Clinical snapshot

フェソロデックス筋注250mg

フルベストラント注射剤

添付文書改訂 2025年07月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  2. 2.2授乳婦

  3. 2.3本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

乳癌

用法・用量

*通常、成人には本剤2筒(フルベストラントとして500mg含有)を、初回、2週後、4週後、その後4週ごとに1回、左右の臀部に1筒ずつ筋肉内投与する。なお、閉経前乳癌に対しては、LH-RHアゴニスト投与下で他の抗悪性腫瘍剤と併用すること。

使用上の注意

  1. 8.1*本剤の特性ならびに使用経験がないことを考慮して、LH-RHアゴニスト投与下での他の抗悪性腫瘍剤との併用療法を除き、閉経前患者への使用は避けること。

  2. 8.2本剤は内分泌療法剤であり、がんに対する薬物療法について十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤による治療が適切と判断される患者についてのみ使用すること。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重度の腎機能障害のある患者

重度の腎機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1肝機能障害のある患者

血中濃度が上昇するおそれがある。なお、Child-Pugh分類クラスCの肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.4 生殖能を有する者

*妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後2年間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット及びウサギ)において、胎児における着床後死亡率の高値、胎児体重の低値及び骨格異常、母動物において妊娠維持及び分娩への障害等の生殖毒性が認められている。

9.6 授乳婦

授乳婦には投与しないこと。動物実験(ラット)において乳汁移行が認められており、母体の乳汁中薬物濃度が血漿中濃度よりも高く検出されている。また、動物実験(ラット)で授乳期に本剤を投与した場合、出生児において生存率の低値等が認められている。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
インフルエンザ 頻度不明
インフルエンザ様疾患 頻度不明
おくび 1%未満
そう痒症 頻度不明
ほてり 頻度不明
めまい 頻度不明
下痢 頻度不明
不眠症 頻度不明
乳房不快感 1%未満
乳房痛 頻度不明
便秘 1%未満
出血 頻度不明
卵巣腫大 1%未満
呼吸困難 1%未満
咳嗽 頻度不明
嘔吐 1%未満
嚥下障害 頻度不明
坐骨神経痛 頻度不明
外陰腟そう痒症 頻度不明
多汗症 1%未満
尿路感染 頻度不明
悪心 頻度不明
感覚異常 頻度不明
気分変調 1%未満
注射部位反応(硬結注1) 頻度不明
流涎過多 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 1%未満
無力症 頻度不明
爪痛 頻度不明
狭心症 頻度不明
疼痛 頻度不明
発熱 1%未満
発疹 頻度不明
白内障 1%未満
眼乾燥 頻度不明
筋力低下 1%未満
筋肉痛 頻度不明
筋骨格痛 頻度不明
筋骨格硬直 1%未満
耳不快感 1%未満
胆石症 頻度不明
背部痛 頻度不明
脱毛症 頻度不明
腋窩痛 頻度不明
腟出血 1%未満
腟感染 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
膿瘍等) 頻度不明
血小板数減少 1%未満
血腫 頻度不明
血腫 頻度不明
貧血 1%未満
過敏反応(蕁麻疹等) 頻度不明
適応障害 1%未満
重感 頻度不明
間質性肺疾患 頻度不明
関節痛 頻度不明
非心臓性胸痛 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲不振 頻度不明
骨折 頻度不明
骨痛 頻度不明
骨粗鬆症 1%未満
高コレステロール血症 1%未満
高トリグリセリド血症 1%未満
高血圧 1%未満
高血糖 頻度不明
鼓腸放屁 頻度不明
鼻出血 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

フルベストラントは、主にエストロゲン受容体(ER)の分解を促進すること7)により、エストロゲンのERへの結合を阻害するステロイド性抗エストロゲン剤であると考えられる。なお、フルベストラントは、ラットで子宮重量増加作用及び骨密度に対する影響を示さなかった8),9)等から、アゴニスト様作用を示さずに乳癌細胞の増殖を抑制すると考えられる。

18.2 抗エストロゲン作用

フルベストラントは、ERへのエストラジオールの結合を競合的に阻害した10)。また、フルベストラントはエストロゲン又はタモキシフェンによる子宮重量増加作用をマウス、ラット及びサルで抑制した8),10),11)。

18.3 細胞増殖阻害作用

閉経後原発性乳癌患者を対象とした臨床試験で、フルベストラント投与により、乳癌組織中のKi67、ER及びプロゲステロン受容体の発現が低下した12)。

18.4 抗腫瘍効果

フルベストラントは、エストロゲン感受性ヒト乳癌細胞株(MCF-7)のin vitroでの増殖、及びヌードマウスに移植したヒト乳癌由来腫瘍(MCF-7及びBr10)の増殖を抑制した10)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

閉経後健康女性に本剤25~250mg注2)を単回筋肉内投与したときの血漿中フルベストラント濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。単回投与後2~9日にCmaxが認められ、その後は二相性の消失を示して、半減期は35~38日であった。また、血漿中濃度は投与量にほぼ比例して増加した。

血漿中フルベストラント濃度推移 (算術平均値±標準偏差、n=5)

用量
(mg)
Cmax
(ng/mL)
tmaxa)
(日)
t1/2b)
(日)
AUC0-27d
(µg·h/mL)
AUC0-∞
(µg·h/mL)
25 1.26±0.36 6(2~9) NCc) 0.48±0.11 NCc)
50 2.58±0.42 6(3~9) NCc) 0.97±0.12 NCc)
125 4.56±1.72 6(3~9) 35.4±12.5 1.75±0.48 3.00±0.61
250 10.6±4.32 6(3~6) 38.3±5.12 4.03±1.51 7.85±2.42

a) 中央値(範囲)

b) 投与後27~83日の血漿中濃度推移から算出した半減期

c) NC:算出できず(定量限界:0.25ng/mL)

  1. 16.1.2反復投与

閉経後乳癌患者24例に本剤1回500mgを反復筋肉内投与(初回、2週後、4週後、その後4週ごとに1回)し、得られた140時点の血漿中フルベストラント濃度を基に一次吸収を伴う2-コンパートメントモデルによる母集団薬物動態解析を実施して薬物動態パラメータを推定した(下表)。投与1カ月目のCmax、Cmin及びAUC0-τは投与3カ月目と比べて高いか同程度であり、投与1カ月目で定常状態に達していると考えられた1)。

試験 評価時期 n Cmax
(ng/mL)
tmaxa)
(日)
Cminb)
(ng/mL)
AUC0-τ
(µg·h/mL)
第II相
試験
1カ月目 24 28.7(27.0) 3.9
(3.6~4.4)
17.8(19.2) 13.0(25.9)
3カ月目 20 29.4(23.8) 4.2
(3.9~4.5)
11.4(18.2) 13.3(20.6)

a) 中央値(範囲)

b) 投与後28日の血漿中濃度(投与1カ月目は初回投与後28日)

16.3 分布

閉経後健康女性6例にフルベストラント10mg注2)を静脈内投与したときの分布容積(Vss)は4.1±1.6L/kgであった(外国人のデータ)。フルベストラント(10µg/mL)のin vitro血漿蛋白結合率は98.8%であり、主な結合蛋白はリポ蛋白であった。

16.4 代謝

糞中代謝物の分析結果から、主な代謝経路はスルホン体への酸化、17-酸化、硫酸抱合化及びグルクロン酸抱合化であると考えられた(外国人のデータ)2)。In vitro代謝試験において、フルベストラントのスルホン体への代謝に関与する主なP450分子種はCYP3A4であった。

16.5 排泄

健康成人7例(男性4例、閉経後女性3例)に14C-フルベストラント18mg注2)を単回筋肉内投与(本剤とは異なる速放性製剤)したところ、投与後21日目までに、放射能の91.1%が糞中に、0.6%が尿中に排泄された(外国人のデータ)2)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害

閉経後乳癌患者において、フルベストラントの全身クリアランス(CL/F)とクレアチニンクリアランス(CLCR)との間に明らかな相関関係は認められず、CLCRが30mL/min以上の範囲ではフルベストラントの体内動態は腎機能障害の影響を受けないと考えられた(外国人のデータ)。

  1. 16.6.2肝機能障害

健康成人、並びにChild-Pugh分類クラスA及びBの肝機能障害患者各7例にフルベストラント100mg(本剤とは異なる速放性製剤)注2)を単回筋肉内投与したとき、Child-Pugh A群及びB群のAUC0-tは、それぞれ健康成人群の1.2倍及び1.8倍高値であり、肝機能障害の影響によってフルベストラントの全身クリアランス(CL/F)はそれぞれ健康成人群の83%及び60%に低下した。なお、Child-Pugh分類クラスCの肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない(外国人のデータ)。

母集団薬物動態モデルによるシミュレーションの結果、肝機能障害のない患者への500mg投与との比較において、Child-Pugh分類クラスBの肝機能障害患者への本剤500mg反復筋肉内投与6カ月目のCmax、Cmin及びAUC0-τは1.3~1.7倍に上昇し、1回投与量を250mgに減量した場合は65~85%に低下した。

注2)本剤の承認用量及び用法は「本剤2筒(フルベストラントとして500mg)を2週ごとに1回、4週以降は4週ごとに1回筋肉内投与」である。