Clinical snapshot

ベージニオ錠100mg

アベマシクリブ錠

添付文書改訂 2021年12月01日

【警告】

  1. 1.1*本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

  2. 1.2*本剤投与開始前に、胸部CT等の検査及び問診を実施し、間質性肺疾患の合併又は既往歴の有無を確認した上で、投与の可否を慎重に判断すること。,

  3. 1.3*間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った症例も報告されているので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認、動脈血酸素飽和度(SpO2)の検査及び胸部X線検査の実施等、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には、速やかに本剤を休薬し、呼吸器疾患に精通した医師と連携の上、胸部CT等の検査を実施するとともに、適切な処置を行うこと。本剤による間質性肺疾患と診断された場合は、本剤の投与を中止すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  • 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • *〇ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌

  • *〇ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法

用法・用量

*内分泌療法剤との併用において、通常、成人にはアベマシクリブとして1回150mgを1日2回経口投与する。ただし、術後薬物療法の場合には、投与期間は24ヵ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1肝機能障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

  2. 8.2*間質性肺疾患があらわれることがあるので、以下の点に注意すること。

  3. 8.2.1 投与開始前に、胸部CT等の検査及び問診を実施し、間質性肺疾患の合併又は既往歴がないことを確認した上で、投与の可否を慎重に判断すること。また、患者に副作用について説明するとともに、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)が発現した場合には、本剤を休薬し、速やかに医療機関を受診するよう説明すること。

  4. 8.2.2 投与中は、初期症状の確認、動脈血酸素飽和度(SpO2)の検査及び胸部X線検査の実施等、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には、呼吸器疾患の診断に精通した医師と連携の上、胸部CT等の検査を実施すること。

  5. 8.3 骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1*間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者

間質性肺疾患が増悪するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝機能障害のある患者

減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇するとの報告がある。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後一定期間は、適切な避妊法を用いるよう指導すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットを用いた胚・胎児発生毒性試験において、臨床曝露量に相当する用量から催奇形性(大動脈弓欠損、肋骨の欠損等)が認められている。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。本剤のヒト乳汁中への移行については不明であるが、本剤及び活性代謝物であるN-脱エチル体(M2)はBCRPの基質であるため、乳汁移行の可能性がある。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

相互作用

  • 本剤は、主にCYP3Aにより代謝される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
CYP3A阻害剤
• イトラコナゾール
• クラリスロマイシン
• ジルチアゼム
• ベラパミル等
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。 これらの薬剤等がCYP3Aの代謝活性を阻害するため、本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
グレープフルーツ
グレープフルーツジュース
本剤服用時は飲食を避けること。 これらの薬剤等がCYP3Aの代謝活性を阻害するため、本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
CYP3A誘導剤
• リファンピシン
• フェニトイン
• カルバマゼピン等
本剤の血中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない薬剤への代替を考慮すること。 これらの薬剤がCYP3Aの代謝酵素を誘導するため、本剤の血中濃度を低下させる可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
γ-GTP増加 頻度不明
インフルエンザ様疾患 頻度不明
うつ病 頻度不明
ざ瘡様皮膚炎 頻度不明
そう痒症 頻度不明
ほてり 頻度不明
上咽頭炎 頻度不明
上気道感染 頻度不明
下痢 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低カルシウム血症 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
副鼻腔炎 頻度不明
口内炎 頻度不明
味覚異常 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
咽頭炎 頻度不明
嘔吐 頻度不明
四肢痛 頻度不明
尿路感染 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 頻度不明
敗血症 頻度不明
末梢性浮腫 頻度不明
流涙増加 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
消化不良 頻度不明
爪の障害 頻度不明
疲労 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
皮膚乾燥 頻度不明
眼乾燥 頻度不明
筋力低下 頻度不明
結膜炎 頻度不明
肺感染 頻度不明
胃炎 頻度不明
脱毛症 頻度不明
脱水 頻度不明
腹痛 頻度不明
膣感染 頻度不明
血中クレアチニン増加 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲減退 頻度不明
高カリウム血症 頻度不明
高血圧 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

アベマシクリブはCDK4及び6に対する阻害作用を有する低分子化合物であり、CDK4/6とサイクリンDの複合体の活性を阻害し、retinoblastoma(Rb)タンパクのリン酸化を阻害することにより、細胞周期の進行を停止し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられる17),18)。

18.2 抗腫瘍作用

ヒト乳癌由来ZR-75-1、MCF-7、T47-D及びMDA-MB-453細胞株並びにヒト乳癌患者由来ST941/HI腫瘍組織片を皮下移植したマウスにおいて、アベマシクリブは腫瘍増殖抑制作用を示した。また、T47-D細胞株及びST941/HI腫瘍組織片を皮下移植したマウスにおいて、アベマシクリブと内分泌療法剤(フルベストラント又は4-ヒドロキシタモキシフェン)との併用により、腫瘍増殖抑制作用の増強が認められた。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

日本人進行癌患者12例に本剤100、150及び200mg注10)を単回経口投与したときの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった1)。

図1)本剤100、150及び200mg注10)を単回経口投与したときの血漿中濃度推移(平均値)

100mg注10) 150mg 200mg注10)
例数 3 3 6
Cmax
(ng/mL)
127
(51)
167
(40)
214
(87)
tmax注4)(hr) 5.93
(5.92-7.98)
5.95
(3.95-6.05)
4.97
(3.95-5.95)
AUC0-∞
(ng・hr/mL)
6970,6450注5) 4450
(39)
5480
(95)
CL/F
(L/hr)
14.3,15.5注5) 33.7
(39)
36.5
(95)
VSS/F
(L)
637,577注5) 1120
(41)
947
(90)
t1/2注6)(hr) 27.5,24.1注5) 21.9
(19.3-24.6)
16.3
(14.2-22.6)

注4)中央値(範囲)

注5)個別値(例数=2)

注6)幾何平均値(範囲)

  1. 16.1.2反復投与

進行癌患者116例に本剤100、150及び200mg注10)を1日2回反復経口投与したときの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。血漿中濃度は反復投与後5日に定常状態に到達した2)(外国人データ)。

図2)本剤100、150及び200mg注10)を1日2回反復経口投与後(第1サイクル第28日目)の血漿中濃度推移(平均値)

100mg注10)1日2回 150mg 1日2回 200mg注10)1日2回
例数 7 64 45
Cmax,ss
(ng/mL)
240
(52)
251
(89)
305
(77)
tmax,ss注7)(hr) 4.00
(2.00-6.03)
3.97
(0.00-10.15)
4.08
(0.00-10.00)
AUCτ,ss
(ng・hr/mL)
2400
(54)
2380注8)
(95)
3120注9)
(72)

注7)中央値(範囲)

注8)例数=63

注9)例数=43

τ:投与間隔(12時間)

16.2 吸収

  1. 16.2.1絶対的バイオアベイラビリティ

健康成人8例に本剤200mg注10)を単回経口投与後、[13C8]-アベマシクリブ0.4mgを単回静脈内投与したときのアベマシクリブの絶対的バイオアベイラビリティは45%(90%信頼区間:40~51%)であった3)(外国人データ)。

  1. 16.2.2食事の影響

健康成人24例に本剤150mgを食後投与したとき、空腹時投与と比較して、アベマシクリブのAUC0-∞及びCmaxの最小二乗幾何平均値はそれぞれ13%及び30%増加し、tmaxの中央値は同程度であった4)(外国人データ)。

16.3 分布

アベマシクリブのヒト血漿蛋白結合率は高く(平均値:約96~98%)、152~5066ng/mLまでの濃度範囲では濃度依存性は見られなかった。アベマシクリブは、血清アルブミン及びα1-酸性糖蛋白質と結合する(in vitro)5)。

アベマシクリブと同程度の活性を有する主要代謝物であるM2、水酸化N-脱エチル体(M18)及び水酸化体(M20)のヒト血漿蛋白結合率も高く、約89~94%であった。

16.4 代謝

アベマシクリブは主としてCYP3Aにより代謝され、主な代謝経路は、代謝物M2を産生する経路である。その他の代謝物として、M20、M18及び酸化体(M1)が認められた(in vitro)。健康成人6例に[14C]-アベマシクリブ150mgを単回経口投与後のAUCに基づくアベマシクリブ及び活性代謝物の血漿中での存在量は、アベマシクリブ(34%)、M2(13%)、M18(5%)及びM20(26%)であった6),7)(外国人データ)。

16.5 排泄

アベマシクリブは主に肝代謝により消失する。健康成人6例に[14C]-アベマシクリブ150mgを単回経口投与後336時間までに、投与量の約81%が糞便中に排泄され、約3.4%が尿中に排泄された。糞便中に検出された放射能のほとんどは代謝物であった7)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害患者

重度の肝機能障害を有する被験者6例に本剤200mg注10)を単回経口投与したとき、正常な肝機能を有する被験者10例と比較して、総活性物質(アベマシクリブ、M2、M18及びM20の合算)の非結合型の曝露量(AUC)が2.69倍増加し、アベマシクリブの消失半減期は24時間から55時間へ延長した。一方、軽度又は中等度の肝機能障害を有する被験者9例及び10例での曝露量は正常な肝機能を有する被験者と同程度であった8)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1クラリスロマイシン

進行又は転移性癌患者26例にクラリスロマイシン(500mg 1日2回反復)投与後、本剤50mg注10)を単回経口投与したとき、アベマシクリブのAUC0-∞は非併用例と比較して約3.4倍増加し、総活性物質のAUC0-∞は2.2倍増加した9)(外国人データ)。

  1. 16.7.2リファンピシン

健康成人24例にリファンピシン(600mg 1日1回反復)投与後、本剤200mg注10)を単回経口投与したとき、総活性物質のAUC0-∞及びCmaxは非併用例と比較してそれぞれ約77%及び約45%減少した10)(外国人データ)。

  1. 16.7.3その他
  • (1)トランスポーター

アベマシクリブはP-gp及びBCRPを阻害する(in vitro)6)。

  • (2)メトホルミン

健康成人36例に本剤400mg注10)を単回経口投与後、メトホルミン(腎トランスポーターOCT2、MATE1及びMATE2-Kの基質)1000mgを単回経口投与したとき、メトホルミンのAUC0-∞は非併用例と比較して37%増加した11)(外国人データ)。

注10)本剤の承認された用量は1回150mgである。