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ファンガード点滴用75mg

注射用ミカファンギンナトリウム

添付文書改訂 2024年06月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • アスペルギルス属及びカンジダ属による下記感染症 真菌血症、呼吸器真菌症、消化管真菌症

  • 造血幹細胞移植患者におけるアスペルギルス症及びカンジダ症の予防

用法・用量

効能又は効果 対象 用法及び用量
• アスペルギルス症** 成人 通常、成人にはミカファンギンナトリウムとして50~150mg(力価)を1日1回点滴静注する。
重症又は難治性アスペルギルス症には症状に応じて増量できるが、1日300mg(力価)を上限とする。
小児 通常、小児にはミカファンギンナトリウムとして1~3mg(力価)/kgを1日1回点滴静注する。
重症又は難治性アスペルギルス症には症状に応じて増量できるが、1日6mg(力価)/kgを上限とする。
• カンジダ症** 成人 通常、成人にはミカファンギンナトリウムとして50mg(力価)を1日1回点滴静注する。
重症又は難治性カンジダ症には症状に応じて増量できるが、1日300mg(力価)を上限とする。
小児 通常、小児にはミカファンギンナトリウムとして1mg(力価)/kgを1日1回点滴静注する。
重症又は難治性カンジダ症には症状に応じて増量できるが、1日6mg(力価)/kgを上限とする。
• 造血幹細胞移植患者におけるアスペルギルス症及びカンジダ症の予防** 成人 成人にはミカファンギンナトリウムとして50mg(力価)を1日1回点滴静注する。
小児 小児にはミカファンギンナトリウムとして1mg(力価)/kgを1日1回点滴静注する。
  • 〈成人〉

点滴静注に際しては、生理食塩液、ブドウ糖注射液又は補液に溶解し、75mg(力価)以下では30分以上、75mg(力価)を超えて投与する場合は1時間以上かけて行う。 溶解にあたっては、注射用水を使用しないこと。[溶液が等張とならないため。]

  • 〈小児〉

点滴静注に際しては、生理食塩液、ブドウ糖注射液又は補液に溶解し、1時間以上かけて行う。 溶解にあたっては、注射用水を使用しないこと。[溶液が等張とならないため。]

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1本剤の使用に際しては、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

  2. 8.2本剤投与開始後において、原因菌がアスペルギルス属又はカンジダ属でないことが明確になった場合、又は本剤投与で効果が認められない場合は、漫然と使用せず、他の薬剤に変更するなど適切な処置を行うこと。

  3. 8.3白血球減少、好中球減少、溶血性貧血(血管内溶血を含む)、血小板減少があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。

  4. 8.4肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分観察すること。

  5. 8.5急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。

  • 〈造血幹細胞移植患者におけるアスペルギルス症及びカンジダ症の予防〉
  1. 8.6本剤の予防投与開始後においてアスペルギルス症又はカンジダ症が発症した場合は、漫然と使用せず、他の薬剤に変更する、又は本剤を増量するなど適切な処置を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1薬物過敏症の既往歴のある患者(本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者を除く)

特に他のキャンディン系抗真菌剤に対し過敏症の既往歴のある患者には注意すること。

9.3 肝機能障害患者

肝障害を悪化させることがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において母乳中に移行することが報告されている。

9.7 小児等

  1. 9.7.1十分配慮すること。小児では、臨床試験において、成人に比べ肝機能障害の頻度が高いことが観察されている。

  2. 9.7.2低出生体重児、新生児を対象とした有効性及び安全性を指標とした国内臨床試験は実施していない。

  3. 9.7.3海外臨床試験では、低出生体重児において血漿中濃度が低くなる傾向がみられている。

9.8 高齢者

用量に留意するなど慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• シロリムス 本剤との併用によりシロリムスのAUCが21%上昇したとの報告1)がある。併用する場合は患者の状態を慎重に観察し、シロリムスの副作用発現に注意し必要に応じてシロリムスの投与量を調節すること。 機序不明

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 1〜5%未満
ALT上昇 5%以上
AST上昇 1〜5%未満
BUN上昇 1〜5%未満
CK上昇 頻度不明
LDH上昇 1〜5%未満
γ-GTP上昇 1〜5%未満
カリウム上昇 1〜5%未満
カリウム低下 1〜5%未満
クレアチニンクリアランス低下 頻度不明
クレアチニン上昇 1〜5%未満
ミオグロビン上昇 頻度不明
下痢 1〜5%未満
低カルシウム血症 頻度不明
低マグネシウム血症 頻度不明
動悸 1〜5%未満
嘔吐 頻度不明
好酸球増多 1〜5%未満
悪寒 1〜5%未満
悪心 頻度不明
注射部位反応(腫脹 頻度不明
疼痛 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 1〜5%未満
紅斑等) 頻度不明
血管痛 1〜5%未満
軟便 1〜5%未満
関節炎 1〜5%未満
静脈炎 1〜5%未満
頭痛 1〜5%未満
高血圧 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

真菌細胞壁の主要構成成分である1,3-β-D-glucanの生合成を非競合的に阻害する24)。

18.2 抗真菌作用

深在性真菌症の主要起因菌であるカンジダ属及びアスペルギルス属に対して幅広い抗真菌スペクトルを有し、フルコナゾール及びイトラコナゾール耐性のカンジダ属に対しても強力なin vitro活性を示す25),26),27)。カンジダ属に対する作用は殺菌的であり、アスペルギルス属に対しては発芽抑制及び菌糸の伸長抑制作用を示す24),27)。 マウスの播種性カンジダ症、口腔・食道カンジダ症、播種性アスペルギルス症及び肺アスペルギルス症において高い防御又は治療効果を示す28),29),30),31),32),33)。

18.3 耐性菌

カンジダ属において本剤に低感受性もしくは耐性を示す株が報告されている。キャンディン系抗真菌剤に対する感受性低下にはグルカン合成酵素複合体の構成要素であるFKSタンパクの変異が関与しているとの報告がある34),35),36),37)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人23例に本剤25mg注)、50mg及び75mgを30分あるいは150mgを1時間かけて静脈内持続投与したとき、血漿中未変化体のAUCは投与量に比例して増加した。血漿中濃度は投与終了時に最高となり、消失半減期は13.9時間であった11)。

投与量
(mg)
例数 Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
AUC0-∞
(μg・hr/mL)
T1/2
(hr)
25
50
75
150
6
6
6
5
2.52±0.28
5.23±0.38
7.90±1.35
14.30±1.31
0.5±0
0.5±0
0.5±0
1.0±0
34.3±5.8
74.3±6.2
106.5±13.4
216.6±23.1
14.0±1.2
14.2±1.2
13.3±0.7
14.0±0.9
25~150 23 13.9±1.0

-:算出せず (平均値±S.D)

注)本剤の承認された成人の1日用量はアスペルギルス症:50~150mg(重症又は難治性では300mgまで)、カンジダ症:50mg(重症又は難治性では300mgまで)である。

  1. 16.1.2反復投与

健康成人6例に本剤75mgを1日1回、7日間、30分間かけて静脈内持続投与したとき、血漿中未変化体濃度は第4日には定常状態に達し、最終投与時のCmaxは10.87μg/mL、消失半減期は14.0時間であった。血漿蛋白結合率は99.8%以上であった11)。

  1. 16.1.3深在性真菌症患者

深在性真菌症の成人患者65例に本剤12.5mg注)、25mg注)、50mg、75mg、100mg及び150mgを反復投与したとき、消失半減期は13.5時間であり、各投与量間で差はみられなかった12)。

注)本剤の承認された成人の1日用量はアスペルギルス症:50~150mg(重症又は難治性では300mgまで)、カンジダ症:50mg(重症又は難治性では300mgまで)である。

  1. 16.1.4移植患者

骨髄移植あるいは末梢血幹細胞移植を受けた成人患者を対象に、米国では本剤12.5~200mg注)を、また英国では3~8mg/kg(約230~600mg)注)を1日1回、1時間かけて反復静脈内持続投与した。定常状態(投与7日目)における未変化体のAUCは投与量に比例し、消失半減期はいずれの投与量においてもほぼ一定した値であった13),14)(外国人データ)。

投与量 例数 Cmax
(μg/mL)
AUC0-24hr
(μg・hr/mL)
T1/2
(hr)
米国
(mg)
12.5
25
50
75
100
150
200
7
8
7
8
7
8
8
3.9±7.3
4.8±2.7
6.4±5.7
8.3±4.8
28.2±22.9
17.6±8.4
26.5±20.7
15.6±11.6
24.4±7.5
49.0±11.1
66.1±20.6
110.0±31.8
166.4±49.3
208.3±65.5
9.9±1.8
13.8±4.0
12.5±2.6
13.2±4.4
13.9±3.1
13.1±2.5
15.9±4.8
英国
(mg/kg)
3
4
6
8
8
10
8
8
21.1±2.8
29.2±6.2
38.4±6.9
60.8±26.9
234±33.6
339±72.2
479±157
663±212
14.0±1.4
14.2±3.2
14.9±2.6
17.2±2.3

(平均値±S.D)

注)本剤の承認された成人の1日用量はアスペルギルス症:50~150mg(重症又は難治性では300mgまで)、カンジダ症:50mg(重症又は難治性では300mgまで)である。

16.3 分布

  1. 16.3.1乳汁中移行

哺育中ラットに14C標識ミカファンギンナトリウムを1mg/kg静脈内投与したとき、乳汁中放射能濃度は投与後6時間で最高濃度となり、その濃度は血漿中放射能濃度と同程度であった。また、投与後24時間以後は1.4日の半減期で血漿中放射能濃度と並行して消失した15)。

16.4 代謝

代謝物として8種類が同定又は推定された。ミカファンギンは主に肝で代謝を受けると考えられるが、ヒトの尿及び糞中にミカファンギンの側鎖の水酸化体(M5)が主代謝物として投与量の3.7%排泄された。M5はチトクロームP450のCYP1A2、2B6、2C及び3Aにより生成し、その他、カテコール体(M1)はミカファンギンからサルファターゼにより、メトキシ体(M2)はM1からCOMT(catechol O-methyltransferase)により、開環体(M3)はミカファンギンから水溶液中で非酵素的に生成すると考えられた16),17),18),19)。

16.5 排泄

ミカファンギンは主に糞中に排泄され、外国人の健康成人6例に14C標識ミカファンギンナトリウム28.3mgを1時間かけて静脈内持続投与したとき、投与後7日までの尿及び糞中放射能の排泄率はそれぞれ投与放射能の7.36%及び43.80%であった。尿中及び糞中には未変化体がそれぞれ投与放射能の0.70%、11.71%排泄され、他は代謝物であった。 なお、血漿中放射能濃度の推移は投与終了時で2.29μg eq./mL、投与後24時間で0.84μg eq./mL、投与後7日で0.19μg eq./mLとなった。投与後42~51日では、投与後7日の約1/8である0.023μg eq./mLまで減少した16),20)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1小児等

  2. (1)深在性真菌症患者(小児)

深在性真菌症の8カ月~15歳の小児患者19例(のべ26例)に本剤1mg/kg(7例)、2mg/kg(9例)、3mg/kg(9例)及び6mg/kg(1例)を1~3時間かけて静脈内持続投与したとき、定常状態でのCmaxは、投与量に比例して増加した。消失半減期は13.1時間であった。乳児(3例)の血漿中濃度は幼児、学童に比べてやや低い傾向がみられた21)。

投与量
(mg/kg)
例数 Cmax
(μg/mL)
T1/2
(hr)
1
2
3
6
7
9
9
1
5.03±2.33
10.25±4.45
14.76±5.52
21.11
13.0±1.8
12.3±1.9
14.4±3.2※
11.3
1~6 26 13.1±2.4

-:算出せず、※:n=8 (平均値±S.D)

  1. (2)深在性真菌症患者(低出生体重児)

深在性真菌症の584~2014gの低出生体重患者22例に本剤0.75mg/kg注)、1.5mg/kg及び3mg/kgを30分以上かけて単回静脈内持続投与した。低出生体重児のCmaxは小児より低く、半減期は短かった22)(外国人データ)。

体重
(g)
投与量
(mg/kg)
例数 Cmax
(μg/mL)
AUC0-24hr
(μg・hr/mL)
CLt
(mL/min/kg)
T1/2※2
(hr)
500-1000
>1000
0.75 4
6
1.31±0.31
2.53±0.92
8.8±1.4
16.5±9.0
1.32±0.21
0.97±0.82
5.5
8.0
>1000 1.5 6 4.51±1.34 44.1±24.0 0.64±0.15※1 7.8※1
>1000 3 6 9.28±5.31 59.5±29.0 1.19±1.32 8.2

※1:n=5、※2:調和平均値 (平均値±S.D)

注)本剤の承認された小児の1日用量はアスペルギルス症:1~3mg/kg(重症又は難治性では6mg/kgまで)、カンジダ症:1mg/kg(重症又は難治性では6mg/kgまで)である。

  1. 16.6.2高齢者

高齢者10例(平均71歳、66~78歳)及び非高齢者10例(平均22歳、20~24歳)に本剤50mgを1時間かけて静脈内持続投与すると、血漿中未変化体濃度は高齢者群、非高齢者群とも同様な推移を示し、両群間でCmax、AUC0-∞、T1/2及び蛋白結合率に差はみられなかった23)。