Clinical snapshot

ミオコールスプレー0.3mg

速効性ニトログリセリンエアゾール製剤

添付文書改訂 2025年10月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1重篤な低血圧又は心原性ショックのある患者 [血管拡張作用により更に血圧を低下させ、症状を悪化させるおそれがある。]

  2. 2.2閉塞隅角緑内障の患者 [眼圧を上昇させるおそれがある。]

  3. 2.3頭部外傷又は脳出血のある患者 [頭蓋内圧を上昇させるおそれがある。]

  4. 2.4高度な貧血のある患者 [血圧低下により貧血症状(めまい、立ちくらみ等)を悪化させるおそれがある。]

  5. 2.5硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者

  6. 2.6ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)又はグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤(リオシグアト)を投与中の患者

効能・効果

狭心症発作の寛解

用法・用量

通常、成人には、1回1噴霧(ニトログリセリンとして0.3mg)を舌下に投与する。

なお、効果不十分の場合は1噴霧を追加投与する。

使用上の注意

  1. 8.1過度に使用した場合、急激な血圧低下による意識喪失を起こすことがあるので、用法・用量に十分注意すること。 過度の血圧低下、意識喪失が起こった場合には、下肢の挙上あるいは昇圧剤の投与等、適切な処置を行うこと。

  2. 8.2起立性低血圧を起こすことがあるので注意すること。

  3. 8.3本剤の投与開始時には、他の硝酸・亜硝酸エステル系薬剤と同様に血管拡張作用による頭痛等の副作用が起こりやすく、これらの副作用のために注意力、集中力、反射運動能力等の低下が起こることがあるので、このような場合には、自動車の運転等の危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1低血圧の患者(重篤な低血圧のある患者を除く)

血管拡張作用により更に血圧を低下させるおそれがある。

  1. 9.1.2心筋梗塞の急性期の患者

血圧を低下させるおそれがある。

  1. 9.1.3原発性肺高血圧症の患者

心拍出量が低下しショックを起こすおそれがある。

  1. 9.1.4肥大型閉塞性心筋症の患者

心室内圧較差の増強をもたらし、症状を悪化させるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

高い血中濃度が持続するおそれがある。本剤は、主として肝臓で代謝されるが、高齢者では一般に肝機能が低下していることが多い。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤
• シルデナフィルクエン酸塩
• (バイアグラ、レバチオ)
• バルデナフィル塩酸塩水和物
• (レビトラ)
• タダラフィル
• (シアリス、アドシルカ、ザルティア)
併用により、降圧作用を増強することがある。
本剤投与前にこれらの薬剤を服用していないことを十分確認すること。また、本剤投与中及び投与後においてこれらの薬剤を服用しないよう十分注意すること。
本剤はcGMPの産生を促進し、一方、ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する。
グアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤
• リオシグアト
• (アデムパス)
併用により、降圧作用を増強することがある。
本剤投与前にこれらの薬剤を服用していないことを十分確認すること。また、本剤投与中及び投与後においてこれらの薬剤を服用しないよう十分注意すること。
本剤とグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤は、ともにcGMPの産生を促進することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

下記の薬剤等との相互作用により、過度の血圧低下が起こった場合には、下肢の挙上あるいは昇圧剤の投与等、適切な処置を行うこと。

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
降圧作用及び血管拡張作用を有する薬物
• Ca拮抗剤
• ACE阻害剤
• β遮断剤
• 利尿剤
• 三環系抗うつ剤
• メジャートランキライザー 等
血圧低下が増強されることがある。 血圧低下作用が相加的に増強される。
アルコール摂取 血圧低下が増強されることがある。 血圧低下作用が相加的に増強される。
他の硝酸・亜硝酸エステル系薬剤 頭痛、血圧低下等の副作用が増強されることがある。 血管拡張作用が増強される。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 頻度不明
ALT上昇 1〜5%未満
AST上昇 1〜5%未満
LDH上昇 頻度不明
アフタ性口内炎 頻度不明
ほてり 頻度不明
めまい 頻度不明
便失禁 頻度不明
動悸 頻度不明
失神 頻度不明
尿失禁 頻度不明
悪心・嘔吐 頻度不明
本剤自体による舌のしびれ 頻度不明
気分不良 頻度不明
潮紅 頻度不明
熱感 頻度不明
発汗 頻度不明
発疹 頻度不明
脳貧血 頻度不明
舌の刺激感 頻度不明
舌痛 頻度不明
血圧低下 頻度不明
頭痛 頻度不明
頭重感 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ニトロ化合物は、代謝を受けたり非酵素的に分解されたりして、分子内から一酸化窒素(NO)を遊離する。NOは血管平滑筋の細胞質に存在する可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化することによって細胞内のサイクリックGMP(cGMP)を増加させる。これによりcGMP依存性プロテインキナーゼが活性化され、細胞内の多くのタンパク質がリン酸化・脱リン酸化されるが、それらの総合的結果として血管平滑筋の弛緩がもたらされる。ニトロ化合物による血管弛緩作用は静脈に対しても強く働き心臓への静脈還流量が減少するので心臓に対する前負荷が軽減される。動脈拡張に基づく後負荷軽減作用も現す。また、主として太い冠動脈を拡張させるので、側副血行路を流れる血流が増加し、虚血部への酸素供給が増加する3)。

18.2 血行動態に及ぼす作用

無麻酔イヌの舌下に本剤を1、2又は3噴霧したとき、噴霧後直ちに用量依存的な収縮期血圧の低下、脈圧の減少及び心拍数の増加が認められた4)。

18.3 冠動脈拡張作用

虚血性心疾患患者に本剤を1又は2噴霧したとき、非投与群に比較して有意な冠動脈径の拡張が認められた5)。

18.4 運動耐容能の増加作用

労作狭心症患者を対象としたトレッドミル運動試験において、本剤1噴霧はプラセボに比較して、薬剤投与から運動終了までの時間を有意に延長した6)。

薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人男子に本剤1噴霧(ニトログリセリンとして0.3mg)を舌下投与したとき、血漿中ニトログリセリン濃度は投与後3分に3.08ng/mLに達した後、投与後15分には0.30ng/mLまで低下した。

Cmax
(ng/mL)
Tmax
(min)
AUC0→15min
(ng・min/mL)
3.55±0.40 4.1±0.3 20.68±2.07

(平均値±標準誤差、n=35)

健康成人男子に本剤1噴霧を舌下投与したときの血漿中ニトログリセリン濃度推移(平均値±標準誤差、n=35)