Clinical snapshot

ポリドカスクレロール1%注2mL

ポリドカノール

添付文書改訂 2026年03月01日

【警告】

  1. 1.1動脈内へ使用しないこと。切断の必要があるかもしれない重篤な壊死が起こることが外国の使用例で報告されている。

  2. 1.2本剤投与により、肺塞栓症、深部静脈血栓症等の重篤な副作用が発現するおそれがあるので、症状等を注意深く観察し、発症が疑われた場合は適切な処置を行うこと。

  3. 1.3本剤は下肢静脈瘤硬化療法に十分な知識及び経験のある医師が使用すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  • 〈用法共通〉
  1. 2.1深部静脈血栓症を有する、あるいは血栓症の既往のある患者。[既存の深部静脈血栓症の悪化、あるいは血栓形成のおそれがある。]

  2. 2.2動脈性血行障害を有する患者(動脈硬化又は糖尿病性細小血管症の患者を含む)。[末梢血管病変が悪化するおそれがある。]

  3. 2.3歩行の困難な患者。[下肢の運動によって避け得る深部静脈障害を生ずるおそれがある。]

  4. 2.4多臓器障害あるいは播種性血管内凝固症候群(DIC)状態の患者。[全身状態が悪いので障害が起こり易い。]

  5. 2.5経口避妊薬を服用している患者。[血栓形成のおそれがある。]

  6. 2.6抗凝固剤、抗血小板剤を服用している患者。[血栓形成が抑制・阻害されるおそれがある。]

  7. 2.7重篤な心疾患のある患者。[障害が悪化するおそれがある。]

  8. 2.8ショックあるいは前ショック状態にある患者。[ショックによる障害を起こし易い。]

  9. 2.9本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

  10. 2.10気管支喘息の患者。[硬化剤によるアレルギー反応を起こし易い。]

  11. 2.11妊婦又は妊娠している可能性のある女性。

  12. 2.12投与部位並びにその周辺に炎症又は潰瘍のある患者。[催炎作用により既存炎症の悪化、また潰瘍部よりの出血のおそれがある。]

  • 〈フォーム硬化療法で使用する場合〉
  1. 2.13卵円孔開存症を介した奇異性塞栓症による脳卒中、一過性脳虚血発作等の疾患のある患者及びその既往のある患者。

効能・効果

  • 〈ポリドカスクレロール0.5%注2mL〉

一次性下肢静脈瘤(伏在静脈瘤の本幹を除く)の硬化退縮

  • 〈ポリドカスクレロール1%注2mL、ポリドカスクレロール3%注2mL〉

一次性下肢静脈瘤の硬化退縮

用法・用量

  • 〈ポリドカスクレロール0.5%注2mL〉

直径1mm未満の一次性下肢静脈瘤を対象に、1穿刺あたり0.1〜0.5mLを基準として静脈瘤内に1箇所又は2箇所以上投与する。なお、1回の総投与量はポリドカノールとして2mg/kg以下とする。 1回の処置で治療が終了しない場合、次回の投与は原則として1週間後とする。

  • 〈ポリドカスクレロール1%注2mL〉

  • 液状硬化療法で使用する場合

直径1mm以上3mm未満の一次性下肢静脈瘤を対象に、1穿刺あたり0.5〜1mLを基準として静脈瘤内に1箇所又は2箇所以上投与する。なお、1回の総投与量はポリドカノールとして2mg/kg以下とする。 1回の処置で治療が終了しない場合、次回の投与は原則として1週間後とする。

  • フォーム硬化療法で使用する場合

小型の一次性下肢静脈瘤を対象に、静脈瘤内に1箇所又は2箇所以上投与する。1穿刺あたりの最大投与量は、対象となる静脈瘤の大きさに応じてフォーム硬化剤として2〜6mLとする。なお、1回の総投与量はポリドカノールとして2mg/kg以下、かつ、フォーム硬化剤として10mL以下とする。 1回の処置で治療が終了しない場合、次回の投与は原則として1週間後とする。

  • 〈ポリドカスクレロール3%注2mL〉

  • 液状硬化療法で使用する場合

直径3mm以上8mm以下の一次性下肢静脈瘤を対象に、1穿刺あたり0.5〜1mLを基準として静脈瘤内に1箇所又は2箇所以上投与する。なお、1回の総投与量はポリドカノールとして2mg/kg以下とする。 1回の処置で治療が終了しない場合、次回の投与は原則として1週間後とする。

  • フォーム硬化療法で使用する場合

中型又は大型の一次性下肢静脈瘤を対象に、静脈瘤内に1箇所又は2箇所以上投与する。1穿刺あたりの最大投与量は、対象となる静脈瘤の大きさに応じてフォーム硬化剤として4〜6mLとする。なお、1回の総投与量はポリドカノールとして2mg/kg以下、かつ、フォーム硬化剤として10mL以下とする。 1回の処置で治療が終了しない場合、次回の投与は原則として1週間後とする。

使用上の注意

  1. 8.1ショック、深部静脈血栓、肺塞栓等の重篤な症状を起こすことがあるので、下肢静脈瘤硬化療法施行に際しては、十分に問診を行うとともに、患者の全身状態を観察し、異常が生じた場合は直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。 使用に際しては、救急処置がとれるようにすること。また肺塞栓が疑われる場合は、早急に精査の上、血栓溶解剤投与などの処置を行うこと。

  2. 8.2*脳血管障害(一過性脳虚血発作等)、視覚障害、片頭痛があらわれることがあり、外国においてフォーム硬化療法施行によりこれらの事象の発生頻度が高まることが報告されている。その機序の一つとして卵円孔開存症による動静脈(右左)シャントを介した原因物質の体循環への流入に起因する奇異性塞栓症が関与している可能性が報告されているので、重症の脳卒中、肺高血圧症、前兆のある片頭痛の既往のある患者においてフォーム硬化療法を施行する場合には、施行前に卵円孔開存症の有無等を確認すること。また、患者の全身状態を観察し、異常が生じた場合は直ちに投与を中止する等の適切な処置を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  • 〈用法共通〉
  1. 9.1.1心疾患のある患者

用量依存性の血圧降下作用(心拍数減少、心伝導系抑制作用)によると考えられるショックのおそれがある。

  1. 9.1.2発熱のある患者

原疾患があるため、障害を起こし易い。

  • 〈フォーム硬化療法で使用する場合〉
  1. 9.1.3卵円孔開存症のある患者(ただし、卵円孔開存症を介した奇異性塞栓症による脳卒中、一過性脳虚血発作等の疾患のある患者及びその既往のある患者を除く)

脳血管障害(一過性脳虚血発作等)、視覚障害、片頭痛があらわれることがある。

  1. 9.1.4過去に本剤による下肢静脈瘤硬化療法において視覚症状、精神症状又は神経症状を起こしたことのある患者

脳血管障害(一過性脳虚血発作等)、視覚障害、片頭痛があらわれることがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重篤な腎機能障害のある患者

腎機能障害が悪化するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝機能障害のある患者

肝機能障害が悪化するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ウサギ)において、器官形成期の投与により胚胎児死亡率の増加及び胎児体重の低下が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において、乳汁中への移行が報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

用量に注意すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
麻酔剤 麻酔剤の心臓に対する作用(抗不整脈作用)を増強することがある。 本剤は当初、麻酔剤として開発されたものであり、本剤の心拍数減少、心伝導系抑制作用により、相互に心機能抑制作用を増強させることが考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
AL-P低下 1%未満
CK上昇 1〜5%未満
CRP上昇 1〜5%未満
LDH上昇 1〜5%未満
γ-GTP上昇 1〜5%未満
γ-GTP低下 1%未満
アレルギー性皮膚反応 1〜5%未満
びらん 1〜5%未満
プロトロンビン時間短縮 1%未満
ヘモグロビン低下 1%未満
ほてり 1%未満
めまい 1〜5%未満
中性脂肪上昇 1〜5%未満
味覚異常 頻度不明
嘔気 1%未満
圧痛 1〜5%未満
多毛症 1%未満
尿蛋白 1%未満
悪心 1%未満
掻痒 1〜5%未満
水疱 1〜5%未満
浮腫 1〜5%未満
湿疹 1〜5%未満
片頭痛 頻度不明
異常感覚 1〜5%未満
疼痛 1〜5%未満
痂皮 1%未満
瘤内血栓 5%以上
発熱 1%未満
発赤 1〜5%未満
白血球減少 1〜5%未満
皮下出血 1〜5%未満
皮膚炎 1〜5%未満
総コレステロール上昇・低下 1%未満
胸痛 頻度不明
色素沈着 5%以上
血圧低下 頻度不明
血腫 1%未満
視覚障害 頻度不明
錯感覚 頻度不明
静脈炎 1〜5%未満
頭痛 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤の主成分ポリドカノールは分子内に疎水性部分(ドデシル基)と親水性部分(ポリオキシエチレン基)をもつ非イオン性の界面活性剤である。本剤はポリドカノールが有する界面活性作用により細胞膜を障害することで血管内皮細胞を障害すると考えられる6)。下肢静脈瘤硬化療法において本剤は、血管内皮細胞を障害することにより内皮皮下組織の露出を起こし、圧迫により過剰な血栓形成を抑制しながら障害された血管を線維化することで、静脈瘤を退縮させるものと考えられる。

18.2 血管内皮細胞障害作用

  1. 18.2.1ウサギ耳介静脈に対する作用(in vivo

静脈内投与後の圧迫処置なしでは、0.5%ポリドカノールで血栓形成とそれに続く器質化(血栓が肉芽組織で置き換えられていく)がみられたが30日後には再疎通した。1%ポリドカノールでは投与後60日後まで投与血管の消失が認められたが、潰瘍の形成がみられた7),8)。 投与後の圧迫処置により血栓の形成は抑制された9)。

  1. 18.2.2イヌ足皮下静脈に対する作用(in situ

1%ポリドカノールをヒト血液で希釈した各種濃度のポリドカノールを30秒間暴露させたところ、0.9~1%のポリドカノール濃度で血管内皮細胞障害及び血栓形成がみられた10)。

  1. 18.2.3培養血管内皮細胞に対する作用(in vitro

ウシ肺動脈内皮細胞由来株細胞11) 及びヒト臍帯静脈内皮細胞6) に対して濃度依存的な細胞障害作用がみられた。血清による希釈により細胞障害作用は減弱された。

薬物動態

16.1 血中濃度

一次性下肢静脈瘤患者にポリドカノールを1.62~1.88mg/kg静脈瘤内に投与したとき、血漿中ポリドカノールは投与直後に最高血中濃度を示した後、速やかに消失した。投与後3時間までの半減期は0.94~1.27時間であった1)。

図16.1 ポリドカノールを下肢静脈瘤患者に単回静脈瘤内投与したときの血漿中濃度推移(投与量1.62〜1.88mg/kg、n=5)

16.3 分布

雄ラットに14C−ポリドカノールを2mg/kg静脈内に単回投与したとき、各組織中の放射活性は最初の測定時間である投与後5分で最も高く、特に副腎、肝臓及び腎臓に、ついで膵臓、心臓及び下顎腺で高濃度を示した。いずれの組織も投与後168時間には投与後5分の濃度の7%以下に減少した。哺育ラットの乳汁中放射能濃度は投与後30分に最高濃度を示したのち、6時間から48時間まで半減期17時間で消失し、投与後48時間には最高濃度の12%にまで減少した2)。

16.4 代謝

雄ラットに14C−ポリドカノールを2mg/kg静脈内に単回投与したとき、血漿中に未変化体が投与後5分で血漿中放射能量の53%を示した後、速やかに減少し、2時間後には血漿中放射能量の8.5%となった2)。 ヒト型チトクロームP450発現系ミクロソームを用いたin vitro試験から、チトクロームP450のCYP3A4による代謝がみられた3)。

16.5 排泄

雄ラットに14C−ポリドカノールを2mg/kg静脈内に単回投与したとき、48時間以内にほとんど排泄され、主たる排泄経路は尿及び糞中であった2)。