Clinical snapshot

リピオドール480注10mL

ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステル

添付文書改訂 2023年09月01日

【警告】

  • 〈効能共通〉
  1. 1.1ショック等の重篤な副作用があらわれることがある。
  • 〈医薬品又は医療機器の調製〉
  1. 1.2標的とする部位以外への流入により、重篤な胃穿孔、消化管出血、胃・十二指腸潰瘍、脳塞栓、肺塞栓、急性呼吸窮迫症候群、脊髄梗塞等が起こるおそれがあるため、投与に際しては標的とする部位以外への流入に注意するとともに、投与後は患者の状態を十分に観察すること。
  • 〈注射用エピルビシン塩酸塩の調製〉
  1. 1.3本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法及び肝細胞癌に対する局所療法(経皮的エタノール注入療法、ラジオ波熱凝固療法、マイクロ波凝固療法、肝動脈塞栓療法・肝動脈化学塞栓療法、放射線療法等)に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例にのみ使用すること。適応患者の選択にあたっては、併用薬剤の電子添文を参照して十分注意すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
  • 〈ヒストアクリルの調製〉
  1. 1.4ヒストアクリルの調製

  2. 1.4.1緊急時に十分な措置が可能な医療機関において、ヒストアクリルを用いた治療に対する専門知識と施行技術を有する医師のもとでヒストアクリルを用いた治療が適切と判断される症例についてのみ適用すること。[ヒストアクリルによる治療を適切かつ安全に行うため]

  3. 1.4.2胃静脈瘤の塞栓療法後に、壊死/潰瘍による出血、菌血症、発熱、慢性的瘢痕食道狭窄がまれに起こることがある。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  • 〈効能共通〉
  1. 2.1本剤の成分又はヨウ素に対し過敏症の既往歴のある者[ヨード過敏症発症の確率が極めて高い]

  2. 2.2重篤な甲状腺疾患のある患者[本剤はヨード剤なので甲状腺に影響するおそれがある]

  • 〈子宮卵管撮影〉
  1. 2.3妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

リンパ系撮影、子宮卵管撮影、医薬品又は医療機器の調製

用法・用量

  • 〈リンパ系撮影〉

本剤を皮膚直下の末梢リンパ管内に注入する。用量はヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルとして、通常、上腕片側5~6mL、下肢片側10mLである。注入速度は毎分0.3~0.5mL程度が望ましい。

  • 〈子宮卵管撮影〉

用時医師が定める。ただしヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルとして、通常、5~8mLを200mmHg以下の圧で注入することを原則とし、症状により適宜増減する。

  • 〈医薬品又は医療機器の調製〉

本剤を適量とり、医薬品又は医療機器の調製に用いる。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1ショック等の発現に備え、十分な問診を行うこと。

  2. 8.2投与量と投与方法の如何にかかわらずまれに過敏反応を示すことがある。本剤によるショック等の重篤な副作用は、ヨード過敏反応によるものとは限らず、それを確実に予知出来る方法はないので、投与に際しては必ず救急処置の準備を行うこと。なお、油性造影剤であるため本剤による皮内反応テストは行わないこと。

  3. 8.3投与にあたっては、開始時より患者の状態を観察しながら、過敏反応の発現に注意し、慎重に投与すること。また、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  • 〈子宮卵管撮影〉
  1. 8.4子宮腔内の血管露出部等より血液中へ移行する可能性があり、重篤な副作用が発現するおそれがある。
  • 〈医薬品又は医療機器の調製〉
  1. 8.5調製用剤として用いる場合には、調製する医薬品又は医療機器の電子添文の警告、禁忌、使用上の注意等を必ず確認すること。
  • 〈注射用エピルビシン塩酸塩の調製〉
  1. 8.6注射用エピルビシン塩酸塩を本剤で調製した液は固有肝動脈より可能な限り末梢から投与すること。腫瘍の栄養血管が下横隔動脈、左胃動脈等肝動脈以外である場合は、それらの栄養血管の血管走行を十分検査し、投与すること。投与に際しては、注射用エピルビシン塩酸塩を本剤で調製した液の大動脈への逆流及び胃十二指腸動脈内への流入を回避するように十分注意して、カテーテルを挿入しX線透視下に少量ずつ投与すること。

  2. 8.7門脈本幹との著明なAPシャントのある患者に投与する場合には、シャントより肝側までカテーテルを挿入し、X線透視下で少量ずつ投与すること。

  3. 8.8肝内胆汁性嚢胞、胆管炎、胆管壊死、肝壊死、肝不全、胆嚢炎等があらわれることがあるので、造影剤等により薬剤の分布領域をよく確認すること。

  • 〈ヒストアクリルの調製〉
  1. 8.9本剤によりヒストアクリルを希釈しすぎた場合、標的とする臓器以外の臓器における塞栓、梗塞を起こす可能性があるため注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  • 〈効能共通〉
  1. 9.1.1一般状態の極度に悪い患者

診断上又は治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。副作用が重篤化するおそれがある。

  1. 9.1.2重篤な心障害のある患者

診断上又は治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。副作用が重篤化するおそれがある。

  1. 9.1.3本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギーを起こしやすい体質を有する者

ヨード過敏症発症の確率が高い。

  1. 9.1.4甲状腺疾患のある患者(重篤な甲状腺疾患のある患者を除く)

本剤はヨード剤なので甲状腺に影響するおそれがある。

  • 〈リンパ系撮影〉
  1. 9.1.5呼吸機能の著しく低下している患者

診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。副作用が重篤化するおそれがある。

  1. 9.1.6リンパ管閉塞の明らかな患者、急性耳下腺炎又はリンパ系に炎症のある患者

診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。副作用が重篤化するおそれがある。

  • 〈注射用エピルビシン塩酸塩の調製〉
  1. 9.1.7血管造影で明らかな肝内シャントがある患者

注射用エピルビシン塩酸塩を本剤で調製した液が肝内シャントを介して正常組織に流入し、血管塞栓による重篤な副作用を起こすおそれがある。

  1. 9.1.8血管造影で明らかな門脈腫瘍栓がある患者

門脈血が遮断されているため、注射用エピルビシン塩酸塩を本剤で調製した液の投与により投与部位の血流が低下し、肝不全を起こすおそれがある。

  • 〈ヒストアクリルの調製〉
  1. 9.1.9下記の症状のある患者

治療効果が原疾患の自然経過を上回ると判断される場合以外は使用しないこと。治療に伴い、より全身状態の悪化を起こす可能性がある。 内視鏡的塞栓術に使用する場合には門脈圧亢進症の疾患の特性上ガイドラインに記載されている一般に内視鏡的塞栓術が禁忌とされる状態については、下記の臨床検査値や症状を考慮し、慎重に適用すること。

  • 高度黄疸例(総ビリルビン4.0mg/dL以上)

  • 高度の低アルブミン血症(2.5g/dL以下)

  • 高度の血小板減少(2万/μL以下)

  • 全身の出血傾向(DICなど)

  • 大量の腹水貯留

  • 高度の肝性脳症

  • 高度腎機能不良例

9.2 腎機能障害患者

  • 〈リンパ系撮影〉
  1. 9.2.1重篤な腎障害(無尿等)のある患者

診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。本剤の代謝・排泄が障害されることにより副作用があらわれる可能性がある。

9.3 肝機能障害患者

  • 〈リンパ系撮影〉
  1. 9.3.1重篤な肝障害のある患者

診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。本剤の代謝・排泄が障害されることにより副作用があらわれる可能性がある。

  • 〈注射用エピルビシン塩酸塩の調製〉
  1. 9.3.2総ビリルビン値が3mg/dL以上の患者又は重度の肝障害(Child-Pugh分類C)のある患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。肝不全を起こすことがある。

9.5 妊婦

  • 〈リンパ系撮影〉
  1. 9.5.1妊婦又は妊娠している可能性のある女性には診断上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
  • 〈子宮卵管撮影〉
  1. 9.5.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。子宮卵管撮影は子宮腔内に注入する検査法であり、本剤投与の際にはX線照射を伴う。

  2. 9.5.3子宮卵管撮影後の妊娠例で新生児の甲状腺機能に注意すること。新生児に甲状腺機能低下症、甲状腺腫があらわれることがある。

  • 〈注射用エピルビシン塩酸塩の調製〉
  1. 9.5.4妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
  • 〈ヒストアクリルの調製〉
  1. 9.5.5妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

診断上又は治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
くしゃみ 1〜5%未満
せき 1〜5%未満
チアノーゼ 1〜5%未満
リンパ管炎(一過性) 頻度不明
下痢等 頻度不明
喀痰等 1〜5%未満
油性剤の残留 1〜5%未満
熱感等 頻度不明
甲状腺機能低下症 頻度不明
異物肉芽腫注1) 頻度不明
疼痛 1〜5%未満
発熱 5%以上
発疹 頻度不明
皮膚炎 1〜5%未満
肺脂肪塞栓像 5%以上
胸痛 1%未満
腹痛 1〜5%未満
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 測定法

ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルの構成元素であるヨウ素は高いX線吸収能をもつ。これに基づき、本剤の存在部位と他の生体組織との間にX線画像上のコントラストを生じさせる。

薬物動態

16.3 分布

131Iで標識した本剤について、5匹のイヌを用いてリンパ管内注入を行い、各組織における投与24時間から2週間後までの平均131I分布状態を測定した結果、リンパ節及び胸管に多くの131Iが認められた16) 。

16.5 排泄

イヌを用いたリンパ管投与の試験で平均排泄は約2%であった17) 。ウサギ(n=3)の腹腔内へ本剤100mgI/kgを投与した試験では、投与後48時間以内の血漿中ヨウ素濃度はいずれの測定時間においても検出されず、投与後7日までの尿中排泄は13%であり、消失半減期は約50日と緩慢であったとしている18) 。