IDH1又はIDH2遺伝子変異陽性の神経膠腫
【警告】
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
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2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性
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2.3フルボキサミンマレイン酸塩を投与中の患者
効能・効果
用法・用量
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通常、成人には、ボラシデニブとして40mgを1日1回、空腹時に経口投与する。
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通常、12歳以上の小児には、ボラシデニブとして体重に応じて以下を1日1回、空腹時に経口投与する。
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40kg未満:20mg
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40kg以上:40mg
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なお、患者の状態により適宜減量する。
使用上の注意
肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1重度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類C)
本剤は主に肝代謝により消失するため、血中濃度が上昇する可能性がある。なお、重度の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.4 生殖能を有する者
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9.4.1妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後2箇月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。経口避妊薬による避妊法の場合には、経口避妊薬以外の方法をあわせて使用するよう指導すること。
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9.4.2男児及び生殖可能な男性に投与する場合には、造精機能の低下があらわれる可能性があることを考慮すること。ラットを用いた反復経口投与毒性試験において、臨床曝露量の24.7倍以上に相当する用量で、雄性生殖器への影響(精巣精細管変性及び萎縮、精巣上体内腔細胞残屑、前立腺及び精嚢萎縮)が認められ、精巣精細管変性は完全には回復しなかった1) 。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。ラット及びウサギを用いた胚・胎児毒性試験において、臨床曝露量のそれぞれ10倍(ウサギ)及び101倍(ラット)に相当する用量から、吸収胚数及び着床後胚損失率高値(ラット及びウサギ)、並びに内臓奇形(腎臓及び精巣位置異常)(ラット)が認められた。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。ヒトでの乳汁移行に関するデータはないが、乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。
9.7 小児等
12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。AG881-C-004試験は12歳以上を対象として実施されたが、18歳未満の患者は本剤群に組み入れられなかった。
相互作用
- 本剤は、CYP1A2により代謝される。また、本剤はCYP2B6、2C8、2C9、2C19及び3Aに対する誘導作用並びにBCRPに対する阻害作用を有する。
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| • フルボキサミンマレイン酸塩(ルボックス、デプロメール) | 本剤の副作用が増強されるおそれがある。 | フルボキサミンマレイン酸塩がCYP1A2を阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性 がある。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| • CYP1A2阻害剤• シプロフロキサシン、ベムラフェニブ、メキシレチン等 | 本剤の副作用が増強されるおそれがあるため、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | これらの薬剤がCYP1A2を阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
| • CYP1A2誘導剤• フェニトイン、リファンピシン、カルバマゼピン等 | 本剤の有効性が減弱されるおそれがあるため、CYP1A2誘導作用のない薬剤への代替を考慮すること。 | これらの薬剤がCYP1A2を誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| • タバコ(喫煙) | 本剤の有効性が減弱されるおそれがある。 | 喫煙によるCYP1A2の誘導により、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| • CYP3Aの基質となる薬剤• ミダゾラム、デキサメタゾン、経口避妊薬(デソゲストレル・エチニルエストラジオール、ノルエチステロン・エチニルエストラジオール、レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール等)等 | これらの薬剤の有効性が減弱するおそれがある。 | 本剤がCYP3Aを誘導することにより、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| • CYP2B6の基質となる薬剤• シクロホスファミド、エファビレンツ、メサドン等 | これらの薬剤の有効性が減弱するおそれがある。 | 本剤がCYP2B6を誘導することにより、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| • CYP2C8の基質となる薬剤• レパグリニド、パクリタキセル、モンテルカスト等 | これらの薬剤の有効性が減弱するおそれがある。 | 本剤がCYP2C8を誘導することにより、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| • CYP2C9の基質となる薬剤• ワルファリン、フルルビプロフェン、フェニトイン等 | これらの薬剤の有効性が減弱するおそれがある。 | 本剤がCYP2C9を誘導することにより、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| • CYP2C19の基質となる薬剤• イホスファミド、タモキシフェンクエン酸塩、オメプラゾール等 | これらの薬剤の有効性が減弱するおそれがある。 | 本剤がCYP2C19を誘導することにより、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| • BCRPの基質となる薬剤• ロスバスタチン、サラゾスルファピリジン、リバーロキサバン等 | これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | 本剤がBCRPを阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| おくび | 1〜5%未満 |
| 上腹部痛 | 1〜5%未満 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 不安 | 1〜5%未満 |
| 不眠症 | 1〜5%未満 |
| 低リン血症 | 1〜5%未満 |
| 便秘 | 頻度不明 |
| 呼吸困難 | 1〜5%未満 |
| 嘔吐 | 1〜5%未満 |
| 多汗症 | 1〜5%未満 |
| 寝汗 | 1〜5%未満 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 注意力障害 | 1〜5%未満 |
| 浮動性めまい | 頻度不明 |
| 消化不良 | 1〜5%未満 |
| 無力症 | 1〜5%未満 |
| 疲労 | 頻度不明 |
| 痙攣発作 | 1〜5%未満 |
| 筋肉痛 | 1〜5%未満 |
| 胃炎 | 1〜5%未満 |
| 胃食道逆流性疾患 | 1〜5%未満 |
| 背部痛 | 1〜5%未満 |
| 脱毛症 | 1〜5%未満 |
| 腹痛 | 頻度不明 |
| 腹部膨満 | 1〜5%未満 |
| 血中乳酸脱水素酵素増加 | 1〜5%未満 |
| 血中尿素増加 | 1〜5%未満 |
| 血小板数減少 | 1〜5%未満 |
| 貧血 | 1〜5%未満 |
| 錯乱状態 | 1〜5%未満 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 食欲減退 | 頻度不明 |
| 高カリウム血症 | 1〜5%未満 |
| 高血圧 | 1〜5%未満 |
| 高血糖 | 1〜5%未満 |
| 鼓腸 | 1〜5%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ボラシデニブは、イソクエン酸脱水素酵素(IDH)1及びIDH2に対する阻害作用を有する低分子化合物である。ボラシデニブは、変異型IDH1及びIDH2の酵素活性を阻害することで腫瘍細胞における2-ヒドロキシグルタル酸(2-HG)産生を阻害し、IDH1又はIDH2遺伝子変異陽性の腫瘍細胞の分化を誘導すること等により、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。
18.2 2-HG産生阻害作用
ボラシデニブは、変異型IDH1(R132H)を発現するヒト神経膠腫由来TS603細胞株を皮下移植した重症複合型免疫不全マウス及び変異型IDH2(R140Q)を発現させたヒト神経膠腫由来U87MG細胞株を同所移植したヌードマウスにおいて、2-HG産生を阻害した(in vivo)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
健康成人に本剤50mg注1) を単回経口投与したときのボラシデニブの薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移は以下のとおりであった2) 。
| Cmax (ng/mL) |
AUC (hr*ng/mL) |
tmax (hr) |
t1/2 (hr) |
|
|---|---|---|---|---|
| 日本人 (15例) |
66.65 (48.78) |
3311.73 (60.50) |
2.00 (1.00, 6.00) |
184.96 (40.60) |
| 外国人 (11例) |
68.29 (54.88) |
3193.13 (78.79) |
2.00 (0.50, 3.00) |
212.10 (79.13) |
幾何平均値(変動係数%)、tmaxは中央値(最小値, 最大値)
- 16.1.2反復投与
神経膠腫患者に本剤40mgを1日1回反復経口投与したときの定常状態におけるボラシデニブのCmax及びAUC0-tauの幾何平均値(変動係数%)はそれぞれ133ng/mL(73)及び1,988h・ng/mL(95)であった。1日1回反復投与開始から28日以内に定常状態に到達した3) 。 神経膠腫患者に単回及び1日1回反復経口投与したとき、10~200mg注1) までの用量ではボラシデニブのCmax及びAUC0-24hは用量に比例して増加した4) (外国人データ)。
16.2 吸収
- 16.2.1絶対バイオアベイラビリティ
本剤50mg注1) を単回経口投与したときの絶対バイオアベイラビリティの平均値は34%であった5) (外国人データ)。
- 16.2.2食事の影響
健康成人(36例)に本剤50mg注1) を単回経口投与したとき、絶食下投与に対する高脂肪食(総カロリー800~1,000 kcalのうち、50%が脂質)摂取後投与におけるボラシデニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ3.13及び1.29であった6) 。健康成人(33例)に本剤40mgを単回経口投与したとき、絶食下投与に対する低脂肪食(総カロリー約400~500kcalのうち、約25%が脂質)摂取後投与におけるボラシデニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ2.32及び1.40であった7) (外国人データ)。
16.3 分布
本剤40mg単回投与時の分布容積の幾何平均値(変動係数%)は3,930L(40)であった7) 。ボラシデニブのヒト血漿タンパク結合率は96.5~97.4%であった8) 。また、脳腫瘍−血漿中濃度分配比は1.6であった9) 。
16.4 代謝
本剤は主にCYP1A2により代謝される(in vitro)。健康成人(5例)に14C標識した本剤50mg注1) を単回経口投与したとき、血漿中放射能の66.24%が未変化体であった10) (外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人(5例)に14C標識した本剤50mg注1) を単回経口投与したとき、投与1,056時間後までに投与量の84.7%が糞中、4.52%が尿中に排泄された。投与408時間後までに糞中に排泄された未変化体は投与量の55.5%であり5) 、尿中に未変化体は検出されなかった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者
AG881-C-004試験の母集団薬物動態解析において、腎機能が正常な患者(eGFRが90mL/min/1.73m2以上)(210例)に対する軽度(eGFRが60mL/min/1.73m2以上90mL/min/1.73m2未満)及び中等度(eGFRが30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)の腎機能障害を有する患者(それぞれ56例及び4例)におけるボラシデニブの定常状態におけるAUCの幾何平均値の比はそれぞれ1.38及び1.26と推定された(外国人データ)。
- 16.6.2肝機能障害患者
本剤20mgを単回経口投与したとき、健康成人(11例)に対する中等度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類B、9例)におけるボラシデニブのAUC0-tの幾何平均値の比は1.26であった11) (外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1シプロフロキサシン
健康成人(26例)に、シプロフロキサシン(中程度のCYP1A2阻害剤)500mgを1日2回14日間経口投与し、本剤20mgを単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するシプロフロキサシン併用投与時のボラシデニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ1.29及び2.53であった7) (外国人データ)。
-
16.7.2生理学的薬物動態モデルによるシミュレーション
-
(1)フルボキサミン
本剤40mgを1日1回反復投与及びフルボキサミン(強いCYP1A2阻害剤)と併用投与したとき、本剤単独投与時に対するフルボキサミン併用投与時のボラシデニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、定常状態ではそれぞれ5.70及び7.18と推定された。
- (2)フェニトイン、リファンピシン
本剤40mgを1日1回反復投与及びフェニトイン(中程度のCYP1A2誘導剤)又はリファンピシン(中程度のCYP1A2誘導剤)と併用投与したとき、本剤単独投与時と比較してフェニトイン又はリファンピシン併用投与時のボラシデニブの曝露量が低下する可能性が示唆された。
- (3)ミダゾラム、ブプロピオン、レパグリニド、ワルファリン、S-メフェニトイン
本剤40mgを1日1回反復投与及びミダゾラム(CYP3A基質)、ブプロピオン(CYP2B6基質、国内未承認)、レパグリニド(CYP2C8基質)、ワルファリン(CYP2C9基質)又はS-メフェニトイン(CYP2C19基質)と併用投与したとき、単独投与時と比較して本剤併用時にミダゾラム、ブプロピオン、レパグリニド、ワルファリン又はS-メフェニトインの曝露量が低下する可能性が示唆された。
- (4)ロスバスタチン
本剤40mgを1日1回反復投与及びロスバスタチン(BCRP基質)と併用投与したとき、単独投与時と比較して本剤併用時にロスバスタチンの曝露量が増加する可能性が示唆された。
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16.7.3その他
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(1)健康成人(21例)に、ラモトリギン(UGT1A4基質)50mgを本剤投与開始20日前及び本剤投与開始14日目に経口投与し、本剤50mg注1) を1日1回15日間経口投与したとき、本剤単独投与時に対するラモトリギンの併用投与時のボラシデニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ0.95及び0.92であった(外国人データ)。
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(2)健康成人(35例)に、オメプラゾール(プロトンポンプ阻害剤)40mgを1日1回4日間経口投与し、本剤50mg注1) を単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するオメプラゾールの併用投与時のボラシデニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ0.72及び0.94であった(外国人データ)。
注1)本剤の承認された用法及び用量は、「通常、成人には、ボラシデニブとして40mgを1日1回、空腹時に経口投与する。 通常、12歳以上の小児には、ボラシデニブとして体重に応じて以下を1日1回、空腹時に経口投与する。 40kg未満:20mg 40kg以上:40mg なお、患者の状態により適宜減量する。」である。