Clinical snapshot

フォリスチム注900IUカートリッジ

フォリトロピンベータ(遺伝子組換え)

添付文書改訂 2024年01月01日

【警告】

本剤を用いた不妊治療により、脳梗塞、肺塞栓を含む血栓塞栓症等を伴う重篤な卵巣過剰刺激症候群があらわれることがある。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1エストロゲン依存性悪性腫瘍(例えば、乳癌、子宮内膜癌)及びその疑いのある患者、卵巣、下垂体又は視床下部に腫瘍のある患者[腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すおそれがある。]

  2. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  3. 2.3診断の確定していない不正出血のある患者[悪性腫瘍の疑いがある。]

  4. 2.4本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  5. 2.5多囊胞性卵巣症候群に起因しない卵巣囊胞又は卵巣腫大のある患者[卵胞刺激作用によりその症状を悪化させることがある。]

  6. 2.6活動性の血栓塞栓性疾患の患者[症状が悪化するおそれがある。]

  7. 2.7十分にコントロールされていない甲状腺又は副腎機能不全の患者[症状を悪化させることがある。]

効能・効果

  • 生殖補助医療における調節卵巣刺激

  • 視床下部-下垂体機能障害に伴う無排卵及び希発排卵における排卵誘発

用法・用量

  • 〈生殖補助医療における調節卵巣刺激〉

フォリトロピンベータ(遺伝子組換え)として通常1日150又は225国際単位を4日間皮下又は筋肉内投与する。その後は卵胞の発育程度を観察しながら用量を調整し(通常75~375国際単位を6~12日間)、卵胞が十分に発育するまで継続する。

  • 〈視床下部-下垂体機能障害に伴う無排卵及び希発排卵における排卵誘発〉

フォリトロピンベータ(遺伝子組換え)として通常1日50国際単位を7日間皮下又は筋肉内投与する。その後は卵胞の発育程度を観察しながら用量を調整し(卵巣の反応性が低い場合は、原則として、7日間ごとに25国際単位を増量)、卵胞の十分な発育が確認された後、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン製剤等により排卵を誘起する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤は不妊治療に十分な知識と経験のある医師のもとで使用すること。本剤投与により予想されるリスク及び注意すべき症状について、あらかじめ患者に説明を行うこと。

  2. 8.2本剤を用いた不妊治療により、卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあるので、以下のモニタリングを実施すること。

  • 一般不妊治療においては、本剤投与中及び排卵誘発に使用する薬剤[ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)等]投与前の超音波検査による卵巣反応

  • 生殖補助医療においては、本剤投与中及び卵胞の最終成熟に使用する薬剤(hCG等)投与前の超音波検査及び血清エストラジオール濃度の測定による卵巣反応

  • 患者の自覚症状(下腹部痛、下腹部緊迫感、悪心、腰痛等)

  • 急激な体重増加

  • 超音波検査等による卵巣腫大

なお、卵巣過剰刺激症候群のリスク因子として、多嚢胞性卵巣症候群、若年、やせ、血清抗ミュラー管ホルモン高値、卵巣過剰刺激症候群の既往、血清エストラジオール高値、発育卵胞数の高値等が知られているので、卵巣過剰刺激症候群のリスク因子を有する患者への対応は慎重に行うこと。 卵巣過剰刺激症候群の徴候が認められた場合には、本剤の投与中断などを行うとともに、少なくとも4日間は性交を控えるように患者に指導すること。また、卵胞の最終成熟又は排卵誘発の延期や中止等の要否を含め実施中の不妊治療の継続の可否を慎重に判断すること。卵巣過剰刺激症候群は、本剤投与中だけではなく、本剤投与後に発現し、軽症又は中等症であっても急速に進行して重症化することがあるため、本剤の最終投与後も少なくとも2週間の経過観察を行い、卵巣過剰刺激症候群の重症度に応じた適切な処置を行うこと。なお、卵巣過剰刺激症候群は、妊娠によって重症化し、長期化することがあることにも留意すること。

  1. 8.3患者に対しては、あらかじめ以下の点を説明すること。
  • 卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあるので、自覚症状(下腹部痛、下腹部緊迫感、悪心、腰痛等)や急激な体重増加が認められた場合には直ちに医師等に相談すること。

  • 一般不妊治療においては、卵巣過剰刺激の結果として多胎妊娠の可能性があること。

  1. 8.4体外受精・胚移植などの生殖補助医療を受ける不妊女性では、異所性妊娠の可能性が高くなる。

  2. 8.5卵巣刺激を受けている女性では一般女性よりも流産率が高い。

  3. 8.6在宅自己注射(皮下注射)を行う場合は、患者に投与法及び安全な廃棄方法の指導を行うこと。

  4. 8.6.1自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、投与する際の操作方法を指導すること。適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な場合には、直ちに自己投与を中止させるなど適切な処置を行うこと。

  5. 8.6.2使用済みの注射針あるいはカートリッジを再使用しないように患者に注意を促すこと。

  6. 8.6.3全ての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。同時に、使用済みの針及びカートリッジを廃棄する容器を提供することが望ましい。

  7. 8.6.4在宅自己注射を行う前に、本剤専用のペン型注入器の取扱説明書を必ず読むよう指導すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1子宮筋腫のある患者

子宮筋腫の発育を促進するおそれがある。

  1. 9.1.2子宮内膜症のある患者

症状が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.3未治療の子宮内膜増殖症のある患者

子宮内膜増殖細胞異型を伴う場合がある。

  1. 9.1.4乳癌の既往歴のある患者

乳癌が再発するおそれがある。

  1. 9.1.5乳癌家族素因が強い患者、乳房結節のある患者、乳腺症の患者又は乳房レントゲン像に異常がみられた患者

症状が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.6本人及び家族の既往歴等の一般に血栓塞栓症発現リスクが高いと認められる患者

本剤の投与の可否については、本剤が血栓塞栓症の発現リスクを増加させることを考慮して判断すること。なお、妊娠自体によっても血栓塞栓症のリスクは高くなることに留意すること。

  1. 9.1.7ストレプトマイシンやフラジオマイシンに感受性を持つ患者

本剤の投与を避けること。本剤の製造工程において使用しているストレプトマイシン及びフラジオマイシンが微量に残存している可能性があり、過敏症を引き起こす可能性がある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。他の遺伝子組換えヒト卵巣刺激ホルモン製剤において、動物実験(ラット)で、分娩障害、妊娠期間の延長、吸収胚数の増加及び出生率の低下が認められている。また、動物実験(ウサギ)で、流産、着床後死亡率の増加が認められている。しかし、両種の動物実験で、催奇形性は認められていない。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト卵胞刺激ホルモン(FSH)は乳汁中に移行することから、本剤も乳汁中に移行する可能性がある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
排卵誘発及び卵胞の最終成熟に使用する薬剤
• ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン製剤等
卵巣過剰刺激症候群があらわれることがある。 卵巣への過剰刺激に伴う過剰なエストロゲン分泌により、血管透過性が亢進される。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
かゆみ 頻度不明
下痢 頻度不明
下腹部痛 頻度不明
不正子宮出血 頻度不明
乳房圧痛 頻度不明
乳房痛 頻度不明
便秘 頻度不明
卵巣囊胞 頻度不明
卵巣捻転 頻度不明
卵巣腫大 頻度不明
嘔気 頻度不明
子宮肥大 頻度不明
挫傷 頻度不明
注射部疼痛 1%未満
発赤 頻度不明
腟出血 頻度不明
腫脹 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹痛(産婦人科系) 1%未満
腹部不快感 頻度不明
腹部腫脹 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
頭痛 1%未満
骨盤痛 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

FSHは、顆粒膜細胞に発現するFSH受容体に結合してエストロゲンの合成を促進し、卵胞の発育及び卵母細胞の成熟に寄与する。

18.2 FSH受容体結合能及びアロマターゼ活性化作用

仔ウシ精巣膜のFSH受容体標本への下垂体由来ヒトFSH(125I-h FSH)結合を濃度依存的に阻害し、FSH受容体に対する結合親和性を示した。幼若ラットのセルトリ細胞及び顆粒膜細胞のアロマターゼを濃度依存的に活性化し、性ステロイド代謝を亢進させた。なお、これらのFSH受容体結合能及びアロマターゼ活性化作用は、ヒト尿由来卵胞刺激ホルモンと同等であった12),13)。

18.3 卵胞発育促進及び卵巣重量増加作用

下垂体切除幼若ラットで卵巣内エストラジオール含量の増加を伴う卵胞径の増大や卵胞数の増加などの卵胞発育促進作用とともに、卵巣重量の用量依存的な増加作用が認められた14)。また、卵巣重量の増加作用は、ヒト尿由来卵胞刺激ホルモンと同等であった12)。

薬物動態

16.1 血中濃度

内因性ゴナドトロピン欠乏の健康な日本人女性及び外国人女性に本剤300国際単位を単回筋肉内投与した後の、日本人女性における血清中FSH値推移を下図に、日本人女性及び外国人女性における薬物動態パラメータを下表に示した。また、日本人女性(体重40.7±10.6kg)に75、150及び225国際単位を1週間ごと反復漸増投与した場合、最低血清中FSH値はそれぞれ6.2±1.4、13.1±5.2、20.3±7.2IU/Lであり、投与量に比例して増加した。 高用量経口避妊薬投与によるゴナドトロピン抑制下の健康な女性に本剤75、150及び225国際単位を7日間反復皮下投与あるいは150国際単位を7日間反復筋肉内投与した場合、投与5日目より定常状態に達し、この時の最低血清中FSH値はそれぞれ3.34±0.37IU/L(体重65.9±4.2kg)、6.57±0.71IU/L(体重64.2±4.7kg)、10.50±1.68IU/L(体重61.4±7.3kg)、6.09±0.84IU/L(体重64.8±7.1kg)であった9)(外国人データ)。血清中FSH値は、外国人女性と比較し日本人女性で高値を示す傾向が認められ、体重の差に起因するものと考えられた。

日本人(n=5) 外国人(n=8)
Cmax(IU/L) 6.8±3.3 4.3±1.7
tmax(h) 23.2±16.0 26.9±5.4
AUC0-∞(IU・h/L) 544±201 339±105
t1/2(h) 38.4±18.3 43.9±14.3
CL(L/h/kg) 0.013±0.002 0.014±0.002
体重(kg) 47.0±11.5 67.4±13.5

(値は平均値±標準偏差)

図 日本人女性における単回筋肉内投与後の血清中FSH値推移

16.2 吸収

高用量経口避妊薬投与によるゴナドトロピン抑制下の健康な女性に本剤300国際単位を皮下あるいは筋肉内投与した場合、両投与経路で薬物動態はほぼ同様であり、バイオアベイラビリティは約77%であった10)(外国人データ)。