Clinical snapshot

ミニリンメルトOD錠50µg

デスモプレシン酢酸塩水和物

添付文書改訂 2025年06月01日

【警告】

本剤の抗利尿作用により過剰な水分貯留に伴う低ナトリウム血症を引き起こす可能性があり、また、デスモプレシン酢酸塩水和物を使用した患者で重篤な低ナトリウム血症による痙攣が報告されていることから、患者及びその家族に対して、水中毒(低ナトリウム血症)が発現する場合があること、水分摂取管理の重要性について十分説明・指導すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1低ナトリウム血症の患者又はその既往歴のある患者[低ナトリウム血症が増悪又は発現するおそれがある。]

  2. 2.2習慣性又は心因性多飲症の患者(尿生成量が40mL/kg/24時間を超える)[低ナトリウム血症が発現しやすい。]

  3. 2.3心不全又はその既往歴あるいはその疑いがある患者[低ナトリウム血症が発現しやすい。また、心不全が増悪又は発現するおそれがある。]

  4. 2.4利尿薬による治療を要する体液貯留又はその既往歴のある患者[低ナトリウム血症が発現しやすい。]

  5. 2.5抗利尿ホルモン不適合分泌症候群の患者[低ナトリウム血症が発現しやすい。]

  6. 2.6中等度以上の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランスが50mL/分未満)

  7. 2.7*本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  8. 2.8チアジド系利尿剤、チアジド系類似剤、ループ利尿剤を投与中の患者

  9. 2.9副腎皮質ステロイド剤(注射剤、経口剤、吸入剤、注腸剤、坐剤)を投与中の患者

効能・効果

男性における夜間多尿による夜間頻尿

用法・用量

成人男性には、通常、1日1回就寝前にデスモプレシンとして50µgを経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤投与中に低ナトリウム血症による水中毒症状を来すことがあるので、以下の点に注意すること。
  • 飲水制限を行い、点滴・輸液による水分摂取量も考慮すること。

  • 本剤投与開始前に血清ナトリウム値の測定を行い、投与の適否を判断すること。

  • 本剤投与中は投与開始又は増量から1週以内(3~7日)、1ヵ月後、及びその後は定期的に血清ナトリウム値の測定を行い、血清ナトリウム値が急激な低下を認めた場合や目安として135mEq/L未満を認めた場合には、投与を中止すること。

  • 本剤投与中は定期的に患者の状態を観察し、水中毒を示唆する症状(倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐等)が認められた場合には、直ちに投与を中断し、血清ナトリウム値を測定すること。

  1. 8.2低ナトリウム血症による水中毒症状の発現及び重篤化を避けるために患者及びその家族に以下の点について十分説明・指導すること。
  • 本剤の投与初期には頻回の血液検査(血清ナトリウム値測定)が必要であり、医師の指示に従い検査を受けること。

  • 食事を含め、投与の2~3時間前より起床時迄の水分の摂取は最小限とすること。過度に水分を摂取してしまった場合は本剤の投与を行わないこと。

  • 水分や電解質のバランスが崩れ、水分補給が必要となる急性疾患(全身性感染症、発熱、胃腸炎等)を合併している場合は本剤の投与を中断すること。

  • 低ナトリウム血症による水中毒を示唆する症状(倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐等)があらわれた場合には直ちに投与を中断し、速やかに医師に連絡すること。

  • 他院や他科を受診する際には、本剤投与中である旨を担当医師に報告すること。

  1. 8.3本剤投与開始前に臨床検査及び問診を実施し、本剤投与により低ナトリウム血症が発現するおそれがある基礎疾患(心不全や体液貯留を伴う疾患等)が認められた場合には、本剤の投与を行わないこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1高血圧を伴う循環器疾患、高度動脈硬化症、冠動脈血栓症、狭心症の患者

血圧上昇により症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.2下垂体前葉不全を有する患者

低ナトリウム血症が発現しやすい。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1中等度以上の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランスが50mL/分未満)

投与しないこと。血中半減期の延長、血中濃度の増加が認められ重篤な副作用が発現することがある。

  1. 9.2.2軽度の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランスが50~80mL/分)

血中半減期の延長、血中濃度の増加が認められ重篤な副作用が発現することがある。

9.8 高齢者

患者の状態を勘案してデスモプレシンとして25µgから投与を開始することも十分に検討すること。また、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。低ナトリウム血症が発現しやすい傾向がある。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
チアジド系利尿剤
• トリクロルメチアジド含有製剤(フルイトラン、イルトラ)、ヒドロクロロチアジド含有製剤(ヒドロクロロチアジド、エカード、ミカトリオ、ミコンビ、コディオ、プレミネント)、ベンチルヒドロクロロチアジド含有製剤(ベハイド)チアジド系類似剤
• インダパミド(ナトリックス)、トリパミド(ノルモナール)、メフルシド(バイカロン)ループ利尿剤
• フロセミド(ラシックス)、トラセミド(ルプラック)、アゾセミド(ダイアート)
低ナトリウム血症が発現するおそれがある。 いずれも低ナトリウム血症が発現するおそれがある。
副腎皮質ステロイド剤(注射剤、経口剤、吸入剤、注腸剤、坐剤)
プレドニゾロン(プレドニン)、プレドニゾロンリン酸エステルナトリウム(プレドネマ)、プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム(水溶性プレドニン)、ベタメタゾン含有製剤(リンデロン、セレスタミン)、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム(リンデロン)、デキサメタゾン(デカドロン)、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(デカドロン)、デキサメタゾンパルミチン酸エステル(リメタゾン)、ヒドロコルチゾン(コートリル)、ヒドロコルチゾンリン酸エステルナトリウム(ハイドロコートン)、ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム(ソル・コーテフ)、トリアムシノロン(レダコート)、トリアムシノロンアセトニド(ケナコルト-A)、ブデソニド含有製剤(パルミコート、シムビコート、ビレーズトリエアロスフィア)、ベクロメタゾンプロピオン酸エステル(キュバール)、メチルプレドニゾロン(メドロール)、メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム(ソル・メドロール)、メチルプレドニゾロン酢酸エステル(デポ・メドロール)、モメタゾンフランカルボン酸エステル含有製剤(アズマネックス、エナジア、アテキュラ)、フルチカゾンプロピオン酸エステル含有製剤(フルタイド、アドエア、フルティフォーム)、フルチカゾンフランカルボン酸エステル含有製剤(アニュイティ、レルベア、テリルジー)、シクレソニド(オルベスコ)、コルチゾン酢酸エステル(コートン)、フルドロコルチゾン酢酸エステル(フロリネフ)
低ナトリウム血症が発現するおそれがある。 機序不明。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
三環系抗うつ剤
(イミプラミン塩酸塩等)
選択的セロトニン再取り込み阻害剤
(フルボキサミンマレイン酸塩等)
その他の抗利尿ホルモン不適合分泌症候群を惹起する薬剤
(クロルプロマジン、カルバマゼピン、クロルプロパミド等)
低ナトリウム血症による痙攣発作の報告があるので、血清ナトリウム値等をモニターすること。 抗利尿ホルモンを分泌し、体液貯留のリスクを増すことがある。
非ステロイド性消炎鎮痛剤
(インドメタシン等)
低ナトリウム血症による水中毒症状が発現するおそれがあるため、倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐等の発現に注意すること。 体液貯留のリスクを増すことがある。
ロペラミド塩酸塩
本剤の血中濃度が増加し、薬効が延長するおそれがある。 抗利尿作用が持続することで、体液貯留/低ナトリウム血症のリスクを増すおそれがある。
低ナトリウム血症を起こすおそれがある薬剤
(スピロノラクトン、オメプラゾール等)
低ナトリウム血症が発現するおそれがある。 いずれも低ナトリウム血症が発現するおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
BNP増加 頻度不明
じん麻疹 頻度不明
下痢 頻度不明
便秘 頻度不明
傾眠 頻度不明
全身性そう痒感 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口唇浮腫 頻度不明
口腔浮腫 頻度不明
悪夢 頻度不明
悪心 頻度不明
情動障害 頻度不明
攻撃性 頻度不明
末梢性浮腫 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
浮腫 頻度不明
湿疹 頻度不明
異常行動 頻度不明
疲労 頻度不明
発疹 頻度不明
肝機能異常 頻度不明
腹部不快感 頻度不明
血中ナトリウム減少 頻度不明
血中尿素増加 頻度不明
血圧上昇 頻度不明
頭痛 頻度不明
顔面浮腫 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  1. 18.1.1バソプレシンV2受容体に対する作用

デスモプレシンのラットにおけるバソプレシンV1、V2受容体及びオキシトシン受容体に対する結合親和性(Ki)はそれぞれ1748、1.04、481nmol/Lであり、バソプレシンV2受容体に選択的な結合親和性を示した(Ki:1.04nmol/L)。 またムスカリン受容体(M1, M2, M3)への結合親和性はほとんど認められなかった(Ki>1×105nmol/L)11)。

  1. 18.1.2水及び尿素透過性亢進作用

単離したゴールデンハムスター腎髄質内層部集合管において、管腔膜側から基底膜側への水及び尿素の透過性を、デスモプレシンはそれぞれ0.01nmol/L以上、0.1nmol/L以上の濃度で亢進した12)。

18.2 抗利尿作用

ラットに蒸留水を25mL/kg経口投与した後、デスモプレシンを皮下投与し、デスモプレシン投与後5時間までの尿量を測定したところ、0.1ng/kg以上で用量の増加に伴い尿量は減少した13)。

薬物動態

16.1 血中濃度

日本人健康成人男性に本剤60、120、240µg注)(各6人)を水負荷の条件下で単回経口投与したときの血漿中デスモプレシン濃度推移は下図のとおりである。

薬物動態パラメータを下表に示した。投与量60、120、240µgに応じてAUC及びCmaxの増加が認められた1)。

パラメータ 60µg 120µg 240µg
AUCt (pg・h/mL) 23.25±4.48 50.84±7.46 139.90±10.99
AUCinf (pg・h/mL) 35.61±9.01 61.95±9.96 150.24±14.17
Cmax (pg/mL) 16.57±2.52 33.26±1.46 56.80±8.80
Tmax (h) 0.71±0.10 0.88±0.14 0.79±0.19
t1/2 (h) 1.63±0.56 2.13±0.66 2.00±0.15

本剤を水を用いずに舌下で溶解して投与 (平均値±標準偏差)

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

日本人健康成人男性16人に本剤120µg注)を食後に経口投与したとき、空腹時と比較し平均AUCtは27%に、平均Cmaxは26%に減少した2)。

16.3 分布

  1. 16.3.1体組織への分布

外国人健康成人男性23人にデスモプレシン1.78µgを単回静脈内投与注)した結果、定常状態における分布容積は26.5Lであった3)。 ラットに125Iで標識したデスモプレシン0.2µgを点鼻投与し、30分後に放射能濃度を測定したところ、甲状腺>膀胱>腎臓>肝臓の順での分布が認められた4)。

  1. 16.3.2蛋白結合率

限外ろ過法により、ヒト血清タンパクに対する2~100pg/mLの125Iで標識したデスモプレシンの結合率をin vitro試験にて検討したところ、結合率は74.0%~76.3%であった5)。

16.4 代謝

ヒト及びラット肝ミクロソームを用いたin vitro試験においてデスモプレシンは肝臓ではCYP450による代謝はほとんどないことが示された。したがって、in vivoにおいてヒトのCYP450で代謝される可能性は低いと考えられた。一方、ラット肝臓組織ホモジネートを用いたin vitro試験においては、デスモプレシンの代謝物の生成が認められており、本剤の一部は肝臓で代謝されると考えられる6),7)。

16.5 排泄

外国人健康成人男性23人にデスモプレシン1.78µgを単回静脈内投与注)した結果、全身クリアランスは7.6L/hであった3) 。外国人健康成人男女6人にデスモプレシン1.78µgを単回静脈内投与した結果、52%(44%~60%)が未変化体として尿中に排泄された8)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

外国人成人男女22人を対象として、デスモプレシンの薬物動態に対する腎機能障害の影響を検討した。デスモプレシン1.78µgを腎機能の正常者(クレアチニンクリアランス:>80mL/分、5人)、軽度の腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス:50~80mL/分、6人)、中等度の腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス:30~49mL/分、5人)及び高度の腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス:5~29mL/分、6人)に単回静脈内投与注)した結果、腎機能障害の重症度に応じて全身クリアランスが低下し、正常者に比べ軽度、中等度及び高度の腎機能障害患者ではそれぞれ0.7倍、0.4倍、0.3倍に低下した。また、正常者に比べ軽度、中等度及び高度の腎機能障害患者では、AUCはそれぞれ1.5倍、2.4倍、3.7倍に増加し、消失相半減期はそれぞれ1.4倍、2.4倍、3.2倍に延長した8)。

16.7 薬物相互作用

外国人健康成人男女20人にロペラミド投与後にデスモプレシン400µg注)を含有する錠剤(デスモプレシン錠:国内未承認)を経口投与した場合、デスモプレシン錠を単独で投与した場合と比較して、デスモプレシンのAUC、Cmaxはそれぞれ3.1倍、2.3倍に増加した。また、エリスロマイシン投与後にデスモプレシン錠を投与した場合には、デスモプレシンのAUC、Cmaxに有意な変化は認められなかった9)。 注) 本剤の承認された用法及び用量は「成人男性には、通常、1日1回就寝前にデスモプレシンとして50µgを経口投与する。」である。