- A型又はB型インフルエンザウイルス感染症
【警告】
-
1.1本剤の投与にあたっては、本剤の必要性を慎重に検討すること。
-
1.2本剤の予防投与における有効性及び安全性は確立していない。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
- 〈成人〉
通常、ペラミビルとして300mgを15分以上かけて単回点滴静注する。
合併症等により重症化するおそれのある患者には、1日1回600mgを15分以上かけて単回点滴静注するが、症状に応じて連日反復投与できる。
なお、年齢、症状に応じて適宜減量する。
- 〈小児〉
通常、ペラミビルとして1日1回10mg/kgを15分以上かけて単回点滴静注するが、症状に応じて連日反復投与できる。投与量の上限は、1回量として600mgまでとする。
使用上の注意
-
8.1抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無又は種類にかかわらず、インフルエンザ罹患時には、異常行動を発現した例が報告されている。 異常行動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として、①異常行動の発現のおそれがあること、②自宅において療養を行う場合、少なくとも発熱から2日間、保護者等は転落等の事故に対する防止対策を講じること、について患者・家族に対し説明を行うこと。 なお、転落等の事故に至るおそれのある重度の異常行動については、就学以降の小児・未成年者の男性で報告が多いこと、発熱から2日間以内に発現することが多いこと、が知られている。
-
8.2細菌感染症がインフルエンザウイルス感染症に合併したり、インフルエンザ様症状と混同されることがある。細菌感染症の場合及び細菌感染症が疑われる場合には、抗菌剤を投与するなど適切な処置を行うこと。
-
8.3肝機能障害、黄疸が投与翌日等の早期にあらわれることがあるので、投与直後から肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察すること。
-
8.4ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、投与中は救急処置の可能な状態で患者の状態を十分に観察すること。また、投与終了後もショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1心臓、循環器系機能障害のある患者
添加剤(塩化ナトリウム、注射用水)によりナトリウムの負荷及び循環血液量を増やすことから心臓に負担をかけ、症状が悪化するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
クレアチニンクリアランス値に応じた用量に基づいて、状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は腎排泄型の薬剤であり、高い血漿中濃度が持続するおそれがある。また、添加剤(塩化ナトリウム、注射用水)により水分、塩化ナトリウムの過剰投与に陥りやすく、症状が悪化するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットで胎盤通過性、ウサギで流産及び早産が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ラットで乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児、腎機能障害を有する小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下していることが多い。
相互作用
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| Al-P上昇 | 頻度不明 |
| ALT上昇 | 頻度不明 |
| AST上昇 | 頻度不明 |
| BUN上昇 | 1%未満 |
| CK上昇 | 1%未満 |
| LDH上昇 | 1%未満 |
| NAG上昇 | 頻度不明 |
| γ-GTP上昇 | 1%未満 |
| じん麻疹 | 頻度不明 |
| ビリルビン上昇 | 1%未満 |
| めまい | 頻度不明 |
| リンパ球増加 | 頻度不明 |
| 下痢(6.3%) | 頻度不明 |
| 不眠 | 頻度不明 |
| 口内炎 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 好酸球増加 | 1%未満 |
| 尿中β2ミクログロブリン上昇 | 頻度不明 |
| 尿中血陽性 | 1%未満 |
| 尿糖 | 1%未満 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 湿疹 | 頻度不明 |
| 発疹 | 1%未満 |
| 腹痛 | 1%未満 |
| 腹部不快感 | 頻度不明 |
| 蛋白尿 | 頻度不明 |
| 血中ブドウ糖増加 | 頻度不明 |
| 血小板減少 | 頻度不明 |
| 血管痛 | 頻度不明 |
| 霧視 | 頻度不明 |
| 食欲不振 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ヒトA型及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを選択的に阻害する。インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼはシアル酸切断活性を有し、糖鎖末端のシアル酸を切断することで、子孫ウイルスが感染細胞の表面から遊離できるように働く。ペラミビルはノイラミニダーゼを阻害することによって感染細胞の表面から子孫ウイルスが遊離するステップを抑制し、ウイルスが別の細胞へ拡散することを防ぎ、結果的にウイルス増殖抑制作用を示す12)。
18.2 薬理作用
- 18.2.1インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに対する阻害作用
ヒトA型及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに対して阻害活性を示し、その50%阻害濃度はA型で0.54~11nmol/L、B型で6.8~17nmol/Lであった12)(in vitro試験)。
- 18.2.2インフルエンザウイルス感染マウスに対する治療効果
ヒトA型及びB型インフルエンザウイルス感染マウス致死モデルにおいて、ペラミビルの単回静脈内投与により用量依存的に生存数の増加が認められ、その50%有効量はA型で0.4~1.5mg/kg、B型で0.1~1.0mg/kgであった12)。
18.3 耐性
成人患者を対象とした国内第Ⅱ相試験及び小児患者を対象とした国内第Ⅲ相試験において、本剤投与前後で、本剤に対する感受性が3倍以上低下した株がA型のみ少数例に認められた6),9)。なお、成人患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験では、これらの感受性低下株と同じ亜型で同程度の感受性を示す株に感染した患者で治療効果が確認されている10)。また、in vitro耐性ウイルス分離試験において、類薬との交叉耐性を示す耐性株の出現が報告されているが、本剤に特有の耐性株は報告されていない13),14)。
薬物動態
16.1 血中濃度
健康成人男性各6例に100mg、200mg、400mg、800mg注1を単回点滴静注したときの血漿中濃度を図16-1に、単回/反復点滴静注したときの薬物動態パラメータを表16-1に示す。Cmax及びAUCは用量比例的に増大し、平均滞留時間(MRT)は約3時間でペラミビルは速やかに消失した。反復投与での体内動態は単回投与時とほとんど変わらず、蓄積性は認められなかった1)。
| 投 与 量 (mg) |
例数 | 単回投与 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| Cmax (ng/mL) |
AUC0-∞ (ng・hr/mL) |
CL※1 (L/hr) |
MRT (hr) |
Vss※2 (L) |
||
| 100 | 6 | 11200±2900 | 17513±2001 | 5.77±0.61 | 2.64±0.33 | 15.16±2.14 |
| 200 | 6 | 21100±1600 | 33695±3622 | 5.99±0.65 | 2.65±0.27 | 15.77±1.35 |
| 400 | 6 | 46800±7000 | 63403±8620 | 6.41±0.90 | 2.44±0.28 | 15.53±1.71 |
| 800 | 6 | 86200±15400 | 133795±19972 | 6.10±0.96 | 2.83±0.49 | 16.96±1.53 |
| 投 与 量 (mg) |
例数 | 反復投与 (6日目) | |||
|---|---|---|---|---|---|
| Cmax (ng/mL) |
AUC0-τ※3 (ng・hr/mL) |
CL※1 (L/hr) |
|||
| 100 | 6 | 10900±2000 | 16436±1540 | 6.13±0.56 | |
| 200 | 6 | 19800±2300 | 30358±2980 | 6.64±0.69 | |
| 400 | 6 | 45300±8000 | 65409±9498 | 6.23±0.93 | |
| 800 | 6 | 85500±13100 | 131385±12871 | 6.14±0.58 |
※1:全身クリアランス
※2:定常状態分布容積
※3:定常状態の投与間隔(24時間)でのAUC
(測定法:LC/MS/MS)(平均値±標準偏差)
16.3 分布
- 16.3.1ヒトでの組織移行
健康成人男性各6例に100mg、200mg、400mg、800mg注1を単回点滴静注したとき、上気道分泌液(咽頭分泌液及び鼻腔分泌液)中の薬物濃度は投与量の増加に伴い増大した。上気道分泌液中には血漿中に比し、AUCとして3~9%が移行することが確認された。また、400 mg投与時の咽頭分泌液及び鼻腔分泌液中の濃度は最高濃度としてそれぞれ平均930及び1210ng/mLであった1)。
- 16.3.2ラットでの組織移行
ラットに[14C]-ペラミビル24mg/kgを単回静脈内投与したとき、すべての組織中放射能濃度は投与5分後に最高濃度を示した。また、作用部位である肺及び気管においても良好な分布が認められ、主排泄臓器である腎臓ではより高い分布が認められた。すべての組織中放射能濃度は、投与48時間後までに定量限界未満となり、組織への蓄積性及び残留性は低いことが示唆された。一方、脳内への移行性は極めて低いことが示された2)。
- 16.3.3蛋白結合率
限外ろ過法により測定したヒト血清蛋白結合率は、1~100μg/mLの濃度範囲において0.3~1.8%であった3)(in vitro試験)。
16.4 代謝
健康成人男性6例に400mgを単回点滴静注したときの血漿及び尿中に代謝物は検出されず、未変化体のみが検出された1)。
16.5 排泄
健康成人男性各6例に100mg、200mg、400mg、800mg注1を単回点滴静注したときの投与開始後48時間までの尿中排泄率(平均値)は86.3~95.4%、6日間反復投与したときの総投与量に対する尿中排泄率(平均値)は77.2~92.6%であった1)。
16.6 特定の背景を有する患者
-
16.6.1腎機能障害者
-
(1)日本人健康成人及びインフルエンザ患者、並びに外国人健康成人、腎機能障害者及び健康高齢者を対象とした臨床試験より得られた332症例、3199ポイントの血漿中濃度について、母集団薬物動態解析を行った。ペラミビルの薬物動態(CL)に対する影響因子として、腎機能障害の程度(Ccr)が薬物動態に与える影響が大きく、Ccrに応じた投与量の調節が必要であると考えられた4)。 腎機能障害者群における用量調節時(300mg投与相当)の血漿中濃度シミュレーションを図16-2に示す。また、各腎機能障害者群における用量調節時のCmax及びAUCを表16-2に示す。
| Ccr (mL/min) |
300mg投与相当 | 600mg投与相当 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 投与量 (mg) |
Cmax (ng/mL) |
AUC (ng・hr/mL) |
投与量 (mg) |
Cmax (ng/mL) |
AUC (ng・hr/mL) |
|
| 10≦Ccr<30 | 50 | 4742 (3192- 7467) |
37162 (21433- 87284) |
100 | 9415 (6414- 14591) |
75745 (42922- 173312) |
| 30≦Ccr<50 | 100 | 9245 (6291- 14323) |
33669 (22976- 50453) |
200 | 18471 (12564- 28283) |
67786 (45769- 102417) |
| 50≦Ccr<80 | 300 | 27044 (18652- 40920) |
60233 (41298- 87803) |
600 | 54047 (37078- 81364) |
119015 (83155- 175174) |
| 80≦Ccr<140 | 300 | 26005 (18133- 38645) |
36423 (26114- 52916) |
600 | 51814 (36020- 76820) |
72307 (51520- 104974) |
※:中央値(90%予測範囲)母集団薬物動態解析ソフトNONMEMⓇに基づく薬物動態パラメータを用いたシミュレーション結果
- (2)腎機能障害者を含む22例に2mg/kg注2を単回点滴静注したときの血漿中濃度を図16-3に、薬物動態パラメータを表16-3に示す。腎機能の低下に伴い、ペラミビルの血漿中からの消失が遅延し、AUCが増大することが示された5)(外国人データ)。
| Ccr (mL/min) |
例数 | Cmax (ng/mL) |
AUC0-∞ (ng・hr/mL) |
CL (mL/min) |
|---|---|---|---|---|
| Ccr<30 | 5 | 13200±2910 | 137000±41100 | 21.1±4.68 |
| 30≦Ccr<50 | 6 | 13700±3780 | 108000±31200 | 26.8±5.35 |
| 50≦Ccr≦80 | 5 | 12500±3590 | 33900±7880 | 77.9±21.4 |
| Ccr>80 | 6 | 12800±2860 | 26000±3180 | 108±9.90 |
(測定法:LC/MS/MS)(平均値±標準偏差)
-
(3)血液透析患者6例に2mg/kg注2を単回点滴静注したときの血漿中濃度を図16-4に示す。点滴開始2時間後から4時間かけて血液透析することによって血漿中濃度は約1/4まで低下した5)(外国人データ)。
-
16.6.2小児患者
小児患者115例(4ヵ月~15歳)に10mg/kg(体重60kg以上は600mg)を単回点滴静注したときの点滴終了後4時間までの血漿中濃度(185ポイント)を図16-5に示す。また、血漿中濃度が測定できた全297ポイントを用いて母集団薬物動態解析を行い、得られた薬物動態パラメータを表16-4に示す6)。
| 例数 | Cmax (ng/mL) | AUC0-∞ (ng・hr/mL) | |
|---|---|---|---|
| 全体 | 115 | 38768 (23880-58835) | 56569 (37531-82620) |
| 0~1歳未満 | 4 | 25848 (23880-28319) | 47941 (43040-53535) |
| 1~2歳未満 | 8 | 27587 (24793-37604) | 44472 (41398-52018) |
| 2~6歳未満 | 19 | 33804 (26787-42224) | 46784 (37531-61870) |
| 6~16歳未満 | 84 | 41127 (27216-58835) | 60478 (41801-82620) |
※:中央値(最小値-最大値)、母集団薬物動態解析ソフトNONMEMⓇに基づく薬物動態パラメータを用いたベイジアン推定値
- 16.6.3高齢者
健康高齢者(65歳以上)20例、健康非高齢者6例に4mg/kg注2を単回点滴静注したときの薬物動態パラメータを表16-5に示す。高齢者のAUCは非高齢者の約1.3倍であったが、Cmaxは類似していた7)(外国人データ)。
| 例数 | Cmax (ng/mL) | AUC0-12hr (ng・hr/mL) | |
|---|---|---|---|
| 高齢者 | 20 | 22648±4824 | 61334±8793 |
| 非高齢者 | 6 | 20490±3908 | 46200±4460 |
(測定法:LC/MS/MS)(平均値±標準偏差)
16.7 薬物相互作用
ペラミビルは主要なヒト肝チトクロームP450(CYP)酵素であるCYP1A2、2A6、2C9、2C19、2D6、2E1及び3A4に対して阻害作用を示さず、CYP1A2、2A6、2C9、2D6及び3A4に対して誘導作用を示さなかった。また、ペラミビルはP-糖蛋白の基質ではなく、P-糖蛋白による薬物輸送も阻害しないことが示された8)(in vitro試験)。
注1:本剤の成人に対する承認最高用量は600mgである。
注2:本剤の成人に対する承認された用法・用量とは異なる。