-
多発性骨髄腫
-
*マントル細胞リンパ腫
-
原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫
【警告】
-
1.1本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例のみに行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
-
1.2治療初期は入院環境で医師の管理下にて適切な処置を行うこと。
-
1.3国内の臨床試験において、本剤との因果関係の否定できない肺障害(間質性肺炎)による死亡例が認められている。海外ではまれであるが、国内では本剤との因果関係の否定できない肺障害(間質性肺炎、肺水腫、急性呼吸窮迫症候群、胸水等)がより高頻度に発生する可能性があるため、特に以下の事項に十分注意すること。
-
1.3.1本剤による治療を開始するにあたり、胸部X線検査、胸部CT検査等を実施し、異常の有無を確認した上で、治療開始の可否を慎重に判断すること。
-
1.3.2本剤による治療中及び治療後、特に治療開始後早期は、息切れ、呼吸困難、咳、発熱等の自覚症状や、胸部聴診所見、呼吸数等での異常の有無を慎重に観察すること。必要に応じて動脈血酸素飽和度や胸部CT検査等を適切に実施し、経過を観察すること。本剤による肺障害が疑われた場合には、投与中止も含め適切な処置を行うこと。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
ボルテゾミブ、マンニトール又はホウ素に対して過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
- 〈多発性骨髄腫〉
通常、成人に1日1回、ボルテゾミブとして1.3mg/m2(体表面積)を以下のA法又はB法で静脈内投与又は皮下投与する。本剤は最低72時間空けて投与すること。
- A法:
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、週2回、2週間(1、4、8、11日目)投与した後、10日間休薬(12~21日目)する。この3週間を1サイクルとし、2又は8サイクルまで投与を繰り返す。3又は9サイクル以降は、週1回、2週間(1、8日目)投与し、13日間休薬(9~21日目)する。この3週間を1サイクルとし、18サイクルまで投与を繰り返す。週1回投与への移行時期は併用する抗悪性腫瘍剤を考慮して選択すること。
- B法(再発又は難治性の場合に限る):
週2回、2週間(1、4、8、11日目)投与した後、10日間休薬(12~21日目)する。この3週間を1サイクルとし、投与を繰り返す。
-
8サイクルを超えて継続投与する場合には上記の用法・用量で投与を継続するか、又は維持療法として週1回、4週間(1、8、15、22日目)投与した後、13日間休薬(23~35日目)する。この5週間を1サイクルとし、投与を繰り返す。
-
*〈マントル細胞リンパ腫〉
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人に1日1回、ボルテゾミブとして1.3mg/m2(体表面積)を1、4、8、11日目に静脈内投与した後、10日間休薬(12~21日目)する。この3週間を1サイクルとし、6サイクルまで(6サイクル目に初めて奏効が認められた場合は8サイクルまで)投与を繰り返す。本剤は最低72時間空けて投与すること。なお、静脈内投与が困難な場合には、皮下投与することもできる。
- 〈原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫〉
通常、成人に1日1回、ボルテゾミブとして1.3mg/m2(体表面積)を1、4、8、11日目に静脈内投与又は皮下投与した後、10日間休薬(12~21日目)する。この3週間を1サイクルとし、投与を繰り返す。本剤は最低72時間空けて投与すること。
使用上の注意
- 〈効能共通〉
-
8.1肺障害があらわれることがあるので、息切れ、呼吸困難、胸水、咳、及び発熱等の自覚症状や、胸部聴診所見、呼吸数等での異常の有無を慎重に観察すること。また、必要に応じて動脈血酸素飽和度や胸部CT等の検査を適切に実施し、慎重に経過を観察すること。肺障害の危険因子は現時点では明確でないため、肺障害の既往歴のない患者においても、慎重な経過観察を行う必要がある。
-
8.2心障害による死亡例、うっ血性心不全の急性発現又は増悪、心嚢液貯留、左室駆出率低下が報告されているため、心障害の既往や症状の危険因子がある場合には、患者の状態には十分に注意すること。
-
8.3本剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと。
-
8.4末梢神経障害があらわれることがあるので、灼熱感、知覚過敏、感覚減退、錯感覚、不快感、神経障害性疼痛等のニューロパチーの症状について観察すること。また、末梢性ニューロパチーが発現する可能性のある薬剤を併用する場合には注意すること。
-
8.5国内臨床試験では重度の発熱性好中球減少症、好中球減少症(好中球数減少)及び貧血(ヘモグロビン減少)が認められているため、頻回に臨床検査(血液検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
-
8.6本剤は血小板減少症を引き起こすことが認められている。本剤の投与前に毎回血小板数を確認すること。本剤投与により発現した血小板減少に伴う胃腸出血及び脳出血の報告例があるので、必要に応じ輸血を考慮すること。
-
8.7本剤の投与により悪心、下痢、便秘及び嘔吐の発現が認められており、制吐剤又は止痢剤による処置を要することがある。脱水症状を予防するため、必要に応じ補液及び電解質補充を行うこと。本剤の投与期間中は嘔吐又は下痢がみられるため、患者には脱水症状を避ける適切な対処方法を指導すること。浮動性めまい、頭部ふらふら感又は失神発作があらわれた場合には、医師の診察を受けるよう患者を指導すること。 また、イレウスが報告されているため、便秘を認めた患者は慎重に観察すること。
-
8.8肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うこと。
-
8.9低血圧(起立性低血圧を含む)の管理には、必要に応じて降圧剤の調節、水分補給、ミネラルコルチコイド又は交感神経作動薬の投与等の支持療法を行うこと。
-
8.10疲労、浮動性めまい、失神、起立性低血圧、霧視が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
-
8.11腫瘍量の急激な減少に伴い、腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome)があらわれることがあるため、予防措置として、高尿酸血症治療剤の投与及び適切な水分補給等を考慮すること。急激に腫瘍量が減少した患者においては血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
- 〈原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫〉
- 8.12本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書」等)1)を熟読すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1間質性肺炎、肺線維症等の肺障害の既往歴のある患者
投与前に間質性陰影を認めた患者で致死的な急性肺障害の経過をたどる例が報告されている。
- 9.1.2B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はHBs抗原陰性でHBc抗体陽性若しくはHBs抗体陽性の患者
本剤の投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。本剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。
- 9.1.3末梢性ニューロパチーの症状(足又は手のしびれ、疼痛又は灼熱感)や徴候のある患者
本剤の投与期間中に症状が増悪(Grade 3以上を含む)するおそれがある。
- 9.1.4失神の既往や症状がある患者、低血圧が発現する可能性のある薬剤を投与中の患者及び脱水状態にある患者
患者の状態を十分に観察すること。低血圧(起立性低血圧を含む)が投与期間を通じ報告されている。
- 9.1.5経口血糖降下剤を併用した糖尿病患者
血糖値を注意深く観察し、経口血糖降下剤の用量に留意して慎重に投与すること。海外臨床試験において、低血糖及び高血糖が報告されている。
9.3 肝機能障害患者
本剤のクリアランスが低下し、副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
妊娠可能年齢にある女性においては本剤投与中及び投与終了後一定期間は避妊するよう指導すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、原則として投与しないこと。動物実験では、妊娠ウサギの器官形成期にボルテゾミブを0.05mg/kg(0.6mg/m2)投与したところ、有意な着床後死亡の増加とそれに伴う生存胎児数の減少が認められた。これらの生存胎児は有意な体重の減少も示した。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。海外臨床試験において、65歳以上と65歳未満の患者で安全性及び有効性に差は認められなかったが、高齢者では一般に生理機能が低下している。 なお、年齢別でのGrade 3以上の有害事象の発現頻度は、再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象とした海外第Ⅲ相試験(039試験)の本剤群においては50歳以下で64%(27/42例)、51~64歳で78%(128/165例)、65歳以上で75%(93/124例)であった。また、海外第Ⅱ相試験(024試験及び025試験)においては50歳以下で74%(29/39例)、51~65歳で80%(104/130例)、66歳以上で85%(74/87例)であった。
相互作用
- ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験より、ボルテゾミブがチトクロームP450 3A4、2C19及び1A2の基質であることが示されている。本剤とCYP3A4の基質、阻害剤又は誘導剤を併用している患者においては、副作用又は効果の減弱について注意深く観察すること。
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| CYP3A4阻害剤 • ケトコナゾール注)等 |
ケトコナゾール(400mg/日を4日間反復経口投与)と併用したとき、ボルテゾミブのAUCは35%増加した2)。 | これらの薬剤のCYP3A4に対する阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。 |
| CYP3A4誘導剤 • リファンピシン等 |
リファンピシン(600mg/日を7日間反復経口投与)と併用したとき、ボルテゾミブのAUCは45%低下した3)。 | これらの薬剤のCYP3A4に対する誘導作用により、本剤の代謝が促進される。 |
注)国内では外用剤のみ発売
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| CRP増加 | 頻度不明 |
| LDH増加 | 頻度不明 |
| PO2上昇 | 頻度不明 |
| PO2低下 | 頻度不明 |
| β2ミクログロブリン増加 | 頻度不明 |
| うつ病 | 頻度不明 |
| おくび | 頻度不明 |
| そう痒症 | 頻度不明 |
| ドライアイ | 頻度不明 |
| ほてり | 頻度不明 |
| レッチング | 頻度不明 |
| 上気道の炎症 | 頻度不明 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 不安 | 頻度不明 |
| 不整脈 | 頻度不明 |
| 不眠症 | 5%以上 |
| 丘疹 | 頻度不明 |
| 中耳炎 | 頻度不明 |
| 低アルブミン血症 | 頻度不明 |
| 低カリウム血症 | 頻度不明 |
| 低ナトリウム血症 | 頻度不明 |
| 低血糖症 | 頻度不明 |
| 体位性めまい | 頻度不明 |
| 体重減少 | 頻度不明 |
| 便秘 | 頻度不明 |
| 倦怠感 | 頻度不明 |
| 傾眠 | 頻度不明 |
| 出血 | 頻度不明 |
| 動悸 | 頻度不明 |
| 単球数増加 | 頻度不明 |
| 単純ヘルペス | 頻度不明 |
| 口内炎 | 頻度不明 |
| 口唇炎 | 頻度不明 |
| 口渇 | 頻度不明 |
| 口腔カンジダ症 | 頻度不明 |
| 味覚異常 | 頻度不明 |
| 呼吸困難 | 頻度不明 |
| 咳嗽 | 頻度不明 |
| 咽喉頭疼痛 | 頻度不明 |
| 咽頭不快感 | 頻度不明 |
| 喀血 | 頻度不明 |
| 嗅覚錯誤 | 頻度不明 |
| 嗜眠 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 嚥下障害 | 頻度不明 |
| 外耳炎 | 頻度不明 |
| 多形紅斑 | 頻度不明 |
| 多汗症 | 頻度不明 |
| 失神 | 頻度不明 |
| 好中球数増加 | 頻度不明 |
| 好中球浸潤・有痛性紅斑・発熱を伴う皮膚障害(Sweet症候群) | 頻度不明 |
| 尿中血陽性 | 頻度不明 |
| 尿沈渣異常 | 頻度不明 |
| 帯状疱疹 | 5%以上 |
| 後天性涙腺炎 | 頻度不明 |
| 徐脈 | 頻度不明 |
| 心房粗動 | 頻度不明 |
| 心房細動 | 頻度不明 |
| 心電図QT延長 | 頻度不明 |
| 悪寒 | 頻度不明 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 感染 | 頻度不明 |
| 感染性腸炎 | 頻度不明 |
| 排尿障害(尿閉 | 頻度不明 |
| 敗血症 | 頻度不明 |
| 期外収縮 | 頻度不明 |
| 末梢冷感 | 頻度不明 |
| 歯周炎 | 頻度不明 |
| 歯肉炎 | 頻度不明 |
| 毛包炎 | 頻度不明 |
| 気管支肺炎 | 頻度不明 |
| 気胸 | 頻度不明 |
| 水疱性皮膚炎 | 頻度不明 |
| 注射部位反応 | 頻度不明 |
| 浮動性めまい | 頻度不明 |
| 浮腫 | 5%以上 |
| 消化不良 | 頻度不明 |
| 潮紅 | 頻度不明 |
| 点状出血 | 頻度不明 |
| 無力症 | 頻度不明 |
| 無気肺 | 頻度不明 |
| 疲労 | 頻度不明 |
| 疼痛 | 頻度不明 |
| 痙攣 | 頻度不明 |
| 発疹 | 5%以上 |
| 白癬感染 | 頻度不明 |
| 白血球数増加 | 頻度不明 |
| 皮膚出血 | 頻度不明 |
| 眼瞼出血 | 頻度不明 |
| 眼瞼炎 | 頻度不明 |
| 眼部腫脹 | 頻度不明 |
| 神経因性膀胱等) | 頻度不明 |
| 神経痛 | 頻度不明 |
| 筋力低下 | 頻度不明 |
| 筋痙縮 | 頻度不明 |
| 筋痛 | 頻度不明 |
| 筋骨格痛 | 5%以上 |
| 筋骨格硬直 | 頻度不明 |
| 紅斑 | 頻度不明 |
| 紅色汗疹 | 頻度不明 |
| 紫斑 | 頻度不明 |
| 結膜炎 | 頻度不明 |
| 総蛋白増加 | 頻度不明 |
| 総蛋白減少 | 頻度不明 |
| 耳下腺腫大 | 頻度不明 |
| 肝機能異常 | 頻度不明 |
| 肝障害 | 頻度不明 |
| 肺炎 | 5%以上 |
| 肺高血圧症 | 頻度不明 |
| 胃炎 | 頻度不明 |
| 胃腸出血 | 頻度不明 |
| 胃食道逆流 | 頻度不明 |
| 胸痛 | 頻度不明 |
| 胸膜炎 | 頻度不明 |
| 脱毛症 | 頻度不明 |
| 脱水 | 頻度不明 |
| 腎機能障害 | 頻度不明 |
| 腫瘍熱 | 頻度不明 |
| 腸炎 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 5%以上 |
| 腹部膨満 | 頻度不明 |
| 膀胱炎 | 頻度不明 |
| 舌潰瘍 | 頻度不明 |
| 蕁麻疹 | 頻度不明 |
| 薬疹 | 頻度不明 |
| 蛋白尿 | 頻度不明 |
| 蜂巣炎 | 頻度不明 |
| 血中クレアチニン増加 | 頻度不明 |
| 血中クレアチニン減少 | 頻度不明 |
| 血中尿酸減少 | 頻度不明 |
| 血中重炭酸塩増加 | 頻度不明 |
| 血中重炭酸塩減少 | 頻度不明 |
| 視力障害 | 頻度不明 |
| 角膜びらん | 頻度不明 |
| 過敏性腸症候群 | 頻度不明 |
| 過敏症 | 頻度不明 |
| 関節炎 | 頻度不明 |
| 霧視 | 頻度不明 |
| 霰粒腫 | 頻度不明 |
| 静脈炎 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 5%以上 |
| 頻脈 | 頻度不明 |
| 顔面浮腫 | 頻度不明 |
| 顔面腫脹 | 頻度不明 |
| 食欲不振 | 頻度不明 |
| 骨痛 | 頻度不明 |
| 高アミラーゼ血症 | 頻度不明 |
| 高カリウム血症 | 頻度不明 |
| 高カルシウム血症 | 頻度不明 |
| 高コレステロール血症 | 頻度不明 |
| 高ナトリウム血症 | 頻度不明 |
| 高尿酸血症 | 頻度不明 |
| 高血圧 | 頻度不明 |
| 高血糖 | 頻度不明 |
| 麦粒腫 | 頻度不明 |
| 鼓腸 | 頻度不明 |
| 鼻出血 | 頻度不明 |
| 鼻咽頭炎 | 頻度不明 |
| 鼻漏 | 頻度不明 |
| 齲歯 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
-
18.1.1ボルテゾミブは、腫瘍細胞のプロテアソームを阻害することにより、その増殖を抑制しアポトーシスを誘導する。23)
-
18.1.2ボルテゾミブは、細胞の増殖やアポトーシスを制御する転写因子NF-κBの活性化を阻害する。24)
-
18.1.3ボルテゾミブは、NF-κBの活性化を阻害することにより、骨髄腫細胞と骨髄ストローマ細胞の接着を阻害し、IL-6等のサイトカインの分泌を抑制し、骨髄腫細胞の増殖を抑制する。23),25)
18.2 薬理作用
-
18.2.1ボルテゾミブは、in vitro*試験において、ヒト骨髄腫由来RPMI8226及びU266細胞株、ヒトマントル細胞リンパ腫由来SP53、MINO、Grant 519及びJeko-1細胞株並びに多発性骨髄腫及びマントル細胞リンパ腫患者から分離した腫瘍細胞の増殖を抑制し、アポトーシスを誘導した。また、ドキソルビシン、ミトキサントロン、メルファラン又はデキサメタゾンに耐性となった骨髄腫細胞株に対しても増殖抑制作用を示した。23),26)
-
18.2.2ボルテゾミブは、RPMI8226細胞株を移植した担癌マウスにおいて、腫瘍の増大を抑制し、延命効果を示した。24),27)
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単独投与
再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に、ボルテゾミブ0.7、1.0又は1.3mg/m2(各n=3、6又は5~7)を単独で、1日1回、週2回、2週間(1、4、8、11日目)静脈内投与したときの1日目及び11日目における血漿中ボルテゾミブ濃度を検討した。 各用量群の血漿中濃度推移は類似しており、速やかな分布相とそれに続く緩やかな長い消失相を特徴とする二相性の低下を示した。また、最終消失相における分布容積(Vz)より、ボルテゾミブの組織移行性が良好であることが示唆された。投与日間での比較の結果、1日目と比較し、11日目において、消失半減期(t1/2)の延長、全身クリアランス(CL)の低下が各用量群で見られた。このことに伴い、投与終了時の血漿中濃度(C0)並びに血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)も1日目より11日目で高値を示した。一方、用量間での比較の結果、C0に用量相関性は認められなかったが、AUCに関しては各試験日において、個体間でのばらつきは大きいが、用量相関性が認められた。8),9)
| 薬物動態 パラメータ |
試験日 | 0.7mg/m2 (n=3) |
1.0mg/m2 (n=6) |
1.3mg/m2 (n=5~7)注) |
|||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 平均値 | SD | 平均値 | SD | 平均値 | SD | ||
| C0(ng/mL) | 1 | 73.75 | 7.89 | 144.92 | 179.31 | 185.84 | 57.65 |
| 11 | 130.68 | 71.97 | 147.19 | 72.33 | 187.03 | 54.31 | |
| AUC(ng・hr/mL) | 1 | 14.04 | 0.70 | 28.58 | 24.86 | 46.50 | 19.89 |
| 11 | 112.01 | 47.74 | 108.39 | 52.32 | 186.60 | 49.79 | |
| t1/2(hr) | 1 | 3.31 | 0.88 | 6.81 | 8.81 | 16.11 | 20.75 |
| 11 | 64.59 | 30.29 | 32.46 | 12.91 | 57.39 | 24.92 | |
| CL(L/hr) | 1 | 83.35 | 10.52 | 105.41 | 75.66 | 51.97 | 18.99 |
| 11 | 11.77 | 4.67 | 19.63 | 14.50 | 12.10 | 3.73 | |
| Vz(L) | 1 | 406.92 | 154.03 | 520.08 | 349.87 | 894.41 | 682.35 |
| 11 | 978.51 | 263.13 | 731.69 | 242.35 | 957.81 | 350.40 |
注)1日目:n=7、11日目:n=5
- 16.1.2単独又は併用投与
造血幹細胞移植の適応とならない未治療の多発性骨髄腫患者に、ボルテゾミブ0.7、1.0又は1.3mg/m2(各n=6、5~6又は3~4)を単独又はメルファラン及びプレドニゾロン併用で静脈内投与したときの血漿中ボルテゾミブ濃度を検討した。その結果、血漿中ボルテゾミブの薬物動態はボルテゾミブ単独投与時とメルファラン及びプレドニゾロン併用で大きく異ならなかった。10)
| 薬物動態 パラメータ |
投与法 | 0.7mg/m2 (n=6) |
1.0mg/m2 (n=5~6)注1) |
1.3mg/m2 (n=3~4)注2) |
|||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 平均値 | SD | 平均値 | SD | 平均値 | SD | ||
| C0.08h (ng/mL) |
単独 | 45.43 | 10.09 | 59.42 | 18.89 | 120.3 | 24.53 |
| 併用 | 34.40 | 5.799 | 69.50 | 19.46 | 88.87 | 19.57 | |
| AUClast (ng・hr/mL) |
単独 | 28.82 | 14.64 | 62.56 | 24.80 | 115.0 | 28.67 |
| 併用 | 26.69 | 12.87 | 82.77 | 13.83 | 75.59 | 20.43 |
注1)ボルテゾミブ単独投与時:n=6、メルファラン及びプレドニゾロン併用時:n=5
注2)ボルテゾミブ単独投与時:n=4、メルファラン及びプレドニゾロン併用時:n=3
- 16.1.3単独投与
前治療歴のある多発性骨髄腫患者に、ボルテゾミブ1.3mg/m2を単独で、1日1回、週2回、2週間(1、4、8、11日目)皮下投与(n=17)及び静脈内投与(n=14)したとき11日目における血漿中ボルテゾミブ濃度を検討した。その結果、ボルテゾミブ皮下投与時のCmaxは静脈内投与時の約1/10であったが、AUClastは両投与間で大きく異ならなかった(外国人データ)。11)
| 薬物動態 パラメータ |
皮下投与(n=17) | 静脈内投与(n=14) | ||
|---|---|---|---|---|
| 平均値 | SD | 平均値 | SD | |
| Cmax(ng/mL) | 20.4 | 8.87 | 223 | 101 |
| tmax(hr)注) | 0.50 | (0.08~1.00) | 0.03 | (0.03~0.08) |
| AUClast(ng・hr/mL) | 155 | 56.8 | 151 | 42.9 |
注)中央値(最小値~最大値)
16.2 吸収
- 16.2.1血漿蛋白結合率
ヒトにおけるボルテゾミブの血漿蛋白結合率は78.9~85.7%であった(in vitro、限外ろ過法、10~1000ng/mL)。12)
16.4 代謝
ヒトにおけるボルテゾミブの主な代謝経路は脱ホウ素化であり、ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験より、ボルテゾミブが主にチトクロームP450 3A4、2C19及び1A2の基質であることが示されている。チトクロームP450 2D6及び2C9の寄与は小さい。また、ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験より、ボルテゾミブによるチトクロームP450 1A2、2C9、2D6及び3A4への阻害能は弱いが(IC50=>30μmol/L、>11.5μg/mL)、チトクロームP450 2C19に対する阻害能(IC50=18μmol/L、6.9μg/mL)が示されているため、本酵素の基質である薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。初代培養ヒト肝細胞を用いたin vitro試験より、ボルテゾミブによるチトクロームP450 1A2及び3A4の明確な誘導能は認められなかった。 代謝物の活性の有無:脱ホウ素化された代謝物は活性を示さない。13),14)
16.5 排泄
ヒトにおけるボルテゾミブの排泄経路は特定されていない。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害
クレアチニンクリアランス値(CrCL)で分類した様々な程度の腎機能を有する患者を対象に、ボルテゾミブの薬物動態試験を実施した。また、透析後にボルテゾミブを投与した透析患者も本試験に組み入れた。ボルテゾミブ0.7~1.5mg/m2を週2回静脈内投与したときの8日目のボルテゾミブのクリアランス(CL)は以下の通りであった(外国人データ)。15)
| 腎機能の程度 (CrCL) |
≧60 mL/min/1.73m2 |
40~59 mL/min/1.73m2 |
20~39 mL/min/1.73m2 |
<20 mL/min/1.73m2 |
透析群 |
|---|---|---|---|---|---|
| n注) | 14 | 11 | 16 | 3 | 8 |
| 平均値 | 31.1 | 31.1 | 27.9 | 27.7 | 24.7 |
| SD | 9.8 | 17.3 | 15.8 | 13.4 | 10.1 |
注)薬物動態評価対象例数
- 16.6.2肝機能障害
ビリルビン値で分類した様々な程度の肝機能を有する患者を対象に、ボルテゾミブ0.5~1.3mg/m2を週2回静脈内投与したときのボルテゾミブの用量で規格化したAUCは以下の通りであった(外国人データ)。16)
| 肝機能の程度 (ビリルビン値) |
施設基準値 以下 |
施設基準値の >1.0~1.5倍 |
施設基準値の >1.5~3倍 |
施設基準値の >3倍 |
|---|---|---|---|---|
| n注) | 11 | 9 | 8 | 14 |
| 幾何平均値 | 52.2 | 51.9 | 85.0 | 83.2 |
| 変動係数(%) | 26 | 91 | 27 | 57 |
注)薬物動態評価対象例数