Clinical snapshot

フルマリン静注用0.5g

フロモキセフナトリウム

添付文書改訂 2022年01月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 〈適応菌種〉

フロモキセフに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属(プレボテラ・ビビアを除く)

  • 〈適応症〉

敗血症、感染性心内膜炎、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、尿道炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、胆管炎、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎、中耳炎、副鼻腔炎

用法・用量

  • 〈静注用〉

成人には、通常1日1~2g(力価)を2回に分割して静脈内注射又は点滴静注する。 小児には、通常1日60~80mg(力価)/kgを3~4回に分割して静脈内注射又は点滴静注する。 未熟児、新生児には、通常1回20mg(力価)/kgを生後3日までは1日2~3回、4日以降は、1日3~4回静脈内注射又は点滴静注する。 なお、年齢、症状に応じて適宜増減するが、難治性又は重症感染症には成人では1日4g(力価)まで増量し、2~4回に分割投与する。また未熟児、新生児、小児は1日150mg(力価)/kgまで増量し、3~4回に分割投与する。

  • 〈キット静注用〉

成人には、通常1日1~2g(力価)を2回に分割して点滴静注する。 小児には、通常1日60~80mg(力価)/kgを3~4回に分割して点滴静注する。 未熟児、新生児には、通常1回20mg(力価)/kgを生後3日までは1日2~3回、4日以降は、1日3~4回点滴静注する。 なお、年齢、症状に応じて適宜増減するが、難治性又は重症感染症には成人では1日4g(力価)まで増量し、2~4回に分割投与する。また未熟児、新生児、小児は1日150mg(力価)/kgまで増量し、3~4回に分割投与する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

  2. 8.2本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。

  3. 8.2.1事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。

  4. 8.2.2投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。

  5. 8.2.3投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。

  6. 8.3急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。

  7. 8.4肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。

  8. 8.5本剤の投与に際しては、定期的に血液等の検査を行うことが望ましい。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  • 〈製剤共通〉
  1. 9.1.1セフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しない。

  1. 9.1.2ペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 9.1.3本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者

  3. 9.1.4経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者

観察を十分に行うこと。ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。

  • 〈キット静注用〉
  1. 9.1.5心臓、循環器系機能障害のある患者

ナトリウムの負荷及び循環血液量を増すことから心臓に負担をかけ、症状が悪化するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  • 〈製剤共通〉
  1. 9.2.1高度の腎障害のある患者

投与量を減らすか、投与間隔をあけて使用すること。血中濃度が持続する。

  • 〈キット静注用〉
  1. 9.2.2水分、塩化ナトリウムの過剰投与に陥りやすく、症状が悪化するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。低濃度であるがヒトで乳汁中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

  1. 9.7.1低出生体重児(未熟児)・新生児では在胎週数、投与時の体重を考慮し、投与量や投与回数等を適宜調節すること。

  2. 9.7.2低出生体重児(未熟児)では、腎が発達段階にあるため血中濃度の半減期が延長し、高い血中濃度が長時間持続するおそれがある。

9.8 高齢者

次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

  1. 9.8.1生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。

  2. 9.8.2ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 利尿剤• フロセミド等 腎障害が発現、悪化するおそれがあるので、併用する場合には腎機能に注意すること。 機序は明確ではないが、利尿剤による細胞内への水分再吸収低下のため、尿細管細胞中の抗菌薬濃度が上昇するとの説がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 1〜5%未満
ALT上昇 5%以上
AST上昇 5%以上
BUN上昇 1〜5%未満
LAP上昇 1〜5%未満
γ-GTP上昇 1〜5%未満
カンジダ症 頻度不明
クレアチニン上昇 1〜5%未満
そう痒 1%未満
ビタミンB群欠乏症状(舌炎 頻度不明
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症 頻度不明
ヘマトクリット減少) 1〜5%未満
ヘモグロビン減少 1〜5%未満
下痢・軟便 1〜5%未満
乏尿 頻度不明
全身倦怠感 1%未満
出血傾向等) 頻度不明
口内炎 1%未満
口内炎 頻度不明
嘔吐 1%未満
増多 1〜5%未満
好酸球増多 1〜5%未満
尿アミラーゼ上昇 頻度不明
尿道異和感 1%未満
悪心 1%未満
発熱 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
発赤 1%未満
皮膚感覚異常感 1%未満
神経炎等) 頻度不明
腹部膨満感 1%未満
蕁麻疹 頻度不明
蛋白尿 1〜5%未満
血小板減少 1〜5%未満
血清アミラーゼ上昇 頻度不明
貧血(赤血球減少 1〜5%未満
頭重感 1%未満
顆粒球減少 頻度不明
顔面潮紅 1%未満
食欲不振 頻度不明
黄疸 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

細菌の細胞壁合成を阻害することにより抗菌作用を発揮し、作用は殺菌的である。ペニシリン結合蛋白(PBP)に結合親和性を有し、特にムレイン架橋酵素阻害作用を示すことにより抗菌力を示す。なお、フロモキセフナトリウムはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の主要な耐性機構の一つであるPBP-2'を誘導しにくい特徴を有する12),13)。

18.2 抗菌作用

フロモキセフナトリウムは試験管内では好気性・嫌気性を問わず、グラム陽性菌及びグラム陰性菌に幅広い抗菌スペクトルを有する。グラム陽性菌では、ブドウ球菌属、レンサ球菌属及び肺炎球菌に対し抗菌力を示す。グラム陰性菌では、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属及びインフルエンザ菌に対して抗菌力を示す。嫌気性菌では、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属(プレボテラ・ビビアを除く)に対し抗菌力を示す。また、各細菌が産生するβ-ラクタマーゼに安定である14),15)。

薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人4例に本剤0.5g(力価)及び22例に1.0g(力価)を単回静注したときの血清中濃度を図16-1、薬物動態パラメータを表16-1に示す2)。

記号 投与量〔g(力価)〕 例数 C5min※(μg/mL) T1/2(β)(min)
0.5 4 39.4 46.3
1 22 126.2 49.6

※:血清中濃度(投与5分値)

(測定法:bioassay)(平均値)

また、健康成人4例に本剤0.5g(力価)、25例に1.0g(力価)及び10例に2.0g(力価)を1時間かけて単回点滴静注したときの血清中濃度を図16-2、薬物動態パラメータを表16-2に示す2)。

記号 投与量〔g(力価)〕 例数 Cmax(μg/mL) T1/2(β)(min)
0.5 4 19.6 73.4
1 25 44.0 49.2
2 10 89.5 40.0

(測定法:bioassay)(平均値)

16.3 分布

  1. 16.3.1組織移行

胆汁2)、喀痰2)、腹腔内滲出液2)、骨盤死腔滲出液2)、胆嚢2)、子宮2)、子宮付属器2)、中耳粘膜3)、肺組織2)等への移行が認められた。

  1. 16.3.2乳汁中移行

産婦(5例)に本剤1g(力価)静注後の母乳中濃度は平均0.5μg/mL以下であった4)。

  1. 16.3.3蛋白結合率

限外ろ過法にて測定した血清蛋白結合率は35%であった5)。

16.4 代謝

生体内でわずかに代謝を受け、尿中に活性代謝物としてフロモキセフoxide及び非活性代謝物としてhydroxyethyl-tetrazolethiol(HTT)が確認されている6)。

16.5 排泄

主として腎から排泄され、健康成人での本剤0.5g(力価)(4例)、1g(力価)(4例)静注あるいは1g(力価)(13例)、2g(力価)(10例)1時間、0.5g(力価)(3例)、1g(力価)(4例)、2g(力価)(4例)2時間点滴静注後の尿中排泄率は、投与量に関係なく、2時間までに平均50~70%、12時間までに平均80~90%であった6)。

大部分(12時間で80~90%)が未変化体として尿中に排泄される。なお、代謝物であるフロモキセフoxide及びhydroxyethyl-tetrazolethiol(HTT)の24時間までの尿中回収率はそれぞれ0.1~0.3%、10~23%であった6)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

  2. (1)腎機能障害患者33例に本剤1g(力価)を静注した時の血清中濃度を図16-3、薬物動態パラメータを表16-3に示す。腎機能の低下に伴い、血中半減期の延長と尿中排泄遅延が認められる7),8),9)。

クレアチニンクリアランス(mL/min) 例数 T1/2(β)(hr)
1 Ccr<5 3 9.62
2 5≦Ccr≦20 4 6.95
3 20<Ccr≦40 10 2.48
4 40<Ccr≦70 10 1.57
5 70<Ccr 6 1.31

(測定法:bioassay、HPLC)(平均値)

  1. (2)血液透析患者5例に本剤1g(力価)を非透析時と血液透析時に静注した時の血清中濃度及び薬物動態パラメータを図16-4に示す9)。

  2. 16.6.2小児等

  3. (1)腎機能正常小児26例に本剤20mg(力価)/kg及び10例に40mg(力価)/kgを静注したときの血清中濃度を図16-5、薬物動態パラメータを表16-4に示す2)。

記号 投与量〔mg(力価)/kg〕 例数 年齢(歳) C15min※(μg/mL) T1/2(β)(min)
20 26 7.8 49.5 48.0
40 10 5.8 89.6 73.8

※:血清中濃度(投与15分値)

(測定法:bioassay)(平均値)

また、腎機能正常小児12例に本剤20mg(力価)/kg及び6例に40mg(力価)/kgを30分かけて点滴静注したときの血清中濃度を図16-6、薬物動態パラメータを表16-5に示す2)。

記号 投与量〔mg(力価)/kg〕 例数 年齢(歳) Cmax(μg/mL) T1/2(β)(min)
20 12 8.6 52.0 48.6
40 6 8.7 119.2 61.2

(測定法:bioassay)(平均値)

  1. (2)低出生体重児(未熟児)19例に本剤20mg(力価)/kgを静注したときの血漿中濃度を図16-7、薬物動態パラメータを表16-6に示す10)。
記号 日齢(日) 例数 C15min※(μg/mL) T1/2(β)(hr)
0~3 6 54.0 4.28
4~7 6 54.6 2.27
8~28 7 55.5 3.02

※:血漿中濃度(投与15分値)

(測定法:bioassay)(平均値)

  1. (3)新生児52例に本剤20mg(力価)/kgを静注したときの血漿中濃度を図16-8、薬物動態パラメータを表16-7に示す10)。
記号 日齢(日) 例数 C15min※(μg/mL) T1/2(β)(hr)
0~3 14 54.4 2.99
4~7 14 51.4 2.32
8~28 24 50.7 1.79

※:血漿中濃度(投与15分値)

(測定法:bioassay)(平均値)