Clinical snapshot

ポマリストカプセル3mg

ポマリドミド

添付文書改訂 2023年04月01日

【警告】

  1. 1.1本剤はサリドマイド誘導体である。本剤はヒトにおいて催奇形性を有する可能性があるため、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には決して投与しないこと。

  2. 1.2本剤の胎児への曝露を避けるため、本剤の使用については、適正管理手順(以下、「本手順」)が定められているので、関係企業、医師、薬剤師等の医療関係者、患者やその家族等の全ての関係者が本手順を遵守すること1) 。

  3. 1.3妊娠する可能性のある女性に投与する場合は、投与開始前に妊娠検査を行い、陰性であることを確認した上で投与を開始すること。また、投与開始予定4週間前から投与終了4週間後まで、性交渉を行う場合はパートナーと共に極めて有効な避妊法の実施を徹底(男性は必ずコンドームを着用)させ、避妊を遵守していることを十分に確認するとともに定期的に妊娠検査を行うこと。なお、本剤の投与期間中に妊娠が疑われる場合には、直ちに本剤の投与を中止し、医師等に連絡するよう患者を指導すること。

  4. 1.4本剤は精液中へ移行することから、投与終了4週間後まで、性交渉を行う場合は極めて有効な避妊法の実施を徹底(男性は必ずコンドームを着用)させ、避妊を遵守していることを十分に確認すること。また、この期間中は妊婦との性交渉は行わせないこと。

  5. 1.5本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者のみに行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族等に有効性及び危険性(胎児への曝露の危険性を含む)を十分に説明し、文書で同意を得てから投与を開始すること。

  6. 1.6深部静脈血栓症及び肺塞栓症の発現が報告されているので、観察を十分に行いながら慎重に投与すること。異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  2. 2.2適正管理手順を遵守できない患者

  3. 2.3本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

再発又は難治性の多発性骨髄腫

用法・用量

  • 〈デキサメタゾン併用〉

通常、成人にはポマリドミドとして1日1回4mgを21日間連日経口投与した後、7日間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

  • 〈ボルテゾミブ及びデキサメタゾン併用〉

通常、成人にはポマリドミドとして1日1回4mgを14日間連日経口投与した後、7日間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤投与開始から投与中止4週間後までは、献血、精子・精液の提供をさせないこと。

  2. 8.2本剤の投与により重篤な好中球減少症及び血小板減少症等の骨髄抑制が発現することがあるため、定期的に血液学的検査を行うこと。また、本剤の投与にあたっては、G-CSF製剤の適切な使用も考慮すること。

  3. 8.3海外臨床試験において、傾眠、錯乱、疲労、意識レベルの低下、めまいが報告されているので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作を避けるよう注意すること。

  4. 8.4急性腎障害が発現することがあるため、定期的に血清クレアチニン、BUN等の腎機能検査、尿検査及び血液学的検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

  5. 8.5感染症があらわれることがあるので、血液学的検査及び画像検査を行うなど、観察を十分に行うこと。

  6. 8.6腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、腫瘍量の多い患者では、血清中電解質濃度測定及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

  7. 8.7心不全、不整脈があらわれることがあるので、心機能検査(心エコー、心電図等)を行うなど、観察を十分に行うこと。

  8. 8.8肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど、観察を十分に行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1深部静脈血栓症のリスクを有する患者

深部静脈血栓症が発現、増悪することがある。

  1. 9.1.2骨髄抑制のある患者

重篤な好中球減少症及び血小板減少症が発現することがある。

  1. 9.1.3サリドマイド又はレナリドミドによる重篤な過敏症の既往歴のある患者

9.2 腎機能障害患者

9.3 肝機能障害患者

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1妊娠する可能性のある女性には、本剤投与開始4週間前及び本剤投与開始3日前から投与開始直前までに妊娠検査を実施し、妊娠していないことを確認後に投与を開始すること。また、本剤の治療中は4週間を超えない間隔で、本剤の投与終了の際は本剤投与終了時及び本剤投与終了4週間後に妊娠検査を実施すること。投与開始予定4週間前から投与終了4週間後まで、性交渉を行う場合はパートナーと共に極めて有効な避妊法の実施を徹底(男性は必ずコンドームを着用)させ、避妊を遵守していることを十分に確認すること。なお、本剤の投与期間中に妊娠が疑われる場合には、直ちに本剤の投与を中止し、医師等に連絡するよう患者を指導すること。

  2. 9.4.2男性には、投与終了4週間後まで、性交渉を行う場合は極めて有効な避妊法の実施を徹底(男性は必ずコンドームを着用)させ、避妊を遵守していることを十分に確認すること。また、この期間中は妊婦との性交渉は行わせないこと。本剤は精液中に移行する。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ウサギ及びラットでの生殖発生毒性試験では、妊娠中にポマリドミドを投与された母動物の胎児に催奇形性が認められた。ポマリドミドはヒトで催奇形性を有する可能性がある2) 。

9.6 授乳婦

授乳中の女性には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。ラットで乳汁中に移行することが報告されている3) 。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

  • 本剤は主にCYP1A2及びCYP3A4によって代謝される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
CYP1A2阻害剤
フルボキサミンマレイン酸塩、シプロフロキサシン等
本剤とCYP1A2阻害剤及びCYP3A4阻害剤との併用により、また、本剤とCYP1A2阻害剤との併用により、本剤の血中濃度が増加したとの報告があるので、併用は避け、代替の治療薬への変更を考慮すること。やむを得ず併用投与する場合には、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。 本剤とCYP1A2阻害剤又はCYP3A4阻害剤を併用した場合に、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
CYP3A4阻害剤
ケトコナゾール、イトラコナゾール、クラリスロマイシン等
本剤とCYP1A2阻害剤及びCYP3A4阻害剤との併用により、また、本剤とCYP1A2阻害剤との併用により、本剤の血中濃度が増加したとの報告があるので、併用は避け、代替の治療薬への変更を考慮すること。やむを得ず併用投与する場合には、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。 本剤とCYP1A2阻害剤又はCYP3A4阻害剤を併用した場合に、本剤の代謝が阻害されると考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
CRP増加 頻度不明
うつ病 頻度不明
そう痒症 頻度不明
上腹部痛 頻度不明
下痢 頻度不明
不眠症 頻度不明
低アルブミン血症 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低カルシウム血症 頻度不明
低ナトリウム血症 頻度不明
低マグネシウム血症 頻度不明
低リン酸血症 頻度不明
低血圧 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
傾眠 頻度不明
労作性呼吸困難 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口内炎 頻度不明
口腔咽頭痛 頻度不明
味覚不全 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
嘔吐 頻度不明
四肢痛 頻度不明
回転性めまい 頻度不明
多汗症 頻度不明
失神 頻度不明
寝汗 頻度不明
尿閉 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 頻度不明
意識レベルの低下 頻度不明
感覚鈍麻 頻度不明
慢性腎臓病 頻度不明
振戦 頻度不明
末梢性浮腫 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
浮腫 頻度不明
点状出血 頻度不明
無力症 頻度不明
疲労 頻度不明
痔出血 頻度不明
発声障害 頻度不明
発熱 頻度不明
白内障 頻度不明
皮膚乾燥 頻度不明
筋力低下 頻度不明
筋痙縮 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
紅斑 頻度不明
胃腸出血 頻度不明
背部痛 頻度不明
脱毛症 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
転倒 頻度不明
錯乱状態 頻度不明
錯感覚 頻度不明
非心臓性胸痛 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲減退 頻度不明
骨痛 頻度不明
骨盤痛 頻度不明
高カリウム血症 頻度不明
高カルシウム血症 頻度不明
高血圧 頻度不明
高血糖 頻度不明
鼻出血 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ポマリドミドはサイトカイン産生調節作用、造血器腫瘍細胞に対する増殖抑制作用、血管新生阻害作用等を有すると考えられているが、詳細な作用機序は解明されていない21) 。

18.2 In vitro試験

  1. 18.2.1ポマリドミドはヒト多発性骨髄腫由来H929、RPMI-8226、OPM-2及びLP-1細胞株、並びにレナリドミド耐性の細胞株(H929-1051、H929-1052、H929-1053及びH929-1054)の細胞増殖を抑制した21),22) 。

  2. 18.2.2ポマリドミドはヒト末梢血単核球に対し、リポポリサッカライド(LPS)刺激による炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IL-6、IL-12等)産生を阻害し、抗炎症性サイトカイン(IL-10)の産生を促進した。また、ポマリドミドはヒト末梢血におけるTh1サイトカイン(IL-2、IFN-γ等)産生を促進した21) 。

  3. 18.2.3ポマリドミドはヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いた検討により、血管内皮細胞の遊走又は管腔の形成を抑制した21) 。

18.3 In vivo試験

ポマリドミドはヒト多発性骨髄腫由来H929及びH929-1051細胞株を移植したマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した21) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に本剤0.5mg注2) 、2mg注2) 、4mgを単回経口投与及び反復経口投与したとき、本剤はいずれの用量でも速やかに吸収された。本剤の血漿中濃度推移と薬物動態パラメータは以下のとおりであり、本剤の血漿中濃度は投与約2~4時間後に最高値に達し、t1/2は約6~7時間であった。単回及び反復投与時のAUC及びCmaxはいずれも用量比例的に増加した。経口クリアランス(CL/F)及びみかけの分布容積(Vz/F)は、投与量にかかわらず同様であった。また、反復投与による蓄積性は認められなかった6) 。

単回経口投与したときの血漿中濃度の推移(平均値±標準偏差)

用量 0.5mg注2)
(6例)
2mg注2)
(6例)
4mg
(6例)
測定日 1日目 1日目 10日目b 1日目 10日目b
Cmax(ng/mL) 9.1
(18.8)
35.6
(15.9)
37.6
(20.9)
70.2
(49.7)
71.2
(40.6)
AUC24(ng・h/mL) 84.9
(14.9)
364.4
(20.3)
411.5
(17.7)
685.7
(43.1)
713.8
(40.1)
AUC∞(ng・h/mL) 92.6
(14.6)
411.0
(26.4)
463.6
(19.4)
750.1
(44.8)
764.3
(40.8)
tmaxa(h) 2.0
(0.9, 4.0)
3.0
(2.0, 6.0)
3.0
(1.0, 4.0)
3.0
(1.0, 5.8)
4.0
(2.0, 4.0)
t1/2(h) 6.4
(12.4)
6.9
(20.7)
7.3
(8.8)
6.0
(21.1)
5.5
(24.4)
CL/F
(L/h)
5.4
(14.6)
4.9
(26.4)
4.9
(17.7)
5.3
(44.8)
5.6
(40.1)
Vz/F
(L)
50
(18.5)
48.2
(15.9)
45.6
(15.4)
46
(37.4)
41.6
(42.0)

幾何平均(変動係数%) a:中央値(最小値, 最大値) b:10日目とは、1日目に単回投与後、2日目に休薬し、3~10日目に8日間反復投与したデータ

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人(27例)に本剤4mgを高脂肪・高カロリー食の食後に単回投与したときのCmaxは27%低下し、AUCは8%低下した7) (外国人データ)。

16.3 分布

ポマリドミドはラセミ体である。In vitroでポマリドミドのヒト血漿蛋白結合率は濃度に関係なくS体エナンチオマー42.2%、R体エナンチオマー15.8%であった8) (外国人データ)。 また、健康成人(8例)に本剤2mg注2) を4日間反復経口投与した投与4時間後の精液中のポマリドミド濃度は、投与5日目の同時刻での血漿中濃度の約67%であった9) (外国人データ)。

16.4 代謝

[14C]-ポマリドミド2mg注2) を健康成人に単回投与したとき、血漿中には主として未変化体が存在し(血漿中総放射活性の約70%)、10%を超える代謝物はなかった10),11) (外国人データ)。

16.5 排泄

[14C]-ポマリドミド2mg注2) を健康成人に単回投与したとき、投与後8日目までに尿中には投与量の約73%が、糞便中には約15%が排泄された。また、投与後3日目までの尿中及び投与後4日目までの糞便中において、CYP依存性の代謝物は、排泄された総放射活性の約43%であり、CYP非依存性の加水分解代謝物が約25%、未変化体が約10%であった10),11) (外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

多発性骨髄腫患者(63例)に本剤を反復経口投与したときの血漿中薬物濃度データを用いた母集団薬物動態解析の結果、正常腎機能(クレアチニンクリアランス(CLcr)≥60mL/min)患者(8例)に対する中等症腎機能障害(30≤eGFR<45mL/min/1.73m2)患者(15例)、透析が不要な重症腎機能障害(CLcr<30mL/min又はeGFR<30mL/min/1.73m2)患者(30例)及び透析が必要な重症腎機能障害(CLcr<30mL/min)患者(10例)でのAUCの比はそれぞれ0.98、0.99及び1.38であった12) (外国人データ)。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

健康成人、軽度(Child-Pugh分類A)、中等度(Child-Pugh分類B)及び重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害を有する患者(各8例)に本剤4mgを単回経口投与したとき、健康成人に対する軽度、中等度及び重度の肝機能障害を有する患者のCmaxの比はそれぞれ0.942、0.948及び0.758であり、AUCの比はそれぞれ1.512、1.575及び1.715であった(外国人データ)13) 。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1フルボキサミンマレイン酸塩

健康成人(14例)にフルボキサミンマレイン酸塩(50mg 1日2回)反復投与後に本剤4mgを単回投与したときの本剤のAUC及びCmaxは、本剤4mg単独単回投与時と比べてそれぞれ約125%及び24%増加した14) (外国人データ)。

  1. 16.7.2ケトコナゾール

健康成人(16例)にケトコナゾール(200mg 1日2回)反復投与後に本剤4mgを単回投与したときの本剤のAUC及びCmaxは、本剤4mg単独単回投与時と比べてそれぞれ約19%及び7%増加した15) (外国人データ)。

  1. 16.7.3フルボキサミンマレイン酸塩及びケトコナゾールの併用投与

健康成人(12例)にフルボキサミンマレイン酸塩(50mg 1日2回)及びケトコナゾール(200mg 1日2回)併用投与後に本剤4mgを単回投与したときの本剤のAUC及びCmaxは、本剤4mg単独単回投与時と比べてそれぞれ約146%及び21%増加した15) (外国人データ)。

  1. 16.7.4その他の薬剤

多発性骨髄腫患者(14例)に本剤4mgをデキサメタゾン(20~40mg)との併用で単回又は反復投与したとき、本剤4mg単独単回又は反復投与時と比べて本剤のAUC及びCmaxに影響は認められなかった16) (外国人データ)。 健康成人(16例)にカルバマゼピン(100~200mg 1日1~2回)反復投与後に本剤4mgを単回投与したときの本剤のAUC及びCmaxは、本剤4mg単独単回投与時と比べてそれぞれ約20%及び25%減少した15) (外国人データ)。

注2)本剤の承認用法・用量は、「1日1回4mgを21日間連日経口投与した後、7日間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。」である。