Clinical snapshot

リツキサン点滴静注100mg

リツキシマブ(遺伝子組換え)製剤

添付文書改訂 2026年02月01日

【警告】

  1. 1.1本剤の投与は、緊急時に十分に対応できる医療施設において、適応疾患の治療又は臓器移植に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例のみに行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。

  2. 1.2本剤の投与開始後30分~2時間よりあらわれるinfusion reactionのうちアナフィラキシー、肺障害、心障害等の重篤な副作用(低酸素血症、肺浸潤、急性呼吸促迫症候群、心筋梗塞、心室細動、心原性ショック等)により、死亡に至った例が報告されている。これらの死亡例の多くは初回投与後24時間以内にみられている。また、本剤を再投与した時の初回投与後にも、これらの副作用があらわれるおそれがある。本剤投与中はバイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数等)のモニタリングや自他覚症状の観察を行うとともに、投与後も患者の状態を十分観察すること。特に以下の患者については発現頻度が高く、かつ重篤化しやすいので注意すること。

  • 血液中に大量の腫瘍細胞がある(25,000/μL以上)など腫瘍量の多い患者

  • 脾腫を伴う患者

  • 心機能、肺機能障害を有する患者

  1. 1.3腫瘍量の急激な減少に伴い、腎不全、高カリウム血症、低カルシウム血症、高尿酸血症、高リン血症等の腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome)があらわれ、本症候群に起因した急性腎障害による死亡例及び透析が必要となった患者が報告されている。血液中に大量の腫瘍細胞がある患者において、初回投与後12~24時間以内に高頻度に認められることから、急激に腫瘍量が減少した患者では、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分観察すること。また、本剤を再投与した時の初回投与後にも、これらの副作用があらわれるおそれがある。

  2. 1.4B型肝炎ウイルスキャリアの患者で、本剤の治療期間中又は治療終了後に、劇症肝炎又は肝炎の増悪、肝不全による死亡例が報告されている。

  3. 1.5皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)等の皮膚粘膜症状があらわれ、死亡に至った例が報告されている。

  4. 1.6間質性肺炎を合併する全身性強皮症患者で、本剤の投与後に間質性肺炎の増悪により死亡に至った例が報告されている。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  • 〈効能共通〉
  1. 2.1本剤の成分又はマウスタンパク質由来製品に対する重篤な過敏症又はアナフィラキシーの既往歴のある患者
  • 〈全身性強皮症〉
  1. 2.2重度の間質性肺炎を有する患者[症状が悪化するおそれがある]

効能・効果

  • CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫

  • CD20陽性の慢性リンパ性白血病

  • 免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患

  • 多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎

  • 既存治療で効果不十分なループス腎炎

  • *下記のネフローゼ症候群

  • 頻回再発型あるいはステロイド依存性のネフローゼ症候群

・難治性のネフローゼ症候群(頻回再発型、ステロイド依存性あるいはステロイド抵抗性を示す場合)

  • 持続性及び慢性免疫性血小板減少症

  • 後天性血栓性血小板減少性紫斑病

  • **自己免疫性溶血性貧血

  • 全身性強皮症

  • 難治性の尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡

  • 視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防

  • 下記の臓器移植における抗体関連型拒絶反応の抑制 腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植

  • 下記の臓器移植における抗体関連型拒絶反応の治療 腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植

  • インジウム(111In)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液及びイットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液投与の前投与

用法・用量

  • 〈B細胞性非ホジキンリンパ腫〉

通常、成人には、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/m2を1週間間隔で点滴静注する。最大投与回数は8回とする。他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合は、併用する抗悪性腫瘍剤の投与間隔に合わせて、1サイクルあたり1回投与する。維持療法に用いる場合は、通常、成人には、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/m2を点滴静注する。投与間隔は8週間を目安とし、最大投与回数は12回とする。

  • 〈慢性リンパ性白血病〉

他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人には、リツキシマブ(遺伝子組換え)として初回に1回量375mg/m2、2回目以降は1回量500mg/m2を、併用する抗悪性腫瘍剤の投与サイクルに合わせて、1サイクルあたり1回点滴静注する。最大投与回数は6回とする。

  • 〈免疫抑制状態下のB細胞性リンパ増殖性疾患〉

通常、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/m2を1週間間隔で点滴静注する。最大投与回数は8回とする。

  • 〈多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎、後天性血栓性血小板減少性紫斑病、全身性強皮症〉

通常、成人には、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/m2を1週間間隔で4回点滴静注する。

  • 〈既存治療で効果不十分なループス腎炎、持続性及び慢性免疫性血小板減少症、自己免疫性溶血性貧血〉**

通常、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/m2を1週間間隔で4回点滴静注する。

  • *〈ネフローゼ症候群〉

  • 頻回再発型あるいはステロイド依存性のネフローゼ症候群 通常、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/m2を1週間間隔で2回点滴静注する。ただし、1回あたりの最大投与量は500mgまでとする。

  • 難治性のネフローゼ症候群(頻回再発型、ステロイド依存性あるいはステロイド抵抗性を示す場合) 通常、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/m2を1週間間隔で4回点滴静注する。ただし、1回あたりの最大投与量は500mgまでとする。

  • 〈難治性の尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡〉

通常、成人には、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量1,000mg/bodyを2週間間隔で2回点滴静注する。

  • 〈視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発予防〉

通常、成人には、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/m2を1週間間隔で4回点滴静注する。その後、初回投与から6ヵ月毎に1回量1,000mg/body(固定用量)を2週間間隔で2回点滴静注する。

  • 〈臓器移植時の抗体関連型拒絶反応の抑制及び治療〉

通常、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/m2を点滴静注する。ただし、患者の状態により適宜減量する。

  • 〈イブリツモマブ チウキセタンの前投与〉

通常、成人には、リツキシマブ(遺伝子組換え)として250mg/m2を1回、点滴静注する。

  • 〈効能共通〉

本剤は用時生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液にて1~4mg/mLに希釈調製し使用する。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1Infusion reactionがあらわれることがあるので、バイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数等)のモニタリングや自他覚症状の観察など、患者の状態を十分に観察すること。

  2. 8.2腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

  3. 8.3本剤の投与により、B型肝炎ウイルスの再活性化による劇症肝炎又は肝炎があらわれることがある。本剤投与に先立ってB型肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと。

  4. 8.4肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察すること。

  5. 8.5血球減少があらわれることがあるので、本剤の治療期間中及び治療終了後は定期的に血液検査を行うなど患者の状態を十分に観察すること。

  6. 8.6本剤の治療中より末梢血リンパ球の減少があらわれ、治療終了後も持続すること、また免疫グロブリンが減少した例が報告されていることなど、免疫抑制作用により細菌やウイルスによる感染症が生じる又は悪化する可能性がある。本剤によりニューモシスチス肺炎発現のおそれがあるので、適切な予防措置を考慮すること。

  7. 8.7消化管穿孔・閉塞があらわれることがあるので、初期症状としての腹痛、腹部膨満感、下血、吐血、貧血等の観察を十分に行うこと。

  8. 8.8現在までに、本剤の投与により伝達性海綿状脳症(TSE)がヒトに伝播したとの報告はない。本剤は、マスターセルバンク構築時にカナダ、米国又はニュージーランド産ウシの血清由来成分を使用しているが、理論的なリスク評価を行い一定の安全性を確保する目安に達していることを確認している。しかしながら、TSEの潜在的伝播の危険性を完全に排除することはできないことから、疾病の治療上の必要性を十分検討の上、本剤を投与すること。なお、投与に先立ち、患者への有用性と安全性の説明も考慮すること。

  • 〈持続性及び慢性免疫性血小板減少症〉
  1. 8.9本剤により血小板数の過剰増加があらわれたとの報告があるため、血小板数を定期的に測定し、異常が認められた場合は本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
  • 〈免疫抑制状態下のB細胞性リンパ増殖性疾患〉
  1. 8.10本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:リツキシマブ(遺伝子組換え)(免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患(成人))」等)を熟読すること1),2)。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  • 〈効能共通〉
  1. 9.1.1心機能障害のある患者又はその既往歴のある患者

投与中又は投与直後に心電図、心エコー等によるモニタリングを行うなど、患者の状態を十分に観察すること。投与中又は投与後に不整脈、狭心症等を悪化又は再発させるおそれがある。

  1. 9.1.2肺浸潤、肺機能障害のある患者又はその既往歴のある患者

投与中又は投与直後に気管支痙攣や低酸素血症を伴う急性の呼吸器障害があらわれ、肺機能を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.3肝炎ウイルスの感染又は既往を有する患者

本剤の治療期間中及び治療終了後は継続して肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)で、本剤の投与により、B型肝炎ウイルスの再活性化による劇症肝炎又は肝炎があらわれることがある。なお、HBs抗体陽性患者に本剤を投与した後、HBs抗体が陰性の急性B型肝炎を発症した例が報告されている。

  1. 9.1.4感染症(敗血症、肺炎、ウイルス感染等)を合併している患者

免疫抑制作用により病態を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.5重篤な骨髄機能低下のある患者あるいは腫瘍細胞の骨髄浸潤がある患者

好中球減少及び血小板減少を増悪させ重篤化させるおそれがある。

  1. 9.1.6薬物過敏症の既往歴のある患者

  2. 9.1.7アレルギー素因のある患者

  • 〈B細胞性非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、免疫抑制状態下のB細胞性リンパ増殖性疾患、イブリツモマブ チウキセタンの前投与〉
  1. 9.1.8咽頭扁桃、口蓋扁桃部位に病巣のある患者

病巣腫脹による呼吸困難が発現した場合は、副腎皮質ホルモン剤を投与するなど、適切な処置を行うこと。本剤投与後、炎症反応に起因する病巣の一過性の腫脹がみられ、病巣腫脹により呼吸困難をきたしたという報告がある。

  • 〈全身性強皮症〉
  1. 9.1.9軽度及び中等度の間質性肺炎を合併する患者

間質性肺炎の増悪があらわれることがあるので、定期的に胸部CT検査や肺機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察すること。

  1. 9.1.10全身性強皮症に伴う肺高血圧症、腎クリーゼ等の重篤な合併症を有する患者

臨床試験では除外されている。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後12ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ヒトIgGは胎盤関門を通過することが知られており、妊娠中に本剤を投与した患者の出生児において、末梢血リンパ球の減少が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤は母乳中に移行することが報告されている3)。

9.7 小児等

  • 〈B細胞性非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎、後天性血栓性血小板減少性紫斑病、全身性強皮症、難治性の尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡、視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発予防、イブリツモマブ チウキセタンの前投与〉
  1. 9.7.1小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
  • 〈免疫抑制状態下のB細胞性リンパ増殖性疾患、既存治療で効果不十分なループス腎炎、ネフローゼ症候群、持続性及び慢性免疫性血小板減少症、自己免疫性溶血性貧血、臓器移植時の抗体関連型拒絶反応の抑制及び治療〉*
  1. 9.7.2低出生体重児、新生児、乳児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
生ワクチン
又は
弱毒生ワクチン
接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置を行う。 Bリンパ球傷害作用により発病するおそれがある。
不活化ワクチン ワクチンの効果を減弱させるおそれがある。 Bリンパ球傷害作用によりワクチンに対する免疫が得られないおそれがある。
免疫抑制作用を有する薬剤
• 免疫抑制剤
• 副腎皮質ホルモン剤等
発熱などの感染症(細菌及びウイルス等)に基づく症状が発現した場合は、適切な処置を行う。 過度の免疫抑制作用による感染症誘発の危険性がある。
降圧剤 一過性の血圧下降があらわれることがある。 血圧下降を増強させるおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 頻度不明
ALT上昇 5%以上
AST上昇 5%以上
BUN上昇 頻度不明
CRP上昇(13.7%) 5%以上
Dダイマー]増加 頻度不明
LDH上昇 5%以上
アルブミン減少 頻度不明
インフルエンザ様症候群 頻度不明
クレアチニン上昇 頻度不明
しびれ感 頻度不明
しぶり腹 頻度不明
しゃっくり 頻度不明
そう痒(14.0%) 5%以上
フィブリン分解産物[FDP 頻度不明
ほてり 5%以上
下痢 5%以上
不眠症 頻度不明
体重増加 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感(15.2%) 5%以上
動悸 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口内炎 5%以上
口腔咽頭不快感(12.8%) 5%以上
呼吸障害 頻度不明
5%以上
咽喉頭炎(25.5%) 5%以上
喘鳴 頻度不明
多汗 5%以上
好酸球増多 頻度不明
尿酸値上昇 頻度不明
帯状疱疹 頻度不明
徐脈 頻度不明
悪寒(12.6%) 5%以上
悪心・嘔吐(15.6%) 5%以上
投与部位反応(疼痛 頻度不明
末梢性虚血 頻度不明
浮腫 5%以上
潮紅 5%以上
無力症 頻度不明
異常感覚 頻度不明
疼痛(24.7%) 5%以上
発熱(29.8%) 5%以上
発疹(13.6%) 5%以上
皮脂欠乏性湿疹 頻度不明
眩暈 頻度不明
筋攣縮 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
結膜炎 頻度不明
総ビリルビン上昇 頻度不明
総蛋白減少 頻度不明
胸痛 頻度不明
腫脹等) 頻度不明
腹痛 5%以上
蕁麻疹 頻度不明
虚脱感(14.6%) 5%以上
血圧上昇(12.3%) 5%以上
血小板増加 頻度不明
血清病 頻度不明
血管拡張 頻度不明
貧血(17.3%) 5%以上
関節痛 頻度不明
電解質異常 頻度不明
頭痛(13.2%) 5%以上
頻脈 5%以上
食欲不振 5%以上
鼻出血 頻度不明
鼻炎(15.8%) 5%以上

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は、pre-B細胞と成熟B細胞の細胞表面に存在するCD20抗原に特異的に結合することで、補体依存性細胞傷害作用(CDC)及び抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用(ADCC)により、B細胞を傷害する8)。

18.2 補体依存性細胞傷害作用(complement-dependent cytotoxicity、CDC)

本剤はヒト補体の存在下、2.2μg/mLの濃度でSB細胞(ヒト由来CD20陽性細胞)の50%を溶解したが、HSB細胞(ヒト由来CD20陰性細胞)は溶解せず、CD20抗原を有する細胞に対して補体依存性細胞傷害作用を有することが確認された。また、ヒト補体存在下、造血幹細胞(CD34陽性細胞)のコロニー形成能に影響しなかった68)。

18.3 抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、ADCC)

本剤はヒトエフェクター細胞の存在下、3.9μg/mLの濃度でSB細胞の50%を溶解したが、HSB細胞は溶解せず、CD20抗原を有する細胞に対して抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用を有することが確認された68)。

18.4 In vitro CD20抗原特異的結合作用

IDEC-2B8(リツキシマブと同一のCD20抗原認識部位(可変部領域)を有するマウス型CD20モノクローナル抗体)は、既存の抗CD20抗体であるB1のヒトCD20抗原に対する結合を濃度依存的に阻害し、そのIC50(50%阻害濃度)値はB1、Leu16(抗ヒトCD20抗体)の1/2~1/3と、ヒトCD20抗原に対して強い抗原特異的結合能を示した。この強い抗原特異的結合能は、本剤(マウス-ヒトキメラ型抗体)でも維持されていた69)。

18.5 In vitro Bリンパ球特異的結合作用

本剤は、ヒト末梢血Bリンパ球やヒト低悪性度Bリンパ腫細胞と特異的に結合し、他の免疫系細胞とは反応しなかった70)。

18.6 In vivo Bリンパ球傷害作用

カニクイザルに週1回4週間及び4日間連日静注投与した結果、末梢血液、骨髄及びリンパ節中のBリンパ球は著明に減少した。なお、Tリンパ球には変化を認めなかった68)。

18.7 ヒト正常組織との交叉反応性

成人ヒト正常組織の凍結切片との交叉反応性を調べた結果、本剤が反応性を示したのは、リンパ節、骨髄、末梢血細胞、扁桃、脾臓のみで、これ以外の非リンパ系組織とは反応しなかった71)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  • 〈B細胞性非ホジキンリンパ腫〉
  1. 16.1.1国内のCD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫患者に、本剤375mg/m2を週1回4週又は8週投与、CHOPレジメン(シクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩及びプレドニゾロン)との併用による寛解導入療法後に本剤維持療法、及び寛解導入療法の第2サイクル以降に90分間投与を実施した時の薬物動態パラメーターは以下のとおりであった19)。
投与量
(mg/m2)
Cmax
(μg/mL)
T1/2
(hrs)
平均滞留
時間(hrs)
AUC
(μg・hr/mL)
375
×4週
194.3
±58.3
387.8
±188.7
517
±248
118237
±53412

Mean±SD(n=8)

投与量
(mg/m2)
Cmax
(μg/mL)
T1/2
(hrs)
平均滞留
時間(hrs)
AUC
(μg・hr/mL)
375
×8週
445.2
±103.0
393.6
±185.2
568
±267
502147
±174273

Mean±SD(n=15)

投与量
(mg/m2)
Cmax
(μg/mL)
T1/2
(hrs)
平均滞留
時間(hrs)
AUC
(μg・hr/mL)
375
×20回
367.0
±78.9
344
±349
496
±504
3370000
±714000

Mean±SD(n=12)

投与量
(mg/m2)
Cmax
(μg/mL)
T1/2
(hrs)
平均滞留
時間(hrs)
AUC
(μg・hr/mL)
375
×6回
294.0
±41.4
270
±46.1
389
±66.6
548000
±93900
375
×8回
329.0
±46.4
282
±64.1
407
±92.5
753000
±119000

Mean±SD(6回:n=13、8回:n=8)

図16-1 週1回8回反復投与時の血清中濃度(n=15)図16-2 CHOPレジメン併用後維持療法の血清中濃度(n=12)図16-3 第2サイクル以降に90分間投与を実施したCHOPレジメン併用寛解導入療法の血清中濃度(6サイクル:n=13、8サイクル:n=8)

  • 〈慢性リンパ性白血病〉
  1. 16.1.2国内の臨床試験において、未治療のCD20陽性の慢性リンパ性白血病患者に、FCレジメン(フルダラビンリン酸エステル、シクロホスファミド水和物)との併用により、第1サイクルでは本剤375mg/m2、第2サイクル以降は本剤500mg/m2を、28日毎に6サイクル投与した時の薬物動態パラメーターは以下のとおりであった20)。
投与量 Cmax
(μg/mL)
T1/2
(hrs)
平均滞留
時間(hrs)
AUC
(μg・hr/mL)
375mg/m2×1回
500mg/m2×5回
351
±36.3
242
±237
349
±342
804000
±155000

Mean±SD(n=5)

図16-4 FCレジメンと併用投与時の血清中濃度(n=5)

  • 〈ネフローゼ症候群〉
  1. 16.1.3*国内の臨床試験において、18歳未満で特発性ネフローゼ症候群を発症したネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す場合)の患者に、本剤375mg/m2(最大量500mg/回)を1週間間隔で2回投与した時の薬物動態パラメーターは以下のとおりであった21)。
投与量 Cmax
(μg/mL)
T1/2
(hrs)
平均滞留
時間(hrs)
AUC
(μg・hr/mL)
375mg/m2
(500mg/回)
×2週
375
±45.0
154
±64.1
223
±92.5
216000
±49300

Mean±SD(n=17)

図16-5 週1回2回反復投与時の血清中濃度(n=17)

  1. 16.1.4国内の臨床試験において、18歳未満で特発性ネフローゼ症候群を発症した3歳以上の難治性のネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す場合)の患者に、本剤375mg/m2(最大量500mg/回)を1週間間隔で4回投与した時の薬物動態パラメーターは以下のとおりであった22)。
投与量 Cmax
(μg/mL)
T1/2
(hrs)
平均滞留
時間(hrs)
AUC
(μg・hr/mL)
375mg/m2
(500mg/回)
×4週
421
±84.7
234
±86.7
337
±125
366000
±110000

Mean±SD(n=22)

図16-6 週1回4回反復投与時の血清中濃度(n=23)

  1. 16.1.5国内の臨床試験において、18歳未満で特発性ネフローゼ症候群を発症した難治性のネフローゼ症候群(ステロイド抵抗性を示す場合)の患者に、本剤375mg/m2(最大量500mg/回)を1週間間隔で4回投与した時の薬物動態パラメーターは以下のとおりであった23)。
投与量 Cmax
(μg/mL)
T1/2
(hrs)
平均滞留
時間(hrs)
AUC
(μg・hr/mL)
375mg/m2
(500mg/回)
×4週
300
±58.3
78.8
±58.5
114
±84.3
171000
±85100

Mean±SD(n=6)

図16-7 週1回4回反復投与時の血清中濃度(n=6)

  • 〈全身性強皮症〉
  1. 16.1.6国内の全身性強皮症患者に、本剤375mg/m2を週1回投与した時の薬物動態パラメーターは以下のとおりであった24)。
投与量
(mg/m2)
Cmax
(μg/mL)
T1/2
(hrs)注4)
平均滞留
時間(hrs)
AUC
(μg・hr/mL)
375
×4週
485
±268
515
±140
789
±284
338000
±117000

注4)n=26

Mean±SD(n=28)

図16-8 週1回4回反復投与時の血清中濃度(n=28)

  • 〈難治性の尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡〉
  1. 16.1.7国内の臨床試験において、難治性の尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡の患者に、本剤1,000mg/bodyを2週間間隔で2回投与した時の薬物動態パラメーターは以下のとおりであった25)。
投与量 Cmax
(μg/mL)
T1/2
(hrs)注5)
平均滞留
時間(hrs)
AUC
(μg・hr/mL)
1,000mg/body
×2回
433
±79.5
535
±255
566
±310
283000
±90200

注5)n=11

Mean±SD(n=19)

図16-9 2週間間隔2回反復投与時の血清中濃度(n=19)

  • 〈腎移植における抗体関連型拒絶反応の抑制〉
  1. 16.1.8国内のABO血液型不適合腎移植患者に、本剤375mg/m2を移植術の14日前及び1日前に投与した時の薬物動態パラメーターは以下のとおりであった26)。
投与量
(mg/m2)
Cmax
(μg/mL)
T1/2
(hrs)
平均滞留
時間(hrs)
AUC
(μg・hr/mL)
375
×2回
192.0
±49.6
172
±112
248
±161
178000
±38500

Mean±SD(n=15)

図16-10 移植術14日前及び1日前に投与した場合の血清中濃度(n=16)

  1. 16.1.9国内の臨床試験において、DSA陽性・抗HLA抗体陽性腎移植患者に抗体関連型拒絶反応の抑制として本剤375mg/m2を移植術の14日前及び1日前に2回投与した時及び本剤375mg/m2を移植術の14日前に1回投与した時の薬物動態パラメーターは以下のとおりであった27)。
投与量
(mg/m2)
Cmax
(μg/mL)
T1/2
(hrs)
平均滞留
時間(hrs)
AUC
(μg・hr/mL)
375
×2回
289.0
±54.7
79.5
±42.9注6)
115
±61.8注6)
179000
±32500
375
×1回
251.0
±54.8
94.3
±27.4
136
±39.3
62500
±12500

注6)n=12

Mean±SD(2回:n=14、1回:n=6)

図16-11 移植術14日前及び1日前に投与した場合の血清中濃度(n=14)図16-12 移植術14日前に投与した場合の血清中濃度(n=9)

16.3 分布

  • 〈B細胞性非ホジキンリンパ腫〉
  1. 16.3.1腫瘍への移行

海外のCD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫患者に、本剤100、250、500mg/m2注7)を単回点滴静注後、2週目に腫瘍組織を採取し、本剤と結合した腫瘍細胞数を測定して全腫瘍細胞数に対する割合を算出した。その結果、腫瘍組織への移行は採取した7例中6例に認め、結合した割合は30~100%であった。なお、半減期の極めて短かった1例(T1/2:21.2hrs)については、腫瘍組織中への移行を認めなかった28)(外国人データ)。

注7)承認用量は375mg/m2である。