がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
【警告】
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人には、ゾンゲルチニブとして1日1回120mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
使用上の注意
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8.1肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
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8.2血球減少があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
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8.3間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部画像検査の実施等、患者の状態を十分に観察すること。また、患者に対して、初期症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう説明すること。
-
8.4左室駆出率(LVEF)低下があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(LVEFの変動を含む)を十分に観察すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1左室駆出率(LVEF)が低下している患者
LVEF低下を悪化させるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1中等度以上の肝機能障害を有する患者
本剤は主に肝臓で代謝されるため、血中濃度が上昇する可能性がある。なお、中等度以上の肝機能障害のある患者注)を対象とした臨床試験は実施していない。 注)NCI-ODWG(National Cancer Institute-Organ Dysfunction Working Group)基準による分類
9.4 生殖能を有する者
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9.4.1妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後10日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
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9.4.2生殖可能な女性に投与する場合には、受胎能の低下があらわれる可能性があることを考慮すること。動物実験(ラット)において、子宮の萎縮、並びに子宮頸部及び膣の過形成/過角化が報告されている。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。生殖発生毒性試験(ラット)において、本剤の胎児への移行の可能性が推定され、本剤120mg投与時の4.4倍に相当する曝露量で胚・胎児死亡が報告されている。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。本剤が乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。
9.7 小児等
小児等を対象とした本剤の有効性及び安全性は確立していない。
相互作用
- 本剤は、主にCYP3Aによって代謝され、P-gp及びBCRPの阻害作用を示す。
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| 強いCYP3A誘導剤 • カルバマゼピン、リファンピシン、フェニトイン等 |
本剤の有効性が減弱するおそれがあるため、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。 | これらの薬剤がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| 治療域の狭いP-gpの基質となる薬剤 • シクロスポリン、エベロリムス、シロリムス等 |
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | 本剤がP-gpを阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
| BCRPの基質となる薬剤 • ロスバスタチン、メトトレキサート、サラゾスルファピリジン等 |
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | 本剤がBCRPを阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| そう痒症 | 頻度不明 |
| 口内炎 | 頻度不明 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 爪の障害 | 頻度不明 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 皮膚乾燥 | 頻度不明 |
| 駆出率減少 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ゾンゲルチニブは、エクソン20挿入変異等を有するHER2のチロシンキナーゼ活性を阻害し、下流のシグナル伝達を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。
18.2 抗腫瘍作用
- 18.2.1In vitro
ゾンゲルチニブは、HER2(ERBB2)遺伝子のエクソン20挿入変異を有するヒト非小細胞肺癌(NSCLC)由来NCI-H1781細胞株等の増殖を抑制した17)。
- 18.2.2In vivo
ゾンゲルチニブは、HER2(ERBB2)遺伝子のエクソン20挿入変異を有するNSCLC患者由来ST3107腫瘍組織片を皮下移植したヌードマウス等において、腫瘍増殖抑制作用を示した18)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1反復投与
HER2(ERBB2)遺伝子異常を有する進行固形癌患者24例(日本人患者6例含む)に本剤60、120、又は240mgを空腹時に1日1回15日間反復経口投与注1)したときのゾンゲルチニブの血漿中濃度の時間推移及び薬物動態パラメータは以下の図1及び表1のとおりであった1)。
図1 本剤60、120又は240mgを1日1回反復経口投与注1)したときの血漿中濃度推移 (算術平均+標準偏差)
| 用量 | 投与日 | 例数 | Cmax (nmol/L) |
tmax※1 (h) |
AUC0-24h(nmol·h/L) | t1/2 (h) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 60mg | 1 | 4 | 1020(44.2) | 1.99(1.97-2.05) | 8240(37.0) | 9.41(17.4) |
| 15 | 4 | 1230(54.3) | 2.04(1.07-2.93) | 11600(48.4) | 9.37(15.2) | |
| 120mg | 1 | 3 | 1610(75.1) | 3.03(2.03-3.95) | 14000(61.8) | 9.51(9.87) |
| 15 | 3 | 2830(20.6) | 2.05(1.03-3.97) | 28900(23.2) | 8.52(9.39) | |
| 240mg | 1 | 17 | 3630(45.1) | 2.07(0.967-5.95) | 33900(48.9)※2 | 9.19(29.3)※2 |
| 15 | 17 | 4760(41.4) | 2.95(1.03-6.00) | 52100(43.2) | 9.58(30.1) |
幾何平均値(幾何変動係数%) ※1:tmaxは中央値(最小値-最大値) ※2:15例
16.2 吸収
- 16.2.1バイオアベイラビリティ
健康成人(7例)に本剤60mg注1)を単回経口投与したときの絶対バイオアベイラビリティは76%であった2)。(外国人データ)
- 16.2.2食事の影響
健康成人(16例)に本剤240mg注1)を単回経口投与したとき、空腹時投与に対する高脂肪食後投与におけるゾンゲルチニブのAUC0-t及びCmaxの幾何平均値の比は、それぞれ1.27及び1.26であった3)。(外国人データ)
16.3 分布
ゾンゲルチニブのヒト血漿タンパク結合率は99%超であり、主にアルブミンに結合した(in vitro)4)。ゾンゲルチニブの血液/血漿中濃度比は0.7であった(in vitro)5)。
16.4 代謝
ゾンゲルチニブは主にCYP3A4/5による酸化、UGT1A4によるグルクロン酸抱合及びグルタチオン抱合によって代謝される。健康成人(8例)に14C標識されたゾンゲルチニブ60mg注1)を単回経口投与したとき、血漿中に未変化体及び6種類の代謝物が検出され、血漿中総放射能量(AUC0-168h)の75%が未変化体であった6)。(外国人データ)
16.5 排泄
健康成人(8例)に14C標識されたゾンゲルチニブ60mg注1)を単回経口投与したとき、投与後11日までに投与量の94%が排泄され、糞便中には93%(未変化体として31%)、尿中には1.3%(未変化体として0.2%)が排泄された7)。(外国人データ)
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者
母集団薬物動態解析を用いて、腎機能注2)が正常(187例)、軽度(120例)及び中等度(23例)の腎機能障害患者にゾンゲルチニブ120mgを1日1回反復経口投与したときの曝露量を推定した結果、①Cmax及び②AUC0-24hの幾何平均値は、それぞれ①2730、2690及び2600nmol/L、並びに②30800、31700及び31200nmol·h/Lと推定された。 注2)eGFR(mL/min/1.73m2)が①90以上、②60以上90未満及び③30以上60未満の場合、それぞれ①正常、②軽度及び③中等度とされた8)。
- 16.6.2肝機能障害患者
母集団薬物動態解析を用いて、肝機能注3)が正常(288例)及び軽度(90例)の肝機能障害患者にゾンゲルチニブ120mgを1日1回反復経口投与したときの曝露量を推定した結果、①Cmax及び②AUC0-24hの幾何平均値は、それぞれ①2700及び2630nmol/L、並びに②31000及び30500nmol·h/Lと推定された8)。 注3)NCI-ODWG(National Cancer Institute - Organ Dysfunction Working Group)基準による分類
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1臨床薬物相互作用試験
健康成人を対象とした臨床薬物相互作用試験から得られた、ゾンゲルチニブの薬物動態に及ぼす併用薬の影響及び併用薬の薬物動態に及ぼすゾンゲルチニブの影響は、以下の表2及び表3のとおりであった9),10),11),12),13)。
| 併用薬 | 用法・用量 | 例数※1 | ゾンゲルチニブの単独投与時に対する比※2 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 併用薬 | ゾンゲルチニブ注1) | Cmax | AUC0-∞ | ||
| イトラコナゾール(強いCYP3A阻害剤) | 200mg QD | 15mg単回 | 16/16 | 1.27 (1.07, 1.51) |
1.41 (1.26, 1.58) |
| カルバマゼピン(強いCYP3A誘導剤) | 600mg QD※3 | 60mg単回 | 15/16 | 0.56 (0.45, 0.71) |
0.36 (0.32, 0.42) |
| ラベプラゾール(プロトンポンプ阻害剤) | 40mg QD | 30mg単回 | 11/12 | 0.87 (0.67, 1.13) |
0.97 (0.85, 1.10) |
QD:1日1回 ※1:併用/非併用時 ※2:幾何平均値の比(90%信頼区間) ※3:カルバマゼピンは200mgを4日間QD、400mgを7日間QD、600mgを13日間QDの順に投与
| 併用薬 | 用法・用量 | 例数※1 | 併用薬の単独投与時に対する比※2 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 併用薬 | ゾンゲルチニブ | Cmax | AUC0-∞ | ||
| ミダゾラム (CYP3A基質) |
1mg単回 | 120mg QD | 14/16 | 1.17 (1.08, 1.27) |
1.06 (0.95, 1.17) |
| レパグリニド (CYP2C8基質) |
0.5mg単回 | 14/16 | 1.44 (1.24, 1.69) |
1.30 (1.10, 1.53) |
|
| オメプラゾール (CYP2C19基質) |
20mg単回 | 13/15※3 | 0.62 (0.45, 0.86) |
0.90 (0.62, 1.30) |
|
| ダビガトラン (P-gp基質) |
150mg単回 | 120mg単回 | 15/16 | 1.24 (0.96, 1.60) |
1.34 (1.06, 1.70) |
| ロスバスタチン (OATP1B1、OATP1B3、BCRP基質)※4 |
10mg単回 | 120mg QD | 16/16 | 3.02 (2.47, 3.68) |
2.30 (1.96, 2.71) |
| メトホルミン (MATE1、MATE2-K基質) |
10mg単回 | 16/16 | 0.76 (0.68, 0.84) |
0.83 (0.76, 0.90) |
|
| フロセミド (OAT1、OAT3基質)※5 |
1mg単回 | 16/16 | 1.50 (1.16, 1.93) |
1.38 (1.20, 1.58) |
QD:1日1回 ※1:併用/非併用時 ※2:幾何平均値の比(90%信頼区間) ※3:AUC0-∞では9/10 ※4:ゾンゲルチニブ非併用投与時に対する併用投与時のコプロポルフィリンI(OATP1B1及びOATP1B3の内因性バイオマーカー)のCmax及びAUC0-72hの幾何平均値の比(90%信頼区間)は、それぞれ0.94(0.89, 0.98)及び0.86(0.82, 0.91)であった。 ※5:フロセミドはBCRP基質でもあることが報告されている。
- 16.7.2その他
ゾンゲルチニブはUGT2B17を阻害する可能性が示唆された14)。また、ゾンゲルチニブはP-gp及びBCRPの基質である(in vitro)15)。 注1)承認された用法及び用量は、ゾンゲルチニブとして1日1回120mgである。