Clinical snapshot

メキニスト小児用ドライシロップ4.7mg

トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物

添付文書改訂 2026年02月01日

【警告】

  1. 1.1本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 〈錠〉

  • BRAF遺伝子変異を有する悪性黒色腫

  • BRAF遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌

  • 標準的な治療が困難なBRAF遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(結腸・直腸癌を除く)

  • BRAF遺伝子変異を有する再発又は難治性の有毛細胞白血病

  • BRAF遺伝子変異を有する低悪性度神経膠腫

  • **がん化学療法後に増悪した低異型度漿液性卵巣癌

  • 〈小児用ドライシロップ〉

  • 標準的な治療が困難なBRAF遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(結腸・直腸癌を除く)

  • BRAF遺伝子変異を有する低悪性度神経膠腫

用法・用量

  • 〈悪性黒色腫〉

ダブラフェニブとの併用において、通常、成人にはトラメチニブとして2mgを1日1回、空腹時に経口投与する。ただし、術後補助療法の場合には、投与期間は12ヵ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する。

  • 〈非小細胞肺癌、有毛細胞白血病〉

ダブラフェニブとの併用において、通常、成人にはトラメチニブとして2mgを1日1回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

  • 〈固形腫瘍、低悪性度神経膠腫〉

ダブラフェニブとの併用において、通常、トラメチニブとして以下の用量を1日1回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

  • 成人には、2mg

  • 小児には、体重に合わせて次の用量

体重 26kg以上
38kg未満
38kg以上
51kg未満
51kg以上
投与量 1mg 1.5mg 2mg
  • 〈低異型度漿液性卵巣癌〉**

通常、成人にはトラメチニブとして2mgを1日1回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

  • 小児用ドライシロップ

  • 〈固形腫瘍、低悪性度神経膠腫〉

ダブラフェニブとの併用において、通常、小児にはトラメチニブとして体重に合わせて次の用量を1日1回、空腹時に経口投与する。

体重 8kg以上
9kg未満
9kg以上
11kg未満
11kg以上
12kg未満
12kg以上
14kg未満
14kg以上
18kg未満
18kg以上
22kg未満
22kg以上
26kg未満
投与量 0.3mg 0.35mg 0.4mg 0.45mg 0.55mg 0.7mg 0.85mg
体重 26kg以上
30kg未満
30kg以上
34kg未満
34kg以上
38kg未満
38kg以上
42kg未満
42kg以上
46kg未満
46kg以上
51kg未満
51kg以上
投与量 0.9mg 1mg 1.15mg 1.25mg 1.4mg 1.6mg 2mg

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1心障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前には、患者の心機能を確認すること。本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率(LVEF)の変動を含む)を十分に観察すること。

  2. 8.2網膜静脈閉塞、網膜色素上皮剥離、網膜剥離等の重篤な眼障害が報告されているので、定期的に眼の異常の有無を確認すること。また、眼の異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。

  3. 8.3肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行うこと。

  4. 8.4発熱が高頻度に認められ、重度の脱水、低血圧を伴う例も報告されているので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には減量、休薬や解熱剤の投与など適切な処置を行い、感染症等の有無を評価すること。解熱剤で効果が不十分な場合には、経口ステロイド剤の投与を検討すること。

  5. 8.5横紋筋融解症があらわれることがあるので、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等に十分注意すること。

  6. 8.6*好中球減少症、白血球減少症があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に血液検査を実施するなど観察を十分に行うこと。

  • 〈低異型度漿液性卵巣癌〉**
  1. **8.7関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:トラメチニブ(再発した低異型度漿液性卵巣癌または腹膜癌)」等)を熟読すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1心疾患又はその既往歴のある患者

症状が悪化するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1中等度以上の肝機能障害患者

本剤の曝露量が増加する可能性がある。

9.4 生殖能を有する者

*妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後16週間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。本剤を妊娠中に投与する場合、及び投与中に妊娠した場合には、胎児に対する危険性を患者に説明すること。動物実験では、ラットにおいて母動物の体重増加量の低値、着床後死亡率の高値傾向又は胎児体重の低値が0.094/0.031mg/kg/日(初回/2回目以降の投与量;臨床曝露量(AUC)の約0.3倍)以上の群でみられ、ウサギにおいて母動物の体重増加量の低値、流産、胎児体重の低値及び骨格異常の発現頻度の増加が0.077/0.0385mg/kg/日(臨床曝露量(AUC)の約0.1倍)以上の群で認められている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトの乳汁中への移行は不明である。

9.7 小児等

  • 〈悪性黒色腫、非小細胞肺癌、有毛細胞白血病、低異型度漿液性卵巣癌〉**

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

  • 〈固形腫瘍、低悪性度神経膠腫〉

低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら注意して投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP増加 頻度不明
QT/QTc 間隔延長 1%未満
γ-GTP増加 頻度不明
アクロコルドン 1%未満
インフルエンザ様疾患 頻度不明
ケラトアカントーマ 1%未満
ざ瘡様皮膚炎 頻度不明
そう痒症 頻度不明
ぶどう膜炎 頻度不明
ボーエン病 1%未満
リンパ浮腫 1%未満
上咽頭炎 1%未満
下痢 頻度不明
乳頭腫 1%未満
低ナトリウム血症 頻度不明
低リン血症 頻度不明
低血圧 頻度不明
体重増加 頻度不明
便秘 頻度不明
光線過敏症 頻度不明
出血(鼻出血 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口内炎 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
嘔吐 頻度不明
四肢痛 頻度不明
多汗症 頻度不明
寝汗 頻度不明
尿細管間質性腎炎 1%未満
尿路感染 1%未満
徐脈 1%未満
心拍数減少 頻度不明
急性熱性好中球性皮膚症(Sweet症候群) 頻度不明
急性腎障害 1%未満
悪寒 頻度不明
悪心 頻度不明
房室ブロック 1%未満
手掌・足底発赤知覚不全症候群 頻度不明
新規の原発性悪性黒色腫 1%未満
日光角化症 頻度不明
末梢性ニューロパチー 頻度不明
末梢性浮腫 頻度不明
歯肉出血等) 頻度不明
毛包炎 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
無力症 頻度不明
爪囲炎 頻度不明
疲労 頻度不明
発熱(49.6%) 頻度不明
発疹 頻度不明
皮膚乾燥 頻度不明
皮膚亀裂 頻度不明
皮膚有棘細胞癌 1%未満
皮膚病変 頻度不明
眼窩周囲浮腫 1%未満
筋痙縮 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
粘膜の炎症 頻度不明
紅斑 頻度不明
網脈絡膜症 1%未満
網膜剥離 1%未満
網膜色素上皮剥離 1%未満
網膜静脈閉塞 頻度不明
脂漏性角化症 頻度不明
脂肪織炎 頻度不明
脱毛症 頻度不明
脱水 頻度不明
腎不全 1%未満
腎炎 1%未満
腹痛 頻度不明
膵炎 1%未満
膿疱性皮疹 頻度不明
蜂巣炎 1%未満
血中CK増加 頻度不明
血小板減少症 頻度不明
視力低下 1%未満
視力障害 頻度不明
貧血 頻度不明
過敏症 1%未満
過角化 頻度不明
関節痛 頻度不明
霧視 頻度不明
頭痛 頻度不明
顔面浮腫 1%未満
食欲減退 頻度不明
高血圧 頻度不明
高血糖 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

トラメチニブは、MEK1及びMEK2の活性化並びにキナーゼ活性を阻害した21)。また、トラメチニブは、A375P F11細胞株を皮下移植したマウスの腫瘍組織において、MEKの基質であるERKのリン酸化を阻害した22)。

18.2 抗腫瘍効果

  1. 18.2.1In vitro

  2. (1)トラメチニブは、BRAF V600E変異型を発現するヒト悪性黒色腫由来細胞株(UACC-257、SK-MEL-1、COLO-829等)及びヒト非小細胞肺癌由来MV522細胞株及びヒト甲状腺未分化癌由来細胞株(8505C及び8305C)、BRAF V600K変異型を発現するヒト悪性黒色腫由来細胞株(WW165、YUMAC、YULAC及びYUSIT1)並びにBRAF V600D変異型を発現するヒト悪性黒色腫由来WM-115細胞株の増殖を抑制した23),24),25)。

  3. (2)トラメチニブを、BRAF阻害薬であるダブラフェニブと併用することにより、UACC-257、SK-MEL-1、COLO-829、MV522、8505C、8305C細胞株等に対する増殖抑制作用は各薬剤単独処理と比較して増強した23),24),25)。

  4. 18.2.2In vivo

トラメチニブは、BRAF V600E変異型を発現するヒト悪性黒色腫由来A375P F11細胞株を皮下移植したマウスにおいて、腫瘍増殖を抑制した。また、トラメチニブとダブラフェニブを併用投与することにより、各薬剤単独投与と比較して腫瘍増殖抑制作用が増強した26)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回及び反復投与

日本人固形癌患者6例に、ダブラフェニブ150mgの1日2回併用下でトラメチニブ2mgを1日1回空腹時に反復経口投与した時、トラメチニブの血漿中濃度は投与後1時間で最高濃度に達した1)。 外国人固形癌患者4例にトラメチニブ2mgを単回経口投与及び[14C]トラメチニブ5μgを単回静脈内投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは、約72.3%であった2)。

日本人固形癌患者にダブラフェニブ併用下でトラメチニブ2mgを単回及び反復経口投与したときの血漿中トラメチニブ濃度推移(平均値+標準偏差)

例数
(n)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
AUC#1
(ng・hr/mL)
T1/2
(hr)
1日目 6 7.82
(112)
0.97
(0.9-23.8)
376#2
(23.1)
82.9#2
(46.8)
21日目 6 32.5
(20.2)
1.2
(0.9-5.9)
448
(25.5)
-

幾何平均値(変動係数%)、Tmaxは中央値(最小値-最大値)

1:1日目はAUCinf、21日目はAUC0-24h

2:n=5

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

外国人固形癌患者24例にトラメチニブ2mg注1)を高脂肪・高カロリー食摂食後に単回経口投与した時の血漿中トラメチニブのAUC及びCmaxは絶食下に比べて、それぞれ約10及び70%低下した3)。 注1)本剤の承認用法・用量は、ダブラフェニブとの併用において、通常、成人にはトラメチニブとして2mgを1日1回、空腹時に経口投与である。

16.3 分布

トラメチニブのヒト血漿蛋白結合率は96.3~98.6%であり、血液/血漿中濃度比は約3であった4),5)(in vitro)。

16.4 代謝

  1. 16.4.1In vitro

トラメチニブは主にカルボキシエステラーゼにより脱アセチル化され、わずかにCYP3A4でも代謝された6),7)。

  1. 16.4.2In vivo

外国人固形癌患者2例に[14C]トラメチニブ(溶液)2mg注1)を単回経口投与した時の血漿中には、未変化体が検出され(血漿中放射能の約50%以下)、代謝物として脱アセチル体、脱アセチル体の酸化体及び脱アセチル体のグルクロン酸抱合体が検出された8)。

16.5 排泄

外国人固形癌患者2例に[14C]トラメチニブ(溶液)2mg注1)を単回経口投与後の主排泄経路は糞中であり、放射能の糞中回収率は投与放射能の35%以上(総回収量の81%以上)、尿中回収率は投与放射能の9.0%以下(総回収量の19%以下)であった。放射能回収率は投与10日間後までで50%未満であった8)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害患者

外国人の肝機能注2)の異なる患者に本剤を1日1回反復経口投与した時の血漿中薬物動態パラメータは以下のとおりであった。

肝機能 例数
(n)
投与量
(mg)
Cmax
(ng/mL)
AUC0-24h
(hr*ng/mL)
正常 10 2 26.149(38.03) 449.54(32.76)
軽度 6 2 26.196(58.85) 352.113(49.73)
中等度 2 1.5注1) 13.00、14.10 212.41、248.47
1 2 14.60 320.50
重度 2 1注1) 7.57、12.00 114.79、165.57
1 1.5注1) 7.43 118.37

幾何平均値±(幾何変動係数%)、n=1又は2の場合は個別値 注2)NCI分類

  1. 16.6.2小児

海外第Ⅰ相試験(A2102試験及びX2101試験)及び国際共同第Ⅱ相試験(G2201試験)に組み入れられた95例(6歳以上18歳未満)のデータを用いた母集団薬物動態解析の結果、①26kg以上38kg未満の患者に1mg、②38kg以上51kg未満の患者に1.5mg、③51kg以上の患者に2mgをそれぞれ1日1回反復経口投与した際の、トラメチニブのCmax(ng/mL)及びAUC0-24h(ng・hr/mL)の中央値は、①15.3及び256.4、②19.8及び345.1並びに③21.1及び381.5と推定された。 海外第Ⅰ相試験(A2102試験及びX2101試験)及び国際共同第Ⅱ相試験(G2201試験)に組み入れられた244例(0歳以上18歳未満)のデータを用いた母集団薬物動態解析の結果、①17kg未満に0.038mg/kg、②17kg以上26kg未満に0.038mg/kg、③26kg以上38kg未満に0.032mg/kg、④38kg以上51kg未満に0.032mg/kg、⑤51kg以上の患者に2mgをそれぞれ1日1回反復経口投与した際の、トラメチニブのCmax(ng/mL)及びAUC0-24h(ng・hr/mL)の中央値は、①18.1及び216.9、②21.4及び274.1、③21.1及び291.5、④24.0及び347.8並びに⑤26.0及び399.8と推定された。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1In vitro

トラメチニブはCYP2C8、2C9及び2C19を阻害し(IC50:それぞれ0.34、4.1及び5.0μM)、CYP3A4及び2B6を誘導すると考えられた。また、Pgp及びBSEPの基質であり、Pgp、BCRP、OATP1B1、OATP1B3、OAT1、OAT3及びMATE1を阻害した(IC50:それぞれ5.5、1.1、1.3、0.94、1.34、2.58及び0.0609μM)9),10),11),12)。

  1. 16.7.2In vivo

ダブラフェニブ 外国人固形癌患者17例にトラメチニブ2mgの1日1回反復経口投与とダブラフェニブ150mgの1日2回反復経口投与を併用した時、血漿中ダブラフェニブのCmax及びAUCは、ダブラフェニブ単独投与時に比べて、それぞれ約16及び23%増加した13)。