〈製剤共通〉 中枢性尿崩症 〈OD錠 120µg、OD錠 240µg〉 尿浸透圧あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症
【警告】
デスモプレシン酢酸塩水和物を夜尿症に対し使用した患者で重篤な低ナトリウム血症による痙攣が報告されていることから、患者及びその家族に対して、水中毒(低ナトリウム血症)が発現する場合があること、水分摂取管理の重要性について十分説明・指導すること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1低ナトリウム血症の患者[低ナトリウム血症を増悪させるおそれがある。]
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2.2習慣性又は心因性多飲症の患者(尿生成量が40mL/kg/24時間を超える)[低ナトリウム血症が発現しやすい。]
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2.3心不全の既往歴又はその疑いがあり利尿薬による治療を要する患者[低ナトリウム血症が発現しやすい。]
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2.4抗利尿ホルモン不適合分泌症候群の患者[低ナトリウム血症が発現しやすい。]
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2.5中等度以上の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランスが50mL/分未満)
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2.6*本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
- 〈尿浸透圧あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症〉
通常、1日1回就寝前にデスモプレシンとして120µgから経口投与し、効果不十分な場合は、1日1回就寝前にデスモプレシンとして240µgに増量することができる。
- 〈中枢性尿崩症〉
通常、デスモプレシンとして1回60~120µgを1日1~3回経口投与する。投与量は患者の飲水量、尿量、尿比重、尿浸透圧により適宜増減するが、1回投与量は240µgまでとし、1日投与量は720µgを超えないこと。
使用上の注意
- 〈夜尿症〉
- 8.1本剤投与中に水中毒症状を来すことがあるので、次の点に注意すること。
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過度の飲水を避け、点滴・輸液による水分摂取にも注意すること。
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本剤による治療を1週間以上続ける場合には、血漿浸透圧及び血清ナトリウム値の検査を実施すること。
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本剤投与中は定期的(1ヵ月毎)に患者の状態を観察し、水中毒を示唆する症状(倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐等)の発現に十分注意すること。
- 8.2水中毒の発現を予防するために患者及びその家族に次の点について十分説明・指導すること。
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投与の2~3時間前(夕食後)より翌朝迄の飲水は極力避けること。過度に飲水してしまった場合は本剤の投与を行わないこと。水分や電解質のバランスが崩れ、水分補給が必要となる急性疾患(全身性感染症、発熱、胃腸炎等)を合併している場合は本剤の投与を中止すること。
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就眠前の排尿を徹底し、指示された投与量を厳守すること。
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水中毒を示唆する症状(倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐等)があらわれた場合には直ちに投与を中断し、速やかに医師に連絡すること。
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他院や他科を受診する際には、本剤投与中である旨を担当医師に報告すること。
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〈中枢性尿崩症〉
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8.3口渇中枢異常を伴う症候性尿崩症の患者では水出納のバランスがくずれやすいので、本剤投与中は血清ナトリウム値に十分注意すること。
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8.4本剤投与中に水中毒症状を来すことがあるので、次の点に注意すること。
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過度の飲水を避け、点滴・輸液による水分摂取にも注意すること。
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適正な飲水量及び適正な用法の習得並びに維持量を決定するまで、入院するなど必要な処置をとることが望ましい。
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本剤投与中は患者の状態を観察し、水中毒を示唆する症状(倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐等)の発現に十分注意すること。
- 8.5水中毒の発現を予防するために患者及びその家族に次の点について十分説明・指導すること。
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指示された飲水量、用法・用量を厳守すること。
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過度に飲水してしまった場合は本剤の投与を行わないこと。発熱、喘息等の飲水が増加する疾患を合併している場合は特に注意すること。
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水中毒を示唆する症状(倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐等)があらわれた場合には直ちに投与を中断し、速やかに医師に連絡すること。
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他院や他科を受診する際には、本剤投与中である旨を担当医師に報告すること。
- 8.6尿量が自然に減少する患者がいるので観察を十分にし、漫然と投与しないこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1高血圧を伴う循環器疾患、高度動脈硬化症、冠動脈血栓症、狭心症の患者
血圧上昇により症状を悪化させるおそれがある。
- 9.1.2下垂体前葉不全を伴う患者
低ナトリウム血症が発現しやすい。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1中等度以上の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランスが50mL/分未満)
投与しないこと。血中半減期の延長、血中濃度の増加が認められる。
- 9.2.2軽度の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランスが50~80mL/分)
血中半減期の延長、血中濃度の増加が認められる。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠中の投与に関する観察研究において、新生児1例に奇形が認められ、また、文献報告にて、新生児6例に本剤投与と直接的な影響は考えにくいが低出生体重児・先天性奇形等の異常が認められている1)。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児、乳児及び6歳未満の幼児を対象とした国内臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
症状を観察しながら慎重に投与すること。生理機能が低下している。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| 三環系抗うつ剤 (イミプラミン塩酸塩等) 選択的セロトニン再取り込み阻害剤 (フルボキサミンマレイン酸塩等) その他の抗利尿ホルモン不適合分泌症候群を惹起する薬剤 (クロルプロマジン、カルバマゼピン、クロルプロパミド等) |
低ナトリウム血症性の痙攣発作の報告があるので、血清ナトリウム、血漿浸透圧等をモニターすること。 | 抗利尿ホルモンを分泌し、水分貯留のリスクを増すことがある。 |
| 非ステロイド性消炎鎮痛剤 (インドメタシン等) |
水中毒が発現しやすい可能性があるため、浮腫等の発現に注意すること。 | 水分貯留のリスクを増すことがある。 |
| ロペラミド塩酸塩 |
本剤の血中濃度が増加し、薬効が延長する可能性がある。 | 抗利尿作用が持続することで、水分貯留/低ナトリウム血症のリスクを増す可能性がある。 |
| 低ナトリウム血症を起こすおそれがある薬剤 チアジド系利尿剤 (トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等) チアジド系類似剤 (インダパミド等) ループ利尿剤 (フロセミド等) スピロノラクトン オメプラゾール 等 |
低ナトリウム血症が発現するおそれがある。 | いずれも低ナトリウム血症が発現するおそれがある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| じん麻疹 | 頻度不明 |
| のぼせ | 頻度不明 |
| めまい | 頻度不明 |
| 不眠 | 頻度不明 |
| 低ナトリウム血症 | 頻度不明 |
| 全身そう痒感 | 頻度不明 |
| 全身倦怠感 | 頻度不明 |
| 口渇 | 頻度不明 |
| 強直性痙攣 | 頻度不明 |
| 悪夢 | 頻度不明 |
| 悪心・嘔吐 | 頻度不明 |
| 情動障害 | 頻度不明 |
| 攻撃性 | 頻度不明 |
| 浮腫 | 頻度不明 |
| 異常行動 | 頻度不明 |
| 発汗 | 頻度不明 |
| 発熱 | 頻度不明 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 眠気 | 頻度不明 |
| 肝機能異常 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 顔面浮腫 | 頻度不明 |
| 顔面蒼白 | 頻度不明 |
| 食欲不振 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
- 18.1.1バソプレシンV2受容体に対する作用
デスモプレシンのラットにおけるバソプレシンV1、V2受容体及びオキシトシン受容体に対する結合親和性(Ki)はそれぞれ1748,1.04,481nmol/Lであり、バソプレシンV2受容体に選択的な結合親和性を示した(Ki:1.04nmol/L)。またムスカリン受容体(M1,M2,M3)への結合親和性はほとんど認められなかった(Ki>1×105nmol/L)15)。
- 18.1.2水及び尿素透過性亢進作用
単離したゴールデンハムスター腎髄質内層部集合管において、管腔膜側から基底膜側への水及び尿素の透過性を、デスモプレシンはそれぞれ0.01nmol/L以上、0.1nmol/L以上の濃度で亢進した16)。
18.2 抗利尿作用
ラットに蒸留水を25mL/kg経口投与した後、デスモプレシンを皮下投与し、デスモプレシン投与後5時間までの尿量を測定したところ、0.1ng/kg以上で用量の増加に伴い尿量は減少した17)。
薬物動態
16.1 血中濃度
健康成人に本剤60,120,240µg(各6人)を水負荷の条件下で単回経口投与したときの血漿中デスモプレシン濃度推移は下図のとおりである4)。
また、薬物動態パラメータは表のとおりであり、投与量60,120,240µgでは用量に応じたAUC及びCmaxの増加が認められた。
| パラメータ | 60µg | 120µg | 240µg |
|---|---|---|---|
| AUCt(pg・h/mL) | 23.25±4.48 | 50.84±7.46 | 139.90±10.99 |
| AUCinf(pg・h/mL) | 35.61±9.01 | 61.95±9.96 | 150.24±14.17 |
| Cmax(pg/mL) | 16.57±2.52 | 33.26±1.46 | 56.80±8.80 |
| Tmax(h) | 0.71±0.10 | 0.88±0.14 | 0.79±0.19 |
| t1/2(h) | 1.63±0.56 | 2.13±0.66 | 2.00±0.15 |
本剤を水を用いずに舌下で溶解して投与 (平均値±標準偏差)
16.2 吸収
- 16.2.1食事の影響
健康成人(16人)に本剤120µgをクロスオーバー法にて空腹時及び食後に経口投与したとき、平均AUCtは44.94及び12.03pg・h/mL、平均Cmaxは14.89及び3.90pg/mLであった5)。
16.3 分布
- 16.3.1体組織への分布
ラットに125Iで標識したデスモプレシン0.2µgを点鼻投与したとき、30分後の放射能濃度は、甲状腺>膀胱>腎臓>肝臓の順であった6)。
- 16.3.2蛋白結合率
In vitroでのヒト血清蛋白結合率は以下のとおりであった7)。
| 添加濃度(pg/mL) | 2 | 50 | 100 |
|---|---|---|---|
| 血清蛋白結合率(%) | 76.3±3.3 | 74.2±2.8 | 74.0±3.4 |
限外ろ過法による 平均値±標準偏差(n=4)
16.4 代謝
ヒト及びラット肝ミクロソームを用いたin vitro試験においてデスモプレシンは肝臓ではCYP450による代謝はほとんどないことが示されていることから、in vivoにおいてヒト肝ミクロソームで代謝される可能性は低いと考えられた。一方、ラット肝臓組織ホモジネートを用いたin vitro試験においては、デスモプレシンの代謝物の生成が認められており、本剤の一部は肝臓で代謝されると考えられる8),9)。
16.5 排泄
デスモプレシンの総クリアランスは7.6L/hであった。健常成人被験者において、52%(44%~60%)が未変化体として排泄された10),11)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者
デスモプレシン2µg静脈内単回投与時注)のPKに対する腎機能障害の影響を腎機能(クレアチニンクリアランス)に基づき、外国人被験者を腎機能正常(>80mL/分)、腎機能障害が軽度(50~80mL/分)、中等度(30~49mL/分)及び高度(5~29mL/分)の4群に層別し検討したところ、腎機能障害の重症度に応じて全身クリアランスが低下し、中等度及び高度の腎機能障害患者では、腎機能正常者と比較して統計学的な有意差が認められた。腎機能正常者のAUCは186.1±64.1pg・h/mL(平均値±標準偏差)であったが、軽度、中等度及び高度の腎機能障害患者では、それぞれ280.8±31.7、453.3±174.7及び681.5±226.1pg・h/mLに増加した。分布相の半減期(t1/2λ1)は腎機能障害の程度に影響されなかった。一方、消失相の半減期(t1/2λ2)は、腎機能正常者で2.77時間であったのに対し、軽度、中等度及び高度の腎機能障害患者ではそれぞれ3.99、6.57及び8.74時間に延長した11)。
16.7 薬物相互作用
外国人にロペラミド投与後にデスモプレシン400µg注)を含有する錠剤(デスモプレシン錠:国内未承認)を経口投与した場合、デスモプレシン錠を単独で投与した場合と比較して、デスモプレシンのAUC、AUCt、Cmaxがそれぞれ3.1倍(95%CI:2.3~4.2)、3.2倍(2.3~4.4)、2.3倍(1.6~3.2)上昇した。また、エリスロマイシン投与後にデスモプレシン錠を投与した場合には、デスモプレシンのAUC、AUCt、Cmaxに有意な変化は認められなかった12)。 注)本剤の承認された用量は、デスモプレシンとして経口投与で60µgから240µgである。