化があらわれることがあるので、血糖値や尿糖に注意するなど観察を十分に行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1骨髄抑制のある患者

骨髄抑制を増悪させることがある。

  1. 9.1.2聴器障害のある患者

聴器障害を増悪させることがある。

  1. 9.1.3感染症を合併している患者

骨髄抑制により、感染症を増悪させることがある。

  1. 9.1.4水痘患者

致命的全身症状があらわれるおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重篤な腎障害がある患者

投与しないこと。

  1. 9.2.2腎障害のある患者(重篤な腎障害のある患者を除く)

副作用が強くあらわれることがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1高度の肝機能障害(肝障害度(Liver damage)C注1)等)のある患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。やむを得ず投与する場合には適宜減量又は亜区域投与等を行うこと。肝障害を増悪させるおそれがある。

注1)以下の2項目以上の所見を有する患者: 治療効果が少ない腹水、血清ビリルビン値が3.0mg/dL超、血清アルブミン値が3.0g/dL未満、ICG R15が40%超、プロトロンビン活性値が50%未満

  1. 9.3.2肝機能障害のある患者(高度の肝機能障害のある患者を除く)

肝細胞癌患者の多くは肝硬変等により代謝機能等が低下しているので、副作用が強くあらわれることがある。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1*妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊をするよう指導すること。

  2. 9.4.2*パートナーが妊娠する可能性のある男性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊をするよう指導すること。

  3. 9.4.3小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。

9.5 妊婦

*妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。妊娠中にシスプラチンと他の抗悪性腫瘍剤を併用された患者で、児の奇形及び胎児毒性1)が報告されている。また、動物実験で、ラットにおいて催奇形性、胎児致死率の増加、ウサギにおいて胎児致死率の増加が認められ、マウスにおいて催奇形性、胎児致死作用が報告されている。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。ヒト母乳中に移行することが報告されている。

9.7 小児等

  1. 9.7.1小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

  2. 9.7.2副作用の発現に特に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。シスプラチン静注製剤において、外国で、聴器障害が高頻度に発現するとの報告がある。

9.8 高齢者

用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能(骨髄機能、肝機能、腎機能等)が低下している。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
抗悪性腫瘍剤
放射線照射
骨髄抑制を増強することがある。患者の状態を観察しながら、減量するなど用量に注意すること。 骨髄抑制作用を有する。
パクリタキセル 本剤をパクリタキセルの前に投与した場合、逆の順序で投与した場合より骨髄抑制が増強するおそれがある。本剤をパクリタキセルの後に投与すること。 本剤をパクリタキセルの前に投与した場合、パクリタキセルのクリアランスが低下し、パクリタキセルの血中濃度が上昇する。
パクリタキセル 末梢神経障害が増強するおそれがある。患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長すること。 末梢神経障害を有する。
アミノグリコシド系抗生物質
• ストレプトマイシン
• ゲンタマイシン
• アミカシン 等バンコマイシン
フロセミド
腎障害及び聴器障害が増強されることがある。 腎障害及び聴覚障害を有する。
アムホテリシンB(注射剤) 腎障害が増強されることがある。 腎障害を有する。
頭蓋内放射線照射 聴器障害が増強することがある。 機序不明
ピレタニド 聴器障害が増強することがある。 聴覚障害を有する。
フェニトイン フェニトインの血漿中濃度が低下したとの報告がある。 機序不明

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
しゃっくり 頻度不明
そう痒症 頻度不明
テタニー 頻度不明
フィブリン分解産物増加 頻度不明
プロトロンビン量増加 頻度不明
ほてり 頻度不明
レイノー現象 頻度不明
レルミット徴候 頻度不明
上腹部痛 頻度不明
下痢 頻度不明
不眠症 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感(26.9%) 頻度不明
全身浮腫 頻度不明
動悸 頻度不明
十二指腸潰瘍 頻度不明
口内炎 頻度不明
口角炎 頻度不明
味覚異常 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咽頭炎 頻度不明
失見当識 頻度不明
尿中蛋白陽性(21.8%) 頻度不明
尿糖陽性 頻度不明
心電図異常 頻度不明
悪心・嘔吐注3)(76.0%) 頻度不明
意識レベルの低下 頻度不明
末梢神経障害(感覚減退 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
疼痛 頻度不明
痙攣 頻度不明
発熱(63.5%) 頻度不明
発疹 頻度不明
発赤 頻度不明
総蛋白減少(29.8%) 頻度不明
胃不快感 頻度不明
背部痛 頻度不明
胸痛 頻度不明
脱毛症 頻度不明
脱水 頻度不明
腹水 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部不快感 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
色素沈着障害 頻度不明
血中カリウム異常(23.1%) 頻度不明
血中カルシウム異常 頻度不明
血中ナトリウム異常(20.2%) 頻度不明
血中マグネシウム異常 頻度不明
血中リン酸塩異常 頻度不明
血中塩化物異常 頻度不明
血圧上昇 頻度不明
血圧低下 頻度不明
表出性言語障害 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻脈 頻度不明
食欲不振(79.8%) 頻度不明
高尿酸血症 頻度不明
麻痺性イレウス 頻度不明
麻痺等) 頻度不明
鼻出血 頻度不明
鼻咽頭炎 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

癌細胞のDNAと結合し、DNA合成及びそれに引き続く癌細胞の分裂を阻害するものと考えられている8)。

18.2 抗腫瘍効果

  1. 18.2.1in vitro

本剤は5株のヒト肝癌培養細胞に対し、0.21~3.6μg/mLのIC50値を示した。

  1. 18.2.2in vivo

  2. (1)ヌードマウスの肝臓に移植したヒト肝細胞癌PLC/PRF/5及びHuH-7に対して本剤7mg/kgの単回静脈内投与によって抗腫瘍作用が認められた。その効果は、ドキソルビシン12mg/kgの単回静脈内投与と同等以上であった。

  3. (2)ウサギの肝臓に移植したVX2癌に対して、本剤の単回肝動脈内投与において、50%以上の増殖抑制効果を示した。本剤の肝動脈内投与した群の増殖抑制率は耳静脈内投与した群より高かった。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

肝細胞癌患者に本剤を65mg/m2(体表面積)で肝動注したとき、投与終了後の血漿中total濃度(シスプラチン換算)は二相性の消失を示し、α相及びβ相の半減期はそれぞれ0.47及び85.03時間であった。血漿中free濃度(シスプラチン換算)は一相性で、0.51時間の半減期で速やかに消失した。

C0.5hr
(μg/mL)
t1/2α
(hr)
t1/2β
(hr)
AUC0-t
(μg・hr/mL)
total 4.19±0.02 0.47±0.11 85.03±9.40 182.04±28.25注5)
free 1.30±0.33 0.51±0.09注4) 1.56±0.26注6)

注4)t1/2を示す。

注5)投与開始から終了後96時間までのAUCを示す。

注6)投与開始から投与終了後2時間までのAUCを示す。

16.5 排泄

主に腎から排泄される。癌患者に点滴静注したときの尿中排泄は緩慢であり、その排泄率は、投与後24時間で15.6~51.3%、投与後5日目では排泄率の高い例において45~75%であった2),3),4)。