A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及びその予防
【警告】
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1.1本剤を治療に用いる場合は、本剤の必要性を慎重に検討すること。
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1.2インフルエンザウイルス感染症の予防の基本はワクチンによる予防であり、本剤の予防使用はワクチンによる予防に置き換わるものではない。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
- 〈治療に用いる場合〉
通常、成人及び小児には、ザナミビルとして1回10mg(5mgブリスターを2ブリスター)を、1日2回、5日間、専用の吸入器を用いて吸入する。
- 〈予防に用いる場合〉
通常、成人及び小児には、ザナミビルとして1回10mg(5mgブリスターを2ブリスター)を、1日1回、10日間、専用の吸入器を用いて吸入する。
使用上の注意
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8.1抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無又は種類にかかわらず、インフルエンザ罹患時には、異常行動を発現した例が報告されている。異常行動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として、①異常行動の発現のおそれがあること、②自宅において療養を行う場合、少なくとも発熱から2日間、保護者等は転落等の事故に対する防止対策を講じること、について患者・家族に対し説明を行うこと。なお、転落等の事故に至るおそれのある重度の異常行動については、就学以降の小児・未成年者の男性で報告が多いこと、発熱から2日間以内に発現することが多いこと、が知られている。
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8.2細菌感染症がインフルエンザウイルス感染症に合併したり、インフルエンザ様症状と混同されることがある。細菌感染症の場合には、抗菌剤を投与するなど適切な処置を行うこと。
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8.3本剤投与後に失神やショック症状があらわれたとの報告がある。この失神やショック症状はインフルエンザウイルス感染症に伴う発熱、脱水等の全身状態の悪化に加え、本剤を強く吸入したこと、または長く息を止めたことが誘因となった可能性がある。患者には使用説明書に記載されている吸入法を十分に理解させ、くつろいだ状態(例えば座位等)で吸入するよう指導すること。また、このような症状があらわれた場合には、患者に仰臥位をとらせ安静に保つとともに、補液を行うなど適切な処置を行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者
本剤は、夾雑物として乳蛋白を含む乳糖水和物を使用しており、アナフィラキシーがあらわれたとの報告がある。
- 9.1.2免疫低下状態の患者
患者の状態を十分に観察しながら投与すること。
- 9.1.3気管支喘息及び慢性閉塞性肺疾患等の慢性呼吸器疾患のある患者
気管支攣縮や呼吸機能の低下があらわれた場合、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。インフルエンザウイルス感染症により気道過敏性が亢進することがあり、本剤投与後に気管支攣縮や呼吸機能の低下がみられたという報告がある(呼吸器疾患の既往歴がない患者においても同様な報告がある)。 軽度又は中等度の喘息患者(ただし、急性のインフルエンザ症状を有さない症例)を対象とした海外の臨床薬理試験において、13例中1例に気管支攣縮が認められた。 また、本剤を投与する場合には本剤投与後に気管支攣縮が起こる可能性があることを患者に説明することとし、必要時に使用できるよう短時間作用発現型気管支拡張剤を患者に所持させること。 なお、慢性呼吸器疾患の治療に用いる吸入薬(短時間作用発現型気管支拡張剤等)を併用する場合には、本剤を投与する前に使用するよう指導すること。
9.2 腎機能障害患者
透析を必要とするような腎機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット、ウサギ)で胎盤通過性が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
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9.7.1小児に対しては、本剤を適切に吸入投与できると判断された場合にのみ投与すること。
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9.7.2低出生体重児、新生児、乳児又は4歳以下の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。
相互作用
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| 下痢 | 頻度不明 |
| 不眠症 | 1%未満 |
| 低体温 | 1%未満 |
| 動悸 | 1%未満 |
| 口内炎 | 1%未満 |
| 口渇 | 1%未満 |
| 咽喉乾燥 | 1%未満 |
| 咽喉刺激感 | 1%未満 |
| 喘鳴 | 1%未満 |
| 嗄声 | 1%未満 |
| 嗅覚障害 | 1%未満 |
| 悪心・嘔吐 | 頻度不明 |
| 手指のしびれ感 | 1%未満 |
| 痰 | 1%未満 |
| 発汗 | 1%未満 |
| 発熱 | 1%未満 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 耳鳴 | 1%未満 |
| 胃部不快感 | 1%未満 |
| 背部痛 | 1%未満 |
| 舌あれ | 1%未満 |
| 蕁麻疹 | 1%未満 |
| 血管迷走神経反応 | 頻度不明 |
| 頚部痛 | 1%未満 |
| 頭痛 | 1%未満 |
| 顔面浮腫 | 1%未満 |
| 食欲不振 | 1%未満 |
| 鼻出血 | 1%未満 |
| 鼻漏 | 1%未満 |
| 鼻道刺激感 | 1%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ザナミビルは、インフルエンザウイルス表面に存在する酵素ノイラミニダーゼの選択的な阻害薬であり4)、A型インフルエンザウイルスで知られている全てのサブタイプのノイラミニダーゼ及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを阻害した5),6)。ウイルスノイラミニダーゼは新しく産生されたウイルスが感染細胞から遊離するのに必要であり、さらに、ウイルスが粘膜を通って気道の上皮細胞に接近するのにも必要である可能性がある。ザナミビルは細胞外から作用し、この酵素を阻害することで気道の上皮細胞から感染性のインフルエンザウイルスが遊離するのを阻害し、A型及びB型インフルエンザウイルスの感染の拡大を阻止すると考えられる。
18.2 抗ウイルス作用
- 18.2.1In vitro試験
A型あるいはB型インフルエンザウイルスを感染させたMadin Darbyイヌ腎臓細胞に対して、ザナミビルは用量依存的な抗ウイルス作用を示し、そのIC50値はA型に対して0.004μM~16μM、B型に対して0.005μM~1.3μM、IC90値はA型に対して0.065μM~>100μM、B型に対して0.065μM~8.6μMであった。
- 18.2.2In vivo試験
A型あるいはB型インフルエンザウイルスを鼻腔内に接種し感染させたマウスに対し、ザナミビルの鼻腔内投与はマウス肺中のウイルス力価を用量依存的に低下させた7)。また、A型あるいはB型インフルエンザウイルスを鼻腔内に接種し感染させたフェレットに対して、ザナミビルの鼻腔内投与は鼻腔内洗浄液中のウイルス力価を用量依存的に低下させ、発熱を抑制した8)。
18.3 耐性
急性インフルエンザウイルス感染に対するザナミビルの効果を検討した海外第Ⅱ相9)及び第Ⅲ相臨床試験10)並びに予防効果を検討した海外臨床試験11)で、300例以上の患者から分離したインフルエンザウイルス株においてザナミビルに対する感受性の低下した株は認められなかった。これまでのところ、B型インフルエンザウイルス感染症の免疫力の低下した小児にザナミビルを2週間投与した1症例において、ザナミビル耐性株発現の報告がある12)。 国内において成人及び小児患者を対象にザナミビルに耐性を示すインフルエンザウイルス出現に関する調査を行った(2001年~2005年シーズン:成人、2006年~2009年シーズン:小児)。その結果、本剤投与前又は投与後に分離・同定した580例の患者のインフルエンザウイルス株のIC50値より、ザナミビル耐性が示唆される株は認められなかった。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
健康成人に10mgを単回吸入投与した時の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示した。
| Cmax(ng/mL) | Tmax(hr) | AUC0-24(ng・hr/mL) | T1/2(hr) | |
|---|---|---|---|---|
| 日本人(12例) | 29.77±9.74 | 1.67±0.83 | 166.78±39.07 | 2.56±0.56 |
| 外国人(12例) | 28.96±17.47 | 1.25±0.50 | 149.48±79.10 | 2.48±0.28 |
- 16.1.2反復投与
健康成人に20mgを1日2回6日間反復吸入投与注)した時、健康成人(外国人)に10mgを1日4回6日間注)反復投与した時、蓄積性は認められなかった。
16.2 吸収
経口投与時の絶対的生物学的利用率(消化管からの吸収)は2%であり、残りは糞中に排泄されるものと考えられる1)(外国人データ)。
16.3 分布
In vitroでの血漿蛋白結合率は14%以下であった2)。
16.4 代謝
本薬がCYPの各分子種の代謝能に影響を与えないことがin vitro試験で確認されている2)。
16.5 排泄
- 16.5.1成人吸入投与
健康成人に10mgを単回吸入投与した時、投与後24時間までの未変化体の尿中排泄率は投与量の9.63%(日本人)、及び7.08%(外国人)であった。
- 16.5.2小児吸入投与
小児に10mgを単回吸入投与した時、投与後8時間までの未変化体の尿中排泄率は約5%であった(外国人データを含む)。
- 16.5.3静脈内投与
健康成人に50mg~600mgを単回静脈内投与注)した時、投与後24時間までの未変化体の尿中排泄率は投与量の約85~95%で、ほとんど代謝を受けず、主に腎を介して尿中に排泄された1)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者
健康成人に比較して、重度の腎機能障害患者(CLcr:25mL/min未満)でT1/2が約5倍延長し、AUC0-∞は約7倍増加した。この重度腎機能障害患者に通常用量(1回10mg、1日2回)を5日間吸入投与した時に推定されるAUCは、健康成人に600mgを1日2回5日間静脈内投与注)し忍容性を認めた時のAUC(73110ng・hr/mL)の約40分の1であった(外国人データ)。このことから、海外では投与量の調整を行う必要はないとされているが、腎機能障害患者を対象とした国内臨床試験は行われていない。
- 16.6.2肝機能障害患者
本薬は肝で代謝されない。なお、肝機能障害患者における本剤の薬物動態は検討されていない。
- 16.6.3高齢者
高齢者6例に20mg注)を単回吸入投与した時の血中薬物動態は、健康成人と比較してTmax及びT1/2に変化を認めず、Cmaxは約1.5倍、AUCは約1.6倍高かった。なお、海外では、本薬の主要排泄経路が腎であり、腎機能障害患者において投与量の調整の必要はないことから、高齢者においても投与量の調整は必要ないとされている。
- 16.6.4小児
小児に10mgを単回吸入投与した時の薬物動態パラメータを以下に示した。
| Cmax(ng/mL) | Tmax(hr) | AUCinf(ng・hr/mL) | T1/2(hr) | |
|---|---|---|---|---|
| 日本人(10例) | 30.5±11.5 | 0.8±0.3 | 133.5±51.3 | 2.2±0.5 |
| 外国人(11例) | 44.1±14.8 | 1.0±0.4 | 182.7±68.0 | 2.0±0.3 |
注)本剤を治療に用いる場合の承認用法及び用量は、1回10mg、1日2回5日間の吸入投与である。本剤を予防に用いる場合の承認用法及び用量は、1回10mg、1日1回10日間の吸入投与である。