Clinical snapshot

メタルカプターゼカプセル50mg

ペニシラミン製剤

添付文書改訂 2025年10月01日

【警告】

無顆粒球症等の重篤な血液障害等が起こることがあるので、使用上の注意に特に留意すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  • 〈効能共通〉
  1. 2.1金剤が投与されている患者
  • 〈関節リウマチ〉
  1. 2.2血液障害のある患者及び骨髄機能の低下している患者[再生不良性貧血等の重篤な血液障害を起こすおそれがある。]

  2. 2.3腎機能障害のある患者

  3. 2.4SLEの患者[SLEの症状を悪化させるおそれがある。]

  4. 2.5成長期の小児で結合組織の代謝障害のある児

  5. 2.6妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

  • 関節リウマチ

  • ウイルソン病(肝レンズ核変性症)

  • 鉛・水銀・銅の中毒

用法・用量

  • 〈関節リウマチ〉

本剤は、消炎鎮痛剤などで十分な効果が得られない場合に使用すること。 通常、成人にはペニシラミンとして1回100mgを1日1~3回、食間空腹時に経口投与する。 患者の年齢、体重、症状、忍容性、本剤に対する反応等に応じて適宜増減するが、一般的には成人、初期量を1日100mgとし、増量するときは4週間以上の間隔をおいて100mgずつ漸増する。維持量は効果が得られる最低用量に調節する。また、投与を再開するときは、低用量から開始すること。 なお、1日300mgでは効果不十分で増量により有効性が期待される場合には、患者の状態を十分に観察しつつ1日600mgまで増量することもできる。ただし、効果が得られた後は減量して有効最少量で維持すること。

  • 〈ウイルソン病(肝レンズ核変性症)〉

通常、成人にはペニシラミンとして1日1,000mgを食前空腹時に1~数回に分けて経口投与する。 なお、患者の年齢、症状、忍容性、本剤に対する反応等に応じて、一般に1日量600~1,400mgの範囲で増減し、また、投与法についても、連日投与、間歇投与、漸増投与法など各症例ごとに用法及び用量を決定する。

  • 〈鉛・水銀・銅の中毒〉

通常、成人にはペニシラミンとして1日1,000mgを食前空腹時に数回に分けて経口投与する。なお、患者の年齢、症状、忍容性、本剤に対する反応等に応じて、一般に1日量600~1,400mgの範囲で増減し、また、投与法についても、連日投与、間歇投与、漸増投与法など各症例ごとに用法及び用量を決定する。 通常、小児にはペニシラミンとして1日20~30mg/kgを食前空腹時に数回に分けて経口投与する。なお、患者の年齢、症状、忍容性、本剤に対する反応等に応じて適宜増減する。ただし、1日量は、成人の標準用量(1日1,000mg)を上限とする。

使用上の注意

  • 〈関節リウマチ〉
  1. 8.1本剤による重篤な副作用報告があるので、消炎鎮痛剤、金剤等で制御できない難治例に使用すること。

  2. 8.2本剤の投与開始に先立ち、主な副作用、用法及び用量等の留意点を患者に説明し、特に咽頭痛、発熱、紫斑等の症状がみられた場合には速やかに主治医に連絡するよう指示すること。

  3. 8.3本剤投与前には必ず血液、腎機能、肝機能等の検査を実施すること。

  4. 8.3.1投与中は臨床症状を十分に観察するとともに、定期的に(投与開始後最初の2ヵ月は1~2週間に1回、その後は2~4週間に1回の割合)血液及び尿検査等の臨床検査を行うこと。 なお、臨床検査のうち白血球数、血小板数及び尿蛋白には特に留意し、検査値が下記のいずれかの値を示したときは、投与を中止し適切な処置を行うこと。 白血球数………………3,000/mm3未満 血小板数……………100,000/mm3未満 尿蛋白……………持続的又は増加傾向を示す場合、及び血尿がみられた場合

  5. 8.3.2血液障害は急激に発現することがあるので、外来患者に投与する場合は、血液検査値の変化を速やかに把握するよう努めること。 特に白血球数及び血小板数には留意し、その値が正常範囲内にあっても減少傾向にある場合は本剤の減量又は投与の中止を考慮すること。

  • 〈鉛・水銀・銅の中毒〉
  1. 8.4鉛中毒患者に対する本剤の使用は、重症の場合には静注キレート剤による初期治療後の補助的治療とし、無症状で血中鉛濃度が40~60µg/dL以上に上昇した場合には単独療法とすること。 また、血中鉛濃度が40~60µg/dL未満まで減少した場合には、本剤の投与中止を検討すること。ただし、他のキレート剤において、投与中止後に血中鉛濃度のリバウンドが報告されているので、本剤中止後も1~2週間は定期的に血中鉛濃度を測定し、リバウンドが認められた場合には本剤の投与を検討すること。 なお、小児の精神神経系は成人より鉛の影響を受けやすく、低い鉛濃度でも、持続した場合には脳症が発現する危険性が高くなるので、観察を十分行うこと。 その他の金属中毒に対し本剤を使用する場合は、投与開始及び中止に関する血中金属濃度の指標は明確でないため、臨床症状、健康へ及ぼす影響等を十分に検討すること。

  2. 8.5効果が得られるためには、排泄するための十分な尿量が必要であるので、投与前には必ずクレアチニン等の腎機能検査を実施すること。また、投与中も定期的(1~2週間に1回)に検査を行い、腎機能の低下が認められた場合には、血液透析の併用を考慮すること。

  3. 8.6本剤の副作用発現頻度は用量依存的に上昇する可能性があり、また重篤な副作用報告があるので、本剤の投与は治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみとし、漫然と投与しないこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  • 〈関節リウマチ〉
  1. 9.1.1手術直後の患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。重篤な血液障害等を起こすおそれがある。

  1. 9.1.2全身状態が悪化している患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。重篤な血液障害等を起こすおそれがある。

  • 〈ウイルソン病(肝レンズ核変性症)、鉛・水銀・銅の中毒〉
  1. 9.1.3血液障害のある患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。重篤な血液障害を起こすおそれがある。

  1. 9.1.4SLEの患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。SLEの症状を悪化させるおそれがある。

  • 〈効能共通〉
  1. 9.1.5血液障害の既往のある患者

血液障害を起こすおそれがあるので血液検査を定期的に行うこと。

  1. 9.1.6ペニシリン系薬剤に対して過敏症の既往のある患者

9.2 腎機能障害患者

  • 〈関節リウマチ〉
  1. 9.2.1腎機能障害のある患者

投与しないこと。ネフローゼ等の重篤な腎機能障害を起こすおそれがある。

  • 〈ウイルソン病(肝レンズ核変性症)、鉛・水銀・銅の中毒〉
  1. 9.2.2腎機能障害のある患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。重篤な腎機能障害を起こすおそれがある。

  • 〈効能共通〉
  1. 9.2.3腎機能障害の既往のある患者

腎機能障害を起こすおそれがあるので尿蛋白等の腎機能検査を定期的に行うこと。

9.3 肝機能障害患者

肝機能異常を起こすおそれがあるので肝機能検査値に注意すること。

9.5 妊婦

  • 〈関節リウマチ〉
  1. 9.5.1妊婦又は妊娠している可能性のある女性

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ヒトで催奇形性を疑う症例報告がある。

  • 〈ウイルソン病(肝レンズ核変性症)、鉛・水銀・銅の中毒〉
  1. 9.5.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上やむを得ないと判断される場合にのみ投与すること。ヒトで催奇形性を疑う症例報告がある。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物試験(ラット)において乳汁移行が認められ、出生児の死亡数増加及び成長遅延が認められている。

9.7 小児等

  1. 9.7.1成長期の小児で結合組織の代謝障害のある児
  • 〈関節リウマチ〉

投与しないこと。結合組織異常を起こすおそれがある。

  • 〈ウイルソン病(肝レンズ核変性症)、鉛・水銀・銅の中毒〉

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。結合組織異常を起こすおそれがある。

  1. 9.7.2「9.7.1 成長期の小児で結合組織の代謝障害のある児」以外の児
  • 〈関節リウマチ、ウイルソン病(肝レンズ核変性症)〉

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

  • 〈鉛・水銀・銅の中毒〉

低出生体重児、新生児及び乳児には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。低出生体重児、新生児及び乳児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

  • 〈関節リウマチ〉

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。重篤な血液障害等を起こすおそれがある。

  • 〈ウイルソン病(肝レンズ核変性症)、鉛・水銀・銅の中毒〉

重篤な血液障害等を起こすおそれがある。一般に生理機能が低下している。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 金チオリンゴ酸ナトリウム• 〔シオゾール〕
• オーラノフィン
重篤な血液障害が発現するおそれがある。 機序は不明である。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 免疫抑制剤 副作用が増強するおそれがある。 機序は不明である。
• 経口鉄剤2)
• 〔クエン酸第一鉄ナトリウム
• 硫酸鉄 等〕
本剤の効果を減弱するおそれがあるので、やむを得ず投与する場合には、本剤との同時投与は避けること。 同時投与した場合、本剤の吸収率が低下するとの報告がある。
• マグネシウム又はアルミニウムを含有する制酸剤
• 〔水酸化マグネシウム2)
• 水酸化アルミニウム2)〕
本剤の効果を減弱するおそれがあるので、やむを得ず投与する場合には、本剤との同時投与は避けること。 同時投与した場合、本剤の吸収率が低下するとの報告がある。
• 亜鉛を含有する経口剤 本剤の効果を減弱するおそれがあるので、やむを得ず投与する場合には、本剤との同時投与は避けること。 同時投与した場合、本剤が吸収される前に亜鉛とキレート化され、本剤の吸収率が低下する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT上昇等) 1〜5%未満
BUN上昇 1〜5%未満
IgG 1%未満
IgM)減少注1) 1%未満
クレアチニン上昇) 1〜5%未満
ビタミンB6欠乏注2)乳房肥大尿失禁 頻度不明
めまい頭痛 1〜5%未満
免疫グロブリン(IgA 1%未満
口内炎・口角炎腹痛食欲不振嘔気嘔吐下痢消化性潰瘍舌炎消化不良口内乾燥 1〜5%未満
味覚異常耳鳴視力異常 1〜5%未満
昏迷痙攣 頻度不明
毛細血管脆弱 頻度不明
浮腫発熱倦怠感咽頭炎 1〜5%未満
無力症動悸体重減少疼痛陰門びらん体重増加 1%未満
爪の異常 頻度不明
発疹そう痒 頻度不明
知覚障害眼瞼下垂 1%未満
結節性紅斑多形紅斑創傷治癒障害穿孔性弾力線維症 1%未満
肝機能障害(AST 1〜5%未満
胃炎口唇炎下血歯肉炎便秘 1%未満
脱毛皮膚炎紫斑潮紅皮下出血 1〜5%未満
腎機能障害(尿蛋白 1〜5%未満
腎炎 1%未満
膵炎 頻度不明
血尿 1〜5%未満
複視白内障聴力低下 1%未満
関節痛筋肉痛 1%未満
黄疸 1%未満
鼻出血リンパ球減少白血球増多 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  • 〈関節リウマチ〉

その病因が不明なためペニシラミンの作用機序は未だ明確になっていないが、蛋白質変性抑制作用、蛋白質解離作用、免疫応答に対する作用等により関節リウマチにおける病像全般に好影響を与えると考えられる。

  • 〈ウイルソン病(肝レンズ核変性症)、鉛・水銀・銅の中毒〉

ペニシラミンが重金属とキレート化合物を生成しその排泄を促進させる。

18.2 蛋白質変性抑制作用〈関節リウマチ〉

ペニシラミンは、ヒトγ-グロブリンを用いたin vitro試験において蛋白変性抑制作用が、ヒト関節液を用いたin vitro試験においてコラゲナーゼ活性抑制作用が、またラットカラゲニン肉芽腫由来の培養線維芽細胞を用いたin vitro試験においてライソゾーム膜安定化作用等が認められている。これらの作用は、直接あるいは間接的に生体成分の抗原性獲得に抑制的に働くと考えられる24),25),26) 。

18.3 蛋白質解離作用〈関節リウマチ〉

ペニシラミンはSH基により、関節リウマチ患者におけるリウマトイド因子をはじめ免疫複合体の分子内S-S結合を解離する作用を有する27) 。

18.4 免疫応答に対する作用〈関節リウマチ〉

ペニシラミンは、マウスにおいてT-リンパ球を介して免疫系に作用し、免疫機能を抑制あるいは増強する免疫調節作用を有すると考えられる28) 。

18.5 キレート形成作用〈ウイルソン病(肝レンズ核変性症)、鉛・水銀・銅の中毒〉

ウイルソン病患者において、ペニシラミン2分子は血清銅1分子と結合して可溶性のキレートを形成し、尿中銅排泄を促進する。血清銅濃度の減少に伴い、組織内の銅が血清中に遊離し、脳、肝、腎、角膜等の臓器内に銅が過剰沈着するのを防ぐ。 重金属(鉛・水銀)負荷ラットにおいて、ペニシラミンは尿中重金属排泄量を増加させ、体外への重金属の除去を促進する29),30),31),32),33),34) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人に200mgを空腹時単回経口投与した場合、血中濃度パラメータは以下のとおりであった3) 。

Cmax
(µg/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC
(µg・hr/mL)
成人(n=12) 0.62 1.8 2.3 2.17

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人(n=6)に空腹時、食後に、ペニシラミン500mgを単回経口投与した場合、ペニシラミンの血中濃度パラメータは以下のとおりであった2) 。 ペニシラミンのT1/2は各群で有意差は認められないものの、食後のCmax及びAUCは空腹時に比べ低下した2)(外国人データ)。

Cmax
(µg/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC
(µg・hr/mL)
空腹時 3.05 3.8 2.1 14.7
食後 1.51 2.3 2.3 7.2

16.3 分布

14C-ペニシラミン20mg/kgをラットに単回経口投与した場合、投与後短時間で中枢神経を除く全身へのすみやかな分布が認められ、大動脈、軟骨、皮膚、アキレス腱への分布が高く、筋肉、脂肪には低かった4) 。なお、本薬は血漿蛋白とジスルフィド結合を形成することが認められ、蛋白結合率は経時的に上昇し投与後24時間ではほぼ100%に達した5) 。

16.4 代謝

健康成人に200mgを単回経口投与した場合、尿中主代謝物はペニシラミン-システインであり、ペニシラミンジスルフィドも検出された6) 。

16.5 排泄

健康成人に200mgを単回経口投与した場合、投与後24時間までの総ペニシラミンの尿中排泄率は投与量の35.2%であった6) 。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1経口鉄剤、マグネシウム又はアルミニウムを含有する制酸剤

健康成人(n=6)に非併用時、空腹時鉄剤服用直後、空腹時制酸剤(水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム含有)服用直後に、ペニシラミン500mgを単回経口投与した場合、ペニシラミンの血中濃度パラメータは以下のとおりであった2) 。 ペニシラミンのT1/2は各群で有意差は認められないものの、鉄剤服用後及び制酸剤服用後のCmax及びAUCは非併用時に比べ1/2~1/6に低下した2)(外国人データ)。

Cmax
(µg/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC
(µg・hr/mL)
非併用時 3.05 3.8 2.1 14.7
鉄剤併用 1.00 1.3 1.2 2.6
制酸剤併用 1.72 3.0 1.5 7.0