Clinical snapshot

ブフェニール顆粒94%

フェニル酪酸ナトリウム

添付文書改訂 2025年04月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

尿素サイクル異常症

用法・用量

通常、以下のとおり投与する。

対象 1日投与量
(フェニル酪酸ナトリウムとして)
用法
体重20kg未満の小児等 450〜600mg/kg 3回〜6回に分割し、食事又は栄養補給とともに若しくは食直後に経口投与する。
成人及び体重20kg以上の小児等 9.9〜13.0g/m2(体表面積)

投与は少量より開始し、患者の状態、血中アンモニア濃度、血漿中アミノ酸濃度等を参考に適宜増減する。また、食事制限及び必須アミノ酸補給等の十分な栄養管理の下に投与する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤はナトリウム含量が高いため、うっ血性心不全、腎不全、浮腫を伴うナトリウム貯留が認められる患者に投与する場合は注意すること。(500mg錠1錠あたり62mg、顆粒剤1gあたり116mgのナトリウムを含有する)

  2. 8.2主代謝物であるフェニルアセチルグルタミンの腎排泄はカリウムの尿中消失を誘発するおそれがあるため、本剤投与中は血清中カリウム濃度をモニタリングすること。

  3. 8.3血中アンモニア濃度、血漿中グルタミン濃度等を測定し、治療効果を確認すること。

  4. 8.4本剤投与及び栄養管理により血漿中アミノ酸濃度が低下する可能性があるため、アルギニン濃度、分岐鎖アミノ酸濃度及び血清中蛋白濃度を基準範囲内に維持すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1うっ血性心不全、浮腫を伴うナトリウム貯留が認められる患者

疾患を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.2先天性のβ酸化異常を有する患者

代謝遅延により、血漿中のフェニル酪酸濃度が上昇するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1腎不全患者

疾患を増悪させるおそれがある。

  1. 9.2.2腎機能障害を有する患者

主代謝物であるフェニルアセチルグルタミンは主に腎臓から排泄されるため、蓄積するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1肝機能障害を有する患者

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
アシドーシス 頻度不明
アミノ酸濃度減少 頻度不明
めまい 頻度不明
下痢 頻度不明
人格変化 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
体臭 頻度不明
体重増加 頻度不明
協調運動異常 頻度不明
口腔内不快感 頻度不明
味覚倒錯 頻度不明
嗜眠 頻度不明
嘔吐 頻度不明
嚥下障害 頻度不明
失禁 1%未満
急性腎障害 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 頻度不明
感染 1%未満
斑状出血 1%未満
月経障害 頻度不明
末梢性ニューロパチー 頻度不明
末梢性浮腫 頻度不明
構語障害 頻度不明
毛髪障害 1%未満
汎血球減少症 頻度不明
流涎過多 頻度不明
灼熱感 頻度不明
無月経 頻度不明
発疹 頻度不明
紅斑 頻度不明
紅痛症 頻度不明
肝機能障害 頻度不明
肥満 1%未満
肺炎 頻度不明
胃炎 頻度不明
背部痛 1%未満
脊椎固定 1%未満
脱毛症 頻度不明
脱水 頻度不明
脳症 頻度不明
腱障害 1%未満
腹痛 1%未満
腹部不快感 頻度不明
膵炎 1%未満
薬物相互作用 1%未満
逆流性食道炎 頻度不明
運動失調 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲増進 頻度不明
食欲減退 頻度不明
食道痛 頻度不明
高アンモニア血症 頻度不明
鼻炎 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

尿素サイクル異常症患者では残余窒素の尿素としての排泄が不十分となることにより高アンモニア血症を呈する。フェニル酪酸ナトリウムは、ヒト生体内でβ酸化により速やかにフェニル酢酸に代謝されてグルタミンと結合し、フェニルアセチルグルタミンとして尿中に排泄される7),12) 。αケトグルタル酸からグルタミン酸を経てグルタミンが生合成される過程で、アンモニア2分子が取り込まれるため、フェニル酪酸ナトリウム1分子により残余窒素2原子が排泄される。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与3)

健康成人男性10例及び健康成人女性11例の合計21例を対象として、フェニル酪酸ナトリウムの顆粒剤及び錠剤を空腹時に単回経口投与し、フェニル酪酸及びその代謝物(フェニル酢酸及びフェニルアセチルグルタミン)の薬物動態をクロスオーバー試験で検討した。海外第III相試験における使用製剤を用い、投与量は、錠剤及び顆粒剤ともにフェニル酪酸ナトリウムとして5g注1) とした(外国人データ)。

測定物質 製剤 tmax
(hr)
Cmax
(μg/mL)
AUC0-t
(μg・hr/mL)
t1/2
(hr)
フェニル酪酸 錠剤 1.35(49) 218.0(25) 577.3(31) 0.77(35)
顆粒剤 1.00(35) 195.2(25) 493.8(28) 0.76(39)
フェニル酢酸 錠剤 3.74(22) 48.5(39) 210.6(47) 1.15(23)
顆粒剤 3.55(18) 45.3(36) 187.6(41) 1.29(29)
フェニルアセチルグルタミン 錠剤 3.43(14) 68.5(20) 306.0(25) 2.41(32)
顆粒剤 3.23(13) 62.8(17) 267.7(24) 2.36(26)

錠剤(n=21)、顆粒剤(n=20)

  1. 16.1.2反復投与

尿素サイクル異常症患者13例を対象として、フェニル酪酸ナトリウムの顆粒剤又は錠剤を反復経口投与し、治験責任(分担)医師により薬物動態評価用の採血が実施された8例を対象としてフェニル酪酸及びその代謝物(フェニル酢酸及びフェニルアセチルグルタミン)の血漿中濃度を測定した。投与量は1.33~4.5g注1) であった4) 。

測定項目 採血時期 平均値
(μg/mL)
標準偏差
フェニル酪酸 投与前 定量限界未満
1時間後 94.880 76.906
4時間後 34.518 42.888
フェニル酢酸 投与前 定量限界未満
1時間後 12.591 12.815
4時間後 19.440 16.524
フェニルアセチルグルタミン 投与前 6.794 6.739
1時間後 27.488 15.354
4時間後 66.973 50.512

n=8、定量限界:5μg/mL未満

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

承認時までに食事の影響を検討した試験は行われていない。

16.4 代謝

健康成人男性2例又は1例に、フェニル酪酸ナトリウム(2.5g又は5g)注1) を単回経口投与したとき、速やかに体内に吸収された後、β酸化を受け、活性代謝物であるフェニル酢酸に代謝された。フェニル酢酸は、体内のグルタミンと結合してフェニルアセチルグルタミンを形成する5),6) (外国人データ)。

16.5 排泄

健康成人男性2例又は1例に、フェニル酪酸ナトリウム(2.5g又は5g)注1) を単回経口投与したとき、フェニルアセチルグルタミンとして、尿中に排泄された。投与8時間以内に投与されたフェニル酪酸ナトリウムの約71〜82%、投与24時間以内に約92%がフェニルアセチルグルタミンとして腎排泄された5),6) (外国人データ)。 健康成人男性2例を対象にフェニル酢酸の14C標識体(1mg/kg)注1) を単回経口投与したとき、投与24時間後までに投与量の98%が尿中に排泄され、組成比はフェニル酢酸のグルタミン抱合体(フェニルアセチルグルタミン)93%、グリシン抱合体<0.05%、タウリン抱合体6%であり、未変化体は検出されなかった7) (外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝硬変患者

  2. (1)単回投与8)

男性肝硬変患者4例にフェニル酪酸ナトリウム(2.5g)注1) を、空腹時に単回経口投与したとき、4例中3例で投与8時間以内に投与されたフェニル酪酸ナトリウムの約33〜46%がフェニルアセチルグルタミンとして尿中に排泄され、フェニル酢酸の尿中排泄も認められた。肝硬変患者ではフェニル酢酸からその後尿中に排泄されるフェニルアセチルグルタミンへの変換は比較的緩徐であることが示唆された(外国人データ)。

  1. (2)反復投与9)

門脈圧亢進症を合併する男性肝硬変患者6例にフェニル酪酸ナトリウム(20g/日)注1) を1日3回3日間反復経口投与したとき、6例中3例で血漿中フェニル酢酸が投与1日目から3日目にかけて継続して上昇し、フェニル酢酸の蓄積が示唆された(外国人データ)。

注1)本剤の承認された用法・用量は、成人及び体重20kg以上の小児にはフェニル酪酸ナトリウムとして1日9.9〜13.0g/m2(体表面積)、体重20kg未満の新生児、乳幼児及び小児にはフェニル酪酸ナトリウムとして1日450〜600mg/kgを3〜6回に分割して経口投与することとされている。