Clinical snapshot

ラタチモ配合点眼液「TS」

ラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩配合点眼液

添付文書改訂 2024年03月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2気管支喘息又はその既往歴のある患者、気管支痙攣又は重篤な慢性閉塞性肺疾患のある患者[喘息発作の誘発・増悪がみられるおそれがある。]

  3. 2.3コントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロック(Ⅱ、Ⅲ度)又は心原性ショックのある患者[これらの症状を増悪させるおそれがある。]

効能・効果

緑内障、高眼圧症

用法・用量

1回1滴、1日1回点眼する。

使用上の注意

  1. 8.1全身的に吸収される可能性があり、β遮断薬全身投与時と同様の副作用があらわれることがあるので、留意すること。

  2. 8.2本剤の投与により、虹彩色素沈着(メラニンの増加)があらわれることがある。投与に際しては虹彩色素沈着及び色調変化について患者に十分説明しておくこと。ラタノプロスト投与による色素沈着は投与により徐々に増加し、投与中止により停止するが、投与中止後消失しないことが報告されている。また、虹彩色素沈着による色調変化があらわれる可能性があり、特に片眼治療の場合、左右眼で虹彩の色調に差が生じる可能性がある。褐色を基調とする虹彩の患者において、虹彩色素沈着が多く報告されているが、虹彩の変色が軽度であり、臨床所見によって発見されないことが多い。

  3. 8.3本剤投与中に角膜上皮障害(点状表層角膜炎、糸状角膜炎、角膜びらん)があらわれることがあるので、しみる、そう痒感、眼痛等の自覚症状が持続する場合には、直ちに受診するよう患者に十分指導すること。

  4. 8.4縮瞳薬からチモロールマレイン酸塩製剤に切り替える場合、縮瞳作用の消失に伴い、屈折調整を必要とすることがあることから、本剤投与の際も注意すること。

  5. 8.5本剤の点眼後、一時的に霧視があらわれることがあるため、症状が回復するまで機械類の操作や自動車等の運転には従事させないよう注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1肺高血圧による右心不全のある患者

肺高血圧症による右心不全の症状を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.2うっ血性心不全のある患者

うっ血性心不全の症状を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.3糖尿病性ケトアシドーシス及び代謝性アシドーシスのある患者

アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある。

  1. 9.1.4コントロール不十分な糖尿病のある患者

血糖値に注意すること。低血糖症状をマスクすることがある。

  1. 9.1.5無水晶体眼又は眼内レンズ挿入眼の患者

ラタノプロスト投与により嚢胞様黄斑浮腫を含む黄斑浮腫、及びそれに伴う視力低下を起こすとの報告がある。

  1. 9.1.6眼内炎(虹彩炎、ぶどう膜炎)のある患者

ラタノプロスト投与により眼圧上昇がみられたとの報告がある。

  1. 9.1.7ヘルペスウイルスが潜在している可能性のある患者

ラタノプロスト投与により角膜ヘルペスがみられたとの報告がある。

  1. 9.1.8閉塞隅角緑内障患者

使用経験が少ない。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 動物実験(妊娠ウサギ)における器官形成期投与試験において、ラタノプロストを臨床用量の約80倍量(5μg/kg/日)静脈内投与したことにより、流産及び後期吸収胚の発現率増加、胎児体重の減少が認められた。 チモロールマレイン酸塩を器官形成期のラットに500mg/kg/日の用量で経口投与した試験で化骨遅延が、マウスに1000mg/kg/日、ウサギに200mg/kg/日の用量で経口投与した試験で死亡胎児数の増加が認められた。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。 動物実験(ラット:静脈内投与)でラタノプロスト及びその代謝物は乳汁中へ移行することが報告されている。チモロールマレイン酸塩はヒト母乳中へ移行することがある。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

一般に生理機能が低下している。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
アドレナリン
ジピベフリン塩酸塩
散瞳作用が助長されたとの報告がある。 機序不明
カテコールアミン枯渇薬
• レセルピン等
交感神経系に対し、過剰の抑制を来すことがあり、低血圧、徐脈を生じ、眩暈、失神、起立性低血圧を起こすことがある。 カテコールアミンの枯渇を起こす薬剤は、β遮断作用を相加的に増強する可能性がある。
β遮断薬
• アテノロール
プロプラノロール塩酸塩
メトプロロール酒石酸塩等
眼圧下降あるいはβ遮断薬の全身的な作用が増強されることがある。 作用が相加的にあらわれることがある。
カルシウム拮抗薬
• ベラパミル塩酸塩
ジルチアゼム塩酸塩等
房室伝導障害、左室不全、低血圧を起こすおそれがある。 相互に作用が増強される。
ジギタリス製剤
• ジゴキシン
ジギトキシン
心刺激伝導障害(徐脈、房室ブロック等)があらわれるおそれがあるので、心機能に注意する。 相加的に作用(心刺激伝導抑制作用)を増強させる。
CYP2D6阻害作用を有する薬剤
• キニジン硫酸塩水和物
選択的セロトニン再取り込み阻害薬等
β遮断作用(例えば心拍数減少、徐脈)の増強の報告がある。 これらの薬剤はチモロールマレイン酸塩の代謝酵素であるP450(CYP2D6)を阻害し、チモロールの血中濃度が上昇する可能性がある。
プロスタグランジン系点眼薬
• イソプロピルウノプロストン
ビマトプロスト等
眼圧上昇がみられたとの報告がある。 機序不明
オミデネパグ イソプロピル チモロールマレイン酸塩との併用例で結膜充血等の眼炎症性副作用の発現頻度の上昇が認められた。 機序不明

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP上昇 頻度不明
ALT上昇 頻度不明
AST上昇 頻度不明
うつ病 頻度不明
そう痒感 頻度不明
そう痒感 頻度不明
ぶどう膜炎 頻度不明
ペイロニー病 頻度不明
ヘルペス性角膜炎 頻度不明
めまい 頻度不明
リビドー減退 頻度不明
レイノー現象 頻度不明
上気道感染 頻度不明
下痢 頻度不明
不安 頻度不明
不快 頻度不明
不整脈 頻度不明
不眠 頻度不明
乾癬 頻度不明
低血圧 頻度不明
便秘 頻度不明
偽眼類天疱瘡 頻度不明
傾眠 頻度不明
前房細胞析出 頻度不明
勃起不全 頻度不明
動悸 頻度不明
口渇 頻度不明
頻度不明
咽頭違和感 頻度不明
喘息 頻度不明
四肢冷感 頻度不明
多毛症 頻度不明
太く 頻度不明
失神 頻度不明
失見当識 頻度不明
尿糖陽性 頻度不明
屈折異常 頻度不明
幻覚 頻度不明
悪夢 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 頻度不明
感染 頻度不明
感覚異常 頻度不明
接触性皮膚炎 頻度不明
流涙 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
潰瘍性角膜炎 頻度不明
点状表層角膜炎 頻度不明
無力症 頻度不明
狭心症 頻度不明
発疹 頻度不明
白内障 頻度不明
眼の異常感 頻度不明
眼の異物感 頻度不明
眼乾燥感 頻度不明
眼充血 頻度不明
眼刺激(15.9%) 5%以上
眼底黄斑部の浮腫・混濁a) 頻度不明
眼痛 頻度不明
眼瞼下垂 頻度不明
眼瞼浮腫 頻度不明
眼瞼溝深化 頻度不明
眼瞼炎(アレルギー性眼瞼炎を含む) 頻度不明
眼瞼発赤 頻度不明
眼瞼色素沈着 頻度不明
眼瞼部皮膚障害 頻度不明
眼脂 頻度不明
睫毛乱生 頻度不明
睫毛及びうぶ毛の変化(濃く 頻度不明
神経過敏を含む) 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
精神障害(錯乱 頻度不明
糖尿病 頻度不明
結膜充血 頻度不明
結膜浮腫 頻度不明
結膜濾胞 頻度不明
結膜炎 頻度不明
結膜障害 頻度不明
羞明 頻度不明
耳鳴 頻度不明
肺水腫 頻度不明
胸痛 頻度不明
胸部不快感 頻度不明
脱毛症 頻度不明
腹痛 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
虹彩嚢腫 頻度不明
虹彩炎 頻度不明
血管浮腫 頻度不明
行動の変化 頻度不明
複視 頻度不明
視力低下 頻度不明
視覚異常 頻度不明
視野欠損 頻度不明
角膜びらんを含む) 頻度不明
角膜沈着物 頻度不明
角膜浮腫 頻度不明
角膜混濁 頻度不明
角膜知覚低下 頻度不明
角膜障害(角膜炎 頻度不明
記憶喪失 頻度不明
重症筋無力症の増悪 頻度不明
錯感覚 頻度不明
長くなる) 頻度不明
関節炎 頻度不明
関節痛 頻度不明
霧視 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲不振 頻度不明
高カリウム血症 頻度不明
高コレステロール血症 頻度不明
高血圧 頻度不明
黄斑浮腫(嚢胞様黄斑浮腫を含む)及びそれに伴う視力低下 頻度不明
鼻炎 頻度不明
鼻閉 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

配合剤の有効成分であるラタノプロストとチモロールマレイン酸塩は異なる作用機序により眼圧下降作用を示す。

  1. 18.1.1ラタノプロスト

  2. (1)サルのラタノプロスト点眼後の房水動態をconstant pressure infusion法及び125Ⅰ、131Ⅰ標識アルブミン灌流法により検討したところ、ぶどう膜強膜流出量は有意に増大した9)。

  3. (2)健康成人にラタノプロスト点眼液を点眼後、フルオロフォトメトリーにより房水動態を検討したところ、ぶどう膜強膜流出量の増加が認められた10)。

  4. 18.1.2チモロールマレイン酸塩

  5. (1)ラット、イヌ、ネコにチモロールマレイン酸塩を全身投与した場合、イソプレナリンにより惹起された心拍数、心筋収縮力及び心拍出量の増加は著明に抑制され、チモロールマレイン酸塩のβ遮断作用はピンドロールと同程度、プロプラノロールより数倍強力であった。またチモロールマレイン酸塩は有意の内因性交感神経刺激作用、直接心筋抑制作用、局所麻酔作用を示さない11),12)。

  6. (2)眼圧下降作用機序の詳細は明らかでないが、サル、健康成人でのフルオロフォトメトリー試験及び緑内障患者でのトノグラフィー試験において、チモロールマレイン酸塩の眼圧下降作用は主に房水産生の抑制によることが示唆された13),14),15),16),17),18)。

18.2 眼圧下降作用

配合剤の有効成分であるラタノプロストとチモロールマレイン酸塩はいずれも高眼圧モデルにおいて眼圧下降作用を示した。

  1. 18.2.1ラタノプロスト

  2. (1)サルに対するラタノプロストの単回点眼では、点眼後4~6時間に用量依存性の眼圧下降が認められた。同じくサルに対する5ないし6日間の反復点眼では、点眼期間中安定した眼圧下降が持続し、作用の減弱は認められなかった19)。

  3. (2)健康成人又は緑内障・高眼圧症患者にラタノプロスト点眼液を点眼した場合、瞳孔径、視力、血圧及び脈拍数に影響を及ぼすことなく眼圧を下降させた20),21),22),23),24)。

  4. 18.2.2チモロールマレイン酸塩

ウサギにおけるα-キモトリプシン惹起高眼圧及び水負荷による眼圧上昇試験において、チモロールマレイン酸塩の点眼は有意に眼圧上昇を抑制することが認められた25)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1血漿中濃度

欧米人健康成人男女(50~80歳)に0.005%ラタノプロスト/0.5%チモロールマレイン酸塩点眼液を1日1回5日間両眼に各1滴点眼したところ、ラタノプロストの活性代謝物であるラタノプロスト遊離酸は約半数の被験者で検出限界下限値(30pg/mL)未満であり、ラタノプロスト単剤点眼後と同様の結果であった。一方、定常状態において、チモロールは点眼後約40分で最高血漿中濃度(約1ng/mL)に達し、半減期約6時間で消失した。定常状態時の血漿中濃度-時間曲線下面積は5.1ng・h/mLであり、チモロールマレイン酸塩単剤点眼後とほぼ同様の結果であった1),2)。

16.3 分布

  1. 16.3.1房水中濃度

白内障手術を受ける患者(欧米人)に、配合剤を1滴点眼した後の房水中ラタノプロスト遊離酸は、点眼後2時間で最高房水中濃度(約30ng/mL)に達し、房水中濃度-時間曲線下面積(AUC0-∞)は206ng・h/mLであった。ラタノプロスト単剤点眼後と比較して最高房水中濃度は約2倍、AUC0-∞は2.4倍高値を示した。一方、チモロールは点眼後1時間で最高房水中濃度(約1μg/mL)に達し、またAUC0-∞は3644ng・h/mLであり、チモロールマレイン酸塩単剤点眼後と同様の結果であった3)。

16.8 その他

本剤は、ザラカム配合点眼液の分析結果に基づき添加剤の種類及び含量(濃度)がザラカム配合点眼液と同一となるよう処方設計を行ったものであり、pH、粘度、浸透圧などの物理化学的性質が近似することから、生物学的に同等とみなされた。