Clinical snapshot

ファーストシン静注用1g

注射用セフォゾプラン塩酸塩

添付文書改訂 2026年01月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 〈適応菌種〉

セフォゾプランに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、シュードモナス属、緑膿菌、バークホルデリア・セパシア、ステノトロホモナス(ザントモナス)・マルトフィリア、アシネトバクター属、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属

  • 〈適応症〉

敗血症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲膿瘍を含む)、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、複雑性膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎、化膿性髄膜炎、眼窩感染、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、眼内炎(全眼球炎を含む)、中耳炎、副鼻腔炎、化膿性唾液腺炎

用法・用量

  • 本剤の使用に際しては、投与開始後3日をめやすとしてさらに継続投与が必要か判定し、投与中止又はより適切な他剤に切り替えるべきか検討を行うこと。さらに、本剤の投与期間は、原則として14日以内とすること。

  • 成人:通常、成人にはセフォゾプラン塩酸塩として1日1~2g(力価)を2回に分けて静脈内注射又は点滴静脈内注射する。 なお、年齢、症状に応じて適宜増減するが、難治性又は重症感染症には1日4g(力価)まで増量し、2~4回に分けて投与する。

  • 小児:通常、小児には1日40~80mg(力価)/kgを3~4回に分けて静脈内注射又は点滴静脈内注射する。 なお、難治性又は重症感染症には1日160mg(力価)/kgまで増量し、3~4回に分けて投与する。化膿性髄膜炎には1日200mg(力価)/kgまで増量できる。ただし、成人における1日最大用量4g(力価)を超えないこととする。

  • 新生児(低出生体重児を含む):通常、新生児(低出生体重児を含む)には1回20mg(力価)/kgを0日齢(生後24時間未満)は1日1~2回、1(生後24時間以降)~7日齢は1日2~3回、8日齢以降は1日3~4回静脈内注射又は点滴静脈内注射する。 なお、重症又は難治性感染症には1回40mg(力価)/kgまで増量できる。

  • 〈静脈内注射の場合〉

  • 日局「注射用水」、日局「生理食塩液」又は日局「ブドウ糖注射液」に溶解して、緩徐に静脈内に注射する。

  • 〈点滴静脈内注射の場合〉

  • 糖液、電解質液又はアミノ酸製剤などの輸液に加えて、30分~2時間かけて静脈内に点滴注射する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

  2. 8.2本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること2)。

  3. 8.2.1事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。

  4. 8.2.2投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。

  5. 8.2.3投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。

  6. 8.3患者の状態などから判断して、7日以上にわたって本剤を投与する場合には、その理由を常時明確にし、発疹の出現や肝機能異常等の副作用に留意し、漫然とした継続投与は行わないこと。

  7. 8.4急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

    1. 9.1.1セフェム系又はペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)
  1. 9.1.2本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者

  2. 9.1.3経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者

観察を十分に行うこと。 ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1高度の腎障害のある患者

投与量・投与間隔の適切な調節をするなど慎重に投与すること。本剤は主として腎臓から排泄されるため、高度の腎機能障害(例えばクレアチニンクリアランス値:30mL/分以下等)のある患者では高い血中濃度が持続することがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1高度の肝障害のある患者

肝障害が悪化することがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

新生児(低出生体重児を含む)に投与する場合は、日齢に応じた1日投与回数にすること。特に0日齢では腎機能が未熟なため血中濃度の半減期が延長し、高い血中濃度が長時間持続するおそれがある。

9.8 高齢者

  • 次の点に注意し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
  1. 9.8.1生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。

  2. 9.8.2腎機能が低下していることが多く、本剤は主として腎臓から排泄されるため、高度の腎機能障害(例えばクレアチニンクリアランス値:30mL/分以下等)のある患者では高い血中濃度が持続することがある。

  3. 9.8.3ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
利尿剤
• フロセミド等
他のセフェム系抗生物質で併用による腎障害増強作用が報告されているので、併用する場合には腎機能に注意すること。 機序は不明であるが、利尿時の脱水による血中濃度の上昇等が考えられている。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P 1〜5%未満
ALTの上昇 5%以上
AST 5%以上
LDH 1〜5%未満
γ-GTPの上昇 1〜5%未満
カンジダ症 1%未満
そう痒 1〜5%未満
ビタミンB群欠乏症状(舌炎 1%未満
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症 1%未満
リンパ腺腫脹 1%未満
下痢 1〜5%未満
倦怠感 1%未満
出血傾向等) 1%未満
口内炎 1%未満
口内炎 1%未満
嘔吐 1〜5%未満
好酸球増多 1〜5%未満
悪心 1〜5%未満
発熱 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
神経炎等) 1%未満
紅斑 1〜5%未満
腹痛 1〜5%未満
腹部膨満感 1〜5%未満
蕁麻疹 1〜5%未満
血小板増多 1〜5%未満
血清アミラーゼ上昇 1〜5%未満
貧血 1〜5%未満
関節痛 1%未満
頭痛 1%未満
食欲不振 1%未満
食欲不振 1〜5%未満
高カリウム血症 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

細菌の細胞壁の合成を阻害する。本剤がグラム陽性菌及び陰性菌に対して強い抗菌力を示すのは、β-ラクタマーゼに対して安定であり、黄色ブドウ球菌ではペニシリン結合蛋白質1及び2に、大腸菌及び緑膿菌ではペニシリン結合蛋白質3に対する親和性が高いため細胞壁peptidoglycan架橋形成阻害作用が強いことによると考えられる23),24),25)。

18.2 抗菌作用

  1. 18.2.1グラム陽性菌及びグラム陰性菌に広い抗菌作用を示し、特にブドウ球菌属、レンサ球菌属、腸内細菌科の各種細菌、インフルエンザ菌に強い抗菌力を示す。 また、多くのセフェム系抗生物質に耐性を示す腸球菌、緑膿菌に対しても比較的強い抗菌力を示す23),26),27),28),29)(in vitroin vivo(マウス))。

  2. 18.2.2抗菌作用は殺菌的で、最小発育阻止濃度で殺菌作用を示す23),27)(in vitro)。

薬物動態

16.1 血中濃度

腎機能正常の成人及び小児に静注あるいは点滴静注して得られた血中濃度は図1~4のとおりであり、用量依存性を示す。 また、腎機能正常の1日齢以降の低出生体重児を含む新生児に静注して得られた血中濃度は図5のとおりであり用量依存性を示す。なお、1回20mg/kgでの静注と30分点滴静注との血中薬物動態について比較した結果、血中濃度推移、血中濃度半減期共にほとんど差は認められていない3),4),5),6)。

16.3 分布

肺組織7)、喀痰8)、胆汁9)、胆嚢組織10)、腹腔内滲出液11)、腹壁腹膜11)、創部滲出液12)、膿汁11)、前立腺13)、女性性器組織14)、扁桃15)、耳漏16)、鼻汁17)等の耳鼻咽喉組織、涙液18)及び髄液4)等への移行が認められている。なお、乳汁中14)へもわずかに移行する。

16.4 代謝

血中及び尿中には抗菌活性代謝物質は認められていない。 健康成人の2g単回静注後の尿について、カラムクロマトグラフィーによる着色物質の検索を行った結果、尿着色(赤色)物質は極微量であり、単離同定には至らなかったが、本剤に由来する微量の代謝物(分解物)であると考えられる3)。 なお、ラット及びイヌに1,000mg/kg/日、サルに300mg/kg/日を反復静脈内投与した際の尿を薄層クロマトグラフィーで分析したところ、ラット尿中には濃青色成分が、イヌ尿中には赤色成分が、サルには両成分が認められている19),20),21)。

16.5 排泄

主として腎より排泄され、成人(腎機能正常者)に1回0.5、1、2g静注あるいは点滴静注後6時間までの尿中排泄率は72~85%である。また、1gを静注後の尿中濃度は0~2時間で約4,200μg/mL、2~4時間で約1,800μg/mL、4~6時間で約750μg/mLである3)。 また、小児(腎機能正常者)に1回10、20、40mg/kg静注後6時間までの尿中排泄率は69~85%であり、1日齢以降の低出生体重児を含む新生児(腎機能正常者)に1回10、20、40mg/kg静注後6時間までの尿中排泄率は28~62%である4),5),6)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

腎機能の低下に伴い、血中濃度の上昇、血中濃度半減期の延長及び尿中排泄率の低下が認められる(図6)。従って、腎機能障害者に本剤を投与する場合には、投与量、投与間隔の適切な調節が必要である22)。