Clinical snapshot

ブレオ注射用5mg

注射用ブレオマイシン塩酸塩

添付文書改訂 2023年07月01日

【警告】

  1. 1.1本剤の投与により間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を呈することがあり、ときに致命的な経過をたどることがあるので、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与し、投与中及び投与終了後の一定期間(およそ2ヵ月位)は患者を医師の監督下におくこと。 特に60歳以上の高齢者及び肺に基礎疾患を有する患者への投与に際しては、使用上の注意に十分留意すること。 労作性呼吸困難、発熱、咳、捻髪音(ラ音)、胸部レントゲン異常陰影、A-aDO2・PaO2・DLcoの異常などの初期症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  2. 1.2本剤を含む抗癌剤併用療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、癌化学療法に十分な経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1重篤な肺機能障害、胸部レントゲン写真上びまん性の線維化病変及び著明な病変を呈する患者[肺機能障害、線維化病変等が増悪することがある。]

  2. 2.2本剤の成分及び類似化合物(ペプロマイシン)に対する過敏症の既往歴のある患者

  3. 2.3重篤な腎機能障害のある患者

  4. 2.4重篤な心疾患のある患者[循環機能が低下し、間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を起こすことがある。]

  5. 2.5胸部及びその周辺部への放射線照射を受けている患者

効能・効果

皮膚癌、頭頸部癌(上顎癌、舌癌、口唇癌、咽頭癌、喉頭癌、口腔癌等)、肺癌(特に原発性及び転移性扁平上皮癌)、食道癌、悪性リンパ腫、子宮頸癌、神経膠腫、甲状腺癌、胚細胞腫瘍(精巣腫瘍、卵巣腫瘍、性腺外腫瘍)

用法・用量

  • (1)静脈内注射

通常成人には、ブレオマイシン塩酸塩として15mg~30mg(力価)を生理食塩液又は、ブドウ糖液等の適当な静脈用注射液約5~20mLに溶解し、緩徐に静注する。 発熱の著しい場合は1回量を5mg(力価)又はそれ以下とする。

  • (2)筋肉内注射、皮下注射

通常成人には、ブレオマイシン塩酸塩として15mg~30mg(力価)を生理食塩液等の適当な溶解液約5mLに溶解し、筋注又は皮下注する。患部の周辺に皮下注射する場合はブレオマイシン塩酸塩として1mg(力価)/1mL以下の濃度とする。

  • (3)動脈注射

通常成人には、ブレオマイシン塩酸塩として5mg~15mg(力価)を生理食塩液又はブドウ糖液等の適当な注射液に溶解し、シングルショット又は連続的に注射する。

  • (4)注射の頻度

1週2回を原則とし、症状に応じて1日1回(連日)ないし1週間1回に適宜増減する。

  • (5)総投与量

ブレオマイシン塩酸塩の総投与量は腫瘍の消失を目標とし、300mg(力価)以下とする。ただし、胚細胞腫瘍に対し、確立された標準的な他の抗癌剤との併用療法にあっては360mg(力価)以下とする。

  • (6)小児への投与

小児の胚細胞腫瘍、悪性リンパ腫に対しては、下記の用法・用量で投与する。 ブレオマイシン塩酸塩として、1回10mg~20mg(力価)/m2(体表面積)を1~4週間ごとに静脈内投与する。ただし、1回量として成人の最大用量(30mg)を超えないこと。

使用上の注意

  1. 8.1間質性肺炎又は肺線維症の発現は、肺に基礎疾患を有する患者や60歳以上の高齢者の場合には、総投与量150mg(力価)以下でも発現頻度が高いので十分な注意を要する。

  2. 8.2本剤の投与にあたっては、発熱、咳、労作性呼吸困難等の臨床症状の観察を十分に行い、胸部レントゲン検査異常及び捻髪音(ラ音)の有無を検討し、可能な施設においては肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、動脈血酸素分圧(PaO2)、一酸化炭素拡散能(DLco)などの検査を行い、投与中及び投与後およそ2ヵ月位までについてもこれらの検査を定期的に行うこと。

  3. 8.3A-aDO2、PaO2などの検査は可能な限り1週に1度測定し、A-aDO2、PaO2がそれぞれ2週連続して拡大又は低下したときには投与を中止する。具体的にはA-aDO2、PaO2が投与前値より10Torr以上悪化したときは、他の臨床症状とあわせて十分な観察を行い、副作用の疑いのある場合には、直ちに投与を中止し、ステロイド等の投与を開始すること。また、DLcoについては投与前値の15%以上の低下をみたときは同様の処置を行うこと。 なお、投与前に肺機能検査値に低下のみられる患者にやむを得ず投与を必要とする場合には、慎重に経過を観察するとともに、検査値の低下がみられたときは直ちに本剤の投与を中止すること。

  4. 8.4使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。

  5. 8.5感染症・出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1肺障害の既往歴又は合併症がある患者(重篤な肺機能障害、胸部レントゲン写真上びまん性の線維化病変及び著明な病変を呈する患者を除く)

間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を起こすことがある。

  1. 9.1.2胸部に放射線照射を受けた患者

間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を起こすことがある。

  1. 9.1.3心疾患のある患者(重篤な心疾患のある患者を除く)

副作用が強くあらわれるおそれがある。

  1. 9.1.4水痘患者

致命的な全身障害を起こすおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重篤な腎機能障害患者

投与しないこと。排泄機能が低下し、間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を起こすことがある。

  1. 9.2.2腎機能障害患者(重篤な腎機能障害患者を除く)

副作用が強くあらわれるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

副作用が強くあらわれるおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。動物実験(マウス、ラット)で催奇形性が報告されている。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。ヒト乳汁中への移行は不明である。

9.7 小児等

  1. 9.7.1小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

  2. 9.7.2小児に投与する場合には、副作用の発現に注意し、慎重に投与すること。

9.8 高齢者

60歳以上の高齢者では、間質性肺炎又は肺線維症が発現しやすい。間質性肺炎又は肺線維症等の重篤な肺症状の発現率は、50歳未満5.9%、50歳代8.1%、60歳代10.9%、70歳以上15.5%と年齢が高くなるに従い高かった。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
胸部及びその周辺部への放射線照射 間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を起こすことがある。 ともに間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を誘発する作用を有する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
抗悪性腫瘍剤
放射線照射
間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状等を起こすことがある。 ともに間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を誘発する作用を有する。
頭頸部放射線照射 口内炎、口角炎が増悪することがある。また、咽喉頭粘膜に炎症を起こし、嗄声があらわれることがある。 ともに粘膜の炎症を誘発する作用を有する。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
scratch dermatitis 頻度不明
めまい 1%未満
下痢 1%未満
乏尿 1%未満
倦怠感 頻度不明
口内炎 頻度不明
口角炎 頻度不明
悪心・嘔吐 頻度不明
排尿痛 1%未満
残尿感 1%未満
爪の変形・変色 頻度不明
発熱を伴う紅皮症 頻度不明
発熱注3) 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球減少 1%未満
皮膚の強皮症様変化 頻度不明
皮膚肥厚 頻度不明
硬結 1%未満
肝障害 1%未満
脱毛 頻度不明
腫瘍部位の疼痛 1%未満
色素沈着 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血小板減少 頻度不明
貧血 頻度不明
静脈壁の肥厚・狭窄注2) 1%未満
頭痛 頻度不明
頻尿 1%未満
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ブレオマイシンの作用機序は、DNA合成阻害及びDNA鎖切断作用である8),9)。

18.2 抗腫瘍作用

  1. 18.2.1in vitro

HeLaS3細胞、エールリッヒ腹水肝癌、吉田肉腫細胞等ではDNA及び蛋白合成阻害や発育阻害がみられた8),9),10)。

  1. 18.2.2in vivo

犬の自然腫瘍(リンパ肉腫)に対して腫瘍の消失を認めた10)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

成人に15mg(力価)を静注するとき、血中濃度は直後に3μg/mL、1時間後に<0.5μg/mLとなる。筋注では最高血中濃度は静注時の約1/3で、以後ゆるやかに減少する。陰茎がん患者3名に15mg(力価)を静注後30~37分後に手術をするとき、血中濃度0.69~0.94μg/mLが認められた。血中消失半減期は3.1時間である1)。 癌患者4例にブレオマイシン15mg(力価)を静注又は筋注して得られる血中濃度は下図のとおりである2)。

16.3 分布

体内動態は特徴的で、主成分のブレオマイシンA2は皮膚によく分布する。各組織に分布したブレオマイシンの生物活性を測定すると、皮膚、肺、腎及び膀胱では活性型であるが、肝、脾などの他の臓器では不活化されており、これらの結果から本薬が皮膚がん、頭頸部がんに特に効果を示し造血器障害のないことが証明された。陰茎がん患者3名に15mg(力価)を静注後30~37分後に手術をするとき、腫瘍内濃度0.08~0.49μg/gが認められた。睾丸腫瘍患者1例で総量300mg(力価)静注、7日後に手術したとき、皮膚に430μg/g、腫瘍内に4μg/gが認められた。分布容積は0.27L/kgである1)。

16.5 排泄

成人に15mg(力価)を静注するとき、尿中排泄は24時間までに静注で38.3%、筋注で19.2%であった。睾丸腫瘍患者1例で総量300mg(力価)静注、7日後に手術したとき、未変化体としての尿中排泄率は68%である。全身クリアランスは1.1mL/min/kgである1)。