Clinical snapshot

ラゲブリオ錠400mg

モルヌピラビル

添付文書改訂 2025年10月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

SARS-CoV-2による感染症

用法・用量

通常、18歳以上の患者には、モルヌピラビルとして1回800mgを1日2回、5日間経口投与する。

使用上の注意

妊娠する可能性のある女性への投与に際しては、本剤投与の必要性を十分に検討すること。また、投与が必要な場合には、次の注意事項に留意すること。

  1. 8.1本剤投与開始前に十分な問診により患者が妊娠していないこと及び妊娠している可能性がないことを確認すること。

  2. 8.2次の事項について、本剤投与開始前に患者に説明すること。

  • 妊娠中に本剤を服用した場合、胎児に影響を及ぼす可能性があること。

  • 本剤服用中に妊娠が判明した又は疑われる場合は、直ちに服用を中止すること。

  • 本剤服用中及び最終服用後4日間における妊娠が判明した又は疑われる場合は、速やかに医師、薬剤師等に相談すること。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後4日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。 動物実験で胎児毒性が報告されている。妊娠ラットの器官形成期にモルヌピラビルを投与した実験において、N-ヒドロキシシチジン(NHC)の臨床曝露量の8倍に相当する用量で催奇形性及び胚・胎児致死が、3倍以上に相当する用量で胎児の発育遅延が認められている。また、妊娠ウサギの器官形成期にモルヌピラビルを投与した実験において、NHCの臨床曝露量の20倍に相当する用量で胎児体重の低値が認められている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。 ラットの授乳期にモルヌピラビルを投与したとき、出生児の血漿中にNHCが検出されている。ヒト乳汁中への移行の有無及び乳汁産生への影響に関するデータはない。

9.7 小児等

18歳未満を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
そう痒 頻度不明
下痢 頻度不明
中毒性皮疹 頻度不明
嘔吐 1%未満
悪心 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
発疹 1%未満
紅斑 頻度不明
蕁麻疹 1%未満
血管性浮腫 頻度不明
頭痛 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

モルヌピラビルはプロドラッグであり、NHCに代謝され細胞内に取り込まれた後、活性型であるNHC-TPにリン酸化される。NHC-TPがウイルス由来RNA依存性RNAポリメラーゼによりウイルスRNAに取り込まれた結果、ウイルスゲノムのエラー頻度が増加し、ウイルスの増殖が阻害される4),5)。

18.2 **In vitro抗ウイルス作用

NHCはVero E6細胞を用いた細胞培養系でSARS-CoV-2(USA-WA1/2020株)に対して抗ウイルス作用を示し、50%有効濃度(EC50値)は0.78~2.03μmol/Lであった。 NHCはSARS-CoV-2の変異株であるalpha株(B.1.1.7系統)、beta株(B.1.351系統)、gamma株(P.1系統)、delta株(B.1.617.2系統)、lambda株(C.37系統)、mu株(B.1.621系統)並びにomicron株(B.1.1.529/BA.1、BA.1.1、BA.2、BA.4、BA.4.6及びBQ.1.1系統)に対して抗ウイルス作用を示し、EC50値の範囲は従来株(USA-WA1/2020株)では0.57~2.26μmol/L、変異株では0.40~5.5μmol/Lであった(Vero E6細胞)。また、NHCはSARS-CoV-2の変異株であるomicron株(B.1.1.529/BA.4、BA.5及びXBB.1.16系統)に対して抗ウイルス作用を示し、EC50値の範囲は従来株では0.65~0.93μmol/L、変異株では0.28~0.71μmol/Lであった(Vero E6-TMPRSS2細胞)。さらに、NHCはSARS-CoV-2の変異株であるomicron株(B.1.1.529/XBB.1及びXBB.1.5系統)に対して抗ウイルス作用を示し、EC50値の範囲は0.45~0.67μmol/Lであった(Vero E6-TMPRSS2-ACE2細胞)。

18.3 In vivo抗ウイルス作用

SARS-CoV-2感染マウス、ハムスター及びフェレットモデルを用いてモルヌピラビルの抗ウイルス作用を確認した。マウスでは、モルヌピラビルはウイルスを接種した移植ヒト肺組織でのSARS-CoV-2の感染性ウイルス量を減少させた。SARS-CoV-2感染フェレットモデルでは、モルヌピラビルは上気道でのSARS-CoV-2の感染性ウイルス量を減少させ、同居させたウイルス非接種薬物非投与動物での感染性ウイルス量(感染フェレットから隔離後4日目)は検出限界未満であった。SARS-CoV-2感染シリアンハムスターモデルでは、モルヌピラビルは肺でのウイルスRNA及び感染性ウイルス量を減少させた。感染後に摘出した肺組織の病理組織学的検査で、媒体群と比較してモルヌピラビル群ではSARS-CoV-2のウイルス抗原量の低下及び肺病変の軽減が認められた。

18.4 薬剤耐性

NHCの存在下でSARS-CoV-2(USA-WA1/2020株)をVero E6細胞培養系にて30回継代した結果、NHCのEC50値の変化は2倍未満であった。30回継代したSARS-CoV-2ではゲノム全体にランダムに変異が認められた。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1健康成人

モルヌピラビルはNHCのプロドラッグであり、全身循環へ到達する前に主要代謝物であるNHCへ加水分解され細胞内に取り込まれた後、活性型であるリボヌクレオシド三リン酸化体(NHC-TP)にリン酸化される。

  1. (1)単回投与

健康成人にモルヌピラビルカプセルを800mgの用量で単回経口投与した際のNHCの血漿中濃度推移を図1に、血漿中薬物動態パラメータを表1に示す。モルヌピラビル200~1600mgの範囲で、NHCのCmax及びAUCは概して用量に比例して増加した1)。

図1 健康成人にモルヌピラビル800mgを単回経口投与した際のNHCの血漿中濃度推移(平均値+標準偏差)

例数 Tmax注1)
(hr)
Cmax注2)
(ng/mL)
AUC0-12hr注2)
(ng・hr/mL)
15 1.50
(1.00-2.00)
5000
(4450-5610)
12100
(11100-13300)

注1)中央値(範囲)

注2)幾何平均(95%信頼区間)

  1. (2)反復投与

健康成人にモルヌピラビルカプセルを800mgの用量で12時間ごとに反復経口投与した際のNHCの血漿中薬物動態パラメータは表2のとおりであった。1日2回の反復経口投与で得られたNHCのAUC0-12hrの累積係数(1.05)に基づく有効半減期は2.73時間であった1)。

例数 Tmax注3)
(hr)
Cmax注4)
(ng/mL)
AUC0-12hr注4)
(ng・hr/mL)
13 1.50
(1.00-2.50)
4660
(4130-5260)
12700
(11600-13900)

注3)中央値(範囲)

注4)幾何平均(95%信頼区間)

  1. (3)生物学的同等性試験

クロスオーバー法により健康成人(64例)にモルヌピラビル錠又はモルヌピラビルカプセルを400mgの用量で単回経口投与した際、得られたNHCの血漿中Cmax及びAUC0-lastの幾何平均比とその90%信頼区間(モルヌピラビル錠/モルヌピラビルカプセル)は、それぞれ0.98(0.93-1.03)及び1.00(0.97-1.03)であった。幾何平均比の90%信頼区間は事前に規定した同等域[0.8~1.25]の範囲内であり、モルヌピラビル錠はモルヌピラビルカプセルと生物学的に同等であった2)(外国人データ)。

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人にモルヌピラビルカプセルを800mgの用量で単回経口投与した際、高脂肪食摂取後投与では空腹時投与に比べてNHCのCmaxは24%減少し、AUCは両条件下で同程度であった1)。 健康成人にモルヌピラビル錠を400mgの用量で単回経口投与した際、NHCのCmax及びAUCは、高脂肪食摂取後投与と空腹時投与で同程度であった2)(外国人データ)。 本剤は、食事とは関係なく投与可能である。

16.3 分布

NHCのヒト血漿蛋白に対する結合率は0%であった(in vitroデータ)。

16.4 代謝

モルヌピラビルはNHCのプロドラッグであり、全身循環へ到達する前に主要代謝物であるNHCへ加水分解される。NHCは内因性ピリミジンの代謝と同じ経路でウリジン及びシチジンへ代謝され、消失する。

16.5 排泄

健康成人にモルヌピラビルカプセルを800mgの用量で1日2回5.5日間反復経口投与した際、NHCの尿中排泄率は3%であった(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害者**

モルヌピラビル及びNHCの主要な消失経路は腎排泄ではない。母集団薬物動態解析の結果、軽度及び中等度の腎機能障害がNHCの薬物動態に及ぼす意味のある影響はみられなかった。また、臨床薬物動態試験において、重度腎機能障害者(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)にモルヌピラビルを単回経口投与した際、NHCのAUC0-infは健康成人の1.24倍(90%信頼区間:0.94, 1.64)であり、意味のある差はみられなかった(外国人データ)3)。透析を必要とする患者におけるモルヌピラビル及びNHCの薬物動態の評価は実施していない。

  1. 16.6.2肝機能障害者**

非臨床試験の結果、NHCの主要な消失経路は肝代謝ではないと考えられた。臨床薬物動態試験において、中等度肝機能障害者(Child-Pugh分類B)にモルヌピラビルを単回経口投与した際、NHCのAUC0-infは健康成人の1.22倍(90%信頼区間:0.92, 1.64)であり、意味のある差はみられなかった(外国人データ)3)。また、モルヌピラビルは主に消化管及び肝臓でNHCへ代謝される一方、モルヌピラビルの加水分解に必要な代謝酵素は広範な組織に分布しているため、肝機能障害がモルヌピラビルの曝露量に影響を及ぼす可能性は低い。

  1. 16.6.3高齢者

母集団薬物動態解析の結果、高齢者におけるNHCの薬物動態は若年者と同様であった(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1In vitro試験成績

モルヌピラビル及びNHCは主要な薬物代謝酵素及びトランスポーターの基質ではない。また、モルヌピラビル及びNHCは主要な薬物代謝酵素及びトランスポーターに対する阻害作用又は誘導作用を示さなかった。

  1. 16.7.2臨床における薬物相互作用試験

臨床薬物相互作用試験は実施していない。

注)本剤の承認された用法及び用量は、1回800mgを1日2回5日間経口投与である。