Clinical snapshot

フィニバックス点滴静注用0.5g

ドリペネム水和物

添付文書改訂 2020年12月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2バルプロ酸ナトリウムを投与中の患者

効能・効果

  • 〈適応菌種〉

ドリペネムに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属(エンテロコッカス・フェシウムを除く)、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属

  • 〈適応症〉

敗血症、感染性心内膜炎、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、関節炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、複雑性膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎、化膿性髄膜炎、眼窩感染、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、眼内炎(全眼球炎を含む)、中耳炎、顎骨周辺の蜂巣炎、顎炎

用法・用量

通常、成人にはドリペネムとして1回0.25g(力価)を1日2回又は3回、30分以上かけて点滴静注する。 なお、年齢・症状に応じて適宜増減するが、重症・難治性感染症には、1回0.5g(力価)を1日3回投与し、増量が必要と判断される場合に限り1回量として1.0g(力価)、1日量として3.0g(力価)まで投与できる。 通常、小児にはドリペネムとして1回20mg(力価)/kgを1日3回、30分以上かけて点滴静注する。 なお、年齢・症状に応じて適宜増減するが、重症・難治性感染症には、1回40mg(力価)/kgまで増量することができる。ただし、投与量の上限は1回1.0g(力価)までとする。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

  2. 8.2本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。

  3. 8.2.1事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。

  4. 8.2.2投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。

  5. 8.2.3投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。

  6. 8.3発疹等の副作用の発現には特に注意し、症状が発現した時には、他剤に切り替えるなど適切な処置を講じること。なお、継続使用にあたっても、引き続き副作用症状に注意すること。

  7. 8.4肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。

  8. 8.5急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。

  9. 8.6汎血球減少症、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少、溶血性貧血があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  • 〈製剤共通〉
  1. 9.1.1カルバペネム系、ペニシリン系又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)

  2. 9.1.2本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者

  3. 9.1.3経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者

観察を十分に行うこと。ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。

  1. 9.1.4てんかんの既往歴あるいは脳血管障害等の中枢神経障害を有する患者

痙攣、意識障害等の中枢神経症状が起こりやすい。

  • 〈キット点滴静注用0.25g〉(生理食塩液に関する注意)
  1. 9.1.5心臓、循環器系機能障害のある患者

ナトリウムの負荷及び循環血液量を増すことから心臓に負担をかけ、症状が悪化するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  • 〈製剤共通〉
  1. 9.2.1高度の腎機能障害のある患者

  2. (1)投与量を減らすか、投与間隔をあけるなど患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。腎機能低下に伴い、血中からの消失が遅延する。

  3. (2)痙攣、意識障害等の中枢神経症状が起こりやすい。

  4. 9.2.2軽度又は中等度の腎障害のある患者

痙攣、意識障害等の中枢神経症状が起こりやすい。

  • 〈キット点滴静注用0.25g〉(生理食塩液に関する注意)
  1. 9.2.3水分、塩化ナトリウムの過剰投与に陥りやすく、症状が悪化するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

肝障害が悪化するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物試験(ラット)で母乳中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

  1. 9.8.1用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は腎排泄型の薬剤であり、高齢者では一般に生理機能が低下していることが多い。

  2. 9.8.2ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• バルプロ酸ナトリウム• デパケン、バレリン等 バルプロ酸の血中濃度が低下し、てんかんの発作が再発するおそれがある。 機序は不明である。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 頻度不明
ALT上昇 5%以上
AST上昇 5%以上
BUN上昇 頻度不明
LAP上昇 頻度不明
LDH上昇 頻度不明
γ-GTP上昇 頻度不明
カンジダ症注1) 頻度不明
しびれ感 頻度不明
そう痒 頻度不明
ビタミンB群欠乏症状(舌炎 頻度不明
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症 頻度不明
ビリルビン上昇 頻度不明
ヘマトクリット減少) 頻度不明
ヘモグロビン減少 頻度不明
ほてり 頻度不明
下痢 頻度不明
倦怠感 頻度不明
出血傾向等) 頻度不明
口内炎 頻度不明
口内炎 頻度不明
嘔吐 頻度不明
嘔気 頻度不明
好塩基球増多 頻度不明
好酸球増多 頻度不明
振戦 頻度不明
注射部位血管痛 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
発赤 頻度不明
神経炎等)注1) 頻度不明
胃不快感 頻度不明
腹痛 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血小板増多 頻度不明
血小板減少 頻度不明
血清カリウム上昇 頻度不明
血清クレアチニン上昇注1) 頻度不明
血清クロール)注1) 頻度不明
血清ナトリウム 頻度不明
貧血(赤血球減少 頻度不明
電解質異常(血清カリウム 頻度不明
頭痛 頻度不明
顆粒球減少 頻度不明
食欲不振 頻度不明
食欲不振注1) 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

細菌の細胞壁合成酵素であるペニシリン結合蛋白質(PBP)に結合し、細菌の細胞壁合成阻害により抗菌作用を発揮し、その作用は殺菌的である。 黄色ブドウ球菌ではPBP1に、緑膿菌ではPBP2、3に、大腸菌ではPBP2に高い結合親和性を示した16)(in vitro試験)。

18.2 抗菌作用

好気性のグラム陽性菌、グラム陰性菌及び嫌気性菌に対して、幅広い抗菌スペクトルを有し、特に緑膿菌に対しては既存のカルバペネム系抗生物質に比べ強い抗菌力を有する16)(in vitro試験)。

薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人男性各6例に0.25g(力価)、0.5g(力価)及び1.0g(力価)を30分かけて単回点滴静注したときの血漿中濃度を図16-1に、薬物動態パラメータを表16-1に示す。反復投与での体内動態は単回投与時とほとんど変わらなかった3)。

投与量
〔g(力価)〕
例数 Cmax
(μg/mL)
AUC0-12
(μg・hr/mL)
T1/2(β)
(hr)
0.25 6 18.1±1.9 20.26±3.48 0.90±0.08
0.5 6 33.1±4.8 34.38±2.23 0.86±0.04
1.0 6 63.0±5.1 75.52±5.89 0.98±0.09

(測定法:bioassay)(平均値±標準偏差)

16.3 分布

  1. 16.3.1組織移行

皮膚組織、関節液、滑膜、海綿骨、皮質骨、喀痰、前立腺組織、胆汁、胆嚢、腹腔内滲出液、子宮・子宮付属器、骨盤死腔液、前房水、中耳粘膜、口蓋扁桃、中耳分泌物、歯肉、嚢胞、髄液への移行が認められた4),5)。

  1. 16.3.2乳汁中移行

授乳ラットに[14C]-ドリペネム20mg(力価)/kgを静脈内投与したときの乳汁中放射能濃度は投与30分後に最高濃度に達したが、血漿中放射能濃度の約1/6であった6)。

  1. 16.3.3蛋白結合

0.5g(力価)1日2回反復投与試験において限外ろ過法にて測定した血清蛋白結合率は約9%であった3)。

16.4 代謝

ヒト腎デヒドロペプチダーゼ-Iに安定性を示す7)(in vitro試験)。

16.5 排泄

主として糸球体ろ過及び尿細管分泌により腎から尿中に排泄される。健康成人男性6例に0.25g(力価)、0.5g(力価)及び1.0g(力価)を単回点滴静注したときの尿中排泄率は、投与量に関係なく、24時間までに未変化体として約75%、βラクタム環が開裂したジカルボン酸体(主代謝物)を含めると約90%であった3)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

  2. (1)腎機能障害患者12例に0.25g(力価)を30分かけて単回点滴静注したとき、腎機能の低下に伴い、血中からの消失が遅延する傾向が認められた(表16-2)8)。

Ccr
(mL/min)
例数 Cmax
(μg/mL)
AUC0-24
(μg・hr/mL)
T1/2(β)
(hr)
50≦Ccr<70 4 21.9±1.3 40.55±5.89 1.98±0.38
30≦Ccr<50 6 21.2±4.6 48.21±13.41 2.16±0.32
Ccr<30 2 17.9 64.31 3.56

Ccr:クレアチニンクリアランス

(測定法:bioassay、HPLC)(平均値±標準偏差)

  1. (2)健康成人、腎機能障害患者及び健康高齢者の92例から得られた921ポイントの血漿中濃度について、母集団薬物動態解析を行った。本剤の薬物動態に対する影響因子として、腎機能障害の程度(Ccr)の影響が大きく、Ccrに応じた投与量の調節が必要であると考えられた9)。 Ccr別の1日投与量ごとの曝露量(1日あたりのAUC)を表16-3に示す。
Ccr
(mL/min)
1日投与量ごとの1日あたりのAUC(μg・hr/mL)
0.25g×2回 0.25g×3回 0.5g×2回 0.5g×3回 1.0g×2回 1.0g×3回
Ccr≧105 34.7
(28.2-42.5)
52.3
(42.7-64.3)
69.4
(56.4-85.5)
104
(84.4-129)
139
(113-172)
209
(170-256)
70≦Ccr<105 41.3
(31.7-54.7)
62.2
(47.4-82.3)
82.7
(62.9-110)
124
(95.0-165)
165
(126-218)
250
(191-331)
50≦Ccr<70 58.2
(44.8-76.0)
87.5
(67.5-115)
117
(90.3-153)
175
(135-229)
233
(181-305)
349
(271-459)
30≦Ccr<50 82.9
(61.3-117)
124
(91.3-176)
166
(122-235)
250
(182-346)
332
(246-472)
498
(368-700)
Ccr<30 145
(95.9-269)
215
(141-397)
293
(189-518)
433
(285-798)
587
(378-1050)
872
(574-1580)

Ccr:クレアチニンクリアランス

注:中央値(90%予測範囲)、母集団薬物動態解析パラメータ(NONMEMⓇを用いて推定)によるシミュレーション結果

  1. (3)血液透析患者6例に0.5g(力価)を1時間かけて単回点滴静注したときの血漿中濃度を図16-2に示す。点滴開始2時間後から4時間かけて透析することにより血液透析未実施の場合と比較してAUCは43%に低下した10)(外国人データ)。

  2. 16.6.2小児患者

小児患者(2ヵ月~13歳)99例に20mg(力価)/kg〔体重25kg以上は0.5g(力価)〕を30分以上かけて点滴静注したときの血漿中濃度(190ポイント)を図16-3に示す。また、母集団薬物動態解析結果に基づいて推定した薬物曝露量を表16-4に示す11)。

投与量注2
〔mg(力価)/kg〕
例数 Cmax
(μg/mL)
1日あたりのAUC
(μg・hr/mL)
20 99 30.5±2.6 140.6±23.1

注1:NONMEMⓇを用いて推定

注2:体重25kg以上は0.5g(力価)

(平均値±標準偏差)

  1. 16.6.3高齢者

健康高齢者(66~69歳)6例に0.25g(力価)を30分かけて単回点滴静注したとき、高齢者では非高齢者に比べて血中からの消失が遅延する傾向が認められるものの、Cmaxに有意な差はみられなかった(表16-5)12)。

投与量
〔g(力価)〕
例数 Cmax
(μg/mL)
AUC0-24
(μg・hr/mL)
T1/2(β)
(hr)
高齢者 0.25 6 17.5±2.5 25.72±4.62 1.43±0.19
非高齢者 0.25 6 18.1±1.9 20.26±3.48注 0.90±0.08

注:AUC0-12

(測定法:bioassay)(平均値±標準偏差)