Clinical snapshot

ベラプロストNa錠20μg「NIG」

ベラプロストナトリウム錠

添付文書改訂 2026年02月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1出血している患者(血友病、毛細血管脆弱症、上部消化管出血、尿路出血、喀血、眼底出血等)[出血を増大するおそれがある。]

  2. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

  • 慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善

  • 原発性肺高血圧症

用法・用量

  • 〈慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善〉

通常、成人には、ベラプロストナトリウムとして1日120μgを3回に分けて食後に経口投与する。

  • 〈原発性肺高血圧症〉

通常、成人には、ベラプロストナトリウムとして1日60μgを3回に分けて食後に経口投与することから開始し、症状(副作用)を十分観察しながら漸次増量する。増量する場合には、投与回数を1日3~4回とし、最高用量を1日180μgとする。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。
  • 〈原発性肺高血圧症〉
  1. 8.2本剤の有効成分は「ケアロードLA錠60μg」、「ベラサスLA錠60μg」と同一であるが、用法・用量が異なることに注意すること。

  2. 8.3「ケアロードLA錠60μg」、「ベラサスLA錠60μg」から本剤へ切り替える場合には、「ケアロードLA錠60μg」、「ベラサスLA錠60μg」の最終投与時から12時間以上が経過した後に、本剤をベラプロストナトリウムとして原則1日60μgを3回に分けて食後に経口投与することから開始すること。また、「ケアロードLA錠60μg」、「ベラサスLA錠60μg」と同用量の本剤に切り替えると、過量投与になるおそれがあるため注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1月経期間中の患者

出血傾向を助長するおそれがある。

  1. 9.1.2出血傾向並びにその素因のある患者

出血傾向を助長するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1高度の腎機能障害(血清クレアチニン2.5mg/dL以上)のある患者

曝露量(AUC)が増加するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。

9.8 高齢者

一般に生理機能が低下している。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 抗凝血剤• ワルファリン

• 抗血小板剤• アスピリン
チクロピジン

• 血栓溶解剤• ウロキナーゼ
出血傾向を助長することがある。 相互に作用を増強することがある。
• プロスタグランジンI2製剤• エポプロステノール
ベラプロスト注1)
• エンドセリン受容体拮抗剤• ボセンタン
血圧低下を助長するおそれがあるので、血圧を十分に観察すること。 相互に作用を増強することが考えられる。

注1)同一有効成分を含有する「ケアロードLA錠60μg」、「ベラサスLA錠60μg」等との併用に注意すること。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 1%未満
ALT上昇 1〜5%未満
AST上昇 1〜5%未満
BUN上昇 1〜5%未満
LDH上昇 1〜5%未満
γ-GTP上昇 1〜5%未満
しびれ感 頻度不明
そう痒 1%未満
トリグリセライド上昇 1〜5%未満
のぼせ 1〜5%未満
ビリルビン上昇 1%未満
ふらつき 1%未満
ほてり 1〜5%未満
めまい 頻度不明
もうろう状態 頻度不明
上腹部痛 頻度不明
下痢 1〜5%未満
不眠 頻度不明
倦怠感 1%未満
冷汗 1%未満
出血傾向 頻度不明
動悸 1%未満
口渇 1%未満
咳嗽 頻度不明
嘔吐 1%未満
嘔気 1〜5%未満
好酸球増多 頻度不明
息苦しさ 1%未満
振戦 頻度不明
気分不良 頻度不明
浮腫 頻度不明
浮遊感 頻度不明
湿疹 1%未満
潮紅 1%未満
熱感 頻度不明
疼痛 1%未満
発汗 1%未満
発熱 頻度不明
発疹 1%未満
白血球増多 1%未満
白血球減少 頻度不明
皮下出血 頻度不明
眠気 1%未満
立ちくらみ 頻度不明
筋痛 頻度不明
紅斑 頻度不明
耳鳴 1%未満
胃不快感 1%未満
胃潰瘍 頻度不明
胃障害 頻度不明
背部痛 頻度不明
胸やけ 頻度不明
胸痛 頻度不明
胸部不快感 頻度不明
脱力感 頻度不明
脱毛 頻度不明
腹痛 1〜5%未満
蕁麻疹 頻度不明
血圧低下 頻度不明
血小板減少 頻度不明
血尿 1%未満
貧血 1%未満
関節痛 1%未満
頭痛 5%以上
頸部痛 頻度不明
頻尿 頻度不明
頻脈 頻度不明
顎痛 頻度不明
顔面潮紅 5%以上
食欲不振 1〜5%未満
黄疸 頻度不明
鼻出血 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

プロスタサイクリンと同様に、ベラプロストナトリウムは血小板及び血管平滑筋のプロスタサイクリン受容体を介して、アデニレートシクラーゼを活性化し、細胞内cAMP濃度上昇、Ca2+流入抑制及びトロンボキサンA2生成抑制等により抗血小板作用、血管拡張作用等を示す11),12),13),14),15)。

18.2 抗血小板作用

  1. 18.2.1末梢循環障害患者及び健康成人への経口投与により血小板凝集能及び血小板粘着能を抑制する16),17)。

  2. 18.2.2凝集誘発物質によるヒト血小板凝集を抑制し、ヒト血小板凝集塊解離作用を有する11),18)(in vitro)。

18.3 血管拡張・血流増加作用

  1. 18.3.1健康成人への経口投与において皮膚血流量の増加が認められる19)。

  2. 18.3.2末梢循環障害患者への経口投与により、足背皮下における安静時組織酸素分圧の上昇と駆血回復時間の短縮20)並びにレーザードップラー法による皮膚血流量の増加が認められている19)。

  3. 18.3.3K+、PGF2αにより収縮させたイヌの大腿動脈、腸間膜動脈等、各種摘出動脈及びセロトニン、フェニレフリンにより収縮させたイヌの摘出肺動脈に対し、弛緩作用を示し21),22),23)(in vitro)、イヌの各種臓器血管の血流を増加させる12)。

18.4 血管平滑筋細胞増殖抑制作用

血小板由来増殖因子刺激によるヒト肺動脈血管平滑筋細胞の増殖を抑制する22)(in vitro)。

18.5 病態モデルに対する作用

  1. 18.5.1慢性動脈閉塞症モデル

ラウリン酸誘発ラット後肢循環障害、エルゴタミン-エピネフリン誘発ラット尾循環障害及び電気刺激誘発ウサギ動脈血栓において、虚血性病変の進展あるいは血栓形成を抑制する24)。

  1. 18.5.2血栓症モデル

ラット動脈血栓症及びラット静脈血栓症等に対し、血栓形成の抑制効果を認める13),25)。

  1. 18.5.3皮膚潰瘍モデル

ラット酢酸皮膚潰瘍に対し、治癒促進効果を示す26)。

  1. 18.5.4肺高血圧症モデル

モノクロタリン誘発ラット肺高血圧モデルにおいて、経口投与で右室収縮期圧の上昇及び肺血管中膜の筋性肥大を抑制する22),27)。トロンボキサンアゴニスト誘発イヌ肺高血圧モデルにおいて、静脈内投与で肺動脈圧及び肺血管抵抗を低下させる22)。塞栓誘発ラット肺高血圧モデルにおいて、右室収縮期圧上昇を抑制する22)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人にベラプロストナトリウム100μg注2)を経口単回投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった1)。

Cmax(pg/mL) Tmax(h) t1/2(h)
440 1.42 1.11

n=8

健康成人にベラプロストナトリウム40μgを食後経口単回投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった2)。

Cmax(pg/mL) Tmax(h) AUC0-6(pg・h/mL)
228.4±94.6 1.3±0.6 462±144

n=12、平均値±SD

なお、健康成人にベラプロストナトリウム徐放錠(120μg又は180μg)を食後経口単回投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった3)。

ベラプロスト
ナトリウム徐放錠
投与量
Cmax
(pg/mL)
Tmax
(h)
AUC0-48
(pg・h/mL)
MRT0-48
(h)
120μg(n=12) 178.5±74.3 3.2±1.0 1076±322 8.4±2.7
180μg(n=12) 264.5±112.9 3.9±1.1 1989±847 10.7±1.6

平均値±SD

  1. 16.1.2反復投与

健康成人にベラプロストナトリウム50μg注2)を1日3回10日間経口反復投与したときの最高血漿中未変化体濃度は0.3~0.5ng/mLであり、反復投与による蓄積性は認められなかった4)。

  1. 16.1.3生物学的同等性試験
  • 〈ベラプロストNa錠20μg「NIG」〉
  1. (1)ベラプロストNa錠20μg「NIG」とドルナー錠20μgを、クロスオーバー法によりそれぞれ2錠(ベラプロストナトリウムとして40μg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された5)。
投与量
(μg)
AUC0-4
(pg・hr/mL)
Cmax
(pg/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
ベラプロストNa錠20μg「NIG」 40 424.9±217.3 305.4±134.3 0.56±0.19 0.94±0.41
ドルナー錠20μg 40 372.9±135.7 290.7±136.6 0.57±0.26 1.17±0.96

(平均±標準偏差、n=27)

  • 血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

  • 〈ベラプロストNa錠40μg「NIG」〉

  1. (2)ベラプロストNa錠40μg「NIG」1錠とドルナー錠20μg2錠(ベラプロストナトリウムとしていずれも40μg)を、クロスオーバー法により健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された5)。
投与量
(μg)
AUC0-4
(pg・hr/mL)
Cmax
(pg/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
ベラプロストNa錠40μg「NIG」 40 532.6±207.2 435.7±179.0 0.48±0.22 0.97±0.51
ドルナー錠20μg 40 506.1±176.3 419.4±178.8 0.46±0.17 0.98±0.59

(平均±標準偏差、n=30)

  • 血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.3 分布

血清蛋白結合率は約90%であった6)(in vitro)。

16.4 代謝

ベラプロストナトリウムは、ヒトにおいて主にβ-酸化、15位水酸基の酸化及び13位二重結合の水素化、グルクロン酸抱合により代謝された7)。また、ベラプロストナトリウムは、CYP2C8によって添加量の約3%とわずかに代謝されたが、他のCYP分子種(1A2、2A6、2B6、2C9、2C19、2D6、2E1、3A4、4A11)では代謝されなかった8)(in vitro)。CYP分子種(1A2、2A6、2C8、2C9、2C19、2D6、3A4)のいずれに対しても阻害を認めず、また、CYP分子種(1A2、2C9、2C19、3A4)のいずれに対しても、その活性を誘導しなかった8)(in vitro)。

16.5 排泄

健康成人12人にベラプロストナトリウム50μg注2)を経口単回投与したときの24時間後までの尿中未変化体排泄量は2.8μgであり、β-酸化体は5.4μgであった。未変化体及びβ-酸化体は、グルクロン酸抱合体としても排泄される。なお、排泄量における遊離体の割合はそれぞれ14%、70%であった1)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

腎機能正常者、中等度腎機能障害患者及び高度腎機能障害患者を対象にベラプロストナトリウム40μgを食後経口単回投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであり、腎機能正常者と比較し、高度腎機能障害患者でAUC0-24が増加する傾向が認められた9)。

Cmax
(pg/mL)
Tmax
(h)
t1/2
(h)
AUC0-24
(pg・h/mL)
腎機能正常者
(Scr<1.3mg/dL)
141.28±76.98 2.77±1.50 1.46±0.30※ 404.15±185.75
中等度腎機能障害患者
(1.3≦Scr<2.5mg/dL)
132.33±85.70 2.02±0.85 1.27±0.62 308.18±117.71
高度腎機能障害患者
(Scr≧2.5mg/dL)
148.55±60.13 3.15±2.16 1.55±0.39※ 682.83±189.27

Scr:血清クレアチニン          n=8(※:n=7)、平均値±SD

注2)本剤の承認された用量は、慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善では1日120μg、原発性肺高血圧症では1日60~180μgである。