- 〈適応菌種〉
セフィデロコルに感性の大腸菌、シトロバクター属、肺炎桿菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア・マルセスセンス、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、緑膿菌、バークホルデリア属、ステノトロホモナス・マルトフィリア、アシネトバクター属
ただし、カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す菌株に限る。
- 〈適応症〉
各種感染症
セフィデロコルトシル酸塩硫酸塩水和物
本剤の耐性菌の発現を防ぐため、「8.重要な基本的注意」の項を熟読の上、適正使用に努めること。
2.1本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
2.2他のβ-ラクタム系抗生物質に対し重篤な過敏症(アナフィラキシー等の重度の全身性アレルギー反応)の既往歴のある患者
セフィデロコルに感性の大腸菌、シトロバクター属、肺炎桿菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア・マルセスセンス、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、緑膿菌、バークホルデリア属、ステノトロホモナス・マルトフィリア、アシネトバクター属
ただし、カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す菌株に限る。
各種感染症
通常、成人には、セフィデロコルとして1回2gを8時間ごとに3時間かけて点滴静注する。なお、腎機能に応じて適宜増減する。
感染症の治療に十分な知識と経験を持つ医師又はその指導の下で行うこと。
使用にあたっては、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
8.2*本剤の使用にあたっては、抗微生物薬適正使用の観点から、「抗微生物薬適正使用の手引き」1)を参照すること。
8.3本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
痙攣、意識障害等の中枢神経症状が起こるおそれがある。
9.1.2β-ラクタム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
9.1.3本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者
9.1.4経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者
観察を十分に行うこと。他の抗生物質でビタミンK欠乏症状があらわれたことが報告されている。
本剤は腎排泄型の薬剤であり、高い血漿中濃度が持続するおそれがある。
減量等を考慮すること。
3~4時間の血液透析によって約60%の血漿中セフィデロコルが除去された2)(外国人データ)。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎盤への移行が報告されている。
授乳中の女性には、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
高齢者では生理機能が低下していることが多く、副作用が発現しやすいため、腎機能等の患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
他の抗生物質を投与した高齢者において、ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれたとの報告がある。
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALT上昇 | 頻度不明 |
| AST上昇 | 1%未満 |
| γ-GTP上昇 | 頻度不明 |
| カンジダ症 | 1%未満 |
| そう痒 | 1%未満 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 咳嗽 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 1%未満 |
| 好酸球増多 | 頻度不明 |
| 悪心 | 1%未満 |
| 疼痛・紅斑・静脈炎等の注射部位反応 | 1%未満 |
| 発疹 | 1%未満 |
| 着色尿 | 頻度不明 |
| 肝機能異常 | 1%未満 |
セフィデロコルは3位側鎖に3価鉄と結合できるシデロフォア構造を有するセファロスポリンであり、ポーリンチャネルを介する受動拡散と、鉄取り込み系を介する能動輸送により外膜からペリプラズム内に取り込まれ、ペニシリン結合蛋白に結合することで細胞壁合成を阻害する。本薬はAmblerクラスA~Dのβ-ラクタマーゼに対する安定性を有する15)。
セフィデロコルは大腸菌、シトロバクター属、肺炎桿菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア・マルセスセンス、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、緑膿菌、バークホルデリア属、ステノトロホモナス・マルトフィリア、アシネトバクター属に抗菌活性を示す。
基質拡張型β-ラクタマーゼ(TEM、SHV、CTX-M、OXA)、セリン型カルバペネマーゼ(KPC、OXA、GES)、メタロ型カルバペネマーゼ(IMP、VIM、NDM)の産生、AmpC高産生、ポーリン欠損や排出ポンプの産生亢進によるカルバペネム耐性及び多剤耐性を呈する緑膿菌並びにアシネトバクター属、広域スペクトルセファロスポリン耐性及びカルバペネム耐性腸内細菌目細菌に対して、セフィデロコルは抗菌活性を示す15),16)。
なお、セフィデロコルは、グラム陽性菌及び嫌気性グラム陰性菌に対しては十分な抗菌活性を有していない。
健康成人6例に100mg注1)、250mg注1)、500mg注1)、1g注1)、2gを1時間注1)かけて単回点滴静注したときの血漿中濃度3)を図16-1に、2gを単回又は8時間ごとに反復点滴静注したときの薬物動態パラメータ3),4)を表16-1に示す。Cmax及びAUCは用量比例的に増大した。反復投与での体内動態は単回投与時とほとんど変わらず、蓄積性は認められなかった(外国人データを含む)。
| 投与量 (g) |
点滴時間 (hr) |
例数 | Cmax (μg/mL) |
AUC (μg・hr/mL) |
T1/2 (hr) |
|---|---|---|---|---|---|
| 単回投与 | |||||
| 2 | 1注 | 6※1 | 156 (7.9) | 389.7 (9.0) | 2.74 (10.2) |
| 2 | 3 | 43※2 | 89.7 (20.5) | 386.1 (17.2) | 2.41 (14.0) |
| 反復投与(10日目) | |||||
| 2 | 1注 | 8※3 | 153 (12.9) | 366.5 (14.0) | 2.72 (21.6) |
※1:日本人データ
※2:外国人データ
※3:日本人6例及び外国人2例
(測定法:LC/MS/MS)(幾何平均値[%幾何変動係数])
ヒト血漿蛋白結合率は、1~1000μg/mLの濃度範囲において40.8~60.4%であった5)(in vitro試験)。健康成人43例にセフィデロコル2gを3時間かけて単回点滴静注したときの終末相における分布容積の幾何平均(%幾何変動係数)は18.0L(18.1%)であった。
人工呼吸器を装着している肺炎患者7例に、セフィデロコル2g(又は腎機能に応じた用量)を8時間ごと、あるいは腎機能が亢進している患者では6時間ごとに3時間点滴静注したときの気道上皮被覆液中濃度は、点滴開始3時間後(点滴終了時)で3.10~20.7μg/mL、点滴開始5時間後(点滴終了2時間後)で7.19~15.9μg/mLであった。
健康成人男性6例に[14C]-セフィデロコル1g注1)を1時間かけて注1)単回点滴静注したとき、血漿中では主にセフィデロコル未変化体が検出された(総放射能AUCの92.3%)6)(外国人データ)。
健康成人男性6例に[14C]-セフィデロコル1g注1)を1時間かけて注1)単回点滴静注したとき、投与された放射能の98.6%及び2.8%がそれぞれ尿中及び糞中に排泄され、未変化体尿中排泄率は90.6%であった7)(外国人データ)。
腎機能正常患者、軽度、中等度及び高度腎機能障害患者並びに血液透析を必要とする末期腎不全患者にセフィデロコル1g注1)を1時間かけて注1)単回点滴静注したとき、表16-2に示すとおり本薬のAUCは腎機能の程度に応じて増大した2)。持続的腎代替療法施行時の膜透過クリアランスは、in vitro透析実験においてろ過液又は透析液の流入速度に依存した8)。持続的腎代替療法施行中の患者において本薬の曝露量が低下する恐れがある。
| 腎機能の程度 (推算糸球体ろ過量) (mL/min/1.73m2) |
例数 | AUC0-inf(μg・hr/mL) | |
|---|---|---|---|
| 幾何平均値 | 腎機能正常被験者との比 [90%信頼区間] |
||
| 腎機能正常被験者 | 8 | 213.4 | |
| 軽度腎機能障害被験者 (60以上90未満) |
8 | 218.7 | 1.025 [0.817, 1.287] |
| 中等度腎機能障害被験者 (30以上60未満) |
7 | 312.3 | 1.464 [1.157, 1.852] |
| 高度腎機能障害被験者 (15以上30未満) |
6 | 543.2 | 2.546 [1.992, 3.254] |
| 末期腎不全被験者 (血液透析後投与) |
8 | 880.7 | 4.128 [3.289, 5.181] |
母集団薬物動態解析9),10)の結果を基に、国際共同第Ⅲ相院内肺炎患者対象試験における腎クリアランス亢進患者(Ccr≧120mL/min)及び腎機能正常患者(90≦Ccr<120mL/min)のセフィデロコルの全身クリアランス(CL)推定値を表16-3に示す。腎クリアランス亢進患者でCLの増大が認められた。
| Ccr(mL/min) | 例数 | CL(L/hr)※1 |
|---|---|---|
| 120≦Ccr | 19 | 6.46(38.0) |
| 90≦Ccr<120 | 27 | 4.48(66.0) |
※1:ベイジアン推定による幾何平均値(%幾何変動係数)
セフィデロコルは、本剤の用法・用量で投与したときの濃度においてOAT1、OAT3、及びMATE2-Kを阻害した(in vitro試験)。
健康成人を対象に薬物相互作用を検討した。併用薬の薬物動態に及ぼすセフィデロコルの影響を表16-4に示す11),12)(外国人データ)。
表16-4 併用薬の薬物動態に及ぼすセフィデロコルの影響
| 併用薬 | 用法・用量 | 例数 (併用投与/単独投与) |
併用薬の薬物動態 パラメータの比 [90%信頼区間] (併用投与/単独投与) |
||
|---|---|---|---|---|---|
| 併用薬 | 本剤 | Cmax | AUC0-inf | ||
| フロセミド (OAT1及びOAT3基質) |
20mg 単回 |
2gを8時間ごとに3時間点滴静注 | 12/12 | 1.00 [0.71, 1.42] |
0.92 [0.73, 1.16] ※1 |
| メトホルミン (OCT1、OCT2、MATE1及びMATE2-K基質) |
1g 単回 |
12/13 | 1.09 [0.92, 1.28] |
1.03 [0.93, 1.15] |
|
| ロスバスタチン (BCRP、OATP1B1及びOATP1B3基質) |
10mg 単回 |
12/12 | 1.28 [1.12, 1.46] |
1.21 [1.08, 1.35] ※2 |
|
| ミダゾラム (CYP3A基質) |
5mg 単回 |
12/14 | 1.09 [0.97, 1.21] |
1.12 [0.99, 1.28] |
※1:単独投与のAUC0-infは10例、併用投与のAUC0-infは11例
※2:単独投与のAUC0-infは10例
注1)承認された用法・用量は、「通常、成人には、セフィデロコルとして1回2gを8時間ごとに3時間かけて点滴静注する。なお、腎機能に応じて適宜増減する」である。