Clinical snapshot

マブキャンパス点滴静注30mg

アレムツズマブ(遺伝子組換え)製剤

添付文書改訂 2026年05月01日

【警告】

  1. 1.1本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療又は造血幹細胞移植に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

  2. 1.2本剤の投与により、低血圧、悪寒、発熱、呼吸困難、発疹、気管支痙攣等のinfusion reactionがあらわれ、死亡に至った症例も報告されている。本剤投与中は患者を注意深くモニタリングし、重度のinfusion reactionが認められた場合は直ちに本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  3. 1.3本剤の投与により、末梢血リンパ球の減少があらわれ、治療終了後も持続することなど、免疫抑制作用により、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫による感染症が生じる又は悪化する可能性がある。また、重篤な感染症により死亡に至った症例が報告されている。本剤投与に先立って感染症対策を講じるとともに、本剤投与中は患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分又はマウスタンパク質由来製品に対する過敏症又はアナフィラキシーの既往歴のある患者

  2. 2.2重篤な感染症を合併している患者

  3. 2.3妊婦、妊娠している可能性のある女性

効能・効果

  • 再発又は難治性の慢性リンパ性白血病

  • 同種造血幹細胞移植の前治療

  • **T細胞性前リンパ球性白血病

用法・用量

  • 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病、T細胞性前リンパ球性白血病〉**

通常、成人にはアレムツズマブ(遺伝子組換え)として1日1回3mgの連日点滴静注から開始し、1日1回10mgを連日点滴静注した後、1日1回30mgを週3回隔日に点滴静注する。ただし、投与開始から12週間までの投与とする。なお、患者の状態により適宜減量する。

  • 〈同種造血幹細胞移植の前治療〉

通常、成人にはアレムツズマブ(遺伝子組換え)として1日1回0.16mg/kgを6日間点滴静注する。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1血小板減少、好中球減少等の重篤な血球減少があらわれることがあるので、本剤投与に際しては定期的に血液検査を行い患者の状態を十分に観察すること。なお、血球減少は投与開始初期からあらわれることがある。

  2. 8.2本剤の投与により、重篤な感染症があらわれることがあるので、本剤投与に先立って、感染症に対する予防投与を行うとともに、定期的にサイトメガロウイルス検査を行う等、患者の状態を十分に観察すること。

  3. 8.3本剤の免疫抑制作用により、細菌、真菌、ウイルス又は原虫による感染症や日和見感染が発現又は悪化することがある。本剤投与により、肝炎ウイルス、結核等が再活性化又はヒト免疫不全ウイルスが活性化するおそれがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス、結核、ヒト免疫不全ウイルス等の感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと。また、本剤投与中は感染症の発現又は増悪に十分注意すること。

  4. 8.4錯乱、傾眠が発現することがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。

  5. 8.5腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

  6. 8.6甲状腺機能異常があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は甲状腺機能検査を行い患者の状態を十分に観察すること。

  • 〈T細胞性前リンパ球性白血病〉
  1. **8.7本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:アレムツズマブ(遺伝子組換え)(T細胞性前リンパ球性白血病)」等)を熟読すること1) 。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1心機能障害のある患者又はその既往歴のある患者

心機能検査(心電図、心エコー、心拍数等)を行う等患者の状態を十分に観察すること。虚血性心疾患、狭心症等の心機能障害のある患者又はその既往歴のある患者で心不全等の心障害があらわれることがある。

  1. 9.1.2アントラサイクリン系薬剤等の心毒性を有する薬剤による前治療歴のある患者

心機能検査(心電図、心エコー、心拍数等)を行う等患者の状態を十分に観察すること。

  1. 9.1.3降圧剤による治療を行っている患者

本剤投与中に一過性の低血圧があらわれることがある。

  1. 9.1.4重篤な骨髄機能低下のある患者

好中球減少及び血小板減少を増悪させ重篤化させるおそれがある。

  1. 9.1.5感染症を合併している患者

本剤の免疫抑制作用により病態を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.6肝炎ウイルスの感染又は既往を有する患者

肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど患者の状態を十分に観察すること。B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれるおそれがある。

  1. 9.1.7結核、ヒト免疫不全ウイルスの感染又は既往を有する患者

本剤の免疫抑制作用により病態を悪化させるおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

*妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後3ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。動物実験(トランスジェニックマウス)において、胚・胎児毒性が認められている。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。妊娠動物(トランスジェニックマウス)に投与した試験で、本剤の胎児への移行及び胎児のB細胞リンパ球減少が認められている。

9.6 授乳婦

本剤による治療期間及び本剤の消失半減期を考慮し、本剤投与中及び最終投与後一定期間は授乳しないことが望ましい。動物実験(トランスジェニックマウス)において、本剤の乳汁への移行が確認されており、哺乳中の出生児の血清中から本剤が検出されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
生ワクチン又は弱毒生ワクチン 接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置を行うこと。 ワクチン接種に対する応答が不明であり、また、生ワクチンによる二次感染が否定できない。
不活化ワクチン ワクチンの効果を減弱させるおそれがある。 ワクチン接種に対する応答が不明であり、また、生ワクチンによる二次感染が否定できない。
免疫抑制剤 発熱などの感染症(細菌及びウイルス等)に基づく症状が発現した場合には、適切な処置を行うこと。 過度の免疫抑制作用による感染症誘発の危険性がある。
降圧剤 一過性の血圧下降があらわれることがある。 血圧下降を増強させるおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP増加 頻度不明
ALT(GPT)増加 頻度不明
AST(GOT)増加 頻度不明
LDH増加 頻度不明
アレルギー性皮膚炎 頻度不明
イレウス 頻度不明
インフルエンザ様疾患 頻度不明
うつ病 頻度不明
おくび 頻度不明
サイトメガロウイルス検査陽性 頻度不明
ジストニー 頻度不明
しゃっくり 1%未満
そう痒性皮疹 1%未満
そう痒症 頻度不明
ハプトグロビン減少 1%未満
びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫 1%未満
ほてり 頻度不明
リンパ球減少症 1%未満
リンパ節症 1%未満
上室性不整脈 1%未満
上室性期外収縮 1%未満
上室性頻脈 1%未満
上気道の炎症 頻度不明
上気道性喘鳴 1%未満
上気道感染 頻度不明
下痢 頻度不明
不安 頻度不明
不眠症 頻度不明
人格変化 1%未満
低アルブミン血症 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低カルシウム血症 頻度不明
低ナトリウム血症 頻度不明
低血圧 頻度不明
体温上昇 1%未満
体重増加 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
偽リンパ腫 頻度不明
傾眠 頻度不明
冷感 頻度不明
副鼻腔炎 1%未満
勃起不全 頻度不明
動悸 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口内炎 頻度不明
口渇 1%未満
口腔内不快感 頻度不明
口腔内潰瘍形成 1%未満
口腔咽頭不快感 頻度不明
口腔浮腫 頻度不明
味覚消失 頻度不明
味覚異常 頻度不明
呼吸障害 頻度不明
呼吸音異常 1%未満
咳嗽 頻度不明
咽喉絞扼感 1%未満
咽頭炎 1%未満
喀血 頻度不明
喉頭炎 頻度不明
喘鳴 頻度不明
嘔吐 頻度不明
四肢痛 頻度不明
回転性めまい 頻度不明
多尿 頻度不明
多汗症 頻度不明
寝汗 頻度不明
尿失禁 1%未満
尿路感染 頻度不明
尿量減少 頻度不明
徐脈 頻度不明
心房細動 1%未満
心電図異常 頻度不明
思考異常 頻度不明
急性肺水腫 1%未満
悪寒 頻度不明
悪心 頻度不明
感染 頻度不明
感覚鈍麻 頻度不明
振戦 頻度不明
排尿困難 頻度不明
播種性血管内凝固 1%未満
斑状丘疹状皮疹 頻度不明
斑状皮疹 頻度不明
末梢性ニューロパチー 1%未満
末梢性浮腫 頻度不明
末梢性虚血 頻度不明
歩行障害 1%未満
歯肉出血 1%未満
歯肉炎 1%未満
気管支炎 頻度不明
気管支肺炎 頻度不明
水疱性皮膚炎 頻度不明
注入部位反応 頻度不明
注入部位疼痛 頻度不明
注入部位皮膚炎 頻度不明
注射部位浮腫 頻度不明
注射部位紅斑 1%未満
注射部位血腫 1%未満
洞性徐脈 頻度不明
洞性頻脈 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
溶血性貧血 頻度不明
潮紅 頻度不明
無力症 頻度不明
熱感 頻度不明
狭心症 頻度不明
疲労 頻度不明
疼痛 頻度不明
発声障害 頻度不明
発熱 頻度不明
発熱性好中球減少症 頻度不明
発疹 頻度不明
皮下出血 1%未満
皮膚炎 頻度不明
皮膚障害 1%未満
眼内炎 1%未満
眼部腫脹 1%未満
知覚過敏 頻度不明
神経過敏 頻度不明
筋痙縮 1%未満
筋緊張 1%未満
筋肉痛 頻度不明
筋骨格痛 頻度不明
筋骨格系胸痛 頻度不明
粘膜の炎症 頻度不明
粘膜潰瘍 頻度不明
糖尿病 頻度不明
紅斑 頻度不明
紅斑性皮疹 1%未満
紫斑 1%未満
結膜炎 頻度不明
総蛋白減少 頻度不明
耳鳴 1%未満
肝機能検査異常 1%未満
肝機能異常 頻度不明
肺炎 頻度不明
胃炎 頻度不明
背部痛 頻度不明
胸水 1%未満
胸痛 頻度不明
胸部不快感 頻度不明
脱水 頻度不明
腎機能障害 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部不快感 頻度不明
腹部膨満 1%未満
膿瘍 頻度不明
舌潰瘍 1%未満
蕁麻疹 頻度不明
血中アルブミン減少 頻度不明
血中ビリルビン増加 頻度不明
血尿 頻度不明
血液学的検査異常 頻度不明
血管痙攣 頻度不明
起立性低血圧 頻度不明
運動過多 頻度不明
錯乱状態 1%未満
錯感覚 頻度不明
関節痛 頻度不明
限局性浮腫 頻度不明
離人症 頻度不明
難聴 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻脈 頻度不明
食欲減退 頻度不明
骨痛 1%未満
高ビリルビン血症 頻度不明
高血圧 頻度不明
高血糖 1%未満
鼻出血 頻度不明
鼻咽頭炎 頻度不明
鼻漏 頻度不明
鼻炎 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤はCD52抗原に結合するヒト化モノクローナル抗体である。CD52抗原はB細胞、T細胞、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞及び慢性リンパ性白血病(CLL)細胞に発現している。本剤は慢性リンパ性白血病細胞の表面のCD52抗原に結合し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性と補体依存性細胞傷害(CDC)活性を介した細胞溶解を起こすと考えられている7) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

  • 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病〉

日本人慢性リンパ性白血病患者に本剤3mgを開始用量として30mgまで増量した後、週3回隔日で30mgを12週間反復静脈内投与した時の、30mgの初回及び最終投与後の血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。本剤30mgの初回投与時と最終投与時を比較するとCmax、AUC0-τ及びt1/2zの増加、並びにCL及びVssの減少が認められた。

Cmax
(μg/mL)
tmax
(h)
AUC0-τ
(μg・h/mL)
CL
(mL/h/kg)
Vss
(L/kg)
t1/2z
(h)
初回投与後 被験者数 5 5 6 6 5 5
算術平均 1.2 2.23 14.4 35.47 1.241 33.13
標準偏差 0.8 0.07 10.7 37.70 0.677 24.06
最終投与後 被験者数 4 4 4 4 4 4
算術平均 17.8 3.40 773 0.93 0.155 185.2
標準偏差 10.6 1.74 592 0.41 0.043 141.4
  • 〈同種造血幹細胞移植の前治療〉

同種造血幹細胞移植を施行予定の後天性再生不良性貧血患者を対象とした国内第1/2相試験において、12例にアレムツズマブを0.16mg/kg/日の用量で1日1回、移植前10日から移植前5日までの6日間、4時間かけて点滴静注した時の最終投与後の薬物動態パラメータは以下のとおりであった。

Cmax
(μg/mL)
AUCinf
(μg・day/mL)
CL
(mL/day)
Vz
(mL)
t1/2
(day)
算術平均 10.9 114 465 6640 10.2
標準偏差 1.47 25.6 117 1330 1.64