悪性軟部腫瘍
【警告】
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
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2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはトラベクテジンとして1回1.2mg/m2(体表面積)を24時間かけて点滴静注し、少なくとも20日間休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
使用上の注意
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8.1肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
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8.2骨髄機能が抑制され、敗血症性ショック等の好中球減少に伴う感染等があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
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8.3横紋筋融解症があらわれることがあるので、筋肉痛、脱力感等の症状を観察するとともに、本剤投与開始前及び投与中は定期的にCKの検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
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8.4心機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に心エコー等の心機能検査(左室駆出率の測定を含む)を行うとともに、心機能障害に関連する臨床的な徴候や症状を十分に観察すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1骨髄抑制のある患者
骨髄抑制が増強するおそれがある。
- 9.1.2感染症を合併している患者
骨髄抑制により、感染症が悪化するおそれがある。
- 9.1.3アントラサイクリン系薬剤による治療歴のある患者又は心機能障害のある患者
心機能障害が発現又は増悪するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
血中濃度が上昇するおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
-
9.4.1生殖可能な年齢の患者に投与する場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
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9.4.2*妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後7カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
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9.4.3*男性には、本剤投与中及び最終投与後4カ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラットで本剤の胎盤及び胎児への移行が確認されており、胎児への影響又は催奇形性を示す可能性がある。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒトでの乳汁移行に関するデータはない。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
相互作用
- 本剤は、主にCYP3A4により代謝される。
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| CYP3A阻害剤(ケトコナゾール注5)、クラリスロマイシン、アプレピタント等) | 本剤の血漿中濃度が上昇し、副作用の頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。併用が避けられない場合には、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 | これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
| CYP3A誘導剤(リファンピシン、フェノバルビタール、セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等) | 本剤の血漿中濃度が低下し、本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。 | これらの薬剤等のCYP3A誘導作用により、本剤の代謝が促進されると考えられる。 |
注5)ケトコナゾールの注射剤及び経口剤は国内未承認である。
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALP上昇 | 頻度不明 |
| CK上昇 | 頻度不明 |
| γ-GTP上昇 | 頻度不明 |
| アルブミン減少 | 頻度不明 |
| クレアチニン上昇 | 頻度不明 |
| ビリルビン上昇 | 頻度不明 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 不眠症 | 頻度不明 |
| 低カリウム血症 | 頻度不明 |
| 低血圧 | 頻度不明 |
| 体重減少 | 頻度不明 |
| 便秘(47.2%) | 頻度不明 |
| 倦怠感(44.4%) | 頻度不明 |
| 口内炎 | 頻度不明 |
| 味覚異常 | 頻度不明 |
| 呼吸困難 | 頻度不明 |
| 咳嗽 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 悪心(88.9%) | 頻度不明 |
| 末梢感覚性神経障害 | 頻度不明 |
| 注射部位反応 | 頻度不明 |
| 注射部位壊死 | 頻度不明 |
| 注射部位疼痛 | 頻度不明 |
| 注射部位紅斑 | 頻度不明 |
| 浮動性めまい | 頻度不明 |
| 浮腫 | 頻度不明 |
| 消化不良 | 頻度不明 |
| 潮紅 | 頻度不明 |
| 疲労 | 頻度不明 |
| 発熱 | 頻度不明 |
| 皮下溢血 | 頻度不明 |
| 筋肉痛 | 頻度不明 |
| 背部痛 | 頻度不明 |
| 脱毛 | 頻度不明 |
| 脱水 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 頻度不明 |
| 膵炎 | 頻度不明 |
| 錯感覚 | 頻度不明 |
| 関節痛 | 頻度不明 |
| 静脈炎 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 食欲不振(58.3%) | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
本剤は、DNAの副溝部分に結合し、ヌクレオチド除去修復機構を阻害すること等により細胞死及び細胞周期停止を誘導し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。 また、本剤は、ヒト粘液型脂肪肉腫及びヒ卜Ewing肉腫において染色体転座により発現するそれぞれFUS-CHOPタンパク及びEWS-FLI1タンパクの転写因子としての機能を阻害し、がん関連遺伝子の発現を制御することが報告されている15),16),17),18),19),20),21),22),23),24)。
18.2 抗腫瘍効果
本剤は、ヒ卜滑膜肉腫由来SYO-1細胞株、ヒトEwing肉腫由来SK-ES-1細胞株、ヒト胞巣型横紋筋肉腫由来SJCRH30細胞株、ヒト骨肉腫由来KHOS/NP細胞株、ヒト横紋筋肉腫由来RD細胞株及びヒ卜平滑筋肉腫由来SK-LMS-1細胞株を皮下移植したヌードマウスにおいて、腫瘍の増殖を抑制した25),26),27),28),29),30)。
薬物動態
16.1 血中濃度
-
16.1.1単回投与
-
(1)日本人の悪性軟部腫瘍患者に本剤1.2mg/m2を24時間かけて点滴静注したときの血漿中トラベクテジン濃度は多相性の消失を示し、平均の最終相消失半減期は107時間であった1),2),3)。
| tmax (h) |
Cmax (pg/mL) |
AUCinf (ng・h/mL) |
t1/2 (h) |
CL (L/h) |
Vdss (L) |
|---|---|---|---|---|---|
| 24.3 (1.47,27.2) |
1660 (1720) |
66.0 (24.7) |
107 (29) |
34.3 (10.4) |
3040 (1170) |
平均値(標準偏差)[tmax:中央値(範囲)]、tmax及びCmaxはn=37、その他はn=33 デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム:本剤投与開始約30分前に20mgを静脈内投与
-
(2)固形癌患者、肉腫患者に本剤を24時間かけて点滴静注注6)した場合、0.05~1.8mg/m2の用量範囲でCmax及びAUC48hに用量比例性がみられた4)(外国人データ)。
-
16.1.2反復投与
固形癌患者に本剤1.5mg/m2を24時間かけて21日を1サイクルとして反復点滴静注注6)したときのCmax、AUCinf及びCLについて、サイクル1と2との間に明確な差異は認められなかった5)(外国人データ)。
| サイクル | tmax (h) |
Cmax (pg/mL) |
AUCinf (ng・h/mL) |
t1/2 (h) |
CL (L/h) |
VdZ (L) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 24.1 (2.0,26.5) |
1840 (1121) |
56.8 (24.9) |
103.2 (41.8) |
54.7 (23.5) |
7509 (3412) |
| 2 | 23.5 (2.0,25.6) |
1724 (1436) |
58.1 (49.0) |
77.4 (57.3) |
71.0 (51.2) |
5655 (3142) |
平均値(標準偏差)[tmax:中央値(範囲)]、n=24(サイクル1、tmax及びCmaxはn=23)、n=20(サイクル2)
16.3 分布
In vitro試験において、未変化体の血漿蛋白結合率は10~100ng/mLの濃度範囲で97.28~97.77%であり、検討された濃度範囲において、概ね一定であった6)。 また、in vitro試験において、トラベクテジンはP-糖蛋白(P-gp)の基質であることが示された7)。
16.4 代謝
-
16.4.1 In vitro試験において、トラベクテジンは主にCYP3A4で代謝されることが示された8)。
-
16.4.2 14C標識トラベクテジン1.1mgをヒトに投与したときの総放射能のAUCinfに対する未変化体のAUCinf比について、3時間かけて点滴静注注6)した際の6例の平均値は0.082、24時間かけて点滴静注した際の個別値(n=2)はそれぞれ0.077及び0.086であり、血漿中において、未変化体と比較して代謝物の占める割合が大きいことが示唆された9)(外国人データ)。
16.5 排泄
固形癌患者(n=8)に1.1mgの用量で14C標識トラベクテジンを24時間又は3時間かけて点滴静注注6)したとき、17日間までに投与された放射能の57.6%が糞中に排泄され、10日間までに尿中には5.8%が排泄された。未変化体は排泄された放射能の1%未満であった9)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1肝機能障害患者
肝機能障害注7)を有する固形癌患者に本剤(0.58又は0.9mg/m2投与、各n=3)を3時間かけて点滴静注注6),注8)した場合、用量補正したCmax及びAUClastは、正常な肝機能の患者(1.3mg/m2投与、n=9)と比較して、それぞれ40%及び97%増加した10)(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1ケトコナゾール
固形癌患者(11例)に本剤0.2又は0.58mg/m2を3時間かけて点滴静注注6),注8)するとともに、ケトコナゾール注9)200mgを本剤の投与12時間前から12時間ごとにそれぞれ計6又は15回反復経口投与した際に、ケトコナゾール非併用時(本剤1.3mg/m2、用量補正)と比較して、本剤0.58mg/m2投与時(8例)のCmax及びAUClastはそれぞれ21及び66%増加した11)(外国人データ)。
- 16.7.2リファンピシン
固形癌患者(8例)にリファンピシン600mg(第1~6日目)を1日1回反復経口投与するとともに、本剤1.3mg/m2を3時間かけて点滴静注注6),注8)(第6日目)した際に、リファンピシン非併用時と比較して、本剤のCmax及びAUCinfはそれぞれ22及び38%低下した12)(外国人データ)。
- 16.7.3その他の薬剤
悪性軟部腫瘍患者(38例)に本剤1.3、1.5又は1.65mg/m2を3時間かけて点滴静注注6)するとともに、デキサメタゾン4mgを1日2回、本剤の投与前日から4日間反復経口投与した際に、デキサメタゾン非併用時と比較して、本剤のクリアランス(17例)は28%増加した13)(外国人データ)。
注6)本剤の承認用法・用量:1回1.2mg/m2(体表面積)を24時間かけて点滴静注。1サイクルを21日間として、投与を繰り返す。
注7)総ビリルビンが施設基準値上限の1.5倍超~3倍以下、かつAST及びALTが施設基準値上限の8倍未満
注8)本剤投与30分以上前にデキサメタゾンリン酸エステルナトリウム20mgを静脈内投与することとされた。
注9)経口剤は国内未承認