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ペロスピロン塩酸塩錠8mg「アメル」

ペロスピロン塩酸塩水和物

添付文書改訂 2024年10月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある。]

  2. 2.2バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強される。]

  3. 2.3本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  4. 2.4アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)

効能・効果

統合失調症

用法・用量

通常、ペロスピロン塩酸塩として成人1回4mg 1日3回より始め、徐々に増量する。維持量として1日12~48mgを3回に分けて食後経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。但し、1日量は48mgを超えないこと。

使用上の注意

  1. 8.1悪性症候群の発現に伴いCKが上昇すること、また、本剤によりCKが高くなる場合があることから、観察を十分に行うこと。なお、他の抗精神病薬において、急激な増量により悪性症候群があらわれたとの報告がある。

  2. 8.2眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

  3. 8.3興奮、非協調性、緊張、衝動性の調節障害等の陽性症状を悪化させることがあるので観察を十分に行い、悪化がみられた場合には他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。

  4. 8.4本剤は動物実験(イヌ)で制吐作用を有することから、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することが考えられるので注意すること。

  5. 8.5本剤の投与により、高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤の投与に際しては、あらかじめこれらの副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること。特に糖尿病又はその既往歴あるいはその危険因子を有する患者については、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1心・血管疾患、低血圧、又はそれらの疑いのある患者

一過性の血圧降下があらわれることがある。

  1. 9.1.2パーキンソン病又はレビー小体型認知症のある患者

錐体外路症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.3てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者

痙攣閾値を低下させるおそれがある。

  1. 9.1.4脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者

悪性症候群が起こりやすい。

  1. 9.1.5自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患者

症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.6糖尿病又はその既往歴のある患者、あるいは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者

血糖値が上昇することがある。

  1. 9.1.7不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者

肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。

9.2 腎機能障害患者

腎障害モデル動物(ラット)で本剤の血中濃度の増大が認められている。

9.3 肝機能障害患者

肝障害モデル動物(ラット)で本剤の血中濃度の増大が認められている。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁移行が認められている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

少量(1回4mg)から投与を開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。高齢者では錐体外路症状等の副作用があらわれやすく、また、一般に生理機能が低下している。動物実験(ラット)で老齢動物、肝障害及び腎障害モデル動物において血清中濃度の増大等が認められている。

相互作用

  • 本剤は、主としてCYP3A4によって代謝される。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
アドレナリン
(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
• ボスミン
アドレナリンの作用を逆転させ、血圧降下を起こすことがある。 アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用により、β受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
アドレナリン含有歯科麻酔剤
• リドカイン・アドレナリン
血圧降下を起こすことがある。 アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用により、β受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。
中枢神経抑制剤
• バルビツール酸誘導体等
相互に中枢神経抑制作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 ともに中枢神経抑制作用を有する。
ドパミン作動薬
• レボドパ製剤
ブロモクリプチン
相互に作用が減弱することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 本剤はドパミン受容体遮断作用を有する。
降圧剤 相互に降圧作用を増強する可能性があるので、減量するなど慎重に投与すること。 ともに降圧作用を有する。
ドンペリドン
メトクロプラミド
内分泌機能調節異常又は錐体外路症状が発現しやすくなることがある。 ともにドパミン受容体遮断作用を有する。
アルコール(飲酒) 相互に中枢神経抑制作用を増強することがある。 ともに中枢神経抑制作用を有する。
H2受容体遮断薬
• シメチジン等
相互に胃液分泌抑制作用を増強する可能性があるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。 ともに胃液分泌抑制作用を有する。
CYP3A4の選択的阻害剤
• マクロライド系抗生物質等
本剤による副作用が強くあらわれる可能性があるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。 本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する可能性がある。
CYP3A4によって代謝される薬剤
• シサプリド
トリアゾラム 等
CYP3A4によって代謝される薬剤及び本剤による副作用が強くあらわれる可能性があるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。 本剤とこれら併用薬剤の代謝酵素が同じ(CYP3A4)であるため、代謝を競合的に阻害する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP 1%未満
ALT上昇 1〜5%未満
AST 1〜5%未満
CK上昇 5%以上
LDH上昇 頻度不明
γ-GTP上昇 1%未満
アカシジア(静坐不能)(25.4%) 5%以上
うつ状態 1〜5%未満
ジスキネジア(口周部・四肢等の不随意運動 5%以上
ジストニア(斜頚 1〜5%未満
しびれ感 1%未満
パーキンソン症候群(振戦 5%以上
プロラクチン上昇 5%以上
ヘマトクリット増加 1%未満
ヘマトクリット減少 1%未満
ヘモグロビン増加 1%未満
ヘモグロビン減少 1%未満
ほてり(顔面紅潮) 1%未満
めまい・ふらつき 5%以上
下痢 1%未満
不眠(22.8%) 5%以上
乳汁分泌 頻度不明
仮面様顔貌 5%以上
体重増加 1%未満
便秘 5%以上
口渇 5%以上
喀痰 1%未満
嚥下障害等)(13.1%) 5%以上
多飲症 1%未満
妄想 頻度不明
寡黙寡動 5%以上
射精障害 1%未満
尿ウロビリノーゲン 1%未満
尿糖 1%未満
尿蛋白 1〜5%未満
幻覚 頻度不明
徐脈 1%未満
心室性期外収縮 1%未満
心悸亢進 1〜5%未満
思考異常 頻度不明
悪心・嘔吐 5%以上
排尿障害 1〜5%未満
月経異常 1〜5%未満
構音障害 5%以上
歩行障害等)(25.6%) 5%以上
気分不快感 1%未満
水中毒 1%未満
流涎 5%以上
無力感 1〜5%未満
焦燥・不安 5%以上
痙攣発作 頻度不明
発汗 1〜5%未満
発熱 1%未満
発疹 1%未満
白血球分類異常 1%未満
白血球増加 1%未満
白血球減少 1%未満
眠気(14.5%) 5%以上
眼のかすみ 1%未満
眼球上転発作等) 1〜5%未満
眼瞼下垂 1%未満
筋強剛 5%以上
精神病症状の増悪 頻度不明
紅斑 1%未満
総コレステロール上昇 1%未満
総コレステロール低下 1%未満
総蛋白低下 1%未満
胸内苦悶感 1〜5%未満
脱力倦怠感 5%以上
腹痛 1%未満
腹部不快感 1%未満
自殺企図 頻度不明
興奮・易刺激性 1〜5%未満
血圧上昇 1%未満
血圧低下 1〜5%未満
血小板減少 1%未満
血清クロール低下 1%未満
血清ナトリウム低下 1%未満
血糖上昇 頻度不明
衝動行為 頻度不明
視力障害 1%未満
角膜びらん 1%未満
赤血球増加 1%未満
赤血球減少 1%未満
躁状態 頻度不明
過度鎮静 5%以上
頭部異常感 1%未満
頭重・頭痛 1〜5%未満
頭鳴 1%未満
頻尿 1%未満
頻脈 1%未満
食欲亢進 1〜5%未満
食欲減退 5%以上
鼻閉 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

脳内においてドパミンD2受容体及びセロトニン5-HT2受容体に高い結合活性を示し、拮抗的に作用する。D2受容体拮抗作用を介して統合失調症の陽性症状を改善し、5-HT2 受容体拮抗作用を介して統合失調症の陰性症状を改善すると考えられている。ラット脳内でのドパミン代謝回転又はFos蛋白発現を指標とした作用機序の検討から、錐体外路症状との関連が深いとされている線条体に対する作用選択性がハロペリドールに比べ弱いことが示唆された20),21)。

18.2 ドパミンD2受容体拮抗作用

ラット及びマウスでのメタンフェタミン又はアポモルヒネによる興奮や常同行動等の行動変化並びにラットでの条件回避反応を抑制し、これらの効力はハロペリドールの約1/3~1/5であった22),23)。

18.3 セロトニン5-HT2受容体拮抗作用

ラットでのトリプタミン又はp-クロロアンフェタミンによる前肢けいれんや体温上昇等の行動変化を抑制し、その効力はハロペリドールに比べ10倍以上強力であった22),23)。

18.4 恐怖条件付け誘発すくみ行動抑制作用

ラットでの恐怖条件付けすくみ行動試験(情緒障害モデル)で心理ストレスによるすくみ行動(無動症状)の発現を抑制した24)。

18.5 その他の作用(カタレプシー誘発作用、ブラジキネジア誘発作用)

ラット及びマウスでのカタレプシー誘発作用、マウスでのブラジキネジア(寡動)誘発作用はハロペリドールの1/10以下であった22),25)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人にペロスピロン1、2、4及び8mg注)を各2例に単回経口投与したとき、血清中ペロスピロン濃度の最高値は投与後0.5~4時間に認められ、その濃度(Cmax)は投与量に対応して上昇した1)。 健康成人に8mgを単回経口投与したとき、血清中ペロスピロン濃度のCmaxは2.2~5.7ng/mL、Tmaxは1.4~2.3hr、AUCは10.1~15.7ng・hr/mLであり、消失は二相性を示し、投与後6時間前後まではT1/2α 1~3時間、それ以降はT1/2β 5~8時間であった2)。

  1. 16.1.2反復投与

健康成人6例に1日1回4mgを3日間反復経口投与したとき、血清中ペロスピロンのCmax及びAUCは投与1日目と3日目で大差なく、反復投与により、上昇や低下あるいは生物学的半減期の変化はないと考えられた1)。 後期第Ⅱ相試験で患者に1回4~32mg、1日用量として12~96mg注)を4週間あるいは8週間反復投与したとき、血清中ペロスピロンの濃度を同投与量で比較すると投与開始後4週目と8週目で大差なく、また、血清中ペロスピロン濃度の平均値は用量依存的に上昇する傾向を示した。第Ⅰ相臨床試験における健康成人の反復投与で示唆されたように、患者での長期投与においても蓄積性を示唆する血中濃度の変動はないと考えられた3)。

  1. 16.1.3生物学的同等性試験

ペロスピロン塩酸塩錠8mg「アメル」とルーラン錠8mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ペロスピロン塩酸塩として8mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、判定パラメータの対数値の平均値の差がlog(0.90)~log(1.11)で、かつ、溶出試験で規定するすべての条件で溶出挙動が類似していたことから、両剤の生物学的同等性が確認された4)。 (注)本剤の承認された用法は、食後投与である。

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC(0→24)
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
ペロスピロン塩酸塩錠8mg「アメル」 7.194±6.257 3.534±2.281 0.828±0.468 5.845±1.297
ルーラン錠8mg 7.351±9.952 4.321±4.509 0.750±0.372 6.517±2.143

(Mean±S.D.,n=29)

血漿中未変化体濃度(生物学的同等性)

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人12例に1回2mg注)を経口投与したとき、食後投与におけるCmax及びAUCはそれぞれ絶食下投与の1.6倍及び2.4倍となった5)。

  1. 16.2.2吸収率

動物に14C標識ペロスピロンを経口投与した時と静脈内投与した時の尿中排泄率の比から推定した吸収率は、ラットでは約80%、サルでは約90%であり、いずれの動物においても消化管からの吸収は良好であると考えられた6),7),8),9)。

16.3 分布

動物に14C標識ペロスピロンを経口投与したとき、投与放射能は速やかに組織に分布し、ほとんどの組織で血清中よりも高い濃度を示した(ラット、サル)10)。

16.4 代謝

各種動物で同定あるいは推定された12種の代謝物(1,2-シクロヘキサンジカルボキシイミドの水酸化体、ブチレン鎖とピペラジンのN-脱アルキルによる開裂体、イソチアゾール環のS-酸化体等)11)及びペロスピロンについて検討した結果、10種の代謝物がヒトにおいても血清及び尿中に認められた12)。 血清中ペロスピロン濃度がCmaxを示す投与後1時間の血清中で、最も濃度が高い代謝物は1-水酸化ペロスピロンで、ペロスピロンの約3倍の濃度であり、また、投与後4時間までの尿には、1-水酸化ペロスピロンが最も多く排泄された12)。

16.5 排泄

健康成人に4mg及び8mgを単回経口投与(各6例)後24時間までにペロスピロンは投与量の約0.3%が未変化体として尿中に排泄された。1~8mg投与注)(各2例)において、ペロスピロンの尿中排泄率に投与量による変動は認められなかった1)。 健康成人に1日1回、4mgを3日間反復経口投与したとき注)、投与1、2及び3日目の投与後24時間までの尿中排泄率は大差なく、ペロスピロン反復投与による排泄の変動はないと考えられた1)。 また、動物に14C標識ペロスピロンを経口投与したとき、投与放射能は、ラットでは尿中に22%、糞中に74%、胆汁中に約40%が排泄され、サルでは尿中に40%、糞中に46%が排泄された6),8),13)。

16.7 薬物相互作用

CYP3A4の特異的阻害剤であるケトコナゾールにより、ペロスピロンのヒト肝ミクロソームにおける代謝が強く阻害された14)(in vitro)。 注)本剤の承認用量は「通常、ペロスピロン塩酸塩として成人1回4mg1日3回より始め、徐々に増量する。維持量として1日12~48mgを3回に分けて食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。但し、1日量は48mgを超えないこと。」である。

16.8 その他

ペロスピロン塩酸塩錠4mg「アメル」及びペロスピロン塩酸塩錠16mg「アメル」について、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン(平成18年11月24日 薬食審査発第1124004号)」に基づき、ペロスピロン塩酸塩錠8mg「アメル」を標準製剤としたとき、溶出挙動が同等と判断され、生物学的に同等とみなされた15)。