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ボセンタン錠62.5mg「サワイ」

ボセンタン水和物

添付文書改訂 2026年03月01日

【警告】

*本剤投与により肝機能障害又は自己免疫性肝炎が発現することがあるため、肝機能検査を必ず投与前に行い、投与中においても、少なくとも1ヵ月に1回実施すること。なお、投与開始3ヵ月間は2週に1回の検査が望ましい。肝機能検査値の異常が認められた場合はその程度及び臨床症状に応じて、減量及び投与中止など適切な処置をとること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  2. 2.2中等度あるいは重度の肝障害のある患者

  3. 2.3シクロスポリン又はタクロリムスを投与中の患者

  4. 2.4グリベンクラミドを投与中の患者

  5. 2.5本剤及び本剤の成分に過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 肺動脈性肺高血圧症(WHO機能分類クラスⅡ、Ⅲ及びⅣ)

  • **全身性強皮症における手指潰瘍の発症抑制(ただし手指潰瘍を現在有している、または手指潰瘍の既往歴のある場合に限る)

用法・用量

通常、成人には、投与開始から4週間は、ボセンタンとして1回62.5mgを1日2回朝夕食後に経口投与する。投与5週目から、ボセンタンとして1回125mgを1日2回朝夕食後に経口投与する。 なお、用量は患者の症状、忍容性などに応じ適宜増減するが、最大1日250mgまでとする。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1肝機能検査を必ず投与前に行い、投与中においても、少なくとも1ヵ月に1回実施すること。なお投与開始3ヵ月間は2週に1回の検査が望ましい。

  2. 8.2本剤投与を中止する場合には、併用薬(ワルファリンなど)の使用状況などにより、必要に応じ漸減を考慮すること。

  3. 8.3ヘモグロビン減少、血小板減少等が起こる可能性があるので、投与開始時及び投与開始後4ヵ月間は毎月、その後は3ヵ月に1回の頻度で血液検査を行うこと。

  4. 8.4本剤の投与により肺水腫の徴候が見られた時は、肺静脈閉塞性疾患の可能性を考慮すること。

  • 〈肺動脈性肺高血圧症〉
  1. 8.5本剤の投与を少なくとも8週間(目標投与量に達してから最低4週間投与)行ったにも拘らず、臨床症状の悪化がみられた場合には、他の治療法を検討すること。
  • 〈全身性強皮症における手指潰瘍の発症抑制〉
  1. **8.6定期的に本剤の治療効果や継続治療の必要性を考慮すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1低血圧の患者

血圧を一層低下させるおそれがある。

  1. 9.1.2ワルファリンを投与中の患者

本剤投与開始時、増量・減量時及び中止時には必ずINR値の確認を行い、ワルファリン投与量の調節を行うこと。適切なINR値になるまでは2週に1回の検査が望ましい。本剤との併用によりワルファリンの効果が減弱することがある。

  1. 9.1.3重度の左心室機能不全を合併症にもつ患者

体液貯留の徴候(例えば体重の増加)に対して経過観察を行うこと。徴候が認められた場合には、利尿剤の投与開始、又は投与中の利尿剤の増量などを考慮すること。本剤投与開始前に体液貯留が認められた患者には利尿剤の投与を検討すること。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1中等度あるいは重度の肝障害のある患者

投与しないこと。肝機能障害を増悪させるおそれがある。

  1. 9.3.2投与開始前のAST、ALT値のいずれか又は両方が基準値上限の3倍を超える患者

肝機能障害を増悪させるおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

避妊薬単独での避妊をさけ、本剤投与開始前及び投与期間中は、毎月妊娠検査を実施すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。 動物実験で催奇形性が報告されている。

9.6 授乳婦

本剤投与中は授乳しないことが望ましい。ヒトにおいて本剤が乳汁中に移行するとの報告がある。

9.7 小児等

  1. 9.7.1低出生体重児、新生児又は乳児に対する有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

  2. 9.7.2小児等へボセンタンを投与する場合には、ボセンタン水和物分散錠(小児用製剤)の電子添文を参照すること。

9.8 高齢者

一般に生理機能が低下していることが多い。

相互作用

  • 本剤は、主に薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP2C9、CYP3A4)で代謝される。一方で本剤はCYP2C9、CYP3A4の誘導物質である。また、in vitro試験において本剤はCYP2C19に誘導作用を示した。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
シクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)、タクロリムス(プログラフ)
(1)本剤の血中濃度が急激に上昇し、本剤の副作用が発現するおそれがある。
(2)シクロスポリン、タクロリムスの血中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがある。
(1)シクロスポリンのCYP3A4活性阻害作用及び輸送タンパク質阻害による肝細胞への取込み阻害により、本剤の血中濃度を上昇させる。
タクロリムスは主にCYP3A4で代謝され、シクロスポリンと同等以上に本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
(2)本剤のCYP3A4誘導作用により、シクロスポリン、タクロリムスの血中濃度を低下させる。
グリベンクラミド(オイグルコン、ダオニール)
肝酵素値上昇の発現率が2倍に増加した。 胆汁酸塩の排泄を競合的に阻害し、肝細胞内に胆汁酸塩の蓄積をもたらす。
一部の胆汁酸塩の肝毒性作用により、二次的にトランスアミナーゼの上昇をもたらす可能性がある。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ワルファリン
ワルファリンの血中濃度が低下することがある。そのため、ワルファリンを併用する際には、凝血能の変動に十分注意しながら、必要に応じ用量を調整すること。 本剤のCYP2C9及びCYP3A4誘導作用により、ワルファリンの血中濃度を低下させる。
ケトコナゾール注)、フルコナゾール 本剤の血中濃度が上昇し、本剤の副作用が発現しやすくなるおそれがある。 ケトコナゾールのCYP3A4阻害作用により、本剤の血中濃度を上昇させる。
フルコナゾールのCYP2C9及びCYP3A4阻害作用により、本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
HMG-CoA還元酵素阻害薬(シンバスタチン等)
シンバスタチンの血中濃度が低下し、シンバスタチンの効果が減弱する。
また、CYP3A4又はCYP2C9により代謝されるスタチン製剤及びその活性水酸化物の血中濃度を低下させ、効果を減弱させる可能性がある。
そのため、これらの薬剤を併用する場合には、血清コレステロール濃度を測定し、必要に応じ用量を調整すること。
本剤のCYP3A4又はCYP2C9誘導作用により、シンバスタチン及びこれらの酵素により代謝されるスタチン製剤の血中濃度を低下させる。
リファンピシン 本剤の血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。 リファンピシンのCYP2C9及びCYP3A4誘導作用により、本剤の血中濃度を低下させる。
Ca拮抗薬(アムロジピン、ニフェジピン、ジルチアゼム等) (1)血圧低下を助長するおそれがある。
(2)Ca拮抗薬の血中濃度が低下する可能性がある。
(1)両剤の薬理学的な相加作用等が考えられる。
(2)本剤のCYP3A4誘導作用により、Ca拮抗薬の血中濃度を低下させる可能性がある。
経口避妊薬 経口避妊薬の血中濃度が低下し、避妊効果が得られないおそれがある。 本剤のCYP3A4誘導作用により、経口避妊薬の血中濃度を低下させる。
グレープフルーツジュース 本剤の血中濃度が上昇し、本剤の副作用が発現しやすくなるおそれがあるので、本剤投与時はグレープフルーツジュースを摂取しないようにすること。 グレープフルーツジュースに含まれる成分のCYP3A4阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)含有食品 本剤の血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないようにすること。 セイヨウオトギリソウに含まれる成分のCYP3A4誘導作用により、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
プロスタグランジン系薬物(ベラプロストナトリウム、エポプロステノールナトリウム) 血圧低下を助長するおそれがある。 両剤の薬理学的な相加作用等が考えられる。
PDE5阻害薬(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル) (1)血圧低下を助長するおそれがある。
(2)PDE5阻害薬の血中濃度が低下する可能性がある。
(3)シルデナフィルの血中濃度が低下し、本剤の血中濃度が上昇する。
(1)両剤の薬理学的な相加作用等が考えられる。
(2)本剤のCYP3A4誘導作用により、この酵素で代謝されるPDE5阻害薬の血中濃度を低下させる可能性がある。
(3)本剤のCYP3A4誘導作用により、シルデナフィルの血中濃度を低下させる。また、機序は不明であるが、シルデナフィルは本剤の血中濃度を上昇させる。
HIV感染症治療薬(リトナビル等) 本剤の血中濃度が上昇し、本剤の副作用が発現しやすくなるおそれがある。 これらの薬剤のCYP3A4阻害作用により、本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。

注)経口剤、注射剤は国内未発売

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP上昇 頻度不明
ALT上昇 頻度不明
AST上昇 頻度不明
γ-GT(GTP)上昇 頻度不明
そう痒症 頻度不明
ビリルビン上昇 頻度不明
ヘマトクリット減少 頻度不明
ヘモグロビン減少 頻度不明
ほてり 頻度不明
下痢 頻度不明
下肢浮腫 頻度不明
体位性めまい 頻度不明
体液貯留 頻度不明
倦怠感 頻度不明
動悸 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
嘔吐 頻度不明
好酸球数増加 頻度不明
悪心 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
浮腫 頻度不明
潮紅 頻度不明
疲労 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球数減少 頻度不明
皮膚炎 頻度不明
筋痛 頻度不明
肝機能異常 頻度不明
背部痛 頻度不明
血圧低下 頻度不明
血小板数減少 頻度不明
赤血球数減少 頻度不明
頭痛 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ボセンタンはエンドセリンETA及びETBの両受容体に非選択的に結合するエンドセリン受容体拮抗薬である。両受容体を阻害することにより、ET-1による血管収縮、細胞増殖及び肥大、細胞外マトリックス産生等を抑制する37)。

18.2 血管収縮の阻害

ボセンタンはラットから摘出した内皮剥離大動脈のET-1刺激による収縮(ETA受容体媒介性)及び上皮剥離気管のサラフォトキシンS6c刺激による収縮(ETB受容体媒介性)を阻害し、そのpA2はそれぞれ7.2及び6.0であった38)。

18.3 細胞増殖の阻害

ボセンタンはET-1のETA及びETB両受容体を介した細胞増殖を阻害した。自然発症高血圧ラットより採取した動脈血管平滑筋細胞及び気管平滑筋細胞のET-1刺激による細胞増殖を阻害した39),40)。

18.4 血管内皮機能の改善

ボセンタンはラット心臓において、虚血/再灌流時の冠血管におけるアセチルコリン誘発内皮依存性弛緩反応の低下を改善することにより内皮機能を高めた。また、ボセンタンは本モデルにおいて、左心室圧及び冠血流を改善することにより心筋機能を高めた。ボセンタンはヒト伏在静脈の組織培養系において、血管内膜過形成を抑制した。また、ボセンタンはヒト血管において、アセチルコリンによる血管拡張作用を増強した。また別のモデルでは、ボセンタンは一酸化窒素合成酵素阻害剤により誘発した昇圧を抑制した41),42),43),44),45)。

18.5 コラーゲン産生の抑制

ボセンタンは全身性強皮症患者の線維芽細胞からのコラーゲン産生を抑制した46),47)。

18.6 病態モデルに対する作用

  1. 18.6.1肺動脈高血圧動物モデル

ボセンタンは低酸素曝露により誘発した肺動脈高血圧動物モデルにおいて、全身血圧に影響せず平均肺動脈圧の上昇を抑制した。また、ボセンタンは低酸素の慢性曝露で誘発した右心室心筋重量比の増大並びに小肺動脈内壁の肥厚を抑制した48)。

  1. 18.6.2食塩高血圧動物モデル

ボセンタンはDOCA食塩高血圧ラットにおいて、左室壁の肥厚を低下させ、心内膜下の間質コラーゲン及び血管周囲のコラーゲン量を低下させた49)。

  1. 18.6.3肺線維症動物モデル

ボセンタンはブレオマイシンにより誘発した肺線維症動物モデルにおいて、結合組織の体積分率の上昇及び気腔の体積分率の低下を抑制した。また、ボセンタンは皮膚の線維化を抑制した47),50)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人10例にボセンタンとして62.5mg又は125mgを食後単回経口投与した時、血漿中ボセンタン濃度は、すみやかに上昇し、投与後3-4時間でCmaxに達した。薬物動態パラメータは下表のとおりである1),2)。

Cmax
(ng/mL)
AUC0-∞
(ng・h/mL)
t1/2
(h)
62.5mg
(n=10)
772
(619,964)
3721
(3182,4351)
4.3
(3.7,5.0)
125mg
(n=10)
1922
(1364,2710)
7996
(6695,9550)
3.6
(3.0,4.3)

数値は幾何平均値(95%信頼区間)

健康成人16例にボセンタン水和物錠(ボセンタンとして62.5mg)又はボセンタン水和物分散錠(小児用製剤)(ボセンタンとして64mg(32mg錠を2錠))を空腹時に単回経口投与した時の薬物動態パラメータは以下のとおりである。また、ボセンタン水和物分散錠の薬物動態パラメータのボセンタン水和物錠に対する幾何平均比は、Cmaxでは0.82(90%信頼区間:0.65~1.04)、AUC0-∞では0.87(90%信頼区間:0.78~0.97)であり、生物学的同等性の基準範囲(90%信頼区間:0.8~1.25)から外れていた3)(外国人データ)。

n Cmax
(ng/mL)
AUC0-∞
(ng・h/mL)
tmax
(h)
t1/2
(h)
62.5mg
(錠)
16 592
(453,774)
3494
(2809,4345)
4.0
(2.0-5.0)
8.3
(6.5,10.4)
64mg
(分散錠)
16 496
(395,623)
3118
(2524,3852)
4.0
(3.0-5.0)
9.3
(7.4,11.5)

数値は幾何平均値(95%信頼区間) tmaxは中央値(最小値-最大値)

  1. 16.1.2反復投与

健康成人12例にボセンタンとして125mgを1日2回7.5日間経口投与した時、血漿中ボセンタン濃度は、投与後3.0時間(中央値、最小値-最大値:1.0-4.0)でCmax 1212ng/mL(95%信頼区間:940-1564)に達した。また、AUC0-12は4640ng・h/mL(95%信頼区間:3641-5914)、血漿中濃度半減期は5.6時間(95%信頼区間:4.6-6.9)であった。反復投与においては、投与開始初期に酵素誘導が誘発され、ボセンタンのトラフ濃度は減少するが、投与開始5日目に定常状態に達した4)。

  • 〈肺動脈性肺高血圧症〉

WHO機能分類クラスⅡ又はⅢの肺動脈性肺高血圧症患者6例にボセンタン1回125mgを1日2回2週間以上反復経口投与した患者にボセンタン125mgを投与した時の薬物動態パラメータは以下のとおりである5)。

Cmax
(ng/mL)
AUC0-12
(ng・h/mL)
tmax
(h)
t1/2
(h)
125mg
(n=6)
1748
(1287,2374)
6996
(6193,7904)
4.0
(2.5-4.0)
5.0
(3.4,7.2)

数値は幾何平均値(95%信頼区間) tmaxは中央値(最小値-最大値)

WHO機能分類クラスⅢ又はⅣの肺動脈性肺高血圧症患者13例にボセンタンとして62.5mg 1日2回を4週間経口反復投与後、引き続き125mg 1日2回に増量して4週間経口反復投与後のボセンタンの薬物動態パラメータは下表のとおりである6)(外国人データ)。

Cmax
(ng/mL)
AUC0-12
(ng・h/mL)
tmax
(h)
62.5mg
(n=12)
1187
(814,1560)
6232
(4582,7881)
3.0
(1.0-4.0)
125mg
(n=11)
2286
(1234,3337)
8912
(6296,11531)
2.3
(1.0-6.0)

数値は算術平均値(95%信頼区間) tmaxは中央値(最小値-最大値)

  1. 16.1.3生物学的同等性試験

ボセンタン錠62.5mg「サワイ」とトラクリア錠62.5mgを健康成人男子にそれぞれ1錠(ボセンタンとして62.5mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中ボセンタン濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された7)。

Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC0-24hr
(ng・hr/mL)
ボセンタン錠62.5mg「サワイ」 1177±418 3.1±0.6 3.1±1.0 5798±2150
トラクリア錠62.5mg 1136±315 3.7±0.7 3.8±1.3 5556±2005

(Mean±S.D.)

血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人16例を対象にクロスオーバー法により、ボセンタンとして125mgを空腹時又は食後に単回経口投与した時、空腹時に比べ食後投与時のAUC0-∞、Cmaxはそれぞれ10%、22%上昇したが、臨床的影響はないと考えられた8)(外国人データ)。

16.3 分布

  1. 16.3.1蛋白結合率

ボセンタンの平衡透析法によるin vitroにおける血漿蛋白との結合率(n=28)は、0.211~21.94μg/mLの濃度範囲で約98%であった9)。

16.4 代謝

ボセンタンは主に肝臓で代謝され、その代謝物のほとんどが胆汁(糞)中に代謝物の形で排泄された。ヒト肝細胞を用いたin vitro試験において、CYP2C9及びCYP3A4によって代謝され、CYP2C9、CYP2C19及びCYP3A4に対し弱い阻害活性を示し、CYP2C9、CYP2C19及びCYP3A4を誘導した10)。

16.5 排泄

健康成人4例に14C-ボセンタン経口用懸濁液500mgを単回経口投与した時、尿及び糞中の回収率は平均97%で、投与量の90%以上が糞中に排泄され、3%が尿中への排泄であった11)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1高齢者での体内動態

国内及び海外において、特に高齢者を対象とした薬物動態評価試験は実施されていない。

  1. 16.6.2肝機能障害患者における体内動態

肝機能障害患者(Child-Pugh分類でA)8例にボセンタンとして125mgを単回又は反復経口投与した時の薬物動態を健康成人と比較したが、体内動態に差はみられなかった。なお、忍容性は良好であった12)(外国人データ)。

  1. 16.6.3腎機能障害患者における体内動態

重度腎機能障害患者(15<クレアチニンクリアランス≦30mL/min)8例にボセンタンとして125mgを単回投与した時の薬物動態を健康成人と比較した。両群ともに投与後約4時間でCmaxに達した。ボセンタンのCmaxは、健康成人に比し重度腎機能障害患者で約37%低かったが、AUC0-∞は、類似した数値を示した。なお、忍容性は良好であった13)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1シクロスポリン

健康成人にボセンタン500mg含有懸濁液を1日2回7.5日間反復投与し、さらにシクロスポリンを血漿中トラフ濃度が200~250ng/mLで安定するように1日2回7.0日間併用投与した時、ボセンタン単独投与時に比較して、シクロスポリン併用での単回投与後のボセンタンのトラフ濃度は約30倍、定常状態では約3~4倍に上昇した(各n=8)。また、シクロスポリンのAUC0-12はシクロスポリン単独投与時(n=9)と比較してボセンタン併用時(n=8)には平均49%減少した14),15)(外国人データ)。

  1. 16.7.2グリベンクラミド

健康成人12例にボセンタンとして125mgを1日2回9.5日間反復投与し、6~10日目の4.5日間についてグリベンクラミドとして2.5mgを1日2回で併用投与した時、ボセンタンのCmax及びAUC0-12は単独投与時に比較してそれぞれ24%及び29%有意に減少した。また、グリベンクラミドとして2.5mgを1日2回9.5日間反復投与し、6~10日目の4.5日間についてボセンタンとして125mgを1日2回で併用投与した時、グリベンクラミドのCmax、AUC0-12は単独投与時に比べ、それぞれ22%及び40%有意に減少した16)(外国人データ)。

  1. 16.7.3ワルファリン

健康成人12例にボセンタンとして500mg又はプラセボを1日2回10日間投与し、6日目の朝のみ、ワルファリン26mgを単回投与した時、ワルファリン単独投与時に比較して(ボセンタン併用時は)R-ワルファリンとS-ワルファリンのAUC0-∞はそれぞれ平均38%及び29%減少した17)(外国人データ)。また、国内臨床試験において、ワルファリン併用14例中1例にINR値の低下が認められ、ボセンタン中止時にINR値の上昇が認められた18)。

  1. 16.7.4ケトコナゾール

健康成人10例にボセンタンとして62.5mgを1日2回及びケトコナゾール200mg1日1回を5.5日間併用にて反復投与した時、ボセンタンのAUC0-12及びCmaxはボセンタン単独投与時に比較して、約2倍に増加した19)(外国人データ)。

  1. 16.7.5シンバスタチン

健康成人9例にボセンタンとして125mgを1日2回5.5日間とシンバスタチンとして40mgを1日1回6日間併用投与した時、シンバスタチン単独投与時に比較して、シンバスタチンとその代謝物β-ヒドロキシ酸シンバスタチンのAUC0-12をそれぞれ34%及び46%減少させた。シンバスタチンとの併用により、ボセンタンとその代謝物の薬物動態に対する影響は見られなかった20)(外国人データ)。

  1. 16.7.6リファンピシン

健康成人9例にボセンタンとして1回125mgを1日2回6.5日間及びリファンピシンとして1回600mgを1日1回6日間併用にて反復投与した。併用開始後6日目のボセンタンの平均AUCτは、単独投与時に比較して58%低下した21)(外国人データ)。

  1. 16.7.7経口避妊薬

健康成人19例にボセンタンとして125mgを1日2回及び経口避妊薬(1mgノルエチステロン及び35μgエチニルエストラジオール含有)をボセンタン投与後7日目に併用にて単回投与した時、経口避妊薬単独投与時に比較して、ノルエチステロンとエチニルエストラジオールのAUC0-∞はそれぞれ14%及び31%減少した22)(外国人データ)。

  1. 16.7.8シルデナフィルクエン酸塩

健康成人19例にボセンタンとして1回125mgを1日2回6日間及びシルデナフィルとして最初の3日間は1回20mgを1日3回、引き続き2日間は1回80mgを1日3回、最終日は1回80mgを計6日間併用投与した。併用開始後6日目のシルデナフィルのAUCτ及びCmaxはそれぞれ63%及び55%低下し、ボセンタンのAUCτ及びCmaxは、それぞれ50%及び42%増加した23)(外国人データ)。