Clinical snapshot

ボトックスビスタ注用50単位

A型ボツリヌス毒素

添付文書改訂 2025年03月01日

【警告】

  1. 1.1本剤の有効成分は、ボツリヌス菌によって産生されるA型ボツリヌス毒素であるため、使用上の注意を熟読した上で、用法及び用量を厳守し、眉間の表情皺及び目尻の表情皺以外には使用しないこと。ミオクローヌス性ジストニー、脳性麻痺及び内転型の攣縮性発声障害の患者で、ボトックス注用による治療中に因果関係を否定できない死亡例の報告がある。

  2. 1.2本剤を使用する場合は、講習を受けた医師で、本剤の安全性及び有効性を十分理解し、高度な解剖学的知識及び本剤の施注手技に関する十分な知識・経験のある医師が行うこと。

  3. 1.3頸部関連筋へのボトックス注用の投与により、呼吸困難があらわれることがある。ボトックス注用による治療中に因果関係を完全に否定できない死亡例の報告がある。呼吸障害、嚥下障害等頸部関連筋に関する副作用があらわれるおそれがある。嚥下障害から嚥下性肺炎を引き起こし、また、投与部近位への拡散により呼吸機能低下に至ったとする報告がある。

  4. 1.4眼瞼痙攣患者に、ボトックス注用を1回投与量として100単位を投与し、投与筋以外の遠隔筋に対する影響と考えられる呼吸困難及び筋無力症が発現したという報告がある。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1全身性の神経筋接合部の障害をもつ患者(重症筋無力症、ランバート・イートン症候群、筋萎縮性側索硬化症等)[本剤は筋弛緩作用を有するため、病態を悪化させる可能性がある。]

  2. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳婦

  3. 2.3本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  4. 2.4他のボツリヌス毒素製剤にて治療中の患者

効能・効果

65歳未満の成人における眉間又は目尻の表情皺

用法・用量

  • 〈眉間の表情皺〉

通常、65歳未満の成人にはA型ボツリヌス毒素として合計10~20単位を左右の皺眉筋に各2部位(合計4部位)及び鼻根筋1部位に均等に分割して筋肉内注射する。なお、症状再発の場合には再投与することができるが、3ヵ月以内の再投与は避けること。 〈注射部位〉 (図1)

  • 〈目尻の表情皺〉

通常、65歳未満の成人にはA型ボツリヌス毒素として合計12~24単位を左右の眼輪筋の外側に各3部位(合計6部位)に均等に分割して筋肉内注射する。目尻の表情皺が外眼角の上下にある場合は図2のように投与する。目尻の表情皺が外眼角の下方にある場合は図3のように投与する。なお、症状再発の場合には再投与することができるが、3ヵ月以内の再投与は避けること。 〈注射部位〉 (図2)

(図3)

使用上の注意

  1. **8.1眉間の表情皺及び目尻の表情皺以外の適応に対して本剤を絶対に使用しないこと。眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、重度の原発性腋窩多汗症、斜視、痙攣性発声障害、既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁並びに既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁の適応に対しては、ボトックス注用50単位又はボトックス注用100単位を用いること。これら以外の適応には安全性が確立していないので絶対使用しないこと。

  2. 8.2本剤の投与に際しては、患者に次の事項について文書を用いてよく説明し、文書による同意を得た後、使用する。

  3. 8.2.1本剤の有効成分はボツリヌス菌によって産生されるA型ボツリヌス毒素である。

  4. 8.2.2本剤の投与は対症療法であり、効果は通常3~4ヵ月で消失し、投与を繰り返す必要がある。

  5. 8.2.3本剤の投与を長期間繰り返した場合、中和抗体の産生により、効果が認められなくなることがある。

  6. 8.2.4本剤投与後、3~4ヵ月の間に呼吸困難、脱力感等の体調の変化があらわれた場合には、直ちに医師に申し出る。

  7. 8.2.5妊娠する可能性のある女性は、投与中及び最終投与後2回の月経を経るまでは避妊する。

  8. 8.2.6男性は、投与中及び最終投与後少なくとも3ヵ月は避妊する。

  9. 8.2.7他の医療施設でボツリヌス毒素の投与を受けている場合には、治療対象疾患及び投与日を必ず申し出る。

  10. 8.3本剤投与後、抗体が産生されることにより、耐性が生じる可能性がある。効果の減弱がみられる場合には、抗体検査を実施する。抗体産生がみられない場合は、追加投与することができる。抗体が産生された場合には、投与を中止すること。

  11. 8.4本剤が眼筋に作用することによって複視があらわれることがあるので、投与部位に十分注意し、慎重に投与すること。

  12. 8.5本剤は、低用量でも閉瞼不全等の副作用発現がみられることがあるので、観察を十分に行いながら慎重に投与すること。

  13. 8.6ボツリヌス毒素の投与により、投与筋以外の遠隔筋に対する影響と考えられる副作用があらわれることがあり、嚥下障害、肺炎、重度の衰弱等に伴う死亡例も報告されている。

  14. 8.7本剤投与後、脱力感、筋力低下、めまい、視力低下があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1慢性の呼吸器障害のある患者

本剤の投与により、病態を悪化させる可能性がある。

  1. 9.1.2重篤な筋力低下あるいは萎縮がある患者

本剤の投与により、症状を悪化させる可能性がある。

  1. 9.1.3閉塞隅角緑内障のある患者又はその素因(狭隅角等)のある患者

本剤はアセチルコリンの放出抑制作用を有するため、症状を悪化させる可能性がある。

  1. 9.1.4神経学的障害のある患者

嚥下困難等を有する患者、痙縮患者等では投与筋以外の遠隔筋に対する影響と考えられる副作用のリスクが増加するため特に注意すること。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1妊娠する可能性のある女性は、投与中及び最終投与後2回の月経を経るまでは避妊する。

  2. 9.4.2男性は、投与中及び最終投与後少なくとも3ヵ月は避妊する。精子形成期間に投与されることを避けるため。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。外国において、ボトックス注用を投与された患者で胎児死亡が報告されており、また、本剤は動物実験で妊娠及び胎児への影響が認められている。

9.6 授乳婦

投与しないこと。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

眉間の表情皺及び目尻の表情皺を対象とした本剤の海外臨床試験において、65歳以上の高齢者では65歳未満の非高齢者よりも有効性が低く、有害事象発現率は高くなることが認められている。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
他のボツリヌス毒素製剤 過剰な筋弛緩があらわれることがあり、呼吸困難、嚥下障害等を発現するリスクが高まるおそれがあるため、本剤と他のボツリヌス毒素製剤の同時投与は避けること。 本剤及びこれらの薬剤は、ともに筋弛緩作用を有するため作用が増強されるおそれがある。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
筋弛緩剤
• ツボクラリン塩化物塩酸塩水和物
ダントロレンナトリウム水和物等
閉瞼不全、頸部筋脱力等の過剰な筋弛緩があらわれるおそれがある。嚥下障害の発現が高まるおそれがある。 筋弛緩作用が増強されることがある。併用薬の抗コリン作用による口渇、嚥下困難等が出現するため、嚥下障害が増強されることがある。
筋弛緩作用を有する薬剤
• スペクチノマイシン塩酸塩水和物
アミノグリコシド系抗生物質
• ゲンタマイシン硫酸塩、
フラジオマイシン硫酸塩等
• ポリペプチド系抗生物質• ポリミキシンB硫酸塩等
• テトラサイクリン系抗生物質
リンコマイシン系抗生物質
抗痙縮剤• バクロフェン等
• 抗コリン剤• ブチルスコポラミン臭化物、トリヘキシフェニジル塩酸塩等
• ベンゾジアゼピン系薬剤及び類薬• ジアゼパム、エチゾラム等
• ベンザミド系薬剤• チアプリド塩酸塩、スルピリド等
閉瞼不全、頸部筋脱力等の過剰な筋弛緩があらわれるおそれがある。嚥下障害の発現が高まるおそれがある。 筋弛緩作用が増強されることがある。併用薬の抗コリン作用による口渇、嚥下困難等が出現するため、嚥下障害が増強されることがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
CK上昇 1%未満
しびれ感 頻度不明
そう痒感 1%未満
めまい 1%未満
下痢 1%未満
乾癬様皮疹 頻度不明
倦怠(感) 頻度不明
兎眼 1%未満
口内乾燥 1%未満
口角下垂等) 1%未満
嘔吐 頻度不明
嘔気 1%未満
嚥下障害 頻度不明
多形紅斑 頻度不明
失神 1%未満
局所性筋力低下(頸部筋脱力 1%未満
感冒様症状 1%未満
感覚異常 1%未満
斜視 頻度不明
注射部ひきつり感 頻度不明
注射部位疼痛 1%未満
注射部出血斑 1%未満
注射部感染 頻度不明
注射部熱感 1%未満
注射部腫脹 1%未満
流涙 1%未満
発汗 頻度不明
発熱 1%未満
発疹 1%未満
白血球減少 1%未満
眼の乾燥感 頻度不明
眼の刺激 頻度不明
眼痛 1%未満
眼瞼下垂 1〜5%未満
眼瞼内反 頻度不明
眼瞼外反 頻度不明
眼瞼浮腫 頻度不明
眼脂 1%未満
神経根障害 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
紅斑 1%未満
結膜炎 頻度不明
羞明 1%未満
耳鳴 頻度不明
聴力低下 頻度不明
肝機能検査異常 頻度不明
脱力(感) 頻度不明
脱毛(睫毛眉毛脱落を含む) 1%未満
脱神経性萎縮/筋萎縮 頻度不明
腹痛 頻度不明
血小板減少 頻度不明
複視 1%未満
視力低下 頻度不明
角膜炎 頻度不明
角膜糜爛 頻度不明
近隣筋の疼痛及び緊張亢進 頻度不明
閉瞼不全 頻度不明
霧視(感) 1%未満
頭痛 1〜5%未満
顔面痛 1%未満
顔面麻痺 1%未満
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

末梢の神経筋接合部における神経終末内でのアセチルコリン放出抑制により神経筋伝達を阻害し、筋弛緩作用を示す。神経筋伝達を阻害された神経は、軸索側部からの神経枝の新生により数ヵ月後には再開通し、筋弛緩作用は消退する。

18.2 坐骨神経腓腹筋の収縮に対する作用2)

ラット大腿二頭筋に投与した試験において、坐骨神経刺激による腓腹筋収縮の抑制を認める。

18.3 筋弛緩作用3)

マウス片側腓腹筋に投与した尾懸下試験において、投与後比較的早期に、本剤の筋弛緩作用に基づく運動力の低下及び不動時間の延長を用量依存的に認める。

18.4 α及びγ運動ニューロンに対する機能的除神経作用4)

ラット大腿二頭筋に投与した試験において、錘外筋及び筋紡錘(錘内筋)で機能的除神経作用を認める。

18.5 神経再生による機能的除神経からの回復4)

ラット大腿二頭筋に投与した試験において、α及びγ運動ニューロンに対する機能的除神経惹起後、錘外筋及び筋紡錘(錘内筋)ともに終板の拡大を認める。

薬物動態

16.1 血中濃度

ラットに125I-A型ボツリヌス毒素を筋肉内単回投与したときの血漿中濃度は、2時間後に最高値として、投与量の3%が認められた。24時間後には1%であった。1)

16.3 分布

ラットに125I-A型ボツリヌス毒素を筋肉内単回投与したとき、筋肉内には、投与直後に84%を認めたが、24時間後には5%に減少し、消失半減期は約10時間と推定された。1)

16.5 排泄

ラットに125I-A型ボツリヌス毒素を筋肉内単回投与したとき、投与後24時間以内に60%が尿中排泄された。1)