高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症
ロスバスタチンOD錠2.5mg「DSEP」
ロスバスタチンカルシウム口腔内崩壊錠
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
-
2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
-
2.2肝機能が低下していると考えられる以下のような患者
急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸
-
2.3妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳婦
-
2.4シクロスポリンを投与中の患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはロスバスタチンとして1日1回2.5mgより投与を開始するが、早期にLDL-コレステロール値を低下させる必要がある場合には5mgより投与を開始してもよい。なお、年齢・症状により適宜増減し、投与開始後あるいは増量後、4週以降にLDL-コレステロール値の低下が不十分な場合には、漸次10mgまで増量できる。10mgを投与してもLDL-コレステロール値の低下が十分でない、家族性高コレステロール血症患者などの重症患者に限り、さらに増量できるが、1日最大20mgまでとする。
使用上の注意
-
8.1あらかじめ高コレステロール血症治療の基本である食事療法を行い、更に運動療法や高血圧、喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターの軽減等も十分考慮すること。
-
8.2投与中は血中脂質値を定期的に検査し、治療に対する反応が認められない場合には投与を中止すること。
-
8.3投与開始又は増量後12週までの間は原則、月に1回、それ以降は定期的(半年に1回等)に肝機能検査を行うこと。
-
8.4血小板減少があらわれることがあるので、血液検査等の観察を十分に行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある以下の患者
-
アルコール中毒患者
-
甲状腺機能低下症の患者
-
遺伝性の筋疾患(筋ジストロフィー等)又はその家族歴のある患者
-
薬剤性の筋障害の既往歴のある患者
- 9.1.2重症筋無力症又はその既往歴のある患者
重症筋無力症(眼筋型、全身型)が悪化又は再発することがある。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1腎機能検査値異常のある患者
本剤とフィブラート系薬剤を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。やむを得ず併用する場合には、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。
- 9.2.2腎障害又はその既往歴のある患者
横紋筋融解症の報告例の多くが腎機能障害を有する患者であり、また、横紋筋融解症に伴って急激な腎機能悪化があらわれることがある。
- 9.2.3重度の腎障害のある患者
本剤の血中濃度が高くなるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1肝機能が低下していると考えられる以下のような患者
- 急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸
投与しないこと。これらの患者では、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。また、本剤は主に肝臓に分布して作用するので、肝障害を悪化させるおそれがある。
- 9.3.2肝障害又はその既往歴のある患者
本剤は主に肝臓に分布して作用するので、肝障害又はその既往歴のある患者では、肝障害を悪化させるおそれがある。特に、Child-Pughスコアが8~9の患者では、血漿中濃度が他に比べて高かったとの報告がある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラットに他のHMG-CoA還元酵素阻害剤を大量投与した場合に胎児の骨格奇形が報告されている。更にヒトでは、他のHMG-CoA還元酵素阻害剤で、妊娠3ヵ月までの間に服用したとき、胎児に先天性奇形があらわれたとの報告がある。
9.6 授乳婦
投与しないこと。ラットで乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
相互作用
- 本剤は、OATP1B1及びBCRPの基質である。
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| シクロスポリン (サンディミュン、 ネオーラル等) |
シクロスポリンを投与されている心臓移植患者に併用したとき、シクロスポリンの血中濃度に影響はなかったが、本剤のAUC0-24hが健康成人に単独で反復投与したときに比べて約7倍上昇したとの報告がある。 | シクロスポリンがOATP1B1及びBCRP等の機能を阻害する可能性がある。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| フィブラート系薬剤 • ベザフィブラート等 |
フェノフィブラートとの併用においては、いずれの薬剤の血中濃度にも影響はみられていない。しかし一般に、HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用で、筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。 | 両剤共に横紋筋融解症の報告がある。 危険因子:腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者 |
| ニコチン酸 | 一般に、HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用で、筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。 | 危険因子:腎機能障害のある患者 |
| アゾール系抗真菌薬 • イトラコナゾール等 |
一般に、HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用で、筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。 | 危険因子:腎機能障害のある患者 |
| マクロライド系抗生物質 • エリスロマイシン等 |
一般に、HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用で、筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。 | 危険因子:腎機能障害のある患者 |
| ***チカグレロル | 本剤の血漿中濃度上昇により横紋筋融解症やミオパチーのリスクが増加するおそれがある。 | チカグレロルがBCRPを阻害することにより本剤の排出が阻害され、本剤の血漿中濃度が上昇する可能性がある1)。 |
| クマリン系抗凝固剤 • ワルファリン |
抗凝血作用が増強することがある。本剤を併用する場合は、本剤の投与開始時及び用量変更時にも頻回にプロトロンビン時間国際標準比(INR)値等を確認し、必要に応じてワルファリンの用量を調節する等、注意深く投与すること。 | 機序は不明 |
| 制酸剤 • 水酸化マグネシウム・ 水酸化アルミニウム |
本剤の血中濃度が約50%に低下することが報告されている。本剤投与後2時間経過後に制酸剤を投与した場合には、本剤の血中濃度は非併用時の約80%であった。 | 機序は不明 |
| ロピナビル・リトナビル アタザナビル/リトナビル ダルナビル/リトナビル グレカプレビル・ピブレンタスビル |
本剤とロピナビル・リトナビルを併用したとき本剤のAUCが約2倍、Cmaxが約5倍、アタザナビル及びリトナビル両剤と本剤を併用したとき本剤のAUCが約3倍、Cmaxが7倍、ダルナビル及びリトナビル両剤と本剤を併用したとき本剤のAUCが約1.5倍、Cmaxが約2.4倍上昇したとの報告がある。また本剤とグレカプレビル・ピブレンタスビル注1)を併用したとき、本剤のAUCが約2.2倍、Cmaxが約5.6倍上昇したとの報告がある。 | 左記薬剤がOATP1B1及びBCRPの機能を阻害する可能性がある。 |
| ダクラタスビル アスナプレビル ダクラタスビル・アスナプレビル・ベクラブビル |
本剤とダクラタスビル、アスナプレビル、またはダクラタスビル・アスナプレビル・ベクラブビル注1)を併用したとき、本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。 | ダクラタスビル、ベクラブビルがOATP1B1、1B3及びBCRPの機能を阻害する可能性がある。また、アスナプレビルがOATP1B1、1B3の機能を阻害する可能性がある。 |
| グラゾプレビル/エルバスビル | 本剤とグラゾプレビル注1)及びエルバスビルを併用したとき、本剤のAUCが約2.3倍、Cmaxが約5.5倍上昇したとの報告がある。 | 左記薬剤がBCRPの機能を阻害する可能性がある。 |
| ソホスブビル・ベルパタスビル | 本剤とベルパタスビルを併用したとき、本剤のAUCが約2.7倍、Cmaxが約2.6倍上昇したとの報告がある。 | ベルパタスビルがOATP1B1、1B3及びBCRPの機能を阻害する可能性がある。 |
| ダロルタミド | 本剤とダロルタミドを併用したとき、本剤のAUCが5.2倍2)、Cmaxが5.0倍上昇したとの報告がある。 | ダロルタミドがOATP1B1、1B3及びBCRPの機能を阻害する可能性がある。 |
| レゴラフェニブ | 本剤とレゴラフェニブを併用したとき、本剤のAUCが3.8倍、Cmaxが4.6倍上昇したとの報告がある。 | レゴラフェニブがBCRPの機能を阻害する可能性がある。 |
| カプマチニブ塩酸塩水和物 | 本剤とカプマチニブ塩酸塩水和物を併用したとき、本剤のAUCが約2.1倍、Cmaxが約3.0倍上昇したとの報告がある。 | カプマチニブ塩酸塩がBCRPの機能を阻害することにより、本剤の血中濃度が増加する可能性がある。 |
| バダデュスタット | 本剤とバダデュスタットを併用したとき、本剤のAUCが約2.5倍、Cmaxが約2.7倍上昇したとの報告がある。 | バダデュスタットがBCRPの機能を阻害することにより、本剤の血中濃度が増加する可能性がある。 |
| フェブキソスタット | 本剤とフェブキソスタットを併用したとき、本剤のAUCが約1.9倍、Cmaxが約2.1倍上昇したとの報告がある。 | フェブキソスタットがBCRPの機能を阻害することにより、本剤の血中濃度が増加する可能性がある。 |
| エルトロンボパグ | 本剤とエルトロンボパグを併用したとき、本剤のAUCが約1.6倍上昇したとの報告がある。 | エルトロンボパグがOATP1B1及びBCRPの機能を阻害する可能性がある。 |
| ホスタマチニブナトリウム水和物 | 本剤とホスタマチニブナトリウム水和物を併用したとき、本剤のAUCが1.96倍、Cmaxが1.88倍上昇したとの報告がある。 | ホスタマチニブナトリウム水和物がBCRPの機能を阻害する可能性がある。 |
| ロキサデュスタット | 本剤とロキサデュスタットを併用したとき、本剤のAUCが2.93倍、Cmaxが4.47倍上昇したとの報告がある。 | ロキサデュスタットがOATP1B1及びBCRPの機能を阻害する可能性がある。 |
| タファミジス | 本剤とタファミジスを併用したとき、本剤のAUCが1.97倍、Cmaxが1.86倍上昇したとの報告がある。 | タファミジスがBCRPの機能を阻害する可能性がある。 |
| **ベルモスジル | 本剤とベルモスジルを併用したとき、本剤のAUC0-lastが4.62倍、Cmaxが3.59倍上昇したとの報告がある3)。 | ベルモスジルのBCRP及びOATP1B1阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
| **モメロチニブ | 本剤とモメロチニブを併用したとき、本剤のAUCinfが2.7倍、Cmaxが3.2倍上昇したとの報告がある4)。 | モメロチニブのBCRP阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
注1)承認用量外の用量における試験結果に基づく。
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALT上昇) | 頻度不明 |
| CK上昇 | 頻度不明 |
| HbA1c上昇 | 1%未満 |
| そう痒症 | 頻度不明 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 便秘 | 頻度不明 |
| 健忘 | 1%未満 |
| 口内炎 | 1%未満 |
| 嘔気 | 頻度不明 |
| 女性化乳房 | 頻度不明 |
| 悪夢等) | 1%未満 |
| 抑うつ | 1%未満 |
| 浮動性めまい | 頻度不明 |
| 無力症 | 頻度不明 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 睡眠障害(不眠 | 1%未満 |
| 筋痙攣 | 1%未満 |
| 筋肉痛 | 頻度不明 |
| 肝機能異常(AST上昇 | 頻度不明 |
| 腎機能異常(BUN上昇 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 頻度不明 |
| 膵炎 | 1%未満 |
| 苔癬様皮疹 | 頻度不明 |
| 蕁麻疹 | 頻度不明 |
| 蛋白尿注2) | 頻度不明 |
| 血清クレアチニン上昇) | 頻度不明 |
| 血糖値上昇 | 1%未満 |
| 関節痛 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ロスバスタチンカルシウムは、肝臓内に能動的に取り込まれ、肝臓でのコレステロール生合成系の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素を選択的かつ競合的に阻害し、コレステロール生合成を強力に抑制する。その結果、肝臓内のコレステロール含量が低下し、これを補うためLDL受容体の発現が誘導される。このLDL受容体を介して、コレステロール含有率の高いリポ蛋白であるLDLの肝臓への取り込みが増加し、血中コレステロールが低下する。本剤は、肝臓では主として能動輸送系を介して取り込まれ36)、脂質親和性が比較的低いため、能動輸送系を持たない他の臓器には取り込まれにくく、肝特異的なHMG-CoA還元酵素阻害剤であると考えられる。
- 18.1.1HMG-CoA還元酵素阻害作用
ロスバスタチンカルシウムは、ラット及びヒト肝ミクロソーム由来のHMG-CoA還元酵素及びヒトHMG-CoA還元酵素の触媒ドメインに対して阻害作用を示した(in vitro)37)。
- 18.1.2肝コレステロール合成阻害作用
ロスバスタチンカルシウムは、ラット肝細胞のコレステロール合成を用量依存的に阻害した。また、その阻害作用は、他のHMG-CoA還元酵素阻害剤に比べて長期間持続した37)。
- 18.1.3LDL受容体誘導作用
ロスバスタチンカルシウムは、ヒト肝癌由来HepG2細胞のLDL受容体mRNAの発現を濃度依存的に誘導し、また、LDL結合活性を増加させた(in vitro)38)。
18.2 血中コレステロール低下作用
ロスバスタチンカルシウムは、イヌ39)、カニクイザル40)、WHHLウサギ(ヒト家族性高コレステロール血症のモデル動物)41)において血清総コレステロールを、また、アポ蛋白E*3Leidenトランスジェニックマウス(高VLDL血症モデル動物)42)及びヒトアポ蛋白B/CETP(コレステロールエステル転送蛋白)トランスジェニックマウス(ヒトのコレステロール代謝に類似した脂質代謝環境を有するモデル動物)43)においては血漿中コレステロールを有意に低下させた。イヌにおいては、HMG-CoA還元酵素の反応産物であるメバロン酸の血中濃度を用量依存的に低下させた39)。
18.3 動脈硬化進展抑制作用
ロスバスタチンカルシウムは、WHHLウサギにおいて、大動脈の脂質沈着面積、コレステロール含量の低下をもたらし、動脈硬化病変の進展を抑制した41)。
18.4 トリグリセリド低下作用
ロスバスタチンカルシウムは、アポ蛋白E*3Leidenトランスジェニックマウス及びヒトアポ蛋白B/CETPトランスジェニックマウスの血漿中トリグリセリドを低下させた42),43)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
健康成人男性6例にロスバスタチンカルシウムを5mgの用量で空腹時に単回経口投与したところ、血漿中ロスバスタチン濃度は投与後5時間にCmaxを示し、消失半減期(t1/2)は20.2±7.8時間であった。また、Cmax及びAUC0-24hrはそれぞれ3.56±1.35ng/mL及び31.3±13.6ng・hr/mLであった(平均値±標準偏差)5)。 なお、ロスバスタチンの体内動態は線形であると考えられている(外国人データ)6)。
- 16.1.2生物学的同等性
健康成人男性にロスバスタチン錠5mg又はロスバスタチンOD錠5mgそれぞれ1錠をクロスオーバー法にて空腹時に単回経口投与し、薬物動態を比較した。Cmax及びAUCの対数の平均値の差について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.8)~log(1.25)の範囲内であり、ロスバスタチンOD錠は、水なしで服用又は水ありで服用した場合のいずれにおいてもロスバスタチン錠と生物学的に同等であった7)。
ロスバスタチンOD錠2.5mg「DSEP」は、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性ガイドライン」(平成24年2月29日付 薬食審査発0229第10号)に基づき、ロスバスタチンOD錠5mg「DSEP」を標準製剤としたとき、溶出挙動が等しく、生物学的に同等とみなされた。
| 用量 | n | Cmax注3) (ng/mL) |
Tmax注4) (hr) |
AUC0-last注3) (ng・hr/mL) |
t1/2注4) (hr) |
|
|---|---|---|---|---|---|---|
| ロスバスタチン錠5mg | 65 | 4.56(50.3) | 4.02±1.49 | 48.90(39.7) | 14.0±10.9注5) | |
| ロスバスタチンOD錠5mg | 水なし | 65 | 4.31(49.1) | 3.89±1.35 | 48.26(40.1) | 14.2±11.8注5) |
| 水あり | 64 | 4.53(51.3) | 3.92±1.47 | 48.31(40.6) | 14.7±10.3注6) |
注3)幾何平均値(変動係数)
注4)平均値±標準偏差
注5)n=64
注6)n=63
図 ロスバスタチンOD錠5mg(水なし、水あり)及びロスバスタチン錠5mgを服用したときの血漿中ロスバスタチン濃度推移(平均値±標準偏差)
- 16.1.3反復投与
健康成人男性6例にロスバスタチンカルシウム10及び20mgを1日1回7日間、空腹時に反復経口投与したところ、投与後24時間の血漿中ロスバスタチン濃度は徐々に上昇し、反復投与3回目にはほぼ定常状態に到達した8)。定常状態におけるAUC0-24hrは単回投与時の1.2倍であり、その値は単回投与での結果からの予測値と同程度であった。したがって、反復投与による予想以上の蓄積性はないと考えられた。なお、日本人におけるCmax及びAUCは白人の約2倍であった。
| 用量 (mg) |
Cmax注7) (ng/mL) |
Tmax注8) (hr) |
AUC0-24hr注7) (ng・hr/mL) |
AUC0-∞注7) (ng・hr/mL) |
t1/2注9) (hr) |
|
|---|---|---|---|---|---|---|
| 10 | 単回 | 7.87(54.4) | 5(4-5) | 74.2(56.0) | 126(39.3)注10) | 15.1±5.36注10) |
| 反復 | 9.38(71.5) | 5(5-5) | 90.5(67.0) | 167(30.0)注11) | 18.4±4.62注11) | |
| 20 | 単回 | 20.5(54.6) | 4(3-5) | 171(53.0) | 209(50.1) | 19.1±5.81 |
| 反復 | 22.1(68.0) | 5(5-5) | 206(63.9) | 248(62.2) | 14.8±5.76 |
注7)幾何平均値(変動係数)
注8)中央値(範囲)
注9)平均値±標準偏差
注10)n=3
注11)n=4
図 健康成人男性における1日1回7日間反復経口投与時の血漿中ロスバスタチン濃度推移(幾何平均値±標準偏差、n=6)
高コレステロール血症患者に本剤2.5~20mgを1日1回6週間反復経口投与し、定常状態の血漿中ロスバスタチン濃度を測定した9)。高コレステロール血症患者の血漿中ロスバスタチン濃度は用量にほぼ比例して増加し、健康成人男性での値(投与後10時間の幾何平均値、10mg:4.06ng/mL、20mg:9.82ng/mL)とほぼ同程度であった。なお、本試験で日本人と白人の結果を比較したところ、日本人における定常状態の血漿中ロスバスタチン濃度は白人の約2倍であった。
| 投与量 | 血漿中ロスバスタチン濃度(ng/mL) |
|---|---|
| 2.5mg(n=16) | 1.26(72.7) |
| 5mg(n=12) | 2.62(41.5) |
| 10mg(n=13) | 4.17(75.5) |
| 20mg(n=17) | 11.7(50.0) |
幾何平均値(変動係数)
採血時間:投与後7~16時間
- 16.1.4投与時間の影響
外国人健康成人21例にロスバスタチンカルシウム10mgをクロスオーバー法で1日1回14日間、午前7時あるいは午後6時に経口投与したところ、血漿中ロスバスタチン濃度推移は両投与時間で同様であり、本剤の体内動態は投与時間の影響を受けないと考えられた10)。
16.2 吸収
- 16.2.1生物学的利用率
健康成人男性10例におけるロスバスタチンの生物学的利用率は29.0%(90%信頼区間:24.1~34.9)であった11)。また、静脈内投与して得られたロスバスタチンの全身クリアランス及び腎クリアランスはそれぞれ31.9及び11.6L/hrであり、ロスバスタチンは主に肝臓による消失を受けると考えられた。
- 16.2.2食事の影響
外国人健康成人20例にロスバスタチンカルシウム10mgをクロスオーバー法で1日1回14日間、空腹時(食後3時間)あるいは食後に経口投与した12)。食後投与したときの本剤の吸収は空腹時に比べて緩やかであり、Cmaxは食事によって20%低下した。しかし、食後投与時のAUC0-24hrは空腹時投与の94%であり、本剤の吸収量への食事の影響はないと考えられた。
16.3 分布
ヒト血漿中におけるロスバスタチンの蛋白結合率は89.0%(日本人)~88.0%(外国人)であり、主結合蛋白はアルブミンであった13)。
16.4 代謝
外国人健康成人男性6例に14C-ロスバスタチンカルシウム20mgを単回経口投与したところ、尿及び糞中に存在する放射能の主成分は未変化体であり、尿糞中の主な代謝物は、N-脱メチル体及び5S-ラクトン体であった14)。 ヒト血漿中にはN-脱メチル体及び5S-ラクトン体が検出されたが、HMG-CoA還元酵素阻害活性体濃度はロスバスタチン濃度と同様の推移を示し、血漿中におけるHMG-CoA還元酵素阻害活性に対する代謝物の寄与はわずかであると考えられた(外国人データ)15)。
16.5 排泄
外国人健康成人男性6例に14C-ロスバスタチンカルシウム20mgを単回経口投与したところ、放射能は主に糞中に排泄され(90.2%)、尿中放射能排泄率は10.4%であった。また、尿及び糞中への未変化体排泄率は、それぞれ投与量の4.9%及び76.8%であった14)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1性差及び加齢の影響
外国人の男性若年者、男性高齢者、女性若年者及び女性高齢者各8例にロスバスタチンカルシウム40mg(承認外用量)を単回経口投与したところ、男性のCmax及びAUC0-tはそれぞれ女性の82%及び91%であった16)。また、若年者のCmax及びAUC0-tはそれぞれ高齢者の112%及び106%であり、臨床上問題となる性差や加齢の影響はないと考えられた。
- 16.6.2肝障害の影響
Child-Pugh A(スコア:5~6)あるいはChild-Pugh B(スコア:7~9)の肝障害を有する外国人患者各6例にロスバスタチンカルシウム10mgを1日1回14日間反復経口投与し、血漿中ロスバスタチン濃度を測定した17)。肝障害患者のCmax及びAUC0-24hrは健康成人群のそれぞれ1.5~2.1倍及び1.05~1.2倍であり、特に、Child-Pughスコアが8~9の患者2例における血漿中濃度は、他に比べて高かった。
- 16.6.3腎障害の影響
重症度の異なる腎障害を有する外国人患者(4~8例)にロスバスタチンカルシウム20mgを1日1回14日間反復経口投与し、血漿中ロスバスタチン濃度を測定した18)。軽度から中等度の腎障害のある患者では、ロスバスタチンの血漿中濃度に対する影響はほとんど認められなかった。しかし、重度(クレアチニンクリアランス<30mL/min/1.73m2)の腎障害のある患者では、健康成人に比べて血漿中濃度が約3倍に上昇した。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1制酸剤
制酸剤を同時併用投与した場合、ロスバスタチンのCmax及びAUC0-24hrはそれぞれ50%及び46%まで低下したが、ロスバスタチン投与後2時間に制酸剤を投与した場合には、ロスバスタチンのCmax及びAUC0-24hrはそれぞれ非併用時の84%及び78%であった(外国人データ)19)。
- 16.7.2シクロスポリン
シクロスポリンを投与されている心臓移植患者にロスバスタチンを併用投与したとき、ロスバスタチンのCmax及びAUC0-24hrは、健康成人に単独で反復投与したときに比べてそれぞれ10.6倍及び7.1倍上昇した(外国人データ)20)。ロスバスタチンはOATP1B1を介して肝臓に取り込まれ、シクロスポリンはその取り込みを阻害することによって、ロスバスタチンの血漿中濃度を増加させると考えられている。
- 16.7.3ゲムフィブロジル
ゲムフィブロジル(本邦未承認)と併用投与したとき、ロスバスタチンのCmax及びAUC0-tはそれぞれ2.21倍及び1.88倍に増加した(外国人データ)21)。ロスバスタチンはOATP1B1を介して肝臓に取り込まれ、ゲムフィブロジルはその取り込みを阻害することによって、ロスバスタチンの血漿中濃度を増加させると考えられている。
- 16.7.4チカグレロル**
健康成人13例にロスバスタチン10mgを単独あるいはチカグレロル90mg1日2回と併用投与したところ、ロスバスタチン10mgのCmaxとAUCinfは、チカグレロル存在下でそれぞれ2.4倍および2.3倍に増加した。同様に、別の健康成人13例にロスバスタチン20mgを単独あるいはチカグレロルと併用投与したところ、ロスバスタチン20mgのCmaxとAUCinfはチカグレロル存在下でそれぞれ2.6倍および2.3倍に増加した(外国人データ)。
- 16.7.5その他の薬剤
ロスバスタチンの体内動態に及ぼすP450阻害剤の影響を検討するために、フルコナゾール22)(CYP2C9及びCYP2C19の阻害剤)、ケトコナゾール23)、イトラコナゾール24)及びエリスロマイシン25)(以上CYP3A4及びP糖蛋白の阻害剤)との併用試験を実施したが、明らかな相互作用は認められなかった(外国人データ)。 ワルファリン26)(CYP2C9及びCYP3A4の基質)あるいはジゴキシン27)の体内動態に及ぼす影響を検討したが、薬物動態学的相互作用は認められなかった(外国人データ)。 CYP3A4誘導作用の有無を検討するために、経口避妊薬との併用試験を実施したが、エチニルエストラジオールの血漿中濃度に減少はみられず、ロスバスタチンはCYP3A4に対する誘導作用を示さないと考えられた(外国人データ)28)。
- 16.7.6in vitro試験
ヒト遊離肝細胞を用いるin vitro試験においてN-脱メチル体が生成したが、その代謝速度は非常に緩徐であった。また、N-脱メチル化に関与する主なP450分子種はCYP2C9及びCYP2C19であったが、CYP2D6やCYP3A4が関与する可能性も示唆された29)。
ロスバスタチン(50μg/mL)によるP450(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1及びCYP3A4)活性の阻害率は10%以下であった29)。