Clinical snapshot

ベスポンサ点滴静注用1mg

イノツズマブ オゾガマイシン(遺伝子組換え)

添付文書改訂 2024年03月01日

【警告】

  1. 1.1本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与を開始すること。

  2. 1.2静脈閉塞性肝疾患(VOD)/類洞閉塞症候群(SOS)を含む肝障害があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されているので、定期的に肝機能検査を行うとともに、患者の状態を十分に観察し、VOD/SOSを含む肝障害の徴候や症状の発現に注意すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病

用法・用量

*通常、イノツズマブ オゾガマイシン(遺伝子組換え)として1日目は0.8mg/m2(体表面積)、8及び15日目は0.5mg/m2(体表面積)を1日1回、1時間以上かけて点滴静脈内投与した後、休薬する。 成人には、1サイクル目は21~28日間、2サイクル目以降は28日間を1サイクルとし、投与を繰り返す。 小児には、1サイクル目は21~42日間、2サイクル目以降は28~42日間を1サイクルとし、投与を繰り返す。 投与サイクル数は造血幹細胞移植の施行予定を考慮して決定する。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1VOD/SOS等の重篤な肝障害があらわれることがあるので、本剤の投与前及び投与開始後は、定期的に肝機能検査を実施し、VOD/SOSを含む肝障害の徴候及び症状を十分に観察すること。本剤投与後に総ビリルビン値が施設基準値上限以上の場合は、HSCTの施行について慎重に判断すること。また、本剤投与後のHSCTにおいて、前処置として2種類のアルキル化剤は避け、HSCT施行後は頻回に肝機能検査を行うこと。

  2. 8.2骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

  3. 8.3QT間隔延長があらわれることがあるので、本剤投与前及び投与中は定期的に心電図検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

  4. 8.4腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査等を行うなど、腫瘍崩壊症候群の徴候及び症状を十分に観察すること。

  5. 8.5膵炎があらわれることがあるので、本剤投与前及び投与中は定期的な膵酵素に関する血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1HSCT施行歴のある患者

VOD/SOSの発現リスクが高くなるおそれがある。

  1. 9.1.2感染症を合併している患者

骨髄抑制により感染症が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.3末梢血芽球数が10,000/μLを超える患者

本剤による治療前に、ヒドロキシカルバミド、副腎皮質ステロイド、ビンクリスチン等を投与し、末梢血芽球数を10,000/μL以下にすることが望ましい。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1肝疾患のある又はVOD/SOSの既往歴のある患者

肝疾患が増悪する又はVOD/SOSの発現リスクが高くなるおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

妊娠可能な女性及びパートナーが妊娠する可能性のある男性は、本剤投与中及び最終投与後一定期間は、適切な避妊を行うよう指導すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(ラット)において、臨床曝露量の1.0倍の曝露量で胚・胎児毒性(胚・胎児の死亡、上腕骨肥厚、肩甲骨奇形及び尺骨奇形)が認められ、1.4倍の曝露量で胚吸収率の高値が認められている。また、マウスにおいて遺伝毒性が認められている1)。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。本剤又はその代謝物の母乳中への移行は不明である。なお、ヒトIgGは母乳中へ移行することが知られている。

9.7 小児等

*低出生体重児、新生児、乳児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を確認しながら慎重に投与すること。高齢者ではHSCT施行後のVOD/SOSの発現リスクが高くなるおそれがある。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
QT間隔延長 頻度不明
そう痒症 頻度不明
下痢 5%以上
不眠症 頻度不明
低アルブミン血症 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
便秘 頻度不明
口内炎 頻度不明
味覚異常 頻度不明
嘔吐 5%以上
四肢痛 頻度不明
悪心 5%以上
浮腫 頻度不明
無力症 頻度不明
疲労 5%以上
発熱 5%以上
発疹 頻度不明
腹水 頻度不明
腹痛 5%以上
頭痛 5%以上
食欲減退 5%以上
高尿酸血症 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は、CD22抗原を発現した白血病細胞に結合し細胞内に取り込まれた後に、加水分解を受けて生じたN-アセチル-γ-カリケアマイシン ジメチルヒドラジドのジスルフィド結合が還元的に開裂され活性体となり、DNA二本鎖を切断することにより腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられる15),16)。

18.2 抗腫瘍作用

  1. 18.2.1in vitro試験

CD22陽性の急性リンパ性白血病細胞由来Reh、RS4;11及びSUP-B15細胞株に対して増殖抑制作用を示した17)。

  1. 18.2.2in vivo試験

Reh細胞株を皮下移植したヌードマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した。また、Reh細胞株を静脈内移植した重症複合型免疫不全(SCID)マウスにおいて、がんの進展による後肢麻痺発症の抑制を示した18)。

薬物動態

16.1 血中濃度

再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病患者に本剤を1サイクル28日(初回サイクルのみ21日)とし、1日目は0.8mg/m2、8及び15日目は0.5mg/m2で点滴静注したとき、162例の薬物動態解析対象集団(日本人患者13例)の血清中濃度を以下に示す5)。

サイクル 第1日目の投与量
(mg/m2)
測定日
(日)
濃度注1,注2)(ng/mL)
n 投与前 n 投与終了時
1 0.8 1 128 211(110)
8 151 6.84(276) 126 194(117)
15 147 21.3(168) 117 170(46)
2 0.8 1 27 11.5(145) 27 231(43)
8 24 46.8(79) 0 NA
0.5 1 94 38.2(134) 80 222(56)
8 91 65.9(75) 0 NA
4 0.8 1 2 78.2, 109 1 330
8 2 164, 190 0 NA
0.5 1 42 58.2(49) 34 316(119)
8 36 89.3(35) 0 NA

注1)平均値(%変動係数)(n=1又は2の場合は個別値)、-:測定せず、NA:データなし 注2)濃度は1.8mg/m2投与(1サイクルを21~28日間として0.8mg/m2、0.5mg/m2及び0.5mg/m2を分割投与)したときの実測値であり、観測値が定量下限(1ng/mL)未満の場合は0ng/mLとして計算した。

16.3 分布

母集団薬物動態解析により推定された、再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病患者234例(日本人13例及び外国人221例)の定常状態(4サイクル目)における総分布容積は約12Lであった。 in vitro試験では、N-アセチル-γ-カリケアマイシン ジメチルヒドラジド(DMH)のヒト血漿蛋白に対する結合率は約97%である。 in vitro試験では、N-アセチル-γ-カリケアマイシンDMHは、P-糖タンパク質の基質であることが示されている6),7),8)。

16.4 代謝

in vitro試験では、N-アセチル-γ-カリケアマイシンDMHは主に非酵素的な還元で代謝されると考えられる。N-アセチル-γ-カリケアマイシンDMHはヒト血清中にはほとんど検出されない。 再発又は難治性のCD22陽性の低悪性度非ホジキンリンパ腫患者に本剤1.8mg/m2を1時間かけて静脈内投与注)した後の尿中には、N-アセチル-γ-カリケアマイシンDMH、N-アセチル-ε-カリケアマイシン、脱グリコシル化カリケアマイシンの四糖部分、N-アセチル-ε-カリケアマイシンの一酸化体及びN-アセチル-ε-カリケアマイシンの還元体が検出された9),10)。 注)本剤の承認用法・用量は「1日目は0.8mg/m2(体表面積)、8及び15日目は0.5mg/m2(体表面積)を1日1回、1時間以上かけて点滴静脈内投与した後、休薬する。」である。

16.5 排泄

母集団薬物動態解析により推定された、再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病患者234例(日本人13例及び外国人221例)の定常状態(4サイクル目)におけるクリアランスは0.0333L/hrであり、終末相の半減期は12.3日であった6)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1*小児等

1歳以上18歳未満の再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病患者を対象とした国内第Ⅰ相試験及び海外第Ⅰ/Ⅱ相試験において、本剤を1サイクル28日(初回サイクルのみ21日)とし、1日目は0.8mg/m2、8及び15日目は0.5mg/m2で点滴静注したときの47例の薬物動態解析対象集団(日本人患者6例)の4サイクル目までの血清中濃度は、成人の再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病患者に同じ用法・用量で本剤を投与したときと同程度であった。また、小児を含めた母集団薬物動態解析の結果、本剤を1サイクル28日(初回サイクルのみ21日)とし、1日目は0.8mg/m2、8及び15日目は0.5mg/m2で点滴静注したときの本剤の体内動態は、1歳以上18歳未満の再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病患者59例(日本人6例及び外国人53例)と成人の再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病患者234例(日本人13例及び外国人221例)とで臨床的に意義のある違いはなかった11)。