Clinical snapshot

レコベル皮下注36µgペン

ホリトロピン デルタ(遺伝子組換え)

添付文書改訂 2023年11月01日

【警告】

*本剤を用いた不妊治療により、脳梗塞、肺塞栓を含む血栓塞栓症等を伴う重篤な卵巣過剰刺激症候群があらわれることがある。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2エストロゲン依存性悪性腫瘍(例えば、乳癌、子宮内膜癌)及びその疑いのある患者[腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある。]

  3. 2.3十分にコントロールされていない甲状腺又は副腎機能不全の患者[症状を悪化させることがある。]

  4. 2.4視床下部、下垂体腫瘍等の頭蓋内器官の活動性の腫瘍がある患者[症状の悪化のおそれがある。]

  5. 2.5診断の確定していない不正出血のある患者[悪性腫瘍の疑いがある。]

  6. 2.6原因が特定されない卵巣腫大又は卵巣嚢胞のある患者[卵胞刺激作用によりその症状を悪化させることがある。]

  7. 2.7妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  8. 2.8*活動性の血栓塞栓性疾患の患者[症状が悪化するおそれがある。]

効能・効果

生殖補助医療における調節卵巣刺激

用法・用量

通常、ホリトロピン デルタ(遺伝子組換え)として、投与開始前の血清抗ミュラー管ホルモン(AMH)値及び体重に基づき、下表に従い算出した投与量を、月経周期2日目又は3日目から1日1回皮下投与し、卵胞が十分に発育するまで継続する。なお、下表に従い算出した投与量が6µgを下回る場合は6µgを、12µgを上回る場合は12µgを、1日あたりの投与量とする。

血清
AMH値
(pmol/L)
<15 15~16 17 18 19~20 21~22 23~24 25~27 28~32 33~39 ≧40
1日
あたりの
投与量
12 0.19 0.18 0.17 0.16 0.15 0.14 0.13 0.12 0.11 0.10
µg µg/kg(体重)

使用上の注意

  1. 8.1本剤は、不妊治療に十分な知識及び経験のある医師が使用すること。本剤投与により予想されるリスク及び注意すべき症状について、あらかじめ患者に説明を行うこと。

  2. 8.2*本剤を用いた不妊治療により、卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあるので、以下のモニタリングを実施すること。

  • 本剤投与中及び卵胞の最終成熟に使用する薬剤(hCG等)投与前の超音波検査及び血清エストラジオール濃度の測定による卵巣反応

  • 患者の自覚症状(下腹部痛、下腹部緊迫感、悪心、腰痛等)

  • 急激な体重増加

  • 超音波検査等による卵巣腫大

なお、卵巣過剰刺激症候群のリスク因子として、多嚢胞性卵巣症候群、若年、やせ、AMH高値、卵巣過剰刺激症候群の既往、血清エストラジオール高値、発育卵胞数の高値等が知られているので、卵巣過剰刺激症候群のリスク因子を有する患者への対応は慎重に行うこと。 卵巣過剰刺激症候群の徴候が認められた場合には、本剤の投与中断などを行うとともに、少なくとも4日間は性交を控えるように患者に指導すること。また、卵胞の最終成熟の延期や中止等の要否を含め実施中の不妊治療の継続の可否を慎重に判断すること。卵巣過剰刺激症候群は、本剤投与中だけではなく、本剤投与後に発現し、軽症又は中等症であっても急速に進行して重症化することがあるため、本剤の最終投与後も少なくとも2週間の経過観察を行い、卵巣過剰刺激症候群の重症度に応じた適切な処置を行うこと。なお、卵巣過剰刺激症候群は、妊娠によって重症化し、長期化することがあることにも留意すること。

  1. 8.3*患者に対しては、あらかじめ以下の点を説明すること。
  • 卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあるので、自覚症状(下腹部痛、下腹部緊迫感、悪心、腰痛等)や急激な体重増加が認められた場合には直ちに医師等に相談すること。
  1. 8.4*在宅自己注射を行う場合は、患者に投与法及び安全な廃棄方法の指導を行うこと。

  2. 8.4.1自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な場合には、直ちに自己投与を中止させるなど適切な処置を行うこと。

  3. 8.4.2使用済みの注射針を再使用しないように患者に注意を促すこと。

  4. 8.4.3使用済みの針及び本剤の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。同時に、使用済みの針及び本剤を廃棄する容器を提供することが望ましい。

  5. 8.4.4在宅自己注射を行う前に、本剤の「在宅自己注射説明書」及び添付の「取扱説明書」を必ず読むよう指導すること。

  6. 8.5*卵胞発育刺激を受けている女性では一般女性よりも流産率が高い。

  7. 8.6*体外受精・胚移植などの生殖補助医療を受ける不妊女性では、異所性妊娠の可能性が高くなる。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1未治療の子宮内膜増殖症のある患者

子宮内膜増殖症は細胞異型を伴う場合がある。

  1. 9.1.2子宮筋腫のある患者

子宮筋腫の発育を促進するおそれがある。

  1. 9.1.3子宮内膜症のある患者

症状が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.4乳癌の既往歴のある患者

乳癌が再発するおそれがある。

  1. 9.1.5乳癌家族素因が強い患者、乳房結節のある患者、乳腺症の患者又は乳房レントゲン像に異常がみられた患者

症状が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.6*本人及び家族の既往歴等の一般に血栓塞栓症発現リスクが高いと認められる患者

本剤の投与の可否については、本剤が血栓塞栓症の発現リスクを増加させることを考慮して判断すること。なお、妊娠自体によっても血栓塞栓症のリスクは高くなることに留意すること。

  1. 9.1.7卵管疾患の既往歴のある患者

不妊治療の有無にかかわらず異所性妊娠のリスクが高くなる。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。他の遺伝子組換えヒト卵巣刺激ホルモン製剤において、動物実験(ラット)で、分娩障害、妊娠期間の延長、吸収胚数の増加及び出生率の低下が認められている。また、動物実験(ウサギ)で、流産、着床後死亡率の増加が認められている。しかし、両種の動物実験で、催奇形性は認められていない。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。FSHは乳汁中に移行することから、本剤も乳汁中に移行する可能性がある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
* 卵胞の最終成熟に使用する薬剤
ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン製剤等
卵巣過剰刺激症候群があらわれることがある。 卵巣への過剰刺激に伴う過剰なエストロゲンにより、血管透過性が亢進される。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
下痢 頻度不明
乳房圧痛 頻度不明
乳房痛 頻度不明
便秘 頻度不明
傾眠 頻度不明
卵巣腫大 頻度不明
嘔吐 頻度不明
子宮付属器痛 頻度不明
悪心 頻度不明
気分動揺 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
疲労 頻度不明
腟出血 頻度不明
腹部不快感 頻度不明
頭痛 頻度不明
骨盤不快感 頻度不明
骨盤液貯留 頻度不明
骨盤痛 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

FSHは、顆粒膜細胞に発現するFSH受容体に結合してエストロゲンの合成を促進し、卵胞の発育及び卵母細胞の成熟に寄与する14)。

薬物動態

16.1 血中濃度

日本人健康成人女性(内因性FSH抑制下)を対象に本剤75、150、225及び450IU(4.5、9.0、13.5及び27.0µg注))を単回皮下投与した際の薬物動態パラメータ及び血清中FSH濃度推移は以下のとおりであった。 日本人女性において本剤75~450IU(4.5~27.0µg注))の範囲におけるFSH曝露量は投与量に比例して増加した9)。

薬物動態
パラメータ
75IU
(4.5µg)
N=6
150IU
(9.0µg)
N=6
225IU
(13.5µg)
N=5
450IU
(27.0µg)
N=6
AUC(ng・h/mL) a 14±6 30±6 36±6 82±18
Cmax (ng/mL) a 0.2±0.1 0.4±0.1 0.5±0.1 1.1±0.4
tmax (h) b 18
(8-20)
20
(12-24)
20
(20-32)
20
(20-24)
t½ (h) a 37.5±12.9 36.8±4.8 40.3±2.2 42.9±11.3

a:平均値±標準偏差、b:中央値(最小値、最大値)、N(例数)

外国人健康成人女性(内因性FSH抑制下)を対象に本剤225IU(13.5µg注))又はホリトロピン アルファ(遺伝子組換え)225IUを1日1回7日間反復皮下投与したとき、投与開始6~7日後に血清FSH濃度は定常状態に達した。また、投与7日後におけるFSHのAUC及びCmaxのホリトロピン アルファ(遺伝子組換え)に対する本剤の比は、それぞれ1.74〔90%CI(1.37, 2.21)〕及び1.60〔90%CI(1.38, 1.86)〕であった10)。

16.2 吸収

健康成人女性に本剤225IU(13.5µg注))を皮下投与した際の静脈内投与に対する絶対的バイオアベイラビリティは約64%であった(外国人データ)11)。

16.3 分布

健康成人女性に本剤225IU(13.5µg注))を静脈内投与した際の分布容積は8.7Lであった(外国人データ)11)。

16.5 排泄

健康成人女性に本剤225IU(13.5µg注))を静脈内投与した際の全身クリアランスは0.3L/hであり、尿中の未変化体排泄率は投与量の9.4%であった(外国人データ)11)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

調節卵巣刺激を受ける日本人女性を対象とした第Ⅲ相試験の血清FSH濃度を用いた母集団薬物動態解析の結果、投与前のeGFR値は血清FSH濃度に大きな影響を及ぼさなかった12)。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

調節卵巣刺激を受ける日本人女性を対象とした第Ⅲ相試験の血清FSH濃度を用いた母集団薬物動態解析の結果、投与前の肝機能検査値(ALT、AST、ビリルビン)は、血清FSH濃度に大きな影響を及ぼさなかった12)。

注)これらの試験に用いた製剤の規格は質量単位(µg)でないが、本剤の承認用量である質量単位(µg)に換算した用量を参考情報として併記した。なお、本剤とホリトロピン アルファ(遺伝子組換え)を生物活性単位(IU)として同一量投与した場合にFSHのAUC及びCmaxがそれぞれで異なることから、本剤は「6. 用法及び用量」に従って質量単位(µg)で適切に投与すること。