Clinical snapshot

ボノピオンパック

ボノプラザンフマル酸アモキシシリン水和物メトロニダゾール

添付文書改訂 2026年03月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本製品に包装されている各製剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2アタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者

  3. 2.3伝染性単核症のある患者[アモキシシリン水和物で紅斑性丘疹の発現頻度が高いとの報告がある。]

  4. 2.4高度の腎障害のある患者

  5. 2.5脳、脊髄に器質的疾患のある患者(脳膿瘍の患者を除く)[メトロニダゾールで中枢神経系症状があらわれることがある。]

  6. 2.6妊娠3ヵ月以内の女性(有益性が危険性を上回ると判断される疾患の場合は除く)

効能・効果

  • 〈適応菌種〉

アモキシシリン、メトロニダゾールに感性のヘリコバクター・ピロリ

  • 〈適応症〉

*胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃MALTリンパ腫・免疫性血小板減少症・早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎

用法・用量

プロトンポンプインヒビター、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの3剤投与によるヘリコバクター・ピロリの除菌治療が不成功の場合 通常、成人にはボノプラザンとして1回20mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びメトロニダゾールとして1回250mgの3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1本製品に包装されている個々の製剤を単独、もしくは本製品の効能又は効果以外の目的に使用しないこと。また、用法及び用量のとおり、同時に服用すること。
  • 〈アモキシシリン水和物〉
  1. 8.2ショック、アナフィラキシー、アレルギー反応に伴う急性冠症候群、薬剤により誘発される胃腸炎症候群の発生を確実に予知できる方法はないが、事前に当該事象の既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質によるアレルギー歴は必ず確認すること。

  2. 8.3急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど、観察を十分に行うこと。

  3. 8.4顆粒球減少、血小板減少があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。

  • 〈メトロニダゾール〉
  1. 8.5白血球減少、好中球減少があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施するなど、患者の状態を十分に観察すること。

  2. 8.6肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を実施するなど、患者の状態を十分に観察すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  • 〈アモキシシリン水和物〉
  1. 9.1.1ペニシリン系又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、アモキシシリン水和物に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)

  2. 9.1.2本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、じん麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者

  3. 9.1.3経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者

観察を十分に行うこと。ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。

  • 〈メトロニダゾール〉
  1. 9.1.4血液疾患のある患者

白血球減少、好中球減少があらわれることがある。

  1. 9.1.5脳膿瘍の患者

中枢神経系症状があらわれることがある。

  1. 9.1.6コケイン症候群の患者

重度の肝毒性又は急性肝不全が発現し死亡に至ることがある。

9.2 腎機能障害患者

ボノプラザンの排泄が遅延することにより血中濃度が上昇することがある。

  1. 9.2.1高度の腎機能障害患者

投与しないこと。アモキシシリン水和物の血中濃度が上昇することがあり、本製品では各製剤の投与量を調節できない。

  1. 9.2.2血液透析患者

メトロニダゾールの注射剤において、メトロニダゾール500mgの単回点滴静注直後の血液透析により、投与量の約45%が除去されたとの報告がある1)。

9.3 肝機能障害患者

ボノプラザンの代謝、排泄が遅延することにより血中濃度が上昇することがある。また、メトロニダゾールの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。

9.5 妊婦

  1. 9.5.1妊娠3ヵ月以内の女性

投与しないこと。ただし有益性が危険性を上回ると判断される疾患の場合は除く。

  1. 9.5.2妊娠3ヵ月を過ぎた女性

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

  • 〈ボノプラザンフマル酸塩〉
  1. 9.5.3動物試験(ラット)において、40mg/日でのヒトにおけるボノプラザンの曝露量(AUC)の約28倍を超える曝露量で、胎児体重及び胎盤重量の低値、外表異常(肛門狭窄及び尾の異常)、並びに内臓異常(膜性部心室中隔欠損及び鎖骨下動脈起始異常)が認められている。

9.6 授乳婦

  • 授乳しないことが望ましい。

  • 〈ボノプラザンフマル酸塩〉

  1. 9.6.1*健康授乳婦にボノプラザン20mgを1日1回又は1日2回4日間経口投与したとき、それぞれ投与量の0.012%又は0.023%が母乳中に移行した2)。
  • 〈アモキシシリン水和物〉
  1. 9.6.2外国人データで母乳中へ移行することが報告されている3)。
  • 〈メトロニダゾール〉
  1. 9.6.3母乳中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

一般に肝機能、腎機能等の生理機能が低下している。アモキシシリン水和物による副作用が発現しやすい。また、アモキシシリン水和物によるビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。

相互作用

  • 〈ボノプラザンフマル酸塩〉

主として肝薬物代謝酵素CYP3A4で代謝され、一部CYP2B6、CYP2C19及びCYP2D6で代謝される。また、ボノプラザンは弱いCYP3A4阻害作用を有する。 ボノプラザンの胃酸分泌抑制作用により、併用薬剤の吸収を促進又は抑制する可能性がある。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

  • 〈ボノプラザンフマル酸塩〉
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
アタザナビル硫酸塩(レイアタッツ) アタザナビル硫酸塩の作用を減弱するおそれがある。 ボノプラザンの胃酸分泌抑制作用によりアタザナビル硫酸塩の溶解性が低下し、アタザナビルの血中濃度が低下する可能性がある。
リルピビリン塩酸塩(エジュラント) リルピビリン塩酸塩の作用を減弱するおそれがある。 ボノプラザンの胃酸分泌抑制作用によりリルピビリン塩酸塩の吸収が低下し、リルピビリンの血中濃度が低下する可能性がある。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

  • 〈ボノプラザンフマル酸塩〉
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
CYP3A4阻害剤
• クラリスロマイシン 等
ボノプラザンの血中濃度が上昇する可能性がある。 クラリスロマイシンとの併用によりボノプラザンの血中濃度が上昇したとの報告がある。
ジゴキシン
メチルジゴキシン
左記薬剤の作用を増強する可能性がある。 ボノプラザンの胃酸分泌抑制作用によりジゴキシンの加水分解が抑制され、ジゴキシンの血中濃度が上昇する可能性がある。
イトラコナゾール
チロシンキナーゼ阻害剤
• ゲフィチニブ
ニロチニブ
エルロチニブネルフィナビルメシル酸塩
左記薬剤の作用を減弱する可能性がある。 ボノプラザンの胃酸分泌抑制作用により左記薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。
CYP3A4で代謝される薬剤
• ミダゾラム等
左記薬剤の作用を増強する可能性がある。 ボノプラザンのCYP3A4に対する弱い阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害される。
強い又は中程度のCYP3A4誘導剤
• リファンピシン
• エファビレンツ等
ボノプラザンの血中濃度が低下する可能性がある。 左記薬剤のCYP3A4に対する誘導作用により、ボノプラザンの代謝が促進される可能性がある。
  • 〈アモキシシリン水和物〉
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ワルファリンカリウム ワルファリンカリウムの作用が増強されるおそれがある。 腸内細菌によるビタミンKの産生を抑制することがある。
経口避妊薬 経口避妊薬の効果が減弱するおそれがある。 腸内細菌叢を変化させ、経口避妊薬の腸肝循環による再吸収を抑制すると考えられている。
プロベネシド アモキシシリン水和物の血中濃度を増加させる。 アモキシシリン水和物の尿細管分泌を阻害し、尿中排泄を低下させると考えられている。
*メトトレキサート メトトレキサートの副作用を増強させるおそれがある。 メトトレキサートの尿細管分泌を阻害し、尿中排泄を低下させると考えられている。
  • 〈メトロニダゾール〉
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
アルコール 腹部の疝痛、嘔吐、潮紅があらわれることがあるので、投与期間中は飲酒を避けること。 メトロニダゾールはアルコールの代謝過程においてアルデヒド脱水素酵素を阻害し、血中アセトアルデヒド濃度を上昇させる。
リトナビル含有製剤(内用液) ジスルフィラム-アルコール反応を起こすおそれがある。 リトナビル含有製剤(内用液)はエタノールを含有するのでメトロニダゾールにより血中アセトアルデヒド濃度を上昇させる。
ジスルフィラム 精神症状(錯乱等)が出現することがある。 機序は不明である。
ワルファリン ワルファリンの抗凝血作用を増強し、出血等があらわれることがある。 メトロニダゾールはワルファリンの代謝を阻害し、その血中濃度を上昇させる。
リチウム リチウムの血中濃度が上昇し、リチウム中毒があらわれることがある。 機序は不明である。
ブスルファン ブスルファンの作用が増強されることがある。 メトロニダゾールはブスルファンの血中濃度を上昇させることがある。
5-フルオロウラシル 5-フルオロウラシルの作用が増強される可能性がある。 メトロニダゾールは5-フルオロウラシルの血中濃度を上昇させることがある。
シクロスポリン シクロスポリンの作用が増強される可能性がある。 メトロニダゾールはシクロスポリンの血中濃度を上昇させることがある。
フェノバルビタール メトロニダゾールの作用が減弱する可能性がある。 フェノバルビタールはメトロニダゾールの代謝酵素を誘導し、その血中濃度を低下させることがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALTの上昇 1〜5%未満
AST 1〜5%未満
下痢 1〜5%未満
腹部不快感 1〜5%未満
腹部膨満感 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

アモキシシリン水和物は細菌の細胞壁合成を阻害することにより効果を発揮する15)。 ボノプラザンは酸による活性化を必要とせず、可逆的でカリウムイオンに競合的な様式でH+, K+-ATPaseを阻害する。ボノプラザンは塩基性が強く胃壁細胞の酸生成部位に長時間残存して胃酸生成を抑制する。ボノプラザンは抗ヘリコバクター・ピロリ活性及びヘリコバクター・ピロリウレアーゼ阻害活性は示さない16)。 メトロニダゾールはヘリコバクター・ピロリ菌体内のニトロ還元酵素系の反応によって還元を受け、ニトロソ化合物(R-NO)に変化する。このR-NOがヘリコバクター・ピロリに対する殺菌作用を示す。また、反応の途中で生成したヒドロキシラジカルがDNAを切断し、DNAらせん構造の不安定化を招く17),18),19)。 アモキシシリン水和物及びメトロニダゾールとの3剤療法におけるボノプラザンの役割は胃内pHを上昇させることにより、アモキシシリン水和物及びメトロニダゾールの抗菌活性を高めることにあると考えられる。

18.2 薬理作用

  1. 18.2.1抗菌作用

アモキシシリン水和物はヘリコバクター・ピロリに対し殺菌的な抗菌作用を示す。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1ボノプラザン、アモキシシリン水和物及びメトロニダゾール併用時

健康成人男子を対象にボノプラザン20mg、アモキシシリン水和物750mg(力価)及びメトロニダゾール250mgを1日2回朝食後及び夕食後に7日間投与(投与最終日は朝食後1回)した時、投与7日目の薬物動態学的パラメータは下表のとおりである7)。

Cmax(ng/mL) Tmax(h) AUC0-12(ng・h/mL) T1/2(h)
34.9±13.9 3.0(1.0,4.0) 250.1±83.0 7.3±0.9

n=11、平均値±標準偏差、Tmaxは中央値(最小値、最大値)

Cmax(μg/mL) Tmax(h) AUC0-12(μg・h/mL) T1/2(h)
10.4±2.4 3.0(3.0,6.0) 40.8±6.8 1.3±0.2

n=11、平均値±標準偏差、Tmaxは中央値(最小値、最大値)

Cmax(μg/mL) Tmax(h) AUC0-12(μg・h/mL) T1/2(h)
8.9±1.8 3.0(1.0,6.0) 75.5±19.6 10.8±2.8

n=11、平均値±標準偏差、Tmaxは中央値(最小値、最大値)

16.3 分布

  1. 16.3.1メトロニダゾールの胎児への移行

分娩開始初期からメトロニダゾール内服錠200mgを3時間ごとに投与して、母子の血中濃度を測定したとき、胎盤関門を通過して胎児に移行することが認められた8)(外国人によるデータ)。

  1. 16.3.2メトロニダゾールの母乳中への移行

平均年齢22.5歳の母親及び生後5日の新生児10例を選び、母親にメトロニダゾール内服錠200mgを単回経口投与し、4時間ごとに授乳して母乳中及び新生児の血中への移行を測定した。母乳中の平均濃度は投与後4時間目では3.4μg/mL、8時間目では2.2μg/mL、12時間目では1.3μg/mLで母親の血中と同程度に移行したが、新生児の血中濃度は検出限界以下~0.4μg/mLと極めて微量であった9)(測定法:polarography)(外国人によるデータ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

  2. (1)ボノプラザン単独投与時

腎機能正常者(eGFR:90mL/min/1.73m2以上)、軽度(eGFR:60~89mL/min/1.73m2)、中等度(eGFR:30~59mL/min/1.73m2)及び高度腎機能障害者(eGFR:15~29mL/min/1.73m2)、並びに末期腎不全(ESRD)(eGFR:15mL/min/1.73m2未満)患者を対象にボノプラザンの薬物動態に及ぼす腎機能障害の影響を検討した臨床試験において、ボノプラザンのAUC(0-inf)及びCmaxは、軽度、中等度及び高度腎機能障害者では腎機能正常者と比較してそれぞれ1.3~2.4倍及び1.2~1.8倍高く、腎機能の低下に伴い増加し、また、ESRD患者におけるAUC(0-inf)及びCmaxは、腎機能正常者と比較してそれぞれ1.3倍及び1.2倍高かった10)(外国人によるデータ)。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

  2. (1)ボノプラザン単独投与時

肝機能正常者、並びに軽度(Child-Pugh分類スコアA)、中等度(Child-Pugh分類スコアB)及び高度肝機能障害者(Child-Pugh分類スコアC)を対象にボノプラザンの薬物動態に及ぼす肝機能障害の影響を検討した臨床試験において、ボノプラザンのAUC(0-inf)及びCmaxは、軽度、中等度及び高度肝機能障害者では肝機能正常者と比較してそれぞれ1.2~2.6倍及び1.2~1.8倍高かった11)(外国人によるデータ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1ボノプラザン、ミダゾラム併用時の薬物動態

外国健康成人を対象に1日目及び9日目にミダゾラム2mgを単回経口投与し、2~10日目にボノプラザンとして20mgを1日2回反復経口投与した試験の結果、ミダゾラムのAUC(0-inf)及びCmaxは、単独投与時と比較してボノプラザンとの併用時にいずれも1.9倍増加する12)。

  1. 16.7.2生理学的薬物速度論モデルによるシミュレーション(リファンピシン、エファビレンツ)

ボノプラザンとして10、20、40mgを単回投与又は10mgを1日1回、20mgを1日1回若しくは2回、7日間反復経口投与し、リファンピシン600mgを1日1回併用投与したときで、ボノプラザンのAUCtauは78~81%低下、Cmaxは71%又は72%低下することが推定された。 ボノプラザンとして10、20、40mgを単回投与又は10mgを1日1回、20mgを1日1回若しくは2回、7日間反復経口投与し、エファビレンツ600mgを1日1回併用投与したときで、ボノプラザンのAUCtauは54%低下、Cmaxは44~46%低下することが推定された13)。