HIV感染症
【警告】
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1.1過敏症
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1.1.1海外の臨床試験において、アバカビル投与患者の約5%に過敏症の発現を認めており、まれに致死的となることが示されている。アバカビルによる過敏症は、通常、アバカビル含有製剤による治療開始6週以内(中央値11日)に発現するが、その後も継続して観察を十分に行うこと。
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1.1.2アバカビルによる過敏症では以下の症状が多臓器及び全身に発現する。
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皮疹
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発熱
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胃腸症状(嘔気、嘔吐、下痢、腹痛等)
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疲労感、倦怠感
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呼吸器症状(呼吸困難、咽頭痛、咳等) 等 このような症状が発現した場合は、直ちに担当医に報告させ、アバカビルによる過敏症が疑われたときは本剤の投与を直ちに中止すること。
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1.1.3アバカビルによる過敏症が発現した場合には、決してアバカビル含有製剤を再投与しないこと。本製剤の再投与により数時間以内にさらに重篤な症状が発現し、重篤な血圧低下が発現する可能性及び死に至る可能性がある。
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1.1.4呼吸器疾患(肺炎、気管支炎、咽頭炎)、インフルエンザ様症候群、胃腸炎、又は併用薬による副作用と考えられる症状が発現した場合あるいは胸部X線像異常(主に浸潤影を呈し、限局する場合もある)が認められた場合でも、アバカビルによる過敏症の可能性を考慮し、過敏症が否定できない場合は本剤の投与を直ちに中止し、決して再投与しないこと。
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1.1.5患者に過敏症について必ず説明し、過敏症を注意するカードを常に携帯するよう指示すること。また、過敏症を発現した患者には、アバカビル含有製剤を二度と服用しないよう十分指導すること。
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1.2B型慢性肝炎を合併している患者では、ラミブジンの投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので、本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性の場合、重症化するおそれがあるので注意すること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
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2.2重度の肝障害患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人には1回1錠(ラミブジンとして300mg及びアバカビルとして600mg)を1日1回経口投与する。
使用上の注意
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8.1本剤はHIV感染症治療の経験を有する医師が投与を行うこと。
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8.2本剤の再投与を考慮する際は、次のことに注意すること。
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アバカビルによる過敏症に関連する症状は、再投与により初回より重篤な再発が認められる。重篤な血圧低下をきたし死に至る可能性があるので、アバカビルによる過敏症が疑われた患者には、決して再投与しないこと。
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アバカビル含有製剤を中止した理由を再度検討し、アバカビルと過敏症との関連性が否定できない場合は再投与しないこと。
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投与中止前に過敏症の主な症状(皮疹、発熱、胃腸症状等)の1つのみが発現していた患者には、本剤の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ、必要に応じて入院のもとで投与を行うこと。
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過敏症の症状又は徴候が認められていなかった患者に対しても、直ちに医療施設に連絡できることを確認した上で投与を行うこと。
- 8.3*本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
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本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染症を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。
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アバカビルの投与後過敏症が発現し、まれに致死的となることが報告されている。過敏症を注意するカードに記載されている徴候又は症状である発熱、皮疹、疲労感、倦怠感、胃腸症状(嘔気、嘔吐、下痢、腹痛等)及び呼吸器症状(呼吸困難、咽頭痛、咳等)等が発現した場合は、直ちに担当医に報告し、本剤の服用を中止すべきか否か指示を受けること。また、過敏症を注意するカードは常に携帯すること。
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アバカビル含有製剤の再投与により重症又は致死的な過敏症が数時間以内に発現する可能性がある。したがって、本剤の服用を中断した後に再びアバカビル含有製剤を服用する際には、必ず担当医に相談すること。担当医又は医療施設を変わる場合には本剤の服用歴がある旨を新しい担当医に伝えること。
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本剤はラミブジン及びアバカビルの固定用量を含有する配合剤であるので、本剤に加えてラミブジン含有製剤又はアバカビル含有製剤をさらに追加して服用しないこと。
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8.4本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築症候群が報告されている。投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること。
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8.5膵炎が発症する可能性があるので、血清アミラーゼ、血清リパーゼ、トリグリセリド等の生化学的検査を定期的に行うこと。
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8.6重篤な血液障害、乳酸アシドーシス、脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)、横紋筋融解症、ニューロパシー、錯乱、痙攣、心不全、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1膵炎を発症する可能性のある患者(膵炎の既往歴のある患者、膵炎を発症させることが知られている薬剤との併用療法を受けている患者)
膵炎を再発又は発症する可能性がある。本剤の適用を考える場合には、他に十分な効果の認められる治療法がない場合にのみ十分注意して行うこと。
- 9.1.2B型肝炎ウイルス感染を合併している患者
本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性の場合、重症化するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1腎機能障害(Ccrが30mL/min未満)を有する患者
ラミブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある。
- 9.2.2腎機能障害(Ccrが30~49mL/min)を有する患者
血液検査等をより頻回に行うなど、慎重に患者の状態を観察すること。ラミブジンに関連する副作用の発現が疑われる場合は、個別のラミブジン製剤又はアバカビル製剤を用いてラミブジンの用量調節を考慮すること。ラミブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1重度の肝障害患者
投与しないこと。アバカビルの血中濃度が上昇することにより、副作用が発現するおそれがある。
- 9.3.2軽度又は中等度の肝障害患者
アバカビルの血中濃度が上昇することにより、副作用が発現するおそれがある。
9.5 妊婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 動物実験においてラミブジン及びアバカビルに関して次のことが報告されている。
- 9.5.1ラミブジン
ラミブジンはヒト胎盤を通過する。出生児の血清中ラミブジン濃度は、分娩時の母親の血清中及び臍帯血中濃度と同じであることが報告されている(外国人データ)。 動物実験(ウサギ)で胎児毒性(早期の胚死亡数の増加)が報告されている。
- 9.5.2アバカビル
動物において、アバカビル又はその代謝物は胎盤を通過することが示されている。また、動物(ラットのみ)において、アバカビルの500mg/kg/日又はそれ以上の投与量(ヒト全身曝露量(AUC)の32~35倍)で、胚又は胎児に対する毒性(胎児の浮腫、変異及び奇形、吸収胚、体重減少、死産の増加)が認められたとの報告がある。
- 9.5.3ラミブジン/アバカビル共通
ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)を子宮内曝露又は周産期曝露された新生児及び乳児において、ミトコンドリア障害によると考えられる軽微で一過性の血清乳酸値の上昇が報告されている。 非常にまれに発育遅延、てんかん様発作、他の神経疾患も報告されている。しかしながら、これら事象とNRTIの子宮内曝露、周産期曝露との関連性は確立していない。
9.6 授乳婦
- 授乳を避けさせること。一般に、HIVの乳児への移行を避けるため、あらゆる状況下においてHIVに感染した女性は授乳すべきでない。
- 9.6.1ラミブジン
経口投与されたラミブジンはヒト乳汁中に排泄されることが報告されている(乳汁中濃度:<0.5-8.2μg/mL)4)(外国人データ)。 ラミブジンの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比は0.6~3.3であることが報告されている(外国人データ)。 乳児の血清中ラミブジン濃度は18~28ng/mLであったとの報告がある(外国人データ)。
- 9.6.2アバカビル
アバカビルの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比は0.9であることが報告されている5)(外国人データ)。
9.7 小児等
ラミブジン又はアバカビルの用量調節が必要である12歳未満の小児患者には、個別のラミブジン製剤(エピビル錠)又はアバカビル製剤(ザイアジェン錠)を用いること。
9.8 高齢者
患者の肝、腎、及び心機能の低下、合併症、併用薬等を十分考慮し慎重に投与すること。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| スルファメトキサゾール・トリメトプリム | ラミブジンのAUCが43%増加し、全身クリアランスが30%、腎クリアランスが35%減少したとの報告がある。 | 腎臓における排泄がラミブジンとトリメトプリムで競合すると考えられている。 |
| ソルビトール | 経口ソルビトール溶液(ソルビトールとして3.2g、10.2g、13.4g)とラミブジンの併用により、ラミブジンのAUCが減少した(それぞれ18%、36%、42%減少)との報告がある。 | ソルビトールによりラミブジンの吸収が抑制されると考えられている。 |
| アルコール(飲酒) |
アバカビルの代謝はエタノールによる影響を受ける。アバカビルのAUCが約41%増加したが、エタノールの代謝は影響を受けなかったとの報告がある16)。 | アルコールデヒドロゲナーゼの代謝基質として競合すると考えられている。 |
| メサドン塩酸塩 | メサドンのクリアランスが22%増加したことから、併用する際にはメサドン塩酸塩の増量が必要となる場合があると考えられる。なお、アバカビルの血中動態は臨床的意義のある影響を受けなかった(Cmaxが35%減少し、tmaxが1時間延長したが、AUCは変化しなかった)。 | 機序不明 |
| リオシグアト | 本剤とリオシグアトの併用により、リオシグアトのAUCが増加するおそれがある。本剤との併用が必要な場合は、患者の状態に注意し、必要に応じてリオシグアトの減量を考慮すること。 | アバカビルのCYP1A1阻害作用によりリオシグアトの代謝が阻害される。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALT等の上昇) | 頻度不明 |
| CK上昇 | 1%未満 |
| アミラーゼ上昇 | 頻度不明 |
| アレルギー反応 | 頻度不明 |
| うつ病 | 1%未満 |
| そう痒 | 1%未満 |
| トリグリセリド上昇・血清コレステロール上昇 | 頻度不明 |
| めまい | 1%未満 |
| リンパ球減少 | 頻度不明 |
| リンパ節症 | 頻度不明 |
| 上気道炎 | 頻度不明 |
| 下痢 | 1%未満 |
| 不安感 | 頻度不明 |
| 体幹部の脂肪増加 | 1%未満 |
| 体温調節障害 | 頻度不明 |
| 体脂肪の再分布/蓄積(胸部 | 1%未満 |
| 体重減少 | 頻度不明 |
| 倦怠感 | 1%未満 |
| 副鼻腔炎 | 頻度不明 |
| 呼吸困難 | 1%未満 |
| 呼吸障害 | 頻度不明 |
| 咳 | 1%未満 |
| 咽頭痛 | 頻度不明 |
| 嗜眠 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 1%未満 |
| 嘔気 | 頻度不明 |
| 平均赤血球容積(MCV)増加 | 頻度不明 |
| 心筋症 | 頻度不明 |
| 感情障害 | 頻度不明 |
| 敗血症 | 頻度不明 |
| 末梢神経障害 | 頻度不明 |
| 末梢部 | 1%未満 |
| 気管支炎 | 頻度不明 |
| 消化不良 | 頻度不明 |
| 湿疹 | 頻度不明 |
| 無力症 | 1%未満 |
| 疲労 | 頻度不明 |
| 疲労感 | 頻度不明 |
| 疼痛 | 頻度不明 |
| 痔核 | 頻度不明 |
| 痤瘡・毛嚢炎 | 頻度不明 |
| 発汗 | 頻度不明 |
| 発熱 | 1%未満 |
| 発疹(皮膚炎 | 頻度不明 |
| 皮疹を含む) | 頻度不明 |
| 睡眠障害 | 1%未満 |
| 筋痙直 | 頻度不明 |
| 筋肉痛 | 1%未満 |
| 総蛋白上昇 | 頻度不明 |
| 総蛋白低下 | 頻度不明 |
| 耳管炎 | 頻度不明 |
| 肝機能検査値異常(AST | 頻度不明 |
| 肺炎 | 頻度不明 |
| 胃炎 | 1%未満 |
| 脱毛 | 頻度不明 |
| 脱水(症) | 頻度不明 |
| 腹痛 | 1%未満 |
| 腹部痙直 | 頻度不明 |
| 血中尿酸上昇 | 頻度不明 |
| 血清クレアチニン上昇 | 1%未満 |
| 血清脂質増加 | 1%未満 |
| 血糖値上昇 | 1%未満 |
| 血糖値低下 | 頻度不明 |
| 血糖増加) | 1%未満 |
| 重炭酸塩上昇 | 頻度不明 |
| 重炭酸塩低下 | 頻度不明 |
| 野牛肩 | 1%未満 |
| 錯感覚 | 頻度不明 |
| 関節痛 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 1%未満 |
| 顔面の脂肪減少 | 1%未満 |
| 食欲不振 | 1%未満 |
| 骨痛 | 頻度不明 |
| 高乳酸塩血症 | 頻度不明 |
| 鼓腸放屁 | 頻度不明 |
| 鼻炎 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
- 18.1.1ラミブジン
ラミブジンは細胞内でリン酸化され、HIVを感染させた細胞内での半減期が約12時間の活性化型の三リン酸化体に変換される20)。ラミブジン三リン酸化体はHIVの逆転写酵素によりデオキシシチジン三リン酸の代わりにウイルスDNA鎖に取り込まれ、DNA鎖の伸長を停止させることによりHIVの複製を阻害する21)。また、ラミブジン三リン酸化体はHIVの逆転写酵素を競合的に阻害する21)。一方、in vitroで、ヒト末梢血リンパ球、リンパ球系・単球-マクロファージ系の株化細胞22)及び種々のヒト骨髄前駆細胞に対するラミブジンの細胞毒性は弱かった。
- 18.1.2アバカビル
アバカビルは細胞内で活性化型のカルボビル三リン酸に変換される。カルボビル三リン酸は天然基質デオキシグアノシン三リン酸に代わってウイルスDNA鎖に取り込まれ、DNA鎖の伸長を停止させることによりHIVの複製を阻害する。また、カルボビル三リン酸はHIV逆転写酵素を競合的に阻害する23),24),25)。
18.2 抗ウイルス作用
- 18.2.1ラミブジン
In vitroでのラミブジンのHIV-1(RF、GB8、U455及びⅢB)に対するIC50値は670nM以下、HIV-2 RODに対するIC50値は40nMであった22)。 In vitroでアバカビル、ジダノシン、ネビラピン、ザルシタビン及びジドブジンとの相加又は相乗作用が認められた26)。
- 18.2.2アバカビル
アバカビルのHIV-1に対するIC50値はHIV-1 ⅢBに対して3.7~5.8μM、臨床分離株に対して0.26±0.18μM(n=8)であった。また、HIV-2に対するIC50値はHIV-2 LAV-2に対して7.5μMであった。In vitroでNRTIのジダノシン、エムトリシタビン、ラミブジン、サニルブジン、テノホビル、ザルシタビン及びジドブジン、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)のネビラピン、及びプロテアーゼ阻害剤のアンプレナビルとの相加又は相乗作用が認められた10),25)。また、ヒト末梢血単核球から活性化リンパ球を除いた場合に、より強い抗HIV作用を示したことから、アバカビルは静止細胞でより強く抗ウイルス作用を示すものと考えられる27)。
18.3 薬剤耐性
- 18.3.1ラミブジン
ラミブジンを含む抗HIV薬で治療を受けたHIV-1感染症患者で発現するラミブジン耐性HIV-1には、HIV逆転写酵素の活性部位に近い184番目のアミノ酸のメチオニンからバリンへの変異(M184V)がみられる28)。このM184V変異の結果、ウイルスのラミブジンに対する感受性は著明に低下し28),29)、in vitroでのウイルスの複製能力は低下する30)。 In vitroにおいて、ジドブジン耐性臨床分離株にラミブジン耐性変異を導入すると、ジドブジンに対する感受性は回復することが確認されている。また、抗HIV薬の治療経験のない患者にジドブジン及びラミブジンを併用することにより、ジドブジン耐性ウイルスの出現が遅延する31)。さらに、抗HIV薬(ラミブジンを含む)の多剤併用療法はM184V変異ウイルスを有する患者と同様、抗HIV薬の治療経験のない患者においても有効性が確認されている32),33)。
- 18.3.2アバカビル
アバカビルに対して低感受性のHIV-1分離株がin vitro及びアバカビル投与患者から分離されており、いずれも逆転写酵素にM184V、K65R、L74V及びY115Fの変異が確認された。これらの変異を2種以上含むことにより、アバカビル感受性は1/10に低下した。臨床分離株ではM184V及びL74Vの変異が頻回に観察された10),23)。
18.4 交差耐性
- 18.4.1ラミブジン
ジドブジン及びサニルブジンは、ラミブジン耐性HIV-1に対し抗ウイルス活性を維持する29),31),34)。 アバカビルはM184V変異のみが認められているウイルスに対しては、抗ウイルス活性を維持する23)。 また、ジダノシン及びザルシタビンは、M184V変異ウイルスに対して感受性が低下するというin vitroでの報告があるが、これらの感受性の低下と臨床効果の関係は明らかにされていない35)。
- 18.4.2アバカビル
2種以上のアバカビル関連耐性変異を獲得したHIV-1株のうち数種は、in vitroでラミブジン、ジダノシン及びザルシタビンに対して交差耐性を示し、一方、ジドブジン及びサニルブジンには感受性を示した23)。 アバカビルとHIVプロテアーゼ阻害剤とは標的酵素が異なることから、両者間で交差耐性を示す可能性は低く、NNRTIも逆転写酵素の結合部位が異なることから、交差耐性を示す可能性は低いものと考えられる。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回経口投与
HIV感染症患者9例にラミブジン・アバカビル硫酸塩配合錠を空腹時単回投与した時のラミブジン、アバカビルの薬物動態パラメータを表-1に示した6)。
| Cmax (μg/mL) |
AUClast (h・μg/mL) |
AUC0-τ (h・μg/mL) |
tmax注1) (h) |
t1/2 (h) |
|
|---|---|---|---|---|---|
| ラミブジン | 3.58±0.61 | 13.81±3.56 | 16.30±5.058 | 2.00 (1.00-3.00) |
2.49±0.55 |
| アバカビル | 5.68±2.04 | 12.56±4.01 | 12.89±4.22 | 1.00 (0.50-1.03) |
1.50±0.16 |
平均値±標準偏差、9例 注1)中央値(範囲)
- 16.1.2生物学的同等性試験
ラバミコム配合錠「アメル」とエプジコム配合錠を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ラミブジンとして300mg、アバカビルとして600mg)健康成人男子に絶食単回経口投与してラミブジン及びアバカビルの血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された7)。
| 判定パラメータ | 参考パラメータ | |||
|---|---|---|---|---|
| AUC(0→24) (μg・hr/mL) |
Cmax (μg/mL) |
Tmax (hr) |
T1/2 (hr) |
|
| ラバミコム配合錠「アメル」 | 14.23±2.84 | 3.34±0.85 | 2.05±0.89 | 4.33±0.43 |
| エプジコム配合錠 | 14.41±2.54 | 3.38±0.69 | 2.08±0.66 | 4.32±0.45 |
(Mean±S.D.,n=39)
図-1 血漿中未変化体濃度(生物学的同等性、ラミブジン)
| 判定パラメータ | 参考パラメータ | |||
|---|---|---|---|---|
| AUC(0→12) (μg・hr/mL) |
Cmax (μg/mL) |
Tmax (hr) |
T1/2 (hr) |
|
| ラバミコム配合錠「アメル」 | 16.73±4.15 | 6.72±2.42 | 1.13±0.72 | 1.67±0.24 |
| エプジコム配合錠 | 16.70±3.37 | 6.26±1.51 | 1.44±0.66 | 1.65±0.23 |
(Mean±S.D.,n=39)
図-2 血漿中未変化体濃度(生物学的同等性、アバカビル)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
- 16.2.1食事の影響
健康成人25例に、高脂肪食(約1000kcal、約50%が脂肪由来)摂取後にラミブジン・アバカビル硫酸塩配合錠を経口投与した時、空腹時投与時と比較して、ラミブジンのAUClast、AUC∞、Cmax、及びアバカビルのAUClast、AUC∞に変化は認められなかったが、アバカビルのCmaxは24%低下した10)(外国人データ)。
16.3 分布
-
16.3.1ラミブジン
-
(1)脳脊髄液への移行
成人HIV感染症患者にラミブジン4~10mg/kg注)を1日2回2週間以上反復経口投与した時、投与2時間後の脳脊髄液中濃度は血中濃度の約6%であった8)(外国人データ)。
-
16.3.2アバカビル
-
(1)分布容積
HIV感染症患者6例を対象にアバカビル150mgを静脈内投与注)した時の見かけの分布容積は約0.86L/kgであり、広く組織に分布することが示唆された9),10)(外国人データ)。
- (2)脳脊髄液への移行
HIV感染症患者におけるアバカビルの脳脊髄液(CSF)への移行は良好で、血漿中AUCに対するCSF中AUCの比は31~44%であった11)(外国人データ)。アバカビル600mg1日2回投与時の最高濃度の実測値はIC50(0.08μg/mLあるいは0.26μM)の9倍超であった10)(外国人データ)。
- (3)血漿蛋白結合率
In vitroにおいて、アバカビルは10μg/mLまでの添加濃度範囲で、ヒト血漿蛋白結合率は約50%と一定であった10)。
- (4)血球移行性
血液及び血漿中放射能濃度が同じであったことから、アバカビルは血球に直ちに分布することが示された10)。
16.4 代謝
- 16.4.1ラミブジン
ヒトでの主代謝物はトランス-スルホキシド体(1-[(2R5S)-trans-2-hydroxymethyl-1,3-oxathiolan-3-oxide-5-yl]cytosine)であった12)(外国人データ)。
- 16.4.2アバカビル
ヒトでの主代謝物は、5'-カルボン酸体及び5'-グルクロン酸抱合体であった11)(外国人データ)。アバカビルの酸化的代謝にはCYPではなく、アルコールデヒドロゲナーゼ/アルデヒドデヒドロゲナーゼが関与していた。なお、これらの代謝物には抗ウイルス活性はなかった10)。 アバカビルは細胞内で活性代謝物であるカルボビル三リン酸に代謝される。HIV感染症患者20例にアバカビル300mg1日2回投与した時の定常状態における細胞内カルボビル三リン酸の半減期は20.6時間であった10)(外国人データ)。
16.5 排泄
- 16.5.1ラミブジン
成人HIV感染症患者にラミブジン2mg/kg注)を経口投与した時、投与後12時間尿中にトランス-スルホキシド体が投与量の5.2%排出された。また、血中濃度が定常状態での未変化体の尿中排泄率は投与量の約70%であり、腎排泄がラミブジンの体内からの除去の主要な経路であることが示された12)(外国人データ)。
- 16.5.2アバカビル
HIV感染症患者6例を対象に14C標識アバカビル600mgを単回経口投与後、薬物体内動態を検討した。総放射能の約99%が排泄され、主な排泄経路は尿(約83%)であり、糞中には約16%排泄された。尿中に排泄された放射能の約1%は未変化体であり、約30%が5'-カルボン酸体、約36%が5'-グルクロン酸抱合体であった11)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
-
16.6.1腎機能障害患者
-
(1)ラミブジン
腎機能の低下したHIV感染症患者にラミブジン300mgを単回経口投与した時、Ccrの低下につれてAUC及び最高血中濃度が増加し、半減期が延長し、見かけの全身クリアランスが減少した13)(外国人データ)。
-
16.6.2肝障害患者
-
(1)ラミブジン
中等度及び重度の肝障害を有する患者における成績より、ラミブジンの薬物動態は、肝障害によって重大な影響を受けないことが示されている14)(外国人データ)。
- (2)アバカビル
軽度の肝障害(Child-Pugh分類の合計点数:5)を有するHIV感染症患者におけるアバカビルの薬物動態を検討した結果、AUC及び消失半減期は肝障害を有さないHIV感染症患者のそれぞれ1.89倍及び1.58倍であった。代謝物の体内消失速度にも変化が認められたが、AUCは肝障害による影響を受けなかった15)(外国人データ)。なお、これら患者に対する推奨投与量は明らかでない。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1In vitro試験
アバカビルは、アバカビルの主代謝酵素であるアルコールデヒドロゲナーゼ/アルデヒドデヒドロゲナーゼを阻害しなかった。 また、in vitro試験において、アバカビルはCYP1A1を阻害し、CYP3A4もわずかに阻害した37)が、CYP2D6及び2C9を阻害しなかった38)。
- 16.7.2臨床薬物相互作用試験
HIV感染症患者25例を対象にアバカビル600mgをエタノール0.7g/kgと併用して単回投与した場合、アバカビルのAUC∞の上昇及びt1/2の延長がみられたが臨床上重要なものではなかった。また、アバカビルはエタノールの薬物動態に影響を示さなかった16)(外国人データ)。 HIV感染症患者15例を対象にアバカビル600mgとジドブジン300mg及びラミブジン150mg注)のどちらか1剤あるいは両剤を併用した場合、いずれの併用においても併用薬によるアバカビル血中濃度への影響はみられなかった。一方、アバカビルと併用したラミブジンのAUC∞及びCmaxは、ジドブジン併用、非併用に関わらずいずれも低下した。また、アバカビルと併用したジドブジンは、ラミブジン併用時及び非併用時においてAUC∞の上昇がみられたが、Cmaxは低下した。これらの変化は臨床上重要なものではなかった17)(外国人データ)。 アバカビル・ドルテグラビル・ラミブジン600mg・50mg・300mg注)を投与中の成人HIV感染症患者にリオシグアト0.5mgを単回経口投与した時、リオシグアトのAUCが健康成人に単独投与したヒストリカルコントロールと比べて約2.6倍に増加した37),39)(外国人データ)。
注)本剤の承認された用法及び用量は、「通常、成人には1回1錠(ラミブジンとして300mg及びアバカビルとして600mg)を1日1回経口投与する。」である。