Clinical snapshot

プロチレリン酒石酸塩注0.5mg「NP」

プロチレリン酒石酸塩水和物注射液

添付文書改訂 2023年11月01日

効能・効果

  • 下記疾患に伴う昏睡、半昏睡を除く遷延性意識障害

  • 頭部外傷

  • くも膜下出血、ただし、意識障害固定期間3週以内

  • 脊髄小脳変性症における運動失調の改善

  • 下垂体TSH分泌機能検査

  • ①採血時間

本剤注射前と注射後30分に採血するが、必要に応じてさらに経時的に採血する。

  • ②測定方法

TSH測定キットを使用し、ラジオイムノアッセイ法により測定する。

  • ③正常範囲

血中TSHの正常範囲はラジオイムノアッセイの操作法及び判定基準により若干異なるので、施設ごとに設定すべきであるが、通常、正常人では本剤投与後30分でピークに達し、血中TSH値は10μU/mL以上になる。また、投与前の血中TSH値は5μU/mL以下である。

用法・用量

  • 〈遷延性意識障害の場合(ただし、昏睡、半昏睡を除く)〉

通常、成人には疾患に応じて、下記の用量を1日1回10日間静注又は点滴静注する。静脈内注射の場合は、生理食塩液、ブドウ糖注射液又は注射用水5~10mLに希釈して、徐々に注射する。

  • 1)頭部外傷

1回プロチレリン酒石酸塩水和物として0.732~2.92mg(プロチレリンとして0.5~2mg)

  • 2)くも膜下出血(ただし、意識障害固定期間3週以内)

1回プロチレリン酒石酸塩水和物として2.92mg(プロチレリンとして2mg)

  • 〈脊髄小脳変性症の場合〉

通常、成人には1日1回プロチレリン酒石酸塩水和物として0.732~2.92mg(プロチレリンとして0.5~2mg)を筋肉内又は静脈内に注射するが、重症例にはプロチレリン酒石酸塩水和物として2.92mg(プロチレリンとして2mg)を注射する。 2~3週間連日注射した後、2~3週間の休薬期間をおく。以後、これを反復するか、週2~3回の間歇注射を行う。 静脈内注射の場合は、生理食塩液、ブドウ糖注射液又は注射用水5~10mLに希釈して、徐々に注射する。

  • 〈下垂体TSH分泌機能検査の場合〉

通常、成人には1回プロチレリン酒石酸塩水和物として0.732mg(プロチレリンとして0.5mg)を静脈内又は皮下に注射する。 静脈内注射の場合は、生理食塩液あるいは注射用水5~10mLに希釈して、徐々に注射する。

使用上の注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1心障害のある患者

本剤は血圧および脈拍数を一過性に上昇させることがある。

  1. 9.1.2遺伝性果糖不耐症の患者

本剤の添加剤D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。

  1. 9.1.3下垂体腺腫の患者

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-Pの上昇 頻度不明
ALTの上昇 頻度不明
ASTの上昇 頻度不明
しびれ感 頻度不明
そう痒 頻度不明
めまい 頻度不明
不安 頻度不明
不眠 頻度不明
乳房腫大 頻度不明
乳汁分泌 頻度不明
倦怠感 頻度不明
動悸 頻度不明
口渇 頻度不明
咽頭違和感 頻度不明
嘔吐 頻度不明
多弁 頻度不明
尿意 頻度不明
心窩部不快感 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 頻度不明
振戦 頻度不明
排尿障害 頻度不明
浮腫 頻度不明
熱感 頻度不明
異味感 頻度不明
発汗 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球減少 頻度不明
胸部圧迫感 頻度不明
脈拍数の変動 頻度不明
脱力感 頻度不明
腹痛 頻度不明
興奮 頻度不明
血圧の変動 頻度不明
貧血 頻度不明
頭痛 頻度不明
顔面潮紅感 頻度不明
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンである。脳下垂体前葉での甲状腺刺激ホルモンTSH及びプロラクチンの産生を促進する。臨床的には、脳下垂体前葉でのTSH分泌能の診断薬として用いられる。他に脳エネルギー代謝改善作用を示すので、脳血管障害などの際の意識障害等に用いられる11)。

18.2 自発運動亢進作用

正常マウスに2.5mg/kg静注、下垂体摘出マウスに10mg/kg静注及び正常ラットに5mg/kg腹腔内投与により、自発運動亢進が認められる。この作用は、プロチレリンが中脳-辺縁系ドーパミンニューロン終末部位である側坐核におけるドーパミン活性を高めることによると考えられる12),13)。

18.3 覚醒促進作用

  1. 18.3.1正常マウスに0.6mg/kg、正常ラットに2.4mg/kg、下垂体摘出ラットに2.4mg/kgの静注により、ペントバルビタール睡眠時間を短縮し、正常マウスに0.6mg/kg静注によりエタノール麻酔時間を短縮する12)。また、正常ラットに5mg/kg静注によりペントバルビタール前処置による脳内グルコース利用率の低下に拮抗する14)。

  2. 18.3.2意識障害モデル動物(頭部外傷マウス、脳幹圧迫ネコ、視床下部電気破壊ネコ)において、0.16mg/kg~5mg/kg静注により行動上及び脳波上覚醒反応が早期に認められる15),16),17)。

18.4 脳波賦活作用

正常ネコに0.1mg/kg静注により脳波賦活作用を示し、その作用点は視床下部及び脳幹であると考えられる18)。

18.5 運動失調改善作用

遺伝性運動失調マウスであるRolling mouse Nagoyaに25mg/kg腹腔内投与19)、また、シトシンアラビノシドによる小脳変性運動失調ラットに5又は10mg/kg腹腔内投与20)により、運動量の増加とともに転倒回数の減少等運動失調改善作用が認められる。この作用は小脳内ノルアドレナリン代謝回転の促進作用によるものと考えられる21)。なお、小脳サイクリックヌクレオチド(c-GMP、c-AMP)の増加も一部関与していると考えられる22)。

18.6 下垂体TSH分泌作用

健康成人にプロチレリンとして0.5mgを静脈内あるいは皮下に単回投与すると、血中TSH値は30分後にピーク値を示し、その後漸減した。その他の下垂体前葉ホルモンのうちLH、FSH、GHにはほとんど影響を及ぼさないが、プロラクチン(PRL)には分泌促進作用を示し、投与15分後にピーク値を示し、120分後にほぼ前値に回復する23),24)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1点滴静注時の血中濃度

健康成人にプロチレリンとして0.5、2mg(各4例)を120分間で点滴静注すると、血中プロチレリン濃度は投与開始15分後に0.5mg投与で663pg/mL(投与前値は126pg/mL)、2mg投与で3,150pg/mL(投与前値は101pg/mL)を示し、点滴中はほぼ同値を持続するが、終了後急速に低下する。0.5、2mg投与時の血中濃度の半減期はそれぞれ約18分、約9分である1)。

  1. 16.1.2静注時の血中濃度

健康成人(10例)にプロチレリンとして2mgを静注すると、血中プロチレリン濃度は投与5分後に16,660pg/mLを示し、30分後には1,003pg/mL、120分後には19.3pg/mLと速やかに低下する。血中濃度の半減期は4.5分である2)。

  1. 16.1.3筋注時の血中濃度

健康成人(5例)にプロチレリンとして2mgを筋注すると、血中プロチレリン濃度は、投与5分後に8,940pg/mLを示し、以後漸減するが、120分後でも283pg/mLであり、比較的長時間高値を持続する。血中濃度の半減期は19.6分である2)。

  1. 16.1.4生物学的同等性試験

プロチレリン酒石酸塩注0.5mg「NP」とヒルトニン注射液のそれぞれ1mL(プロチレリンとして0.5mg)を、クロスオーバー法により健康成人男子に絶食時に単回筋肉内投与して血漿中プロチレリン濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC0→300min、Cmax)の平均値の差の95%信頼区間は±20%の範囲にあり、両剤の生物学的同等性が確認された3)。

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0→300min
(ng・min/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(min)
t1/2
(min)
プロチレリン酒石酸塩注0.5mg「NP」 347.6±115.3 9.5±4.4 6.7±3.9 35.5±3.4
ヒルトニン注射液 335.8±95.4 9.9±5.0 7.5±4.5 32.6±3.3

(Mean±S.D., n=12)

血漿中プロチレリン濃度推移

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。