慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
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2.2可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬(リオシグアト)を投与中の患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはベルイシグアトとして、1回2.5mgを1日1回食後経口投与から開始し、2週間間隔で1回投与量を5mg及び10mgに段階的に増量する。なお、血圧等患者の状態に応じて適宜減量する。
使用上の注意
-
8.1本剤は血管を拡張し血圧を低下させる作用を有しており、症候性低血圧があらわれるおそれがある。血液量減少、重度の左室流出路閉塞、安静時低血圧、自律神経機能障害、低血圧の既往のある患者や、降圧剤、利尿剤、硝酸剤等の降圧作用を有する薬剤を投与中の患者では、血圧等患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。
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8.2めまいがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1投与前の収縮期血圧が100mmHg未満又は症候性低血圧の患者
患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。過度の血圧低下が起こるおそれがある。臨床試験では除外されている。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1eGFR15mL/min/1.73m2未満の腎機能障害患者又は透析中の患者
本剤投与の可否を慎重に判断し、投与する場合には患者の状態を十分に観察すること。本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。臨床試験では除外されている。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1重度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類C)
本剤投与の可否を慎重に判断し、投与する場合には患者の状態を十分に観察すること。本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。臨床試験では除外されている。
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性は本剤の投与中及び投与終了後一定期間は確実な避妊法を用いること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。ウサギにおける流産及び全胚吸収がヒトの6倍以上の全身曝露量で、ラットにおける出生児の死亡率の増加及び体重増加抑制がそれぞれヒトの49倍及び21倍以上の全身曝露量で発現することが報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトにおける乳汁中移行性については不明である。動物実験(ラット、静脈内投与)で乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
相互作用
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| 可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬 • リオシグアト(アデムパス) |
症候性低血圧を起こすおそれがある。 | 細胞内cGMP濃度が増加し、降圧作用を増強するおそれがある。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| PDE5阻害剤 • シルデナフィルクエン酸塩等 |
症候性低血圧を起こすおそれがある。治療上の有益性と危険性を十分に考慮し、治療上やむを得ないと判断された場合にのみ併用すること。 | 細胞内cGMP濃度が増加し、降圧作用を増強するおそれがある。 |
| 硝酸剤及びNO供与剤 • ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等 |
症候性低血圧を起こすおそれがある。血圧等患者の状態を継続的に観察しながら慎重に投与すること。 | 細胞内cGMP濃度が増加し、降圧作用を増強するおそれがある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| 嘔吐 | 1%未満 |
| 悪心 | 1%未満 |
| 浮動性めまい | 頻度不明 |
| 消化不良 | 1%未満 |
| 胃食道逆流性疾患 | 1%未満 |
| 貧血 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 1%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
本剤は、心筋収縮力、血管緊張、心臓リモデリング等の生理機能の調節に関わる環状グアノシン一リン酸(cGMP)を生成する可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)を、一酸化窒素(NO)非依存的に、またNOを介して刺激し、cGMPの生成を促進する。
18.2 血行動態に及ぼす作用
本剤は、麻酔下のラットにおいて、平均動脈圧を低下させ、心拍数を反射性に増加させた。また、麻酔下のイヌにおいて、平均動脈圧、肺動脈圧及び全身血管抵抗を低下させ、心拍数を反射性に増加させた。
18.3 心不全モデルにおける作用
NG-nitro-L-arginine methyl ester(L-NAME)投与レニントランスジェニックラット(試験開始時8週齢)1),2)において、本剤3週間経口投与で心臓の相対重量が低下し、死亡率も減少した。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
健康成人男性36例を対象として本剤1.25、5、7.5又は10mgを空腹時単回経口投与したとき、血漿中未変化体濃度は投与1.0~2.5時間後に最高血漿中濃度に達した後、17.9~22.3時間の半減期で低下した。
| 1.25mg (n=9) |
5mg (n=9) |
7.5mg (n=9) |
10mg (n=9) |
|
|---|---|---|---|---|
| AUC (μg・h/L) |
1190/17.5 | 4140/21.1 | 5140/38.6 | 7410/30.5 |
| Cmax (μg/L) |
61.8/28.5 | 236/28.9 | 324/39.6 | 365/37.1 |
| tmax※ (h) |
1.0 (0.75-3.0) |
1.0 (0.75-4.0) |
1.0 (0.5-2.5) |
2.5 (0.75-4.0) |
| t1/2 (h) |
22.3/18.2 | 21.1/31.0 | 17.9/17.9 | 18.3/20.1 |
幾何平均値/幾何CV% ※:中央値(範囲)
- 16.1.2反復投与
健康成人男性35例を対象として本剤1.25、5、7.5又は10mgを1日1回7日間空腹時反復経口投与したとき、単回投与時と比較して本剤の薬物動態特性に大きな変化はなく、時間依存性はみられなかった。最終投与時のAUC(0-24)は単回投与時の1.4~1.7倍であった。
| 1.25mg (n=9) |
5mg (n=8) |
7.5mg (n=9) |
10mg (n=9) |
|
|---|---|---|---|---|
| AUC(0-24)ss (μg・h/L) |
1170/14.5 | 3670/23.4 | 4810/27.6 | 6170/29.9 |
| Cmax,ss (μg/L) |
89.2/18.6 | 289/25.1 | 407/24.2 | 472/30.6 |
| tmax※ (h) |
1.0 (0.75-2.5) |
1.75 (0.75-4.0) |
2.5 (0.75-2.5) |
2.5 (0.75-2.5) |
| t1/2 (h) |
27.0/23.6 | 23.5/30.6 | 22.1/15.9 | 20.7/25.2 |
幾何平均値/幾何CV% ※:中央値(範囲)
16.2 吸収
- 16.2.1バイオアベイラビリティ
本剤の食後投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは93%であった(外国人データ)。
- 16.2.2食事の影響
本剤を高脂肪・高カロリー食摂取後に単回経口投与したところ、tmax(中央値)は空腹時投与時の投与後1時間から4時間に延長し、薬物動態パラメータの個体間変動の程度は減少した。空腹時投与時と比較して、本剤5mg(5mg錠1錠)食後投与時のAUCは19%、Cmaxは9%上昇し、本剤10mg(10mg錠1錠)食後投与時のAUCは44%、Cmaxは41%上昇した。低脂肪・高炭水化物食摂取後投与時にも同様の食事の影響がみられた(外国人データ)。
16.3 分布
- 16.3.1分布容積
本剤の静脈内投与したときの定常状態における分布容積は約44Lであった(外国人データ)。
- 16.3.2タンパク結合率
本剤のヒト血漿タンパク結合率は約98%で、主にアルブミンと結合した(in vitro)。
16.4 代謝
本剤の主代謝経路はN-グルクロン酸抱合体(代謝物M-1)へのグルクロン酸抱合である。主代謝酵素はUGT1A9及びUGT1A1である。CYPによる酸化代謝は本剤の主代謝経路ではない(in vitro、in vivo)。
16.5 排泄
健康成人男性10例を対象として本剤を静脈内投与したときの全身クリアランスは約1.6L/hであった。健康成人男性6例を対象として[14C]ベルイシグアトを空腹時単回経口投与したとき、投与された総放射能の53%が尿中に、45%が糞中に排泄された。また、未変化体は投与された総放射能の9%が尿中に、43%が糞中に排泄され、代謝物M-1は投与された総放射能の41%が尿中に排泄され、糞中には排泄されなかった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者
中等度(eGFR 30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満、14例)又は重度(eGFR 30mL/min/1.73m2未満、8例)の腎機能障害患者に本剤2.5mgを食後に単回経口投与したとき、本剤の非結合型AUCは健康成人(8例)と比較してそれぞれ76%及び128%高かった(外国人データ)。
- 16.6.2肝機能障害患者
軽度(Child-Pugh分類A、9例)及び中等度(Child-Pugh分類B、9例)の肝機能障害を有する患者における本剤の非結合型AUCは健康成人(9例)と比較して8%及び41%高かった(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1オメプラゾール/制酸剤
健康成人10例を対象としてオメプラゾール40mgを1日1回4日間前投与した翌日に本剤5mgを空腹時注1)併用投与したとき、本剤5mgを単独投与したときと比較して、本剤のAUC及びCmaxは32%及び50%低下した。水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム懸濁剤10mLと本剤5mgを空腹時注1)併用投与したときには、本剤単独投与時と比較して、本剤のAUC及びCmaxは27%及び46%低下した(外国人データ)。
- 16.7.2シルデナフィル
健康成人16例を対象として本剤10mgを1日1回反復投与した定常状態下においてシルデナフィル25、50及び100mgを併用投与したときのシルデナフィルのAUC(0-22)及びCmaxは、プラセボとシルデナフィルを併用投与した健康成人16例と比較して13~22%及び14~20%高かった。シルデナフィル100mgとの併用投与時の本剤のAUC(0-24)及びCmaxは本剤単独投与時と比較して0.7%及び3%低下した。本剤とシルデナフィルを併用投与した被験者では、プラセボとシルデナフィルを併用した被験者と比較して、5.4mmHgの血圧低下が認められた(外国人データ)。
- 16.7.3サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物
健康成人15例を対象としてサクビトリル/バルサルタン97/103mgを1日2回反復投与した定常状態下において本剤2.5mgを単回併用投与したとき、本剤2.5mgを単独単回投与したときと比較して、本剤のAUC(0-24)及びCmaxは7%及び9%低下した。サクビトリル/バルサルタン97/103mgを1日2回単独反復投与したときと比較して、本剤2.5mg(1日1回)と反復併用投与したときには、バルサルタンのAUC(0-12)及びCmaxは12%及び13%、サクビトリルのAUC(0-12)及びCmaxは8%及び18%、サクビトリルの活性代謝物LBQ657のAUC(0-12)及びCmaxは1%及び2%上昇した。座位血圧に本剤併用投与による影響は認められなかった(外国人データ)。
- 16.7.4硝酸剤
冠動脈疾患患者を対象として本剤を10mgまでの用量で1日1回反復投与した定常状態下において、短時間及び長時間作用型ニトログリセリン(速効性ニトログリセリンエアゾール製剤0.4mg及び一硝酸イソソルビド60mg)を併用投与したとき、これらの硝酸剤を単独投与したときと比較して、臨床的に意味のある血圧の変化はみられなかった。心不全患者での本剤と長時間作用型硝酸薬の併用経験は限定的である(外国人データ)。
- 16.7.5ジゴキシン
健康成人25例を対象として本剤10mgとジゴキシン0.375mgを1日1回反復併用投与したときの定常状態におけるジゴキシンのAUCτ,mdは、ジゴキシン0.375mgを単独で1日1回反復投与したときと比較して4%上昇した。ジゴキシン0.375mgを1日1回反復投与したときの定常状態下において本剤10mgを単回投与したとき、本剤10mgを単独で単回投与したときと比較して、本剤のAUCは2%低下しCmaxは1%上昇した(外国人データ)。
- 16.7.6アスピリン
健康成人14例を対象としてアスピリン500mgを投与した翌日に本剤15mg注1)を併用投与したときの本剤のAUC及びCmaxは、本剤15mg注1)を単独投与したときと比較して、それぞれ5%及び7%低下した。本剤は出血時間及び抗凝固作用に影響せず、アスピリン投与時と本剤併用投与時の出血時間及び抗凝固作用にも変化はみられなかった(外国人データ)。
- 16.7.7ワルファリン
健康成人23例を対象として本剤10mgを1日1回反復投与した定常状態においてワルファリン25mgを併用投与したときのPT、第Ⅶ、第Ⅱ及び第Ⅹ因子のAUC(0-96)は、ワルファリン25mgをプラセボと併用投与したときの97.4~100.4%であった。薬物動態にも相互作用はみられなかった(外国人データ)。
注1)本剤の承認用法及び用量は、「1回2.5mgを1日1回食後経口投与から開始し、2週間間隔で1回投与量を5mg及び10mgに段階的に増量する。なお、血圧等患者の状態に応じて適宜減量する。」である。