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メドロキシプロゲステロン酢酸エステル錠200mg「F」

メドロキシプロゲステロン酢酸エステル

添付文書改訂 2024年12月01日

【警告】

本剤の投与中に重篤な動・静脈血栓症が発現し、死亡に至った報告がある。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1血栓症を起こすおそれの高い以下の患者
  • 手術後1週間以内の患者

  • 脳梗塞、心筋梗塞、血栓性静脈炎等の血栓性疾患又はその既往歴のある患者

  • 動脈硬化症の患者

  • 心臓弁膜症、心房細動、心内膜炎、重篤な心不全等の心疾患のある患者

  • ホルモン剤(黄体ホルモン、卵胞ホルモン、副腎皮質ホルモン等)を投与されている患者

  1. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  2. 2.3本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  3. 2.4診断未確定の性器出血、尿路出血、乳房病変のある患者[病因を見のがすおそれがある。]

  4. 2.5重篤な肝障害のある患者

  5. 2.6高カルシウム血症の患者[電解質代謝作用等の関与により症状を増悪させるおそれがある。]

効能・効果

○乳癌 ○子宮体癌(内膜癌)

用法・用量

乳癌には、メドロキシプロゲステロン酢酸エステルとして通常成人1日600~1200mgを3回に分けて経口投与する。 子宮体癌(内膜癌)には、メドロキシプロゲステロン酢酸エステルとして通常成人1日400~600mgを2~3回に分けて経口投与する。 なお、症状により適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の投与により脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓等の重篤な血栓症があらわれることがあるので、以下のことに注意すること。
  • 投与に際しては、FDP、α2プラスミンインヒビター・プラスミン複合体等の検査を行い、異常が認められた場合には、投与しないこと。

  • 投与に際しては患者の状態を把握し、血栓症発現の危険因子の有無について十分に注意すること。

  • 投与中は定期的にFDP、α2プラスミンインヒビター・プラスミン複合体等の検査を実施し、異常が認められた場合には投与を中止すること。

  1. 8.2本剤を長期間大量連用すると副腎皮質ホルモン様作用があらわれることがあるので、観察を十分に行うこと。

  2. 8.3*メドロキシプロゲステロン酢酸エステルの投与後に髄膜腫が報告されている。本剤投与中は、頭痛、運動麻痺、視力視野障害、脳神経麻痺、けいれん発作、認知機能の変化等の髄膜腫を示唆する症状に注意し、必要に応じて画像検査を実施すること。髄膜腫と診断された場合は本剤の投与中止を検討すること。投与中止後に髄膜腫が縮小した症例が報告されている。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1血栓症を起こすおそれのある以下の患者
  • 手術後1ヵ月以内の患者(手術後1週間以内の患者を除く)

  • 高血圧症の患者

  • 高血圧症が悪化することもある。

  • 糖尿病の患者

  • 糖尿病が悪化することもある。

  • 高脂血症の患者

  • 肥満症の患者

  1. 9.1.2心疾患のある患者

ナトリウム又は体液の貯留があらわれることがある。

  1. 9.1.3うつ病又はその既往歴のある患者

副腎皮質ホルモン様作用により、病態に影響を与えるおそれがある。

  1. 9.1.4てんかん又はその既往歴のある患者

副腎皮質ホルモン様作用により、症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.5片頭痛、喘息、慢性の肺機能障害又はその既往歴のある患者

症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.6ポルフィリン症の患者

症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.7*髄膜腫又はその既往歴のある患者

髄膜腫や原疾患の状態を踏まえ、本剤投与の必要性を検討すること。

9.2 腎機能障害患者

ナトリウム又は体液の貯留があらわれることがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝障害のある患者

投与しないこと。副作用を増悪させるおそれがある。

9.5 妊婦

  1. 9.5.1妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。催奇形性を疑う疫学調査の報告があり、妊娠初期、中期に投与した場合には、女子胎児の外性器の男性化又は男子胎児の女性化が起こることがある。

  2. 9.5.2黄体ホルモン剤の使用と先天異常児出産との因果関係はいまだ確立されたものではないが、心臓・四肢等の先天異常児を出産した母親では、対照群に比して妊娠初期に黄体又は黄体・卵胞ホルモン剤を使用していた率が有意に高いとする疫学調査の報告がある。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁移行が認められている。

9.8 高齢者

一般に、生理機能が低下している。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ホルモン剤
• 黄体ホルモン
卵胞ホルモン
副腎皮質ホルモン等
血栓症を起こすおそれが高くなる。 ともに血栓症を起こすおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT上昇 1〜5%未満
AST上昇 1〜5%未満
LDH上昇 頻度不明
クッシング様症状 頻度不明
ざ瘡 1〜5%未満
しびれ 頻度不明
じん麻疹 頻度不明
そう痒感 1〜5%未満
めまい 頻度不明
下痢 1%未満
不眠 頻度不明
乳房痛 1%未満
乳汁漏出 頻度不明
体重増加 1%未満
便秘 1%未満
倦怠感 1%未満
動悸 1〜5%未満
口渇 1〜5%未満
嗄声 1〜5%未満
多幸症 頻度不明
多毛 頻度不明
子宮出血 1〜5%未満
帯下の変化 頻度不明
息切れ 1%未満
悪心・嘔吐 1〜5%未満
意識低下 頻度不明
抑うつ 頻度不明
振戦 頻度不明
月経異常 頻度不明
浮腫 1〜5%未満
満月様顔貌(12.8%) 5%以上
潮紅 1〜5%未満
無月経 頻度不明
無関心 頻度不明
熱感 1%未満
疲労感 頻度不明
発汗 1%未満
発熱 頻度不明
発疹 1〜5%未満
白血球数増加 頻度不明
眠気 頻度不明
神経過敏 頻度不明
筋痙攣 1%未満
糖尿 1%未満
糖尿病性白内障増悪 1%未満
糖尿病悪化 1〜5%未満
耐糖能異常 1〜5%未満
胆汁うっ滞性黄疸 頻度不明
脱毛 頻度不明
腹痛 頻度不明
興奮 頻度不明
血圧上昇 1%未満
血小板数増加 頻度不明
視覚障害 頻度不明
錯乱様 頻度不明
集中困難 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻脈 頻度不明
食欲不振 頻度不明
食欲亢進 頻度不明
高カルシウム血症 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

DNA合成抑制作用、下垂体・副腎・性腺系への抑制作用及び抗エストロゲン作用などにより抗腫瘍効果を発現すると考えられている4),9),10),11),12),13) 。

18.2 抗腫瘍作用

  • 〈乳癌〉
  1. 18.2.1DMBA誘発ラット乳癌に対し、MPA 24、60、120mg/kg経口投与により用量依存的な抗腫瘍作用が認められた13) 。 ヒト乳癌培養細胞MCF-7及びそのTamoxifen耐性株R-27を用いてコロニー形成能に及ぼす効果を検討した結果、両株ともE2(エストラジオール)の存在に関係なく10-8~10-5mol/Lで濃度依存的な細胞増殖抑制作用を示した14) 。 また、ヒト乳癌細胞ZR-75-1に対する効果を細胞数計測により検討した結果、E2の存在に関係なく、10-10及び10-5mol/Lで濃度依存的な細胞増殖抑制作用を示し、その作用はE2存在下よりE2非存在下で強かった8) 。
  • 〈子宮内膜癌〉
  1. 18.2.2ヌードマウスに移植したヒト子宮内膜腺癌細胞AD-30に対する効果を0.1、10、100mg/kg/日の経口投与により検討した結果、各投与群で腫瘍倍加時間の有意な延長が認められ、組織学的には細胞の萎縮崩壊とともに、腺腔内への体液成分の貯留が認められた9) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

外国人健康成人男性にメドロキシプロゲステロン酢酸エステル(MPA)400mg(50mg錠×8)を単回経口投与したときの血清中濃度(19名の平均値)は以下のとおりである。投与後6時間でCmaxは61ng/mLに達し、AUC0-144は4.13μg・h/mL、AUC0-∞は4.90μg・h/mLであった2) 。

16.3 分布

  1. 16.3.1血漿蛋白結合率

14C-MPAのヒト(健康成人女性)血漿蛋白結合率は93.3%(120ng/mL)であった3) (in vitro)。

  1. 16.3.2体組織への分布

雌性ラットに14C-MPA 70mg/kgを単回投与したとき、回腸、肝臓、白色脂肪、褐色脂肪、乳腺、胃及び副腎に高い放射能が認められた3) 。

  1. 16.3.3胎児への移行

妊娠ラットに14C-MPA 70mg/kgを単回投与したとき、胎児への移行が認められ、胎児の肝、腎及び心臓の放射能濃度は、母体血漿中放射能濃度とほぼ同程度であった3) 。

  1. 16.3.4乳汁への移行

授乳期のラットに14C-MPA 70mg/kgを単回投与したとき、乳汁中放射能濃度は血漿中放射能濃度の3~8倍高かった3) 。[9.6 参照]

16.5 排泄

乳癌患者12例にMPA 1200mg(200mg錠×2を1日3回)を反復経口投与したとき、尿中への17-O-hydroxycorticosteroids排泄量は正常域の上限をはるかに上回る増加を示し、17-ketosteroidsの排泄量も同様であった。これはMPAの代謝産物が尿中に排泄された結果と考えられた4) 。